オリコンニュース

森昌子、20年ぶりの再デビューと新曲への思いを語る

このたび20年ぶりに歌手としての再デビューを果たした森昌子。6月7日リリースされたシングル「バラ色の未来」は、これまで森昌子が築いてきた演歌の世界とは一転して、ポップな曲調が耳に優しく響いてくる。そこからは、沈静化した音楽業界を再び活性化させる、起爆剤としてのパワーさえ感じ取れる。

――今回の突然の復帰のニュースには驚きました。そもそもどのような経緯で?
 昨年の秋の終わり頃だったでしょうか。ホリプロの堀威夫ファウンダーのところへご挨拶に伺いまして。その時に私の方から「もう一度、歌を歌わせてください」というお願いをしました。

――ご自分から、復帰を決意されたわけですね。
 昨年の今ごろは、心身ともに不安定な時期だったため、自分でも今後どういった生き方をしていけばいいのか、決めるだけの余裕がありませんでした。それが夏が過ぎ、秋が終わる頃になって、このままでいたらダメだなと思えるようになりました。じゃあ、今の私に何ができるのかなと考えた時、もう一度歌を歌っていこうと。その時から、自分自身が前向きになれたんです。体の方も、日々の生活の中で徐々に元気になってきました。それにつれて、物事を積極的に考えられるようにもなっていったんです。

6月7日にリリースされたシングル「バラ色の未来」

――歌手復帰の話を昌子さん自身の口から聞かれて、堀ファウンダーはどのように答えられたのですか?
 「昌子が本気でやる気なら」と言ってくださり、それがスタートラインになりました。私が13歳でデビューした時からずっと、堀さんは父親代わりの存在でしたので、今回のいろいろな事を含めて、とても心配してくださり、いつも「大丈夫か?」と、親身になって声を掛けていただいてきました。

――復帰するのならホリプロから、という思いを、ずっとお持ちだったんですね。
 堀さんには、いつも話を聞いてもらい、相談に乗ってもらっていました。芸能界を辞めてからも、ずっと気に掛けてくれてましたし、だから、まずいちばん最初に復帰のお話を聞いてもらわなきゃと思っていました。

――久々の復帰ということで、以前からのスタッフの方々の尽力も大きかったのでは。
 昨年の暮れ辺りから、スタッフの方々が本当にいろいろなプランを私のために考えてくださって、本当に感謝しています。その中で、新生・森昌子として歌を出すのだったら、今までの森昌子を引きずっていてはいけないなという思いが生まれてきました。今まで培ってきた歌唱力や実績をいったん忘れて、これからは、実生活の中で体験してきた様々な事柄や、3人の子供の母親として感じてきた経験を生かすことで、「本当の歌」を歌っていこうと決心しました。

――では、これまで歌われてきた曲とは、かなり方向性の違うものになると。
 はい。今まで歌ってきた「悲しみ本線日本海」にしろ「越冬つばめ」にしろ、完璧に作り込まれた世界の中で、森昌子が歌っていたというイメージであり、私の実像とはまた別のところに存在していたんですね。でも、これからは本当に同年代の女性や、私と同じような悩みを抱えている人たちが共感できるような内容であったり、飾り気のない本物のメッセージを歌っていけたらいいなと思っています。

――これまで森昌子の演歌が作ってきたドラマチックな世界とは、かなり違いますね。
 だからなのか、今は気持ちがとっても楽ですね(笑)。曲に合わせて、自分を型にはめる必要がありませんから。

――今回の「バラ色の未来」の詞を、なかにし礼さんから初めて見せていただいた時、どのように感じられましたか。
 本当に驚きました。よくぞここまで、私の気持ちをわかってくれているなんてと思いました。なかにし先生とは、事前に2時間くらいお話をしただけで、しかもそのほとんどが世間話のようなものでしたから。どんな歌を歌いたいの? といった質問も全くありませんでしたし。その短い時間の中で、私の気持ちを察してくださったのかなって、感動しました。この詞の中には森昌子、そして森田昌子の思いが込められています。それは、カップリングの「私の愛し方」についても言えることですね。

「笑って歌ってごらん」の一言で

――20年ぶりとなった今回のレコーディングは、いかがでしたか。
 ものすごく緊張しました。また、その一週間前に父親が亡くなったということもあって、とても平常心でいられるわけもなく。歌を覚える期間も2日間しかなかったりと、自分の中でどうやって曲のイメージを作っていけばいいのかなど、不安いっぱいでスタジオに入りました。スタジオには、なかにし先生、作曲の浜圭介先生をはじめ、大勢のスタッフの方々が勢揃いされていて、その雰囲気の中で心臓が口から出てしまいそうなほどにドキドキしてしまい、体中が固まったって感じでした(笑)。今までにあれだけ緊張した事はありません。

