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世界を魅了“ミュージックセレブ”

秋の音楽シーンを彩るセレブ系女性ボーカリスト
美とセンスで世界を魅了する“ミュージック・セレブ”


 セレブと呼ばれるアーティスト、中でも洋楽セレブ系女性ボーカリストたちの活躍ぶりには目を見張るものがある。それを伝える日本のメディアも音楽雑誌だけではなく情報誌やファッション誌などが表紙に採用し大々的にページを割くなど、今や“セレブ”という言葉は時代のマジック・ワードとなっている。この秋から冬にかけては大物アーティストたちの新作、ベストアルバムがズラリ出揃い、それぞれプロモーションで来日を果たすなど、その需要の高さを改めて浮き彫りにしている。

ファッションを新作PRと連動させるミュージック・セレブ

 “セレブ・ファッション”“セレブご用達ブランド”“セレブ愛用コスメ”“セレブの通うレストラン”“セレブな休日”“セレブ買い”……もはやほとんど本来の意味からはかけ離れてしまった“セレブ”という言葉だけれど、その贅沢感、ゴージャス感だけを残し、とにかくこれさえ付ければ誰もが振り向くマジック・ワードとなっている。

 もちろん音楽アーティストに関しても同様、今やセレブと呼ばれる音楽アーティスト、中でも洋楽セレブ女性アーティストたちの活躍ぶりには目を見張るものがある。秋から冬にかけては大物アーティストたちの新作、ベストアルバムがズラリ出揃っているが、その一方でひときわ充実のラインナップを見せているのがこのジャンル。9月にリリースされたビヨンセの『B'Day』を筆頭にジェシカ・シンプソン、パリス・ヒルトン、クリスティーナ・アギレラ、ジャネット・ジャクソン、ラトーヤ、ナタリー、タタ・ヤン、デルタ・グッドレム、キャシー、タミー・チン、クリスタル・マイヤーズ、そして全世界で爆発的ヒットとなっているブラック・アイド・ピーズのファーギーのソロと華やかな話題作が並び、さらにこれから年末に掛けてはグウェン・ステファニー、シアラ、ジェニファー・ロペスの新作。来年早々にはエイメリーやケリー・ローランド、ヒラリー・ダフとこの傾向は続いていきそうだ。

 ここで“ジャンル”という表現を使ってしまったが、実は音楽的にはむしろジャンル分けを必要としないのがこのセレブ・アーティストの特長。“ミュージック・セレブ”というキーワードを打ち出した誌面作りを展開している月刊誌『SHOWCASE MAG』の編集者、大柳葵理絵氏はこう語る。

  斬新なR&Bサウンドと圧倒的な歌唱力で女性シンガーの最前線に立つビヨンセ

ヒルトンホテル創業者の血統を持つ正真正銘のお嬢様、パリス・ヒルトン

ブラック・アイド・ピーズの紅一点、ソロでも大人気のファーギー

 「うちの読者にとっては、ジャンル分けはほとんど関係ありません。洋楽全般もしくは欧米のカルチャー全般に興味を持っているようですし、たとえばビヨンセのことをR&Bとして紹介すると、かえって敷居が高くなってしまいます。弊社の場合はブラック・アイド・ピーズのようなヒップホップから、ビヨンセやジェニファー・ロペスに代表されるR&B、ブリトニーやマドンナ、クリスティーナのようなポップに至るまで多種多様なジャンルをミュージック・セレブという括りで扱ったことが成功の秘訣だったと思います」。

 また、いわゆるギャル系ファッションのバイブルといえる月刊誌『S Cawaii!』の副編集長、国場一成氏は、メイン読者である20代前半の女の子たちの生態をこう説明する。「彼女たちにとって倖田來未とビヨンセの違いはそんなにないんですよ。海外ものに対するコンプレックスみたいなものはほとんど皆無で、ファッションにしてもすぐに真似ができ身近な存在だと感じているようです」。

 このファッションが大きなファクターとなっているのも、セレブ・アーティストの共通項だ。アーティストの多くがファッション・ブランドとの提携を最低でもひとつや2つはもっているのが今や常識。最近ではブリトニーやビヨンセ、ジェニファー・ロペス、パリス・ヒルトン、ヒラリー・ダフと、それぞれが自分の名前を掲げた香水を発表するのがブームとなっている。

