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「動画共有サービス」人気の理由

日本でも続々スタート、加速するCGM
注目の「動画共有サービス」人気の理由


 米国のサイトにも関わらず、日本から毎日大量の閲覧者が訪れるというYouTube。ユーザーがアップロードした動画を共有できるという、ブロードバンド時代ならではのサービスだ。同様のサービスが続々日本でも立ち上がっており、動画コンテンツによるCGM(Consumer Generated Media)への注目度は高まっている。



加熱するYouTube現象とは?
 

 米YouTubeが運営する動画共有サイト「YouTube」が、日本で急速に注目を集めている。ネットレイティングスの調査によると、アクセスの集中は2005年12月ごろから目立つようになり、2006年3月の調査では月間212万アクセスを記録している。また、日本国内のネットユーザー全体における利用率は5.2%で、全内容が英語で提供されているウェブサイトとしては異例な現象と言われている。
 そもそも、この「YouTube」とは一体どのようなサービスなのだろうか?

 YouTubeは2005年2月にサービスが開始された無料動画共有サイトだ。ユーザー登録を行なうと、容量100MB、10分までの動画ファイルを簡単にアップロードすることができ、世界中に公開される。
 2006年6月に出された発表では、毎日1億本という膨大な量の動画が世界中で閲覧され、さらに1日に6万5000本の新しい動画が投稿されているという。

 投稿される動画の内容は多岐にわたっており、基本は個人が撮影したプライベートビデオだが、中にはプロ並みのクオリティーを持った映像作品も見ることができる。
 ユーザーは、動画をキーワード(日本語も可)で検索することができ、5段階で評価したりコメントをつけたりすることもできる。また、お気に入りの動画を集めてプレイリストを作り、ほかのユーザーと共有するサービスなども用意されていることから、動画を利用したSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)と分類されることもある。

 さらに興味深いのがタグと呼ばれる機能だ。この機能を使うと、投稿者があらかじめ動画にタイトルや説明文に加えて「sports」「baseball」「tokyo」といったように複数のタグを自由に付けておくことができる。これによってキーワード検索が可能になるとともに、再生画面では関連した他の映像もリストアップされる。全文検索ができるテキストファイルと異なり、キーワードによる検索が困難な動画コンテンツを効率よく探すのにとても便利な、よく考えられた機能だ。

 また、動画を閲覧するだけならユーザー登録不要のうえ、フォーマットにはFlashムービーを使用しているので、プラットフォームを問わずほとんどの人が面倒な設定なしにいきなり動画を再生できる。また、簡単なソースをコピーするだけで、特定の動画を個人のブログなどに添付(エンベッド)することもできるので、YouTubeのコンテンツを利用した「おもしろ動画コレクション」といったサイトも多数運営されており、このようなサイトの利用者の中には、YouTubeが米国のサービスと理解しないで閲覧している人も多い。
 このように、ユーザーからは圧倒的な支持を受けているYouTubeだが、その一方で大きな問題も抱えている。それは著作権を侵害したコンテンツの横行だ。

 利用規約で明確に禁止されているにも関わらず、YouTubeには録画されたテレビ番組や映画の1シーン、楽曲のPVなど、ありとあらゆる著作権を侵害したコンテンツが投稿されており、そのことが人気を集めトラフィック増加の最大の原因になっていることは紛れもない事実だ。
 そもそもYouTubeがアメリカで広く知られるようになったきっかけはNBCの人気テレビ番組『サタデー・ナイト・ライブ』がアップロードされていたためであり、同様に日本で注目を集めることになったのも、テレビ放映された人気アニメやニュース番組などがそのままアップロードされていたためである。

 もちろん著作権ホルダーが黙っているはずもなく、テレビ局やレコード会社は発覚次第すぐに削除依頼を出しており、中には専門の部署を作り、監視、削除要請を行っているところも多い。YouTube側も見つけ次第削除し、悪質なユー
 

YouTube
米国YouTubeが運営。日本からのアクセスが多いことで知られるが、著作権侵害コンテンツの横行が問題となっている



【日本の主な動画共有サービス】


ワッチミー!TV
フジテレビジョン内の社内ベンチャーが運営する動画共有サイト。オリジナル番組も充実


Askビデオ
検索サイト「Ask.jp」が運営する動画共有サイト。キーワードによる検索機能の向上が特色


Ameba Vision
「Amebaブログ」を運営するサイバーエージェントの動画共有サービス。ブログとの親和性が特徴。携帯電話からも簡単に動画を投稿できる


PeeVee.TV
ピーヴィーが運営する動画共有サービス。iPodに動画を転送して閲覧することができる

ザーはアカウントを削除するなどの対策は取っているものの、ユーザー数及び投稿される動画の数の多さに対策がまったく追い付いていないのが現状である。

 また、YouTube自体今のところ明確なビジネスモデルを発表しておらず、サーバーの回線だけで月間100万ドルに達すると言われているコストを今後どのように処理していくのか、経営に疑問を呈する声もあるが、ここにきて8月15日のロイターによる報道で、YouTubeはWarner Music GroupとEMIを含むメジャーレコード会社とミュージックビデオの掲載に関して交渉しているという事実が明らかになった。たしかに1日に世界中から1億回の視聴回数があるYouTubeは、いまやMTV等と比べても遜色のない媒体という見方もできる。

