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UNISON SQUARE GARDEN 結成10周年でブレイクのワケ

 3人組ロックバンド・UNISON SQUARE GARDENが、5月20日に発売したシングル「シュガーソングとビターステップ」が好調だ。オリコンシングルランキングでは6/1付で初週売上3.4万枚/5位に初登場して以降、好調に推移し、最新7/13付でも23位にランクイン。累積売上を7.7万枚まで伸ばしている。また、各配信サイトでも発売から1ヶ月以上経った現在もTOP10内をキープ。6月5日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)でのパフォーマンスも話題を集めたが、結成10周年で、ロックバンドのブレイクの指針のひとつとされる“売上5万枚”の壁を超え、さらなるロングヒットの兆しを見せている。

転機はアニメ『TIGER&BUNNY』タイアップ

  • 2011年5月発売の「オリオンをなぞる」

    2011年5月発売の「オリオンをなぞる」

 UNISON SQUARE GARDENは2004年に結成された3ピースバンドで、インディーズ時代は東京・下北沢を拠点に精力的なライブ活動を展開。デビュー間もない頃にレーベル担当者に話を聞いた時、硬派なイメージながらもポップでキャッチーな世界観を作り出すソングライティング力、パフォーマンス力は「まだ観客が30〜50人程度の活動初期の頃から業界関係者がライブハウスを訪れるほど注目を集めていた」と話しており、事務所、メーカー争奪戦の末、トイズファクトリーと契約に至ったというエピソードを持つ。2008年頃からは全国規模でのライブ活動をスタートし、9mm Parabellum Bulletやサカナクション、NICO Touches the Wallsらとの対バンライブを通して堅実に認知を広げていった。

 2008年7月に1stシングル「センチメンタルピリオド」でデビューして以降は、ライブ活動やタワーレコードなどCDショップの熱烈プッシュを受けてバンドシーンで存在感を高めていった彼ら。転機となったのが、2011年5月発売のシングル「オリオンをなぞる」がTVアニメ『TIGER&BUNNY』OPテーマに起用されたことだ。同アニメはアメコミ風のヒーローアニメだが、主人公が“企業に所属するサラリーマン”という設定に加えて、登場するヒーローに実在企業のスポンサーがつくというユニークな試みで、“ダークホース”ながらもスマッシュヒット。OPテーマの「オリオンをなぞる」も初の累積1万枚超え(累積売上1.9万枚)となるなど、好セールスを記録した。その後も『TIGER&BUNNY』関連では「リニアブルーを聴きながら」、「harmonized finale」を劇場版主題歌として書き下ろしたほか、『夜桜四重奏』シリーズ関連のテーマソングなどアニメタイアップを通して認知を拡大。アニメ関連媒体や「リスアニ!LIVE」といった関連イベントにも積極的に出演し、アニメファンからの人気を確固たるものとしていった。

“ユニゾンなら間違いない”というアニメファンからの信頼

 バンドのアニメタイアップは、ともすればファンからの反発も招きがちだが、彼らが受け入れられた理由のひとつとして、ベースの田淵智也の存在がある。アニメソングファンとしても知られる田淵は、アニメソング専門誌『リスアニ!』連載や多くのアニメソングを手掛ける田代智一氏とのインターネットラジオ配信(2011年4月〜)、LiSA、戸松遥、梶裕貴ら人気声優・アニソン歌手への楽曲提供も行っている。アニメやアニメソングへの造詣が深い田淵が作るアニメソングは非常にキャッチーでありながら作品との親和性が高く、 “ユニゾンなら間違いない”という信頼感を得るまでに至っている。

 しかし彼らの場合、単にアニメタイアップをつけるだけではなく、音楽とストイックに向き合い、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「SUMMER SONIC」といった夏フェス出演やthe pillows、TRICERATOPSのライブ出演など、インディーズ時代から軸としてきたライブ活動を継続してきたことも、強固なファン層形成へとつながっている。昨年8月発売の最新アルバム『Cathcer In The Spy』が自己最高となる最高5位、累積2.2万枚を記録していることからも、一過性ではないコアなファンがついていることが窺える。

新曲はアニメ『血界戦線』の世界観とキャラクターによるダンスのギャップが話題

  • 2015年5月発売の「シュガーソングとビターステップ」ジャケット写真(初回限定盤)

    2015年5月発売の「シュガーソングとビターステップ」ジャケット写真(初回限定盤)

 こうしたなかで発売された「シュガーソングとビターステップ」は、2015年4月期に放送されたTVアニメ『血界戦線』のEDテーマで、リズムに乗って思わず踊りだしてしまうような軽快なポップナンバー。アニメ自体はダークな世界観も持っているが、エンディングで「シュガーソングとビターステップ」に乗せてキャラクターたちがコミカルに踊る姿とのギャップが好評で、初週は3.4万枚と、これまでの自己最高累積をも上回るスタート。さらに『ミュージックステーション』での田淵のハイテンションなパフォーマンスが話題を集めたことや、ラジオや有線などでの“街鳴り”により、売上が伸長しているようだ。

 「シュガーソングとビターステップ」が売り上げを伸ばしている中、7月24日には初の日本武道館での単独ライブが予定されている。結成10年目にして、ひとつのブレイクポイントを迎え、新たなスタートラインに立とうとしているUNISON SQUARE GARDEN。久しぶりに王道の邦楽ロックバンドがシーンを賑わせることになるか、さらなる飛躍に期待したい。

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