1990年代のロックシーンを疾走し、唯一無二の存在感を刻んだ黒夢。約30年前に発表した『Drug TReatment』『CORKSCREW』を今の2人で再構築したリテイクアルバム『Drug TReatment 2026』『CORKSCREW 2026』が完成した。「普通に音楽を聴く耳があれば、今回のほうがいい」と語る清春。一方、人時も清春の歌声を聴き、「過去を超えた」と確信したという。かつては顔も合わせないほど不仲だった2人が、30年近い時を経て向き合い、初めて2人で作り上げた『CORKSCREW』。そして目前に迫るライブ「THE PERFECT DAYS TO DIE」への思い――。清春と人時、それぞれの言葉から、“今の黒夢”の現在地に迫る。
■普通に聴けば「今回のほうがいい」と分かるはず
――2枚のリテイクアルバムの音源を聴かせていただきました。約30年前のオリジナル盤と比較して音の厚みやパワー、アグレッシブさが圧倒的に増したと感じたのですが、清春さんはどのような手応えを感じていますか?
【清春】さすがに上手くなりましたよね、と(笑)。レコーディングはいろいろと紆余曲折がありました。最初は方向性がぼんやりしていたんですけど、録り進めていくうちに「もっとソリッドなほうがいいんじゃないか」と思って。過去の『Drug TReatment』(1997年リリース)や『CORKSCREW』(1998年リリース)の音像をどういう形でパワーアップさせるか、その方向性を探っていきました。あえて昔の音を聴き直してみたら、結構ひどい音作りをしている部分もあって、「よくこれで出したな」と思うところもありましたね。
――オリジナル盤を今聴き直すと、技術的な粗を感じてしまったと。
【清春】そう。でも、それをどう捉えるかが問題で。当時のままのニュアンスで行くのか、そうじゃないのか。実際、『CORKSCREW』は黒夢のオリジナルアルバムの中で一番セールスが良かった作品です。それでいて、内容は一番ハードでスピーディーでアグレッシブ。ほとんどのバンドがポップになっていく中、黒夢はまったく逆のアプローチでそれまでの記録を塗り替えました。音楽シーンでこんなことは珍しくて。改めて「黒夢ってすごかったんだな」と思いました(笑)。
――旧譜に敬意を払いつつ、今作はどのような音作りを意識されましたか。
【清春】「原曲を一切アレンジしない」というコンセプトを設けつつ、無理やり当時の音に寄せることはしませんでした。『Drug TReatment』と『CORKSCREW』は本来別のアルバムですけど、今回は(ボーナストラックを除く)22曲を区別なく録ったので、2枚を通しての統一感は意識しましたね。「今の黒夢がやったらこうなった」という感じかな。
――リテイクにあたって、「過去を超えてやる」といった野心はありましたか。
【清春】どうなんだろうね。何をやっても「前のほうが良かった」って言う人もいますから。好きなバンドが曲を録り直して出したら「前のほうが良かった」って言いたくなるじゃないですか、当たり前には。でも、普通に音楽聴く耳があれば「今回のほうがいい」というのは分かると思います。ディープなファンの人たちはそれこそ擦り切れるまで何十年もオリジナルを聴いてくれたわけだから、どうしても「違う」と感じる部分はあるかもしれないけど、そこはもう僕らの年齢なども加味してもらって「なかなかできることじゃないよね」というところで勘弁していただけたらと思います(笑)。
■半数以上の曲でキーを変更 「ギアが一段階上がった」
――話が前後しますが、リテイクアルバムの制作は清春さんからの提案だったと伺いました。オリジナルアルバムではなくリテイクを選択したことにはどのようなねらいがあったのでしょうか。
