アヴリル・ラヴィーン、「Mステ出演でブレイク」のジンクス

アヴリル・ラヴィーン
3作連続メガヒットを実現した3つの成功のカギ

 3作連続ミリオンセールスへの大きな期待を受けて4月に発売されたアヴリル・ラヴィーン注目の3rdアルバム『ベスト・ダム・シング』が、発売3ヶ月にして06年度の洋楽年間アルバム1位の『ビューティフル・ソングス』(V.A.)のセールスを抜き去った。日本の洋楽市場はあらためてアヴリル・ラヴィーンのアーティスト・パワーを見せ付けられた形となったが、この3作連続メガヒットへのカギは何だったのか。

 




 洋楽史上初となるデビュー作から2作連続ミリオンセールスという大記録を受け、注目を集めたアヴリル・ラヴィーン3rdアルバム『ベスト・ダム・シング』(4月18日発売)が、7月23日付で累積72.3万枚をセールス。発売後わずか3ヶ月にして06年度洋楽年間アルバムセールス1位の『ビューティフル・ソングス』(71.3万枚)を追い抜いた。

 発売2週目に1位となって洋楽史上3組目の2作連続1位の快挙を達成し、4週連続TOP3、10週連続TOP10、14週連続TOP20入りとロングヒット中。着うたは発売後3ヶ月あまりで100万ダウンロード突破、7月10日現在で170万を突破した。洋楽で3作連続メガヒットを生み出すことは容易なことではないが、それを実現した3つの成功のカギとは。

1 楽曲の仕上がりが早くきっちり組めたタイムライン

 まず、成功の主要因として真っ先にあげられたのは、アヴリルクラスの大物アーティストでは異例ともいえる楽曲の仕上がりの早さだった。1月には先行シングル「ガールフレンド」をはじめアルバム収録曲5〜6曲が仕上がり、「ガールフレンド」のPVも撮り終わってほぼファイナライズされた状態。これによってマーケティングの準備に時間をかけ、きっちりタイムラインを組めたうえに、メディアの反応を早いうちに確認できた。

「年末から仕込みを始め、1月の最終週には各メディアの方々をLAにお連れして、アヴリル本人参加の試聴会と先行取材を行うことができました。アヴリル側が日本に対する時間をマックスで出してくれたおかげで、地上波TV、CSのミュージック・チャンネル、ファッション誌の撮影など、各メディアで柱になるものが作れましたし、早い時期にメディアの方々の好反応を直に見ることができたのも大きかったです」(千葉氏)

 関係者の絶賛と、正月映画『エラゴン 遺志を継ぐ者』の主題歌となった「キープ・ホールディング・オン」の着うたの好評ぶりを目の当たりにしたBMG社は「ガールフレンド」の露出を早めに設定。「特に着うたはプロモーション効果が非常に高い」(千葉氏)ことから、「ガールフレンド」の着うたを2月8日に配信開始、同19日にはラジオ・オンエアを開始し、「ガールフレンド」をかけまくることでアルバムへの期待感をあおった。

 3月中旬に行われた試聴会でも大好評を得た『ベスト・ダム・シング』は、エンドユーザーに最も近いディーラーの期待感が非常に高かったうえに2作連続ミリオンの安心感も手伝って、イニシャルは前作の40万枚をしのぐ50万枚の大台に。この凄まじい数もプロモーションの一つとなった。

2 シングルの楽曲パワーと特化したプロモーション

 次にあげられるのが、これまでの内省的な楽曲から一転、キャッチーでポップなシングルを切ってきたことだろう。過去2作、ティーンエイジャーの心の影、葛藤を歌い、同年代の女性に支持されてきたパンクロック・アーティストだけに驚きの声も聞かれた。

「衝撃的でしたが、日本人にとってなんて理想的な、キャッチーな楽曲を作ってくれたんだろうと、スタッフ一同ガッツポーズでした。アヴリルがいかにプロモーションに協力的であっても、パワーのあるシングルがなければアルバムはヒットしません。「ガールフレンド」が持つ楽曲パワーこそが『ベスト・ダム・シング』がヒットした最大の要因だったと思います」と千葉氏は分析する。

 このシングルを受け、BMG社では徹底的に話し合いが行われた。デビュー時の17歳から5年が経過し、アヴリルは22歳。過去2作はアヴリルと同世代のティーンをターゲットにしてきたが、時間の経過に合わせてメインターゲットの層を上げるか否か。結果、シングルのキャッチーさ、ショッキングピンクが施されたビジュアルイメージから、積極的にターゲットを変えない方向性を打ち出した。

 そこからの戦略にブレはなく、女子中・高生をターゲットにしたプロモーションが集中的に展開された。モバイルでは女性向け携帯サイト『girlswalker』でキャンペーンを行い、ウェブではファッションに特化したSNS『StyleWalker』で「なりきりアヴリルコンテスト」や「オフィシャルブログ」を展開。オリジナルeカードやサイトバナー、ブログパーツ等も次々に提供した。また、シングル、アルバムのリリースタイミングには渋谷、大阪で特製ショッピング巾着袋を配布。アルバムリリース週の週末には、渋谷のタワーレコード、HMV、TSUTAYAの各店頭に特大アヴリル・ディスプレイを設置し、ショッピング袋を無料で配布した。

「ショッピング袋はよくあるプロモーションツールですが、一番宣伝効果があります。アヴリルの写真やロゴ入りの巾着袋を人通りの多い場所で肩にかけて歩いてくれるので、二次宣伝効果も生まれます。渋谷で配布しているとき、若い女の子たちがこの袋をゲットするためにスクランブル交差点をダッシュしている姿を見て、ターゲットが間違っていないことも確認できました」(千葉氏)

 このほかに、アルバムの初回特典として付けられたミニステッカーも、ティーンの必需品である携帯電話、あるいはネイルにも貼れることで大好評を得た。

3 このうえない絶妙な来日のタイミング

 そして言うまでもなく、最大のフックとなったのは、絶妙な来日のタイミングだった。マックスのプロモーションを展開したうえで4月18日の『ベスト・ダム・シング』リリースを迎え、初登場2位となった翌週、Ne-Yoと首位争いをしていた週末に、『ミュージックステーション』(EX)に生出演したことで爆発的にセールスを伸ばし、逆転して1位を獲得した。実はこのスケジュールは1月末のLA先行取材時に、ほぼフィックスしていたのだという。4月は番組改編期にあたり、『ミュージックステーション』のレギュラー放送は27日の1回だけ。このピンポイントのスケジュールにアヴリルサイドがOKを出し、このうえない来日スケジュールが生まれた。そしてわずか1週間(4/25〜5/1)の滞在中に最大のプロモーション稼動を行い、今でも雑誌等で連続的な露出が行われている。

 こうして、14週連続TOP20入り中のアヴリルは、2度目の来日間近。現在、BMG社がすかいらーくグループ他とキャンペーン中のミート&グリートを8月9日に都内で実施、10日にミュージックステーション再出演、11・12日はサマーソニック出演と、売り伸ばす余地はまだ十分に残っている。史上5組しか達成していないデビューから3作連続ミリオンセールスも射程圏内、もちろん洋楽では初となる快挙達成がはっきりと見えてきた。


        

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