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「ハッピーエンドしかない!」…キングコング西野のXmasプレゼント

 漫才コンビ・キングコング西野亮廣(30)が先月、にしのあきひろ名義による2冊目の絵本『Zip&Candy ロボットたちのクリスマス』(幻冬舎)を上梓した。30歳の誕生日(7月3日)をもって終了させたブログ内での歯に衣着せぬ言動が毎回話題となり、ネット界では“お騒がせ芸人”として知られる西野だが、テレビなどで観る姿の“裏側”では気の遠くなるような緻密な作業が行われている。1本のペンだけで描かれた絵本を見れば一目瞭然。「何もしてない時間がシンドイ」と人生の“余白”を許さない不器用な男からの器用なクリスマスプレゼントだ。

西野亮廣 (C)ORICON DD inc. 

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 本業の漫才で注目され同期の中ではいち早く抜きん出て名前を上げ、やがてコンビで冠番組を持つまでに成長した西野だが、次から次へとわいてくる探究心と創作意欲は「芸人」というより「クリエイター」という表現がしっくりくる。とにかく何かモノを生み出す作業をしていないと落ち着かない。芸人が小説を書くのがブームとされて数年経つが、彼はまずテレビやライブなどの本業以外でまず最初に絵本に手をつけた。

 「絵本が便利だったんです。非常に可能性があるなと思った。木村(祐一)さんに『お前は映画撮れ』って言われたんですけど、物理的に無理なんですよ。僕が監督やっちゃうと、街中の撮影なら『じゃあそこのビルどかして』とか平気で言っちゃう。かといってCGで『アバター』とか超えられるかと言ったら、まず金銭的に無理ですよね。CGなんてさらに途方もない金がかかるわけですよ。でもペン1本あれば、街から何から作れるわけです」。

 真っ白い画用紙にペンを走らせれば、“にしの監督”が「撮りたい絵」は完成する。その絵は非常に緻密で繊細。わずか0.03ミリの極細ペンによる細いタッチで縦横無尽に“線”を走らせる。

 「僕は絵本を全然知らないですけど、子どものころからたくさん読んできて思ったのは『絵本ってまだ使ってない場所がたくさんある』ってこと。そこを使う作業はある意味、映画よりも魅力的。そもそも本業じゃないですからね、絵本作家が作れないものを作らないとダメでしょう。だって、東京タワーが地球を飛び出して宇宙まで伸びる絵とか、絵本以外許されない」。

 子どもの頃から感じていた何気ない疑問を星空に託した前作『Dr.インクの星空キネマ』、知能を持ったロボットによる“記憶の容量”をテーマにしたラブストーリーである今作『Zip&Candy―』。ともに全編モノクロで、表紙も含め一切色を使わない。これも「絵本作家が作れない」というアンチテーゼの一つなのだと勝手に分析してみたが、次の言葉であっさり打ち砕かれてしまった。

 「めんどくさがりなんです。何本もペンを持ち替えるのがめんどい。そもそも色を塗る作業ができない。もちろん、ペン1本だけの絵本ってそうそうないから人と違うことをやるって意識はありますよ。でもやっぱ正直、めんどくさいが一番」。ウソをつかない男である。

 ストーリーへのこだわりも非常に単純明快で、つまりはウソをつかない。「最後はハッピーエンドって決まってるんです。物語の途中でラストがわかるし、大方の予想を裏切りません」。これはこれでいいと胸を張る。「シュールとか、アートとか、そういう言葉で逃げるのが嫌なんですよ。ファンタジーが好きなんです。大人の読むファンタジーを作りたい」。

 前作ではふとした疑問をぶつけた。流れ星はどうなってるんだろう? 夢って誰かが作ったものではないだろうか? それをファンタジーに昇華させた。その展開ってまさか…「大喜利に近い感覚ですよね。ある設定を与えられて、この後どうなるでしょうか?といった。漫才の感覚かも」。つまるところ西野亮廣、絵本でもしっかり芸人業をまっとうしていた。

 ソロライブ、漫才の新作台本、絵本、そして今夏には小説『グッドコマーシャル』も発表しており、次回作も何かしら準備中と文筆業は今後も続く。ちなみに冒頭の“ブログ”の話題だが、今回の絵本の宣伝ために期間限定で11月1日からきょう24日まで再開させており、再開した際にはヤフーでトップニュースに取り上げられもした。ブログを書いただけで話題になる男など、そうはいない。彼の生み出す“文”と“絵”が今後も注目されるのは確かだ。

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  • 西野亮廣 (C)ORICON DD inc. 
  • 『Zip&Candy ロボットたちのクリスマス』(幻冬舎)表紙 
  • 劇中の1シーン…この緻密な絵がわずか1本のペンから生み出された 

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