【清春】僕らは過去に、再結成の新録として『Headache and Dub Reel Inch』(2011年リリース)と『黒と影』(2014年リリース)という2枚のオリジナルアルバムを出しました。とはいえ、昔(90年代)のイメージの強い黒夢が新作を出してもすぐには受け入れられないだろう、というのも当時から分かっていました。そして今回は『CORKSCREW』リリース時のツアー(1998〜1999年「TOUR Many SEX Years vol.5 CORKSCREW A GO GO!」)のリバイバルをやる構想だったので、当時のアルバムも録り直そうと提案しました。あと、『Headache and Dub Reel Inch』と『黒と影』も10年以上が経ちましたけど、ゆっくり時間をかけて少しずつ馴染んでくれればいいなという思いもあります。
――では約30年前と今を比較して、ボーカリストとしてどのような変化や違いを感じていますか。
【清春】昔よりも歌えるようになっているので、「どう歌い回すか」という選択肢が増えました。いろんな歌い方の中からベストなものを選んでいく、というイメージです。すでに気付いている人もいるんですけど、今回、半分以上の曲でキーを変えていて。活動を経て「ベストな音域はそこじゃなかった」と気付いたんです。キーを上げることでテンションが張って聴こえるし、声の抜けも良くて。切迫感が出て一段階ギアが上がるので、キーを上げました。例えば『ROCK'N'ROLL』を原曲キーで歌ったら「こんなに低かったっけ?」と違和感すらあったんです。今のベストな表現方法でパッケージし直せたのは良かったなと思っています。
■30年近い時を経て、黒夢史上初めて2人で作り上げた『CORKSCREW』
――今回、全体的なサウンド面は人時さんがイニシアチブを取られたと伺っています。人時さんのベースプレイやサウンドデザインについて、清春さんはどのような印象を持ちましたか。
【清春】人時さんは昔から優れたベースプレイヤーですけど、彼ももう54歳。「よく弾けるなぁ」と感心しますよね。あの速いスピードで弾ききれているし、グルーヴしてる。指ではなくピックで弾いているというところも含めて、本当にすごいなと。そして同時に、ただ動きまくるだけのベースではなく、ボイシングもしっかりと考えられてる。(90年代に黒夢のプロデュースを担当した)佐久間(正英)さんに教わった音楽の概念というものが、彼の中でずっと生き続けているんじゃないかなと感じました。
――制作においては、2人で一緒に作業される場面もあったと伺っています。
【清春】そうですね。2人で全体の音のバランスを考えながら、「ギターをちょっと上げよう」とか「スネア(ドラム)はもうちょっとタイトな音がいい」といったことを話し合ったり。別々にレコーディングをした期間のほうが長いですけど、最後の3日間くらいは一緒にスタジオに入って作り上げました。僕はそのとき「人時さんと一緒にアルバムを作るのもこれが最後かもしれないな」なんて思いを噛み締めていましたね。最後というか、昔は仲が悪くて全然一緒に作業していなかったんだけど(笑)。当時『Drug TReatment』はちゃんと2人で作り上げたんですよ。でもそこから1年ですごく不仲になり、『CORKSCREW』では顔も合わさなかった。今回のは初めて2人で作り上げた『CORKSCREW』なんです(笑)。
――清春さんのYouTube「おきるねるきよはる」では、2人でスタジオに入りサウンドチェックを行い、2人でカレーを食べる映像もありました。昔だったらありえなかった光景だと思います。
【清春】僕らももう大人なので(笑)。僕のほうが4歳年上ということもあり、人時さんは僕のことをすごく気遣ってくれます。ライブ中も、僕のモニターの状態が悪いと、人時さんが気付いてスタッフに指示を出しに行ってくれたりするんです。そういうところも含めて昔とは関係が全然違うなと感じますね。
■「前を向いて走るトゲトゲしく走る黒夢」は7月と9月のライブが最後
――6月に『NEEDLESS 2026』と『少年 2026』のMVが公開されました。コメント欄はファンからの歓喜の言葉で埋め尽くされています。
【清春】今までずっと、SNSなどで昔の黒夢の音源やMVのリンクが貼られることに恥ずかしさがありました。だから、これからは堂々と「このMVのリンクを貼ってくれ」と言いたい(笑)。もちろん、ファンのコメントもうれしく受け止めています。『NEEDLESS』や『少年』の歌詞に対して「つらいとき、この曲があったから耐えられた」という声が昔からあることは僕らも知っていますし、当時からずっと聴いてくれている皆さんに向けて「これからも人生を頑張ってほしい」という思いもあります。黒夢として皆さんの心のナイーブな部分を応援したいという気持ちは、昔も今も変わっていません。
