日本独占インタビュー! ソロ活動45年のポール・マッカートニー、楽曲制作での独自の見解とは

作曲の話をするときは「どうすれば出来るか僕にも分からない」って言うんだ(笑)

――「夢の旅人」は? 当時あんな怪物的ヒットになるなんて誰も予測していませんでしたが。
ポール・マッカートニー あれはヒット曲を狙っていたわけじゃない。新しいスコットランドの曲がないな、古いものばかりだなって思っていただけなんだ。バグパイプ・バンドが「アメイジング・グレイス」という古い曲を演奏していた。そこで、誰かが新しいものを書けばいいんじゃないかって思った。僕もスコットランドに住んでいて、かなり長い間スコットランドで時間を過ごしていたこともあって、「僕がやるべきだ、やってみるか!」ってなったんだ。そこでやってみた……ヒットするなんて思っていなかった。

ただ、レコーディングが本当に素晴らしくて、さらにバグパイプ・バンドの特に若い連中が皆「これ最高だ、ヒットするよ」って言ってくれていたからね。この時もやはり彼らがヒットになるよって言ってくれたことに影響を受けて、それを信じられるようになったけれど、それでもそこまでじゃなかった。だってあの当時はパンクの時代だったし、そんな時代にスコットランド・ワルツが発売されても誰も聴かないんじゃないかって思っていたんだ。でも、その頃パンクに浸りまくっていた娘のヘザーがタイミングよく、「この間パブにいたら、パンクの友だちが『夢の旅人』をかけていたのを見せてあげたかった」って言ってくれた。だからそういうものだよね……どうすればうまくいくのかわからないよ。

まだわからないこともあるんだ。リバプール総合芸術大学で学生に作曲の話をするとき最初に言うことは、「正直に言おう、どうすればできるのか僕にはわからない。物理の授業で先生が教えてくれるように、こうすればできるよ、とは言えない」なんだ。でも同時にいつも、「どうすればいいのかはわからないけれど、君たちと曲を書くなら、僕だったらどうするかは伝えられるよ」っていう免責事項は付け加える。でもこれこそが真実だから、こう言うのが好きなんだ。曲を書くための方程式のようなものは習ったことがない。だから曲を書くっていうのは、まるで山高帽から兎(うさぎ)を出すようなもので、特別で、まるで魔法のようなものなんだ。

――曲を書く時に必ずする、一風変わったことは何かありますか?
ポール・マッカートニー 特にないかな。家の周りの一角を10周して、熱いお風呂に入って、今度は氷だらけのバスタブに入って、立て続けにコーヒーを3杯飲むけど、決してそれが儀式みたいなものじゃないからね!! 嘘だよ。結構楽しんでもらえたっぽいから、そうしておこうか! そんなことはしないけど、ギターかピアノでとにかく書き始める(もちろん、熱いお風呂の後に)。

曲を作るのは自分自身、レコード、CD、ダウンロードだろうと変わらない

――技術、あるいは音楽を提供するフォーマットの変化を通して、物事へのアプローチは変わりましたか?
ポール・マッカートニー いや、全く変わらないね。影響を与える可能性があると前は思っていたし、音楽に影響を与えるものだとみんな思うみたいだけれど、それは媒体、音楽をのせる手段にしかすぎないし、曲を作るのは自分自身だしね。だからアナログレコードだろうと、カセット、CD、ダウンロードだろうと、曲は変わらないし、それによって自分のやることを変えるなんていうことはしないよ。

――未発表のオリジナル曲のアーカイヴはあるのでしょうか? または、上手くいかないと思ったら、そういうものにはその後手を付けないのでしょうか?
ポール・マッカートニー 昔の作品のリマスタリングをやるときって、保管庫を掘り起こすわけだけれど、時々僕の制作チームが「見て! こんなの見つけたよ!」って言ってくることがある。そういうことがあると僕は、「そうだよ、気に食わなかったから埋葬したんだ!」と答えるんだ。すると、その曲が好きだって言われたりして、説得されてしまうこともあるんだよね。いくつかちょこちょこしたものもあるけれど、リマスタリングをやっていると、すり抜けちゃうことが大半で、最終的にはボーナス・トラックになったりする。そこまでいくと、もうどうでもよくなるんだ。でも、もともとは曲にして完成させるつもりだったような、アイディアみたいなものが結構ある。メロディみたいなのがたくさんあって、あのメロディは好きだけど曲にはしていないな、というものがあるんだ。次のアルバムのために今それらを手掛けていて、いくつかは曲として仕上がりつつある。メロディの断片を本来とは違うほかの曲の中で使っているものもあるけれど、それも結構面白いよね。だから現時点では、そういうもので色々試しているところだね。

――新しいアルバムに取り組むとき、コンセプトやタイトルを念頭におきながら作業するのでしょうか? それとも、制作過程の後半でそのようなものが思い浮かぶのですか?
ポール・マッカートニー 大半は後半かな。実際のところ、いつも後で浮かぶかな。作品を手掛けるとき、できるだけ良いものにしてそこから気に入った曲を選んで、順番を決める。その頃には、「じゃあこれはどんなものに仕上がっているんだろう」っていうことになるんだ。時には、『メモリー・オールモスト・フル』のように、携帯電話に表示されたフレーズが目にとまったりして、これは短いけれど最高の表現だなって思ったりする。我々の生活ってまさにそういうものだよね。本当にいろんなものが僕らに向かってくるわけで、僕らのメモリーもずっと一杯一杯だよね。だから、そのことも、携帯電話のそのフレーズも皆に理解してもらえる。『NEW』については、候補タイトルはたくさんあったんだ。でも、しっくりくるのがなかった。そこである日、そういえば新しい粉末洗剤を買う、新しい掃除機を買うっていうことを考えていたら、そうだ! ニューだ!ってなったんだ。そこで新しいアルバムを『NEW』と命名することにした。古くてもそれでも新しいからね!

――その時点で書いてあったものはありましたか?
ポール・マッカートニー 曲はあったよ。ナンシーと僕が一緒になるっていうアイディアだったし、僕たちも新しいっていうところから始まった。それに、NEWっていう言葉もクールだよね。あまり見かけないものだし、ぴったりなんじゃないかって思ったんだ。

(翻訳:佐藤空子)

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