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いまだ巨大市場を形成 『妖怪ウォッチ』をも圧倒する『ガンダム』のコンテンツパワー
『妖怪ウォッチ』より『ガンダム』の売上が高い理由
トイホビー事業では『妖怪ウォッチ』に差をつけられた『ガンダム』だが、前年が184億円だったことを考えると、順調に伸びているともいえる。プレミアムバンダイの高額ガンダムフィギュアは好調のようだし、ガンプラ(ガンダムのプラモデル)をはじめとする既存のオモチャも順調。しかし、『ガンダム』の売上を単純計算すると、コンテンツ事業では538億円となり、ガンダムの売上全体をけん引しているのは、コンテンツ事業であることはまちがいないだろう。また、ガンダムの制作で知られるアニメ制作会社「サンライズ」も、1994年にはバンダイ傘下に入っている。ガンダムに関しては、アニメの制作からオモチャの販売にいたるまで、すべてバンダイナムコが手中に収めている。
各世代、各作品ごとに新規ファンを獲得
さらに今、こうした新しいガンダム作品を子どもと一緒に観て、熱が甦って再度ガンダムの世界に戻ってくる、という“カムバック系”の大人も増えているという。2月28日から2週間限定で上映された、ファーストガンダム直前の世界を描いた映画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル』が、わずか全国13館の上映ながら、週末興行収入ランキングで7位に入ったのも、そのあらわれだろう。
もはや『ガンダム』は通過儀礼のようなもの
かつて筆者が、ガンダムの生みの親・富野由悠季監督にインタビューした際、「少年が男に成長するために必要なことを、ガンダムを通じて教えたかった」という趣旨のことを発言していた。極端にいえば、ガンダムは多くの少年が成長していくうえで、通り過ぎなければならない通過儀礼のようなものであり、もはや父から子へと伝承されていく、文化のひとつとさえいえるのではないだろうか。『妖怪ウォッチ』が、果たして『ポケモン』のように息の長い人気作品になるかどうかは、まだ誰にもわからない。しかし富野監督の名言「子どもを舐めちゃいけません」ではないが、ビジネス的にも「ガンダムを舐めちゃいけません」という状況は、今後もずっと続いていくように思われる。
(文/五目舎)