 こういったセレブのいわゆる課外活動は今に始まったことではないとはいえ、ひとつ注目しておきたいのが、そういった音楽以外のビジネスをアルバムのマーケティングと連動させている点だ。以前ならアルバムのリリース時には他のビジネスはいったん中断してアルバムのプロモーションだけに専念するのが常識だったが、最近ではあえて同じ時期にプロモーションの一環としてぶつけることが多くなっている。先日のビヨンセの来日記者会見が、彼女を広告塔とするサマンサタバサの本社ビルで開催されたことや、武道館でのバースディ・コンサートが同社によるプレゼンツで開催された事実などはまさにそのことを端的に物語っているだろう。

 しかし欧米においてはいっそうこの傾向が顕著で、これからますます増えていきそうだ。ビヨンセは母親と2人で立ち上げた自分のファッション・ブランド“ハウス・オブ・デレオン”のプロモーションを、アルバムのリリースと意識的に合わせていたし、ジェシカ・シンプソンも自身の靴のブランドをアルバムのプロモーションと並行させていた。本来ならばこういったプロモーションのバッティングは避けたいところだが、セレブが自身のファッションについて語るとなれば、普段は興味を持ってくれない女性誌やテレビのトーク番組など、音楽だけでは扱ってもらえない方面でもプロモーション活動の機会が与えられる。そこでアルバムについても語れば、相乗効果が生まれるというわけだ。

 もうひとつの相乗効果として忘れてはならないことに女優業がある。出演映画の公開時期とアルバムのリリースを重ねるのは、今やセレブ・アーティストのプロモーションの常識となりつつあるようで、ジェシカ・シンプソンはアルバムのリリースと、自身の出演映画『Employee Of The Month』の公開日とを重ねていたし、ビヨンセもアルバム『B'Day』にいち早く、年末に公開予定の出演映画『ドリームガールズ』への提供曲を収録して積極的に映画のプロモーションに務めていた。このあたりのスケジューリングは偶然というよりも、綿密な計算に基づいて進められているようだ。

 一方、計算だけではハンドルしきれないセレブならではのセールスポイントに私生活というのもある。結局のところこの部分の影響力が最も大きいのかもしれないが、恋愛ゴシップからファッション、ダイエット、整形に至るまで、様々な話題があってこそセレブという存在は成り立っている。それをどこまで意図して発信しているかは不明だが。彼女たちの音楽が、この私生活が見え隠れして初めて現実味を帯びるという場合も少なくない。

 ジャネット・ジャクソンが最新アルバムのプロモーションに当初から計画していたかどうかは不明だが、話題になっているなら利用しようといった感じなのだろう、結局のところダイエットについての話題がプロモーションのカギとなっていた。ゴシップ誌に載らないことのほうが珍しいパリスなど、ゴシップなくして存在しえない新しいタイプのスターであるわけだし、私生活を語らない主義のビヨンセですら、恋人のジェイZをシングル曲に参加させることで私生活の一部を覗き見させているといえるかもしれない。

 あらゆる手段を駆使するのが、セレブ・アーティストのマーケティング法。トップ・セレブとして君臨するジェシカ・シンプソンが、ニック・ラシェイとの結婚生活をテレビカメラに追わせて成功したのはその際たるものだが、その結婚生活にヒビが入った暁にはアルバムのリリース時期はもちろんのこと、その内容までを変更する必要が生まれてしまった。私生活を売りにしたツケ。今時のセレブ・アーティストにとっては免れようのない宿命なのかもしれない。
 シンガーでもなく、女優でもなく、タレントでもなく、すべてをひっくるめたセレブ。成功、栄光、転落を含めて、彼女らの一挙一動を見守るのは現代ならではの新たなポップ・カルチャーといえるだろう。日本のファンも彼女たちのアップダウンを一喜一憂しながら、ゲーム感覚で、自分の人生であるかのようにシミュレーションを楽しんでいる。この“人生ゲーム”は一度始めたら、なかなか辞められない代物だけに、このゲーム人気が続く限り、今後もセレブ・アーティストの活躍は期待できそうだ。
(取材・文/村上ひさし)




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