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Kiroroの20年振り返る「ずっと歌い継がれていく曲を歌っていきたい」

離れて暮らしていたけど「千春の歌を聴きたい」と思ってた(金城)

──玉城さんの突撃インタビュー(笑)。では当時を振り返って、お願いします。
金城 そうですねぇ。でもやっぱり千春が一番辛いだろうなって思ってたので。
玉城 私じゃなくて、綾のこと語ってください。
金城 (笑)。もちろん千春が帰ってからいろいろありましたけど、与えられた環境の中でいかに自分の生活を豊かにするか、心が豊かでいられるかということと、一生懸命向き合っていたので、助けてくれる友人、家族に支えられてやっていました。ただ、お話をいただいてソロをやったりもしたんですけど、やっぱり常に千春の歌を聞きたいなって思いはどこかにありました。そうは思いつつも、お互い子育てがマックスに忙しくなって、なかなか動きづらい時期だったので……全然連絡も取ってなかったです。
玉城 お互いに子育てで忙しかった時期が同じようなタイミングだったのは、よかったんじゃないかなと思います。連絡取らなかった時期も、お互いにいい距離感で、それぞれに考える期間だったんだろうなって。綾には、歌えなかったときだけじゃなくて、20年ずっと支えてもらっています。

──『子供といっしょにききたいキロロのうた』はKiroroとしては7年ぶりの作品となりますが、やっぱり子育ての影響も大きいですか。
金城 私たちの曲の中から、子どもと一緒に聴いて楽しめるかな、という歌を集めました。子育てをしてるとどうしてもワーッとなってしまう時はあるけど、ちょっと気持ちを切り替えるきっかけになればうれしいですね。
玉城 子どもって本当にあっという間に大きくなっちゃうんですよね。そう考えると一瞬一瞬が愛おしくて、親子一緒に過ごす時間がとても大切なものに感じられてくるんです。そういう意味でも、このアルバムが親子の空間がより暖かで充実したものにするお役に立てたらいいなと思ってます。

──ボーナストラックの新曲「おやすみのうた」で、お母さんになったKiroroをより感じられました。この曲は二人で作詞・作曲をされているんですね。
金城 曲作りは本当に楽しかったですね。歌詞もうちはこんなことをしてるよ、とか、ふたりで子どもの話をしながら作っていって。
玉城 これは子守唄で、歌詞にも出てくるんですけど、うちの子は怖い夢を見るからって眠れなくなることがあるんですよ。そんな時は、おでこに手を当てて『怖い夢を見ませんように。明日もきっといいことあるよ』っておまじないをかけるんです。だから子どもたちはこの曲を聴いてビックリしてましたね。いつも私が言ってる言葉にメロディがついているので。今では、自分でこの歌を歌いながら『怖くないよ』って言って寝るようになったんですけど、それも成長だなって感動しています。
金城 私は最初のほうの歌詞に出てくるように、子どもと一緒に『今日も1日頑張ったね』って確認しあってから眠りにつきます。子どもはもちろんだけど、親もきっとみんな頑張ってるわけで、そういうことを親子で認めてあげるいい曲になったなとしみじみと思います。

歌を丁寧に大切に届けようって思いがより強くなった(玉城)

──今、Kiroroと子育ての活動のバランスはどのような感じですか。
玉城 活動のペースとしては8:2で、Kiroroが2くらいですね。今は映画の関係もあってKiroroの比率が少し増えていますが、ライブも子どもの行事を外して回っている状況です。
金城 特に4月は新学期で子どもにとってもメンタル的にドキドキな時期なので、そばにいてあげたいんですよね。そんなふうにいろいろみんなで相談しながらスケジュールを組んでいます。
玉城 そうやってゆっくりやってるからこそ、歌を丁寧に大切に届けようって思いがより強くなったなと思うし、何より綾と一緒に音楽ができる、そしてライブに来てくれるみなさんと時間を共有できる。それだけでも幸せなのに、今回『アーロと少年』との出会いがあって、「Best Frined」も再びクローズアップしていただいて、本当に感謝の気持ちしかないです。

──15年前の曲である「Best Friend」は、今では卒業ソングの定番の一つになりました。自分たちが昔作った曲が子どもたちに歌われているというのは、どんな心境ですか?
玉城 最初にふたりで曲作りを始めた時から、それが夢だったんです。届けて伝えて、伝わったら心の中に残って、そしてずっと歌い継がれていく曲を歌っていきたいね、と。
金城 子どもの世代、孫の世代、その先の世代……って考えると、まだまだ夢の途中ですけど、「Best Friend」やこのアルバムでまた一歩近づけたかなという気持ちですね。
玉城 だから歌い継いでいってもらうためにも、私たちもずっと歌っていかなきゃっていうスタンスでいます。本当にゆっくりゆっくりかもしれないけど、急ぎすぎないペースのほうが伝えたいこともじっくり伝わるのかなと思っています。

(文/児玉澄子)

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