 違法とはいえ、DVDなどのパッケージが発売されていない映像コンテンツを簡単に見ることができるのも、YouTubeの人気の大きな理由なのは間違いない。合法的な巨大動画閲覧サイトとしてのYouTubeが今後どちらの方向に進んでいくのか、両者の落としどころが注目されるところだ。

日本でも続々サービス開始

 YouTubeのずば抜けた集客力は否が応でも注目を集め、日本でも動画共有を売りにしたサービスが続々と始まっている。
 フジテレビジョン内の社内ベンチャー「フジテレビラボLLC」が7月中旬に試験運用を始めた「ワッチミー!TV」は、YouTubeと同じように、個人が投稿した動画をフラッシュビデオで公開するサービス。「笑える」、「スクープ」、「一芸」といったあらかじめ決められたテーマに沿った作品を募集しているのが特徴だ。

 ただしYouTubeと違い、投稿された動画は即時公開はされず、スタッフによるチェックが行われ、問題がないと判断されたものだけが公開されるようになっているので著作権を侵害した動画が掲載される心配はないが、その反面掲載されるまでにタイムラグがあり即時性にやや欠けることと、チェックのために少なくない人件費がかかることが懸念される。

 検索サイト「Ask.jp」の新コンテンツとして6月にサービスが開始された「Askビデオ」は、YouTubeのタグ機能のように投稿者が動画に自由にキーワードを付けることができる。この機能によってユーザーが好みの動画を検索しやすくなっている。また、ソースをコピー&ペーストすることでブログなどに動画を簡単に挿入することも可能だ。

 人気ブログサービス「アメーバブログ」を運営するサイバーエージェントの動画共有サービス「Ameba Vision」は、携帯電話などを利用して簡単に自分のブログに動画を表示することができる。多数競合が存在するブログサービスに付加価値を付け、競争力を高める役割を果たしているようだ。

 ピーヴィーが運営する「PeeVee.TV」は、ディスク容量無制限が魅力の動画共有サービス。動画をダウンロードしてiPodなどで再生可能なのも大きな特徴だ。
 さらに、NTTも動画共有サイト「ClipLife.jp」のサービス開始を発表したり、SNS大手「GREE」もサービスに動画共有を追加するなど、今やWEBサービスのトレンドとなっている感がある。

日本における動画共有サービスの可能性

 動画共有サービスは、通常のサイトよりもサーバーや回線にコストがかかるにもかかわらず、ほぼすべてのサービスが無料で運営されているため、単体で利益を出しているところは現在ほとんどないと思われる。
 それでも参入する企業が後を絶たないのは、動画コンテンツにCGM(Consumer Generated Media)の目玉としての可能性を感じているからであろう。

 CGMとは、ネット以前から存在する雑誌や書籍のように、プロの書き手と編集者が内容を構成していくメディアではなく、ユーザー自らが情報を発信していくメディアの事だ。以前は同人誌など特殊な例をのぞきメディアには表出してこなかったアマチュアの作品や、一般ユーザーの声が、インターネットの発展によりブログや口コミサイト、SNS等を利用してここ数年で一気に存在感を増している。

 実際、ブログやSNSで毎日膨大に発表されているテキストの中には、一般紙よりもはるかに多い読者を集めているコンテンツも多く、逆にブログ経由でベストセラー書籍が生まれるなど逆転現象も起こっている。また、商品購入などの検討の際、企業から一方的に与えられる情報だけでなく、利害関係のないユーザーからの意見を重要視するユーザーも増えており、広告主もCGMを無視することはできなくなってきた。

 日本では高機能携帯電話の普及により、多くの人がデジタルビデオカメラを持ち歩くという状況になっており、アマチュアによる動画コンテンツは近い将来CGMの目玉となると考えられており、動画共有サイトの相次ぐサービススタートは、今のうちに先行投資をしてでもユーザーとコンテンツを囲い込んでおく必要があるとの判断なのかもしれない。(文/田口和裕)






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