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『グラミー』主要4部門制覇なるか!?話題のサム・スミスとは

 世界最高峰の音楽の祭典『第57回グラミー賞授賞式』が、米・ロサンゼルスのステイプルズ・センターで2月9日(日本時間)に行われる。英国出身のサム・スミスが、主要4部門を含む6部門で最多ノミネート。2012年に主要3部門を含む6冠を受賞したアデル同様の旋風を巻き起こすのではと噂されるほど、注目を集めているサム・スミスとはいったいどんな人物なのか?

『第57回グラミー賞授賞式』注目のノミネートは!?

英国出身男性アーティストとしては34年ぶりの快挙達成!

 『第57回グラミー賞授賞式』では、主要4部門(最優秀アルバム、最優秀レコード、最優秀楽曲、最優秀新人)を含む全6部門にノミネートされ、ファレル・ウィリアムスとビヨンセに並ぶ最多。男性アーティストとしては1980年のクリストファー・クロス以来、英国の男性アーティストとしては初めて主要4部門(計6部門)にノミネートされた。

 サムは、1992年イギリスのケンブリッシャー州にある都市リントン生まれの22歳。幼い頃からソウルミュージックに影響を受け、ジャズシンガーに師事し、実力を磨く。10代になると、ロンドンのジャズクラブなどで歌声を披露するようになった彼は、16歳の頃にアデルのマネージャーと出会った。「彼の関わるライブのオープニングに出演したんだ。でも失敗しちゃってね、後日SNSを通じてお詫びをしたんだけど。それから3年後、偶然ライブ会場で姿を見かけて声をかけたんだよね。そして今では、彼がボクのマネージャーをしてくれている」と大きなチャンスを手にすることになった。

 マネージャーの紹介で、次々と才能あふれるミュージシャンと出会いセッションをおこなったサム。2012年末に(現在マドンナも注目しているという)英国・ロンドン出身のダンス・デュオ・バンド、ディスクロージャーの楽曲「ラッチ」にフィーチャーされたことで、シーンに登場。ファルセットを駆使したソウルフルなボーカルが話題を呼び、翌年には、初のシングル「マネー・オン・マイ・マインド」を発表。全英チャート1位を獲得し、全米チャートでもトップ10入りを果たすなど、瞬く間にその声は世界に広まっていった。以降、英国・ピルトンで開催の『グラストンベリー・フェスティバル』や米・テキサス州で開催の『サウス・バイ・サウス・ウェスト』などのフェス、米・NBCの人気テレビ番組『サタデー・ナイト・ライヴ』に出演し、積極的にパフォーマンスを披露、さらに多くの人々を魅了していった。

 2014年春には、初のアルバム『イン・ザ・ロンリー・アワー』を発表。全英チャートでは2週連続1位、全米では2位ながらもミリオンを突破(全米で100万枚を突破したのは、サムのほか『アナと雪の女王』のサウンドトラックとテイラー・スウィフトのみ)。また日本では、クリス・ハートがノミネート曲「ステイ・ウィズ・ミー 〜そばにいてほしい」のカバーを動画サイトに公開し話題になった。

ゲイであることをカミングアウトし話題に!

  • デビューアルバム『イン・ザ・ロンリー・アワー』

    デビューアルバム『イン・ザ・ロンリー・アワー』

 今や「社会現象」と言えるほどの人気を持っているサム。ミュージシャンからの賞賛も多数で、レディー・ガガは「天使の声」、ケイティ・ペリーは「男性版アデル」とコメントしているように、彼の音楽は“声”が魅力のひとつとして挙げられる。幼い頃から歌のレッスンを積んでいるだけあって、感情が豊かで、特にファルセットに関しては天使のようなイノセントな雰囲気を持っていて、聴いていると優しい空気に包まれるよう。そんな声で綴る言葉は、好きな人とずっと一緒にいたいけど思いが届かないせつなさを描いている感涙曲「ステイ・ウィズ・ミー 〜そばにいてほしい」を筆頭に、誰の心にも響き渡る普遍性を持ちながらも、彼の一途な人柄がうかがえる。「今までボクが好きだった音楽には、作り手の姿が見えてくるものばかりだった。つまりいい音楽は、真実だけを伝えていると思ったんだ。だから、ボクも楽曲に自分の感じたことだけを表現しているよ」と言っており、自身の恋愛(人生)経験を心の痛みが伝わるほど赤裸々に歌い上げるアデルのスタイルと共通する部分を感じる。

 アルバム『イン・ザ・ロンリー・アワー』では、自身が経験した恋愛の終わりから立ち直る瞬間までを描いた、本人曰く「哀しい」アルバム。だが、聴き終えると、哀しさや孤独な時間ではなく、贅沢な時間を過ごせたような充足感、そして恋をすることの悦びを噛み締められる。また、プライベートでは、2014年5月にゲイであることを告白。サムの「ライク・アイ・キャン」のミュージックビデオに出演したジョナサン・ジーゼルと交際していたが、わずか2ヵ月でスピード破局し、日本でも話題となった。

 今後は映画『007』の主題歌も担当するのでは? という噂もあり、(同主題歌も歌っている)アデルと比較される部分も何かと多いが、彼女とは異なる繊細さや美しさを放つ、サム・スミス。1月21日には、クイーン・オブ・R&Bことメアリー・J.ブライジとデュエットした「ステイ・ウィズ・ミー 〜そばにいてほしい」などを収録した『イン・ザ・ロンリー・アワー』で日本デビュー。さらに、2月には一夜限りのショーケースライブ(初来日公演)を東京で敢行。海外ではチケットに10倍以上のプレミアがつく本当に貴重なショー。彼が伝える「真実」をぜひその目と耳で確かめてもらいたい。

(文:松永尚久)

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