――以前のレコーディングでも、そういった緊張はなかったのですか。
 全くありませんでした。当時は3回歌ったらOKが出て、30分でレコーディング終了という場合がほとんどで。でも今回は年数もかなり経っていることと、身内にもいろいろあったことで、どうしても声が出なくなってしまったんです。もちろん、前もって自宅で発声練習はしてきたのですが、声帯がキューッと締まってしまい、本当に参りました。ブースの向こうでは、真剣な顔で歌を聴いてくださっていて、それを見ていたらますます緊張して声が出なくなるんです。

――復帰後、いきなりのピンチですね。
 いったんブースを出て、ここまで録った歌を聴いていたら、いつのまにか、なかにし先生が隣に座られて「もう、いいから。笑って歌ってごらん」と言われたんです。その言葉でものすごく気持ちがリラックスできました。「そんなにプレッシャーを感じる事はないんだ。自然にやればいいんだ」と気づいたんです。現場には父の写真を持ってきていたのですが、その写真を自分の方に向けて「お父さん、もう一度歌うからね」と、心の中で話し掛けていました。そうしたら突然に声が出るようになったんです。

――リラックスして歌うことで、理想的な声が甦ってきたということでしょうか。
 そうですね。「バラ色の未来」「私の愛し方」の2曲は、ストーリーを作り込んだものではなく、私自身を歌ったものですから、別に何かを取り繕う必要はなかったんです。おそらく、私と同じような立場の方も大勢いらっしゃると思いますが、そういった方たちに聴いてもらって、何かを感じてもらえたらすごく嬉しいですね。

――頻繁にレコーディングしていた頃と比べて、何か違いを感じましたか。
 何と言っても当時はレコード盤が全盛でしたから。今はCDをはじめ、いろいろなものが有り過ぎて、機械が苦手な私は家庭の中でも戸惑ってばかりです。いま流行ってる歌も、息子たちに教えてもらったりするんですが、なかなか頭に入ってきませんね(笑)。ただ、レコーディングに関しては、ブースの向こうの設備は新しいものがたくさんあっても、歌う側にとっては、昔とあまり変わらない状態で出来たので、特に問題はありませんでした。

今は新曲の事だけを考えています

――今後は、森昌子復帰を歓迎されている大勢のファンの皆さんの前で歌っていかれるわけですが。
 本当に有り難い事ですね。でも、これだけ時が経っていますから、年代によっては森昌子を知らない人もいらっしゃる訳です。例えば20代の方などは、私の子供と同じ世代になりますから(笑)。

――今回の楽曲は、そういった方にも十分伝わる作品ではないかと思います。
 先日、和田アキ子さんの番組に出た時に、若い女性の方からお手紙をもらったんです。「私は森昌子という人をこれまで知らなかったのですが、初めてテレビで見た時に、失礼ながら大変可愛いと思いました」といった文面でした。自分の娘くらいに年齢の開いた方から「可愛い」と言ってもらえたのが、とても嬉しくて(笑)。そんなイメージで自然に受け入れられていることが、すごく新鮮に感じられました。

――テレビ番組への出演も久々ということで、緊張はされましたか。
 もちろん緊張しましたが、司会がアッコさんということもあって、自分がいま思っている事を素直に話せました。久々のテレビ出演ということについても、特に意識することなく、意外とすんなりその場に立つ事ができたんじゃないかなと思います。

――テレビの世界も、音楽番組が全盛だった時期から見ると、様変わりしてきましたが。
 そうですね。今は音楽番組がすっかり少なくなってしまって。もちろん、今後もテレビには積極的に出ていって、多くの方に歌を聞いてもらいたいとは思いますが、私はお笑いとかはやれる自信がないので(笑)、やはり歌をしっかりと歌っていきたいですね。

――再デビュー曲がリリースされ、今後の活動についても注目されそうです。
 大変有り難い事ですが、今は「バラ色の未来」と「私の愛し方」を歌っていくことだけを真剣に考えています。ジャンルにとらわれずに、多くの人に聴いてもらって、私の思いを感じてもらいたいですね。
(インタビュー・文/広川たかあき)


 
オリコンニュースを優先ソースに追加してGoogle検索に頻繁に表示させよう
タグ

オリコントピックス

求人特集

求人検索

デイリーCDアルバムランキング2026年07月14日付

  1. Augment

    1位Augment

    剣持刀也

    発売日:2026.07.15

  2. THE WAY

    2位THE WAY

    A.B.C-Z

    発売日:2026.07.15

  3. ARIRANG

    3位ARIRANG

    BTS

    発売日:2026.03.21

    1. 4位以下を見る

  • オリコンニュースを優先ソースに追加してGoogle検索に頻繁に表示させよう

メニューを閉じる

 を検索