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ORICON NEWS
若者たちが三波春夫の歌声でPPAP “伝説の歌声”を蘇らせる新たな手法とは?
本物を忠実再現、音声技術が蘇らせる伝説の歌声
「確かにハルオロイドは、初音ミクさんのような電子音的な雰囲気がほとんどなく、まるで本物の三波春夫さんが歌っているようです。歌っている声の調子のなめらかさといい、ちょっと怖いぐらいですね。しかも、YouTubeにアップされたPPAPなんかも、完璧に三波春夫節になっているんですから(笑)。2014年にも同様に音声合成技術を用いて、亡くなったhideさんの曲「子 ギャル」が発表されましたが、これは本来3rdアルバム『Ja,Zoo』に収録される予定だった幻の曲でした。制作途中のラフなボーカルによるデモ音源をもとに、見事に再現したわけです。すばらしい才能の持ち主が亡くなった後も、音声ソフトで蘇らせることができるわけですから、お蔵入りしていた曲も陽の目を見ることができるし、若い世代が過去の時代のアーティストを可能な限りリアルに知ることもできる。可能性は計り知れないものがありますね」(エンタメ誌編集者)
国民的大歌手と現在の流行…ミスマッチ感が目新しさに
「いわゆるド演歌には興味のない若者層も、ハルオロイドという音声合成技術によって、日本の演歌や浪花節が持つ前時代的な匂いが消されるので、抵抗感がないんですね。それどころか、衣装でもパフォーマンスでも、もともとスタイリッシュだった三波さんがよりポップに演出されてるので、目新しさもあるんです。独特のこぶしや昭和な感じと、萌えキャラや最先端のPPAPとのミスマッチが逆に新鮮で、若者たちも面白がっているんじゃないでしょうか」(前出・編集者)
バーチャル・アーティストだからこそ若者層にも普及 広がる新たな可能性
「2020年の東京五輪をひかえ、三波春夫の『東京五輪音頭』にも再び注目が集まっています。三波春夫をリアルタイムで見たことがない世代が増えてきている中、バーチャル・アーティストを作成することで話題になれば、当時を知っている方には懐かしんでいただくこともできますし、若い世代には目新しく感じていただけると思いました。ハルオロイドを通じて、三波春夫がこれまでにたくさん生み出してきた作品や“歌藝”を、若い世代の方々に知っていただくきっかけにしたいと思ってます。リリース後の反響は、正直、狙い以上のものがありました。待ってました!というたくさんの声をいただき、現在も多くのユーザーに楽しんでいただけているようです。無料配布とさせていただきましたが、そのインパクトもかなりあったようです」
もはや音声合成ソフトはその技術力もさることながら、今回のハルオロイド・ミナミのように、過去の音楽的遺産や偉大なアーティストを現代に蘇らせ、リアルタイムに接することができなかった若い世代に、その才能と実績を知らしめるということまでやってのけてしまう。もちろんそれは日本に限らず世界規模で可能なことであり、今後は“日本発”の企画が世界の物故アーティストたちとコラボし、新しいエンタメシーンを形成するなどということもあるかもしれない。現役クリエイターたちの創造力しだいでは、音声合成技術の伸びしろはまだまだ広がりそうである。