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フジ佐々木アナが語る「私の人生を変えた映画」


『お台場映画王』初の女性ゼネラルプロデューサーに就任
「映画には人生を変えるほどの力があることを見せたい」


夏のお台場を彩るビッグイベント『お台場冒険王』が今年も開催中だ。中でも今回で3回目となる『お台場映画王』(8月19日〜)は、選りすぐった話題作と趣向を凝らした企画で注目の的となっている。今回のゼネラルプロデューサーは佐々木恭子アナウンサー。韓流をはじめアジア、ヨーロッパ、アメリカと世界各国の映画に精通する、大の映画ファンだ。
取材・文/稲田隆紀


恋愛もの以外にも韓国映画には良い作品が数多くあることを知って欲しい

──『お台場映画王2006』で初めて、女性がゼネラルプロデューサー(GP)に選ばれたわけですが、まず就任の経緯を教えてください。

佐々木: これまで亀山千広、笠井信輔ときて、昨年の打ち上げ時には“次は佐々木にやらせよう”という話が出ていたらしいのです。私が実際に聞いたのは、昨年の秋頃でした。前回は大作も紹介するかたわら、マニア的なところもある作品も扱っていたので、少し方向性を変えて女性にやらせてみようとのことでした。どうやら“男祭り”的なものから優しいラインナップを期待されていたらしいのです(笑)。私自身は、まず、どんな映画祭にしたいかを考えるということから始めました。
 

佐々木恭子氏
(『THE MOVIE KING お台場映画王2006』
ゼネラルプロデューサー)




佐々木恭子
私の人生を変えた映画
『パッチギ!』
「韓国で上映されたとき、井筒監督やキャストの同行取材をしました。韓国の若者にも作品のメッセージがストレートに伝わって、みんな熱く語り合っていました。その姿を見て、改めて映画の持つ力を再確認しました」


── 今年のテーマは“この1本があなたを変える!”ですね。GPとして、実際の作業はどのように進められたのですか。

佐々木:  昨年のGPの笠井アナは“生がいちばん”というテーマでしたが、私もとても共感しました。劇場にわざわざ足を運んでもらって、生で観て、 トークを聞いていただく。楽しみが何倍にもなると思いました。そこからさらにもう一歩進めて、今年は“映画と人の両方を見せたい”と。 映画は合わせ鏡というか、どんな作品を好きかということが、その人自身を表すものです。どういう時期に観たか、どのように感銘を受けて その後に影響しているか。そうした人生を変えるほどの力が映画にはある、そこを見せたいと考えて動き出しました。人生でインパクトを与 えられた作品を教えてくださいと、さまざまな方々に話を伺いながら、作品とゲストを決めていったんです。あまり自分の趣味に走りすぎると、 観客に楽しんでもらうという側面から外れるので、バランスを取りながら選んだつもりですが、先日、亀山に会った時、「えらいハードなライ ンナップだね」と言われて、もっと女性らしいセレクションを求められていたと気づきましたけれど(笑)。

── ハードなラインナップと思われたのはどのあたりのことでしょうか。

佐々木:  やはり韓国映画ではないでしょうか。今回は『殺人の追憶』『グエムル 漢江(ハンガン)の怪物』と、ポン・ジュノ監督の前作と 新作を取り上げました。この2本はエンターテインメントでありながらも、韓国社会が抱える問題の一端に触れることができます。韓流ブームを 起こしたラブ・ストーリー以外にも、韓国映画には良い作品がたくさんあることを知って欲しいと思って選びました。もちろん、韓流の映画に しても、初めは「○○さまが好き!」だったのが、次第に言葉を勉強したり旅行に行ったりと、その人の何かを変えていった。“それでこそ映 画!”と思うのです。

── ゲストの人選もGPの仕事なのですか。

佐々木: はい。GPにこれほど決定権や裁量権があるとは考えていませんでした(笑)。当初、女性を増やそうかという意見もありましたが、結局はこれまで仕事でご一緒した方や、ご縁のある方々に出ていただくこととなりました。皆さんには普段、テレビで言えないような深いことも語っていただこうと思っています。例えば、おすぎさんは辛口の映画評論家として知られていますが、なぜこの仕事を志したのかを話してくださいとお願いした結果、『ウェスト・サイド物語』を紹介していただくことになりました。同じように、ピーコさんにファッションを志すきっかけとして挙げてもらったのが『ローマの休日』。この2本は私も大好きな映画ですし、一度は観たことがあるという人も多いと思います。でも、大きなスクリーンで観るとまた感動が違います。

── 上映作品を集めるのにご苦労はありましたか。

佐々木: 映画会社の皆さんには積極的に協力していただきました。イべントが3度目で認知されていたことも幸いしましたが、感激しましたね。“この一本で何かが変わるかもしれないという意気込みでやってます”とメッセージしたものの、言いすぎかなと感じていたのですが、業界の方や監督に“僕たち、みんなそういう気持ちでやっているんだから照れられるほうが嫌です”と、逆に励まされて。

── 映画は昔からお好きだったのですか。

佐々木: 昔から映画は好きでしたが、よく観るようになったのは社会人になってからです。アナウンサーという仕事に悩んでいた時、いい映画を観て頑張ろうと思うことが多かったですね。そんな頃に『映画大王』という番組を担当しました。一本の映画を肴に、ゲストを交えて色々な話をする。同じ作品を好きだというだけで、これほど距離が近くなるとは思いませんでした。映画は人との距離を縮めてくれると実感し、アナウンサーという仕事が好きになりました。女性誌にエッセイを書いていますが、自分が発信したことで、映画館まで足を運んで共感してくれた人がいたことも嬉しかったですね。映画を材料に人と触れ合えることが、なにより大事だと思うようになりました。

── 佐々木さんといえば、韓国映画を思い浮かべますが、目覚めたきっかけは何だったのですか。

佐々木: 『シュリ』を観てぶっ飛びました。『JSA』もそうですが、自分たちの歴史を織り込みながらエンターテインメントに仕上げている。さらに『オアシス』のように、難しい題材でも映画に仕上げる姿勢にびっくり。日本的な奥ゆかしさとは対極の、人間はここまでやるという描き方がダイナミック。日本と韓国の置かれている状況の違いもあるでしょうが、そのダイナミズムに惹かれました。

── 今回、「私の人生を変えた映画」として『パッチギ!』を紹介なさっていますね。

佐々木: 映画に関して、韓国から入るだけの一方通行のように感じていた頃、『パッチギ!』が韓国で上映されると聞いて取材に行きました。観客から暴力的過ぎるなど批判の声が上がるのではと危惧したのですが、井筒和幸監督のメッセージがストレートに伝わり、すごい熱気で受け入れられていて。韓国の若い人は在日コリアンの現状をほとんど知らないので、この映画を観ることで苦労を知ったという人もいました。彼らの熱く語る姿を見て、改めて映画の持つ力を感じたのです。
 GPとして、今回は誰かと話したくなる作品を選んだつもりです。映画を観て、ゲストのトークを聞いて、その映画について誰かと語り合っていただき、もっと映画を好きになってくだされば嬉しいですね。





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