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オリコンニュース

デジタルラジオで何ができる?

新しいラジオ放送「デジタルラジオ」
簡易動画・データ放送・楽曲もダウンロード



 いま、各業界から注目を集めているのがデジタルラジオだ。従来のラジオよりも音質が良く、音声放送に加えさまざまなデータを同時に配信可能なため、非常に大きな可能性を秘めているメディアと言える。デジタルラジオがどういうものなのか、そして何ができるのかを解説する。

デジタルラジオとは?

 今、AM放送でもFM放送でもない「デジタルラジオ」が面白い。従来のラジオ放送とも、インターネットとも、ワンセグとも違う新しいメディアとして注目を集めているのだ。では、このデジタルラジオとはいったいどんなサービスで、従来のラジオと何が違うのだろうか。

 デジタルラジオとは、文字通りデジタル変調方式を利用したラジオ放送のこと。従来のラジオ放送、つまりは通常のAM放送やFM放送では、送りたい音の音波を電波の周波数の変化にアナログ的に載せて送る方式で放送している。一方、デジタルラジオでは音声をデジタルデータ、つまり「0」と「1」に変換し、電波に載せて放送しているのだ。

 デジタルラジオにも色々な方式があるが、日本ではISDB-TSB(Integrated Services Digital Broadcasting Terrestrial for Sound Broadcasting)という方式が採用されている。これは、地上デジタルテレビ放送で採用されているISDB-T方式の音声放送版の規格にあたるものだ。このISDB-T方式の移動体向け放送がいわゆるワンセグにあたる。つまり、デジタルラジオとワンセグは共通の方式を使っているのだ。デジタルラジオもワンセグも、周波数帯域を14のセグメントに分割し、そのうちの3セグメントまたは1セグメントを1単位として放送している。ワンセグはワン・セグメント、すなわち1セグメントを1単位とし、デジタルラジオでは3または1セグメントを1単位として利用している。

 現在は東京と大阪で、アナログテレビ放送の7chの帯域を利用したデジタルラジオの実用化試験放送が行われている。7chの分を14セグメントに分けて、そのうちの8セグメントをデジタルラジオとして使用している。なぜ8セグメントしか使わないのかというと、隣の6chや8chに影響が出ないようにするためだ。その8セグメントを使ってNHKや民放などが放送を行っており、8つのチャンネルを聴くことができる(図1、図2を参照)。

 デジタルデータで放送することのメリットは、まず音質の向上にある。従来のアナログ放送に比べてデータを大幅に圧縮して送ることができるため、情報量が多くなる、つまりは音質が良くなるのだ。そのため、電波をある程度の強度で受信すれば、再生する音の強弱が起きたりすることがほとんど無くなると言える。また、データを圧縮して送ることができるため、チャンネル数を増やしたり、番組表の送信の他、文字情報や静止画、簡易動画などのデータも同時に送信することができる。

 元々、デジタルラジオの本放送は、地上アナログテレビ放送が終了する2011年の予定だった。これは、アナログテレビ放送が終了すれば、その分周波数帯に余裕が出るからだ。だが、同じく2011年から本放送がスタートする予定だったテレビ業界が06年度から携帯端末向けのワンセグを開始したり、インターネットなどのメディアのデジタル化が進んでいる中で、アナログ放送だけではラジオ離れが進んでしまうとの危惧から、デジタルラジオも06年度から本放送を始めるよう、計画が前倒しされた。だが、総務省の周波数帯割り当てが優先的に行われなくなったため、計画に遅れが生じ、現在のところ本放送開始予定は07年春となっている。これは、総務省に無線関係や自動車のITS関連システムなど他の電波割当の要望が寄せられ、すでにアナログ放送のあるラジオに帯域を優先的に割り当てるわけにはいかなくなったためだ。

 なお、アナログ放送が停波してしまうテレビ放送とは違い、ラジオのアナログ放送はデジタルラジオの本放送が開始されても存続する。災害時にはアナログ放送が非常に有益だと認められたからだ。

どうすれば聴ける?

