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家入レオ、気鋭のクリエイターたちと制作に挑んだ4thアルバム「意思表示の1枚になった」

書きたいことがないんだったら、そのことを書いてみたら?って

――「そばにいて、ラジオ」からも家入さんの等身大の気持ちが感じられました。
家入レオ メッセージ性が強い曲が多かったから、もうちょっとラフに聴けるものが欲しいなと思ったんです。「そばにいて、ラジオ」は九州のラジオキャンペーンの曲なんですけど、里帰りして、もう1回、夢に向かって歩き始める気持ちを歌っています。故郷への恩返しという意味もありますね。

――さきほど「以前は福岡を引きずっていた」と言ってましたけど、いま、家入さんにとって地元の福岡はどんな存在なんですか?
家入レオ 自分の年齢のせいもあると思うんですけど、最近、福岡に戻ると落ち着かないんですよ(笑)。実家から離れて何年か経つと(帰省しても)“ただいま”と思えなくなるというか。もちろん福岡はいまも大切で、大好きなんですけど、今は東京でしか生きられないんだなって思いました。

――アルバムの最後に収録されている「Every Single Day」も素晴らしいですね。純粋なラブソングとしても成立しているし、家入さんの音楽に対する思いも感じられて。
家入レオ これも多保さんの曲なんですけど、これを聴いたから“いっしょにやりたい”と思ったほど大切な曲なんです。この歌詞を書いていた頃がいろんな意味でピークだったんですよ。「僕たちの未来」のプロモーションとアルバムの制作が重なって、休みがまったくなかったうえに、「20代になったんだから、歌詞も広げていかないと」なんて言われて、すごく葛藤していて……。そんなときにディレクターが「書きたいことがないだったら、そのことを書いてみたら?」って言ってくれたんです。そのときに書いたのが2番のAメロなんですよね。

――<色のない瞳で世界を眺め/空っぽの心で歌を書いた>ですね。ラストの<ただそこで 笑ってくれるだけで/強くなれる いつも>というフレーズも印象的でした。
家入レオ 「僕たちの未来」は“みんながいるから歌えている”という気持ちを歌っているんですが、「Every Single Day」は“ただひとりの人に支えてもらっているからこそ、みんなの前に立てる”という感情なんです。すごく大事な曲になりましたね。

20代になったし、もっと自由にやっちゃおうかなって思います

――『WE』はこれまでのアーティスト・イメージから変わった部分もかなり含まれているし、リスナーからのリアクションも楽しみですね。
家入レオ 正直、このアルバムが出来たときは「ファンのみなさんはどう思うかな?」という心配もあったんです。でも、ファンの方々のお手紙やメールを読んでいると、私に望んでいるのは『1分、1秒でも長く歌い続けてほしい』ということなんですよね。私自身も花火みたいに打ち上がるんじゃなくて、細くてもいから、長く続けたいと思っているんです。同じことを続けていても縮小にしかつながらないし、いつかは飽きられてしまう。そのときにやりたいことをやって、長く続けていく――そういう意思表示の1枚でもあるんですよね、このアルバムは。だって、変わらない人間なんていないから。

――確かにそうですね。ただ、アーティストとしてのイメージを自然と変化させていくのはかなり難しいですけど。
家入レオ それはまわりのスタッフの方が考えることで、私の役目ではないと思うんです。私がやらなくちゃいけないのは、いろんなことを経験して、そのときに思ったことを歌にすること。それをどういうタイミングで出していくかは、周りのスタッフの方にお任せてしたほうがいいと思っています。私自身はいまも“もっともっと曲が書きたい”って思っているし、曲を書くことがすごく楽しいんですよ。

――こうやって話していても、気持ちが外に向いていることが伝わってきます。20代になって、どんどんオープンになってますよね。
家入レオ そうですね。10代の頃の過ごし方をちょっと後悔しているところもあるんですよ。一生懸命に駆け抜けたからこそ、いまがあると思っているし、音楽に関してはやり切った感じがあるんです。でも、それ以外のことはほとんど何もやってないなって。もっといろんなものに触れて、いろんなところに行ってみたかったという気持ちがすごくあります。20代になれば自分で責任を取れるし――もし良くないと思ったら、まわりの大人が言ってくれるはずなので(笑)――もっと自由にやっちゃおうかなって思っています。

――9月からは全国ツアー「5th Live Tour 2016〜WE|ME」がスタート。「WE」の楽曲が中心になれば、ライブの雰囲気もかなり変わってきそうですね。
家入レオ かなり変わると思います。クラブミュージック、ダンスミュージックのテイストを取り入れた曲もあるんですけど、ずっとシーケンスを流してるのも違うなって思うし、生音にこだわってレコーディングしたから、そういうところも表現したいし。作り込む、きちんと決めることも大事ですけど、客席から飛んできた言葉を広げたり、自由に楽しみたいですね。

(文/森朋之 写真/西田周平)

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