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雨宮塔子『パリジャンたちのリアルな日常』

TBSの人気女子アナとして活躍し、現在はフランスに在住する雨宮塔子。先ごろ自著『パリ、この愛しい人たち 』を出版した彼女にパリでのリアルな生活、そして現在活躍する女子アナについて率直な意見を聞いてみた。

パリジャンたちのリアルな日常

――現在発売中の自著『パリ、この愛しい人たち 』を拝読したんですけど、最初は敷居の高い小ジャレた感じのエッセイなのかなって思っていたんですけど、パリのリアルな“質感”が非常に興味深かったです。
雨宮塔子ありがとうございます! 最初に講談社さんからエッセイの連載のお話をいただいた時に、さて何を書こうか?って悩んだんですけど、私自身の経験というよりは、パリで生活していく中で出会ったパリジャンや印象的な出来事を私のフィルターを通して書いてみようって。

――パリで出会った様々な人との交流や子育てを飾らず綴っていますが、改めて1冊の本になってみて如何ですか?
雨宮書き始めたのが2年半前なので、子供もずいぶん大きくなりましたし、私自身も感じ方や捉え方に変化が生じてきて。後書きにも書かせて頂いたんですけど、連載当時に感じたパリジャンへの印象と今では異なる点もあるので、反省する部分もありますね。

――今だったら受け入れられる事でも、当時の雨宮さんには違和感を覚えることもあったと。でも、それは異国で暮らしていたら必然なんでしょうね。
雨宮そうですね。自分がフランスでの生活を客観的に見られるようになってきたということだと思います。子育てはもちろんですけど、それこそ買い物や“ママ友”たちとの交流など、実生活すべてにおいてそれを感じますね。

――本を読むと、やはり前半は文面から不安や孤独感を感じさせられるんですよ。まさに“異邦人”って感じで。
雨宮いえいえ、そんな大層なものではないんですけどね(笑)。でも、やっぱり最初は色々な面で不安はあったと思います。

パリの女性って意外とユルい方が多い(笑)

――TBSを退社して、当初は美術留学という形でフランスに赴き、気付けば15年の歳月が経過しました。
雨宮あっという間でしたね(笑)。当初から少なくても3、4年は住みたいとは思っていたんですけど、いざ4年が経過した時に日本には帰れなかったんです。

――それはなぜ?
雨宮うーん。自分が何をやるためにフランスにやってきたのか?という部分で全く達成できていなかったんでしょうね。生活に慣れ、ある程度の言葉も話せて、友達も出来たけど、やっとスタートラインに立った感じだったんです。

――準備期間が整ったと。そこから計15年が経過しました。パリって凄く洗練されたイメージがあるんですけど、雨宮さん自身が感じた一番の文化の違いってどこでしたか?
雨宮実際に生活すると分かるんですけど、日本の女性の方がよっぽど頭の先から足の先まで気を使っていると思いますね。パリの女性ってユルい方が多いんですよ(笑)。子供の送り迎えでも、洗いっぱなしの髪で来る光景をよく見ますし、ネイルを塗っている方もほとんどいないですし。

――へぇ〜意外(笑)。
雨宮ですから、日本女性の方が家事もして育児もして、自分も磨いてらっしゃる方が多いと思いますね。パリの女性は他人からどう思われようが気にしないという方が多いです。

――自分が良ければ他人の気持ちはどうでもいいと(笑)。
雨宮愛する人が認めてくれればいい(笑)。だからこそ、心に余裕があるんだなぁって感じますね。他人に干渉しない分、余計な噂話とかもないですし。

――あぁ〜それは住みやすいかも。
雨宮住みやすいですね。自分らしさという部分は育まれると思います。ただ、ハッキリとものを言うので、対等に暮らしていくという部分で、難しいと感じる日本の方もいると思いますね。

