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岡田将生 映画『オー! ファーザー』インタビュー
直感的に何かを感じた 初めての役…
岡田実は、由紀夫役は最初、僕じゃなくてリアル高校生でと話が進んでいたんです。でも、どうしてもこの役をやりたくて手を挙げさせてもらいました。
──そういう行動は初めて?
岡田初めてですね。どうしてもこの役をやりたい! と、直感的に何かを感じて……。そんなふうに感じたことは初めてだったので、その直感を大切にしたかった。もちろん、台本もおもしろかったし、そもそも僕は伊坂さんの紡ぎ出す言葉、セリフが好きなんです。すうっと体に入ってくるような。高校生の制服がちょっと気にかかりましたけど、「おまえ、本当に高校生か?」というセリフがあったので、これならできる! って思ったんです(笑)。由紀夫をやらせていただいて、感謝の気持ちでいっぱいです。
──思い入れのある役なんですね。強く望んだ由紀夫、どんな青年ですか?
岡田4人の父親からあんなにも愛されている、ものすごく羨ましい青年ですよね。高校生って思春期だし、親に対しても反発する年齢だけれど、由紀夫の場合、幼少期から父親たちに教えてもらったいろんなことが体に染み込んでいる。血は繋がっていないけれど、そうやって教えてもらったことが結果的に絆になっているんです。だから、4人の父親一人ひとりと向き合うシーンでは、それぞれに対しての由紀夫の愛情が出せればいいなと思って演じていました。
──父親が4人!? と最初はびっくりしましたが、ものすごくステキな家族ですよね。こういう家族がいても不思議じゃないと思わせてくれるのも伊坂さんの力なんでしょうか。
岡田だと思います。伊坂さんの作品の良さを壊さないように、こういう家族がいるかもしれないと思ってもらえる芝居をしたいと思いました。
──4人の男性から愛される由紀夫の母親は登場しませんが、どんな女性だと思いますか?
岡田撮影に入る前に本読みをしたときに、いるのかいないのかも含めてみんなで裏設定を決めたんです。佐野史郎さんが考えたのは、すでにこの世にはいなくて、家の庭に埋められている……という設定で(笑)。「史郎さん、それ考え過ぎですよ!」という感じで、共演者の方といろいろ話な話をしました。撮影に入ってからも、待ち時間に喋らないことがなかったというか、作品のことを話していることがすごく多かった。本当にいい現場でしたね。で、母親ですが、そもそも四股って……母親としてはけっこう最低ですよね(苦笑)。でも、個性的な男性が4人も惚れてしまう女性なので、きっと魅力的なんでしょうね。余白として、観てくださる方に想像してほしいというか、そういう楽しみもあると思います。
俳優をはじめたことがきっかけで変わった
岡田この仕事をはじめたのが十代で、当時から忙しくさせてもらっていて……。朝方、撮影が終わって家に帰ると、母親が寝ないで待っていてくれるんですよね。お風呂に入るだけに帰る日もあるんだけど、「おかえり」「いってらっしゃい」って言ってくれる。うちの母親って「ただいま」とか「行ってきます」とか日常の挨拶に関して厳しかったんですけど、ようやく厳しくされた意味がわかったというか。短い言葉を交わすだけでも安らぎを感じるんだなぁって。当たり前のことをしっかりやる、それを教えてもらっていたんです。いまは、母親って偉大だなって思っています。
──嬉しいですね。そういう気づきがあると「あの時は反抗してごめんなさい」って謝りたくなりますよね。
岡田そうですね。僕も多々反抗期があったので……。
──どんな反抗期があったんですか?
岡田夏休みの1ヶ月間、家に帰らなかったとかありますね(笑)。
──お母さん、泣いたんじゃないですか?
岡田もともと母親と仲良くなかったんですよね。それがこの仕事をはじめたことがきっかけで変わったというか──。この仕事って大人の人と接することが多いじゃないですか。そうやって大人と接することで、自分の母親ともちゃんと話せるようになっていったんです。
──いい話ですね。由紀夫は反抗期、あったと思いますか?
岡田あったと思うけれど、すぐに4人のお父さんたちにワーワー言われて、反抗することも諦めたのかなって思うし、4人のお父さんからあれだけ愛されたことでスレることなく育ったのかなとも思います。どちらにしても、この映画を通じて、親ってすごいなぁってつくづく感じました。
──ということは、自分がどういう親になりたいかも考えた?
岡田自分の父親のことは尊敬しているので、父のような父親になれたらなぁとは思いますね。
──具体的にどういうところを尊敬している?
岡田仕事を精一杯やる父親の背中を見て育ってきたので、一生懸命仕事をする、家族を大切にする、そういう父親になりたい。家族を養っていくということはすごいことですよね。ただ、いまの時代は男も家庭的な人が合っているのかなぁとも考えたりします。けっこう細かいこと(家事とか)も嫌いじゃないので、ちゃんとやれると思います(笑)。
──(笑)そんなふうに家族を語れるっていいですよね。お母さんとの関係も含めて、役者という仕事は岡田さんにとってとてもいい出会いだったんですね。
岡田本当にいい出会いでした。自分を変えてくれたと思っています。まさかこの歳(現在24歳)までやっているとは思っていませんでしたけど……。
──そうなんですか? いま現在は?
岡田ずっと続けていきたいと思っています。男の人は30歳からとも聞くので、30までは成功したり失敗したりをたくさん繰り返していろんなことを経験できたらいいですね。
(文:新谷里映/撮り下ろし写真:鈴木一なり)
オー! ファーザー
関連リンク
・これまでの岡田将生インタビューはこちら☆
・『オー! ファーザー』公式サイト