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芋洗い坂音楽ストリート『Vol.19 小判75枚で箭内氏を説得!? さだまさしアルバム発売秘話』
小判75枚で箭内氏を説得!? さだまさしアルバム発売秘話
このアルバムを求めて、ファンがあちこちのCD店を走り回っているという話を聞いた。「一体なぜ?」と思っていたら、実は100枚に1枚の割合でジャケット違いの特別盤CDが店頭で販売されていることが判明。それを求めて、店頭在庫を1枚1枚丹念にチェックするためにファンがあちこちのCD店を走り回る現象が生まれたのだった。
発売前日に渋谷タワーレコードで行われたトークショーで、さだ本人は「100枚に1枚ハズレ・ジャケット盤があるみたいですよ」と謙遜していたが、こんなに価値のあるハズレはそうはないだろう。
しかも、大体こういう試みが行われる場合は販促の一環としての場合が多く、たとえばジャケット写真が確認できない袋に入れられていて、買ってみないとどちらのジャケットかわからずに、複数買いを促進させる場合が多いのだが、そこは遊び心でこういう企画にのるさだまさしだけに、貴重盤も普通に店頭に紛れ込ませ、努力すれば購入可能という状況を作りあげている。
今回のトークショーでは、その他にもいくつかの秘話が披露された。
そのひとつが『風とロック』の箭内道彦氏にクリエイティブをお願いした際の話。
さだと箭内氏は初対面。
会うなり挨拶もなく、いきなりさだは袱紗に包まれた何かを箭内氏の前に置き、時代劇調のしゃべりでこう言ったそう。「先生、先生にお願いするにあたって、これだけ用意しやした。後の半金は完成後ってことで…」。その袱紗を開いていくと、何と中には1両小判が75枚! さすがの箭内氏もひっくり返ったが、その遊び心に仕事を快諾したのだとか。
後程、さだが小判の種明かし。
「新幹線に乗ると通販の本があるじゃない。結構面白いものを売っているんだけど、その中に悪代官セットというのがあって…」
その悪代官セット、25両小判の包みが3つと袱紗のセットで、小判は本物と同じ重量らしくずっしりと重い。何だかこれから悪代官セットが世間で流行りそうな予感…。ちなみに、珍しもの好きのさだはドクター中松のジャンピングシューズも通販で2足買っているらしい。
今回のアルバムではまだまだ話題がたくさんあるが、もうひとつの大きな話題といえば、「さだまさしはプログレだ!」と言い切るTHE ALFEEの高見沢俊彦が編曲した「君は歌うことが出来る」のミュージックビデオの内容だろう。この歌は、さだ自身が「天から降りてきた」と話すこのアルバムの象徴的な作品で、スタジオに籠って曲つくりをしている最中にわずか15分で書きあがったそう。内容はすべてのミュージシャンに対するメッセージソングで、「時代を超えて響くために その遠い遠い未来へ 必ず届くように歌え」という歌詞に象徴されるように歌作りの精神性に言及した骨太の作品だ。
この歌のミュージックビデオを作るにあたり、箭内氏とさだが考えたアイデアがたくさんのミュージシャンに登場してもらおうというもの。結論でいうと何と総勢133組の有名無名のミュージシャンの写真がさだの歌声にのって次々と登場するという異例の内容に。また本人は一切登場しないというのもさだらしいアプローチではないか。
いずれにしても、様々な新しい要素をテンコ盛りにした今回のアルバム。ここから始まるさだまさしのネクスト・ステップは予測不可能な展開になりそうなのだ。
「君は歌うことが出来る」(MVフルサイズ)
関連リンク
・さだまさしインタビューコンサートの極意を聞く