――日本人は協調性を重んじますからね。
雨宮自分は控えめで相手を立てていると思っていても、自尊心がないと非難されたりする場合もありますから(笑)。

――アナタは“個”がないと(笑)。
雨宮ええ。あまり良い方向にいかないことが多いですね。

離婚や片親が決してマイナスにならない土壌が形成されている

――確かに、今作に登場する女性たちも個を重んじる方が多いですよね。
雨宮そうですね。私の子供と同じ学校に、ある有名女優さんのお子さんも通っているんですけど、送り迎えでも透ける素材のガウンを羽織って登場したり。

――アハハハハ! 例え送り迎えでも見られていることを忘れない(笑)。日本の女優さんも少なからずそのような傾向の方もいるかとは思いますけど、フランスは更に上をいきますね〜。
雨宮そこも“自分らしさ”なんでしょうね(笑)。人の目は気にせず、自分がハッピーでいられるなら、それでいいという。

――なるほど(笑)。あと、本に登場するパリの女性は自分の仕事を凄く大事にしながら子育てもしっかりと行っている方が多くて、凄く逞しいなって感じましたね。もちろん、女性の社会進出が完全に認知されているという点が大きいと思いますけど。
雨宮色々な家庭環境の方がいます。子供たちの学校の例を見ていても、クラスの1/3の児童が両親の離婚を経験しています。でも決して離婚や片親という環境がマイナスに働かないんです。離婚していても、両親ともしっかりと子供に愛情を注いでいる家庭も多いですし。

――日本だと、どうしても世間的な印象としてネガティブに捉えられてしまう傾向が強いですもんね。
雨宮そうですね。その点、フランスでは決してマイナスな印象を持ちません。負い目とか引け目とかを感じない、自立した女性が非常に多いですね。

――だからこそ離婚率が高いのかも知れませんね(笑)。
雨宮そうかも知れませんね(笑)。旦那さんの経済力に頼らなくても生活できる女性が多いですからね。

仮に息子が殴られても、子供同士で解決する問題

――そういう意味で“子育て”という面でも非常に良い環境なのかなと思うんですけど、やはり当初はそれなりに苦労したと思うんですけど。
雨宮でも、日本のお母さんの方が大変だと思いますよ。受験戦争とか。

――でも本にも書かれてましたが、人種の違いからお子さんがからかわれたりした事もあったとか?
雨宮細かい部分ではありますけど、それは子供も多くを語らないんです。子供達同士で解決していく問題なんですね。

――必要以上に親が介入しない。
雨宮そうです。自然と逞しく育っていくもんなんだなぁって思いますね(笑)。こういう危険があるからこれは止めようとか、事前に制限をかけすぎてしまうと、子供の自尊心を妨げる可能性もあるので。良い意味で放任することも大事かなって。

――確かにそうですね。でも、その境界線って子供を持つ親にとっては難しいんでしょうね〜。
雨宮難しいですね(しみじみ)。やっぱり心配な時もありますし。息子も売られた喧嘩は買うタイプなので(笑)。ある時、たまたまデッサン教室を覗いたら、年上の男児2人に囲まれていて。そのときは思わず窓をガンガン叩いてましたね。でも、やっぱりそこも自重しないといけないなって後悔しましたけど。

――なるほど(笑)。
雨宮あの時、仮に息子が殴られていたとしても、ある種“自然の摂理”として息子自身が受け止めるべきだったのかなって思います。


――そこも子供自身で解決すべきだったと。
雨宮もしその時に怖い武器とか出てきたら話は別ですけど、素手同士だったので。そこは黙認すべきだったかなって悶々としてましたね(笑)。

>> 次のページへ【今の女子アナは私よりもずっと大人】

Infomation

『パリ、この愛しい人たち 』(講談社)
雨宮塔子

パリ暮らし15年目となった雨宮塔子によるエッセイ集。二児の母となり奮闘する日々や、パリの街で出会った様々なパリジャンから学んだ大切なことを、飾らない気持ちで綴る。
 【公式サイト】

関連リンク

雨宮塔子 撮り下ろし☆PHOTO GALLERY☆
<Interview1>パリの女性は意外に…!?
<Interview2>TBSを退社した理由とは?

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