 デジタルラジオを受信するには、専用の受信機が必要となる。PCに接続するタイプ、PDAに装着するタイプ、カーナビタイプなど、様々な受信機が計画されている。

 現在発売されているデジタルラジオ受信機は、06年12月に発売された「W44S」を筆頭にした、様々なデジタルラジオ対応携帯電話(07年1月末現在、KDDIから合計4機種が発表されている)だ。
 

デジタルラジオ受信の様子
TOKYO FMの場合(使用機種・W44S)




ワンセグやEZチャンネル等を操作する「au Media Tuner」を起動し、メニューからデジタルラジオを選択。


選局およびデータ取得にかかる時間はわずか数秒。左右キーで簡単にチャンネル切り替えができる。



スタジオのDJの様子やビデオクリップなどの動画と共にラジオを楽しめる(番組によっては静止画のみ表示)。「MESSAGE」を選択するとアドレス入力済のメール送信画面が表示され、スピーディに番組宛にメールを送ることができる。


曲が始まると、タイトル、アーティスト名、CDジャケット、曲の解説テキストなどを自動的に表示。


聴いているその場で録音/画面キャプチャすることもできる。

 元々ラジオと携帯の相性は良い。03年12月にはFMラジオを聴ける「FMケータイ」が発売され、現在までに広く普及している。音楽ケータイよりも前から、FMケータイは普及していたのだ。なお、今回のデジタルラジオ携帯第一号であるW44Sは、FMケータイ第一号の発売時と比べ、約3倍のペースで売れているという。対応受信機は、今年度中に100万台、今年11月までに500万台、来年の上期に1000万台という普及目標が立てられている。

どんなことができる?

 デジタルラジオでは、従来のラジオ放送とは違って、様々なことができるようになっている。中でも、音声放送以外のデータも配信することができるのが大きな特徴だ。例えば、番組表。従来のラジオの場合、番組表は新聞やインターネットを使って調べるしか方法が無かった。だが、デジタルラジオなら、EPGデータを配信する事ができるため、番組表をデジタルラジオ受信機で確認することができるのだ。

 番組表以外にもさまざまなデータを同時に配信可能だ。例えば今流れている曲の詳細な説明を配信、表示させることができる。たまたまつけたラジオなどでよくあるのが、今流れている曲の詳細を知りたいと思っても曲が終わってしまい、曲の正体がわからないこと。デジタルラジオなら、曲の詳細を表示させれば解決する。

 また簡単な動画も配信できるため、DJがしゃべっている光景を動画で見られるのはもちろんのこと、ミュージッククリップも見ることができる。さらに、放送波で楽曲や映像を配信することも可能。今放送されている曲を、番組をそのまま聴きながら、放送波にのせバックグラウンドでダウンロード配信することもできる。もちろんこれらの事を組み合わせて同時に行うこともできる。例えばデジタルラジオの放送でミュージッククリップを見つつ、楽曲の詳細なデータを表示させ、同時にダウンロードする、といったことも可能だ。デジタルラジオによって、よりいっそう音楽を身近に感じることができるだろう。

デジタルラジオの現在と展望

 前述の8セグメントを使った各局の試験放送のうち、唯一3セグメントを取得し、本格的な放送を行っているのがTOKYO FMだ。昼に『Choppaya!』、夕方に『Music Watch』といった人気番組を擁し、07年1月末現在で最も充実したデジタルラジオ放送を提供している放送局と言えるだろう。また、07年4月にはTBSラジオもクラシックを中心とする専門局「OTTAVA(オッターヴァ)」を開局する予定だ。
 各地のラジオ局などで構成される(社)デジタルラジオ推進協会は、アナログテレビ放送が終了する2011年には、アナログテレビ放送の分をさらに割り当ててもらえるよう総務省に申請中だ。ただし、割り当て方法次第では、現在の7ch以外のチャンネル部分が割り当てられる可能性がある。そうなった場合、新チャンネルと現在のチャンネルでサイマル放送(同時に違うチャンネルで放送する)を行って、新しいチャンネルに誘導する計画も立てられている。

 また、放送地域も徐々に拡大する予定だ。東京での試験放送は従来、出力800wで行われてきたが、06年12月より、テレビの6chや8chと混信しないかを確認しながら、時間帯によって出力を変えるなど、段階的に出力を上げるテストを行ってきた。そのため時間帯によっては聴けなくなる地域が生じていたが、07年1月24日からは常時2.4kwでの放送が始まっている。今後は安定して2.4kwでの放送を行うとともにエリアの拡大も行い、広範な地域でデジタルラジオを楽しめるようになる。

 海外ではデジタルラジオはかなり普及しており、デジタルラジオ先進国のイギリスでは人口カバー率が85%にも達する。03年のクリスマス商戦では一番人気の贈り物になったほどだ。それだけのポテンシャルを秘めているデジタルラジオからは、これからも目が離せないと言えるだろう。
(文/杉村 啓)



DRP免許下でのデジタルラジオのチャンネル編成(東京地区)


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