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【ライブレポート】ポルノグラフィティの横浜スタジアムライブ 「みんなと一緒に作ってきた道」さらにその先へーー

 9月4日に行われた、今年で4度目となる横浜スタジアムでのライブ『横浜ロマンスポルノ’16 〜THE WAY〜』。2008年に同所で“ロマンスポルノ”が行われた際は大雨だったが、今年は1日目が雨で2日目はほぼ快晴をキープ。“THE WAY”という2016年のライブタイトルに込めた想いを、2人はこれまでにない挑戦的なセットリストと言葉の端々から感じさせた。

「サウダージ」「アゲハ蝶」、ヒット曲を意外なアレンジで披露

 ライブは、客席のど真ん中に位置する小さなセンターステージで、岡野昭仁と新藤晴一の2人だけのアコースティック形態でスタート。青空の下、奏でられたのは「ハネウマライダー」や「サウダージ」。途中からキーボードとパーカッションが加わったりしたものの、いつもなら派手な照明が似合う時間帯に畳み掛けていくような選曲を、少しゆったりしたアレンジで聴かせていく。

 最初のMCでは、「今までいろんな道に僕らも足を踏み入れたんだけど、今日はまたそことは違う道に、今まで分け入ったことがない道に足を踏み入れようと……。どアタマでは足を踏み入れんでいいようなとこに行ったけど」と語った岡野。実は1曲目の「ハネウマライダー」を途中からやり直したことに触れ、「足を踏み外したな(笑)」(新藤)と笑いを交えながらも“THE WAY”の意味合いを説明。ただ進むのではなく新たな道も見せていきたいという話に、観客は深く納得させられた。特に「アゲハ蝶」は、前回(2014年)の横浜スタジアムでは豪快なファイアーダンサーとともに漆黒の夜を味わうようにして演奏されたもの。まだ明るい中、そよ風を感じながら聴くスパニッシュなノリはとても新鮮だった。

「昨日は雨でビショビショだった人も、今日は汗でビショビショに!」

 メインステージに移動してからは、「2012Spark」「ミステーロ」などを続け、吹き出す火柱とともに一気に熱狂ライブ空間を形成。迫りくるメロディ、折り重なって巨大な響きを生むサウンド。岡野の「リミットはずしていくよ! 昨日は雨でビショビショだった人も、今日は汗でビショビショになって帰れ!」の煽りで、さらに場内の気温と湿度はぐんと上がる。

 巨大モニターに映し出された歌詞を読みながら聴くと、あらためて切なさがこみ上げてくる「EXIT」から、イントロだけで歓声が上がる「愛が呼ぶほうへ」。いつの間にかしっとりと暗くなった空に、新藤の柔らかなギターソロと岡野のどこまでもまっすぐな声が吸い込まれていく。昼と夜の狭間で聴く愛の歌は、人々の感覚を永遠へとつなげる――そんな気持ちになるのも、まさに野外ならでは。そして、それも環境すべてを味方につけるポルノグラフィティの楽曲ならではなのだと痛感した。とにかくその歌と光景は、涙が出るほど美しかった。

 中盤、再びセンターステージへ移動し、なんとスタンディングドラムとウッドベースを用いたロカビリーテイストで「ヒトリノ夜」「Mugen」を披露。これも実に斬新。皮ジャンにサングラス姿でギターを奏でる新藤も、なかなかハマっていた。そして怒涛のコール&レスポンスから、まるで火花のように客席のタオルが激しく揺れる「Ohhh!!! HANABI」へ。「オー!リバル」「メリッサ」では疾走感と情感が入り混じる楽曲の気持ち良さに、客席から地鳴りのような歓声が上がる。久々の「ミュージック・アワー」では、観客もさらにヒートアップして食らいついていく。熱く、楽しく、嬉しくなる空間。そのボルテージが毎度上がっていくことが、まずはこの横浜スタジアムライブにおけるポルノグラフィティの伝説のひとつなのだと感じた。

“辿り着いた”のではなく、“ここから一歩踏み出していく”

 本編ラストの曲に入る前に、岡野は“THE WAY”(道)についてゆっくり語った。そして彼の合図で、人々の腕についていたシンクロライトが一斉に点灯。少しの怖さを感じながらも、自分を信じて新たな一歩を踏み出すことを歌った「THE DAY」には、最後に“THE WAY ver”としてのフレーズが付け加えられていた。<深い森に分け入るよりも危険な香りのTHE WAY><足を踏み出す 君のTHE WAY>――。それは、一昨年『惑ワ不ノ森』というタイトルで横浜スタジアムライブを行った彼らが、40代になり“迷わなくなった森の中”で追究するのではなく、ここからさらに新しい世界へと一歩を踏み出すんだ、という誓いだった。

 アンコールでは、11月9日発売の新曲と、“初心表明”として16年前に決意を綴った「ダイアリー 00/08/26」を演奏。“THE WAY”という名の今回のライブは、恒例のスタジアムに“辿り着いた”のではなく、“ここから一歩踏み出していく”様を体現した、ポルノグラフィティのロック精神と男気を再確認するライブだった。

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