――そして、7月17・18・19日と9月6日の計4日間、ライブ「THE PERFECT DAYS TO DIE」が開催されます。
【清春】僕のビジョンの中には、「これが最後だ」というイメージがはっきりとあります。前を向いてトゲトゲしく走る黒夢の姿は、リテイクアルバムとこの4日間のステージで終わりだと思っています。もしこの先黒夢をやることがあっても、今回とは違ったものになるでしょう。たぶんやるとしてももうちょっと熟成した、今の僕らの年齢に合った活動になるんじゃないかな。死にそうになるくらい速い曲を連続でプレイするようなのはもうこれが最後だと思うので、来られる人はぜひ観に来ていただきたいです。
――ということは、今回のライブは「黒夢の集大成」という位置付けになるのでしょうか。
【清春】そうですね。まぁ、僕らはいつ終わってもいいと思ってお互いやっているので。今回のライブタイトルも「THE PERFECT DAYS TO DIE」、直訳すれば「死ぬのに完璧な日々」。2人とも未来のことは考えていません。どうあれ、黒夢という概念はずっと残り続けるはずなので。
――なるほど。一方、「THE PERFECT DAYS TO DIE」以降もフェス出演などのスケジュールが組まれています。昨年から黒夢は多くのフェスにも参加されていますが、こちらはどのような感触がありますか。
【清春】ジェネレーションギャップはすごく感じますよね。知らないから「激しい曲のほうがウケるんだな」と思って『後遺症 -aftereffect-』や『BAD SPEED PLAY』をやると、ウケないんですよね(笑)。単純に『少年』や『Like @ Angel』のほうが盛り上がる。なんだか不思議な世界だなとは感じているけど、ただ去年ほどのアウェイ感はなくなってほしい(笑)。
――清春さんも「フェスでウケるか」を気にされるんですね。少し意外です。
【清春】多少は気にしますよ。年寄が必死でやっているのに、あまりにもウケなかったらアホらしくてすぐ帰りたくなるんで(笑)。まぁでも、僕らのようなおじさんにしか見せられないロックがありますからね。今の若い人たちにロックの歴史というか、「こういうロックもあるんだよ」というのを見せたいと思っています。
■黒夢の雰囲気が良いからこそ葛藤があった
――『Drug TReatment 2026』『CORKSCREW 2026』という2枚のリテイクアルバムが完成しました。まずは制作の経緯やレコーディングの感想などを聞かせてください。
【人時】清春さんから最初に「(リテイクを)録りたいんだよね」と提案を受けたのが2024年末頃。そして昨年の秋頃から実際に録り始めました。昔のようにスタジオに入る日数を決めて一気に録るのではなく、スケジュールに合わせ、「今日は何曲、次は何曲」という形式で進めていきました。なので、ライフワークに近い感覚でしたね。もともとは90年代後半にリリースした2枚ですけど、特に『CORKSCREW』(1998年リリース)に関して、僕はレコーディングにこそ参加したけれどミックスなどにはほとんど携わっていなくて。でも今回は演奏だけでなくミックスやマスタリングなど、納品までの作業にガッツリ携わったので、その意味では昔よりも苦労しました。
――関わる範囲や作業量が、昔より大幅に増えたんですね。
【人時】はい。それに昔は仲も悪く、「同じ空間にいたくない」みたいな気持ちがあったので(笑)。でも今は、険悪な雰囲気はまったくありません。2人の関係がすごく良好なんです。だからこそ、「こんなに穏やかな状態でトガったアルバムを作っていいのだろうか」という葛藤はありました。約30年前に作ったアルバムには、若さゆえにできたことや、張り詰めた関係性だからこそ出た音が絶対に存在していたと思うんです。実際に過去の作品を改めて聴き直してみて、良くも悪くも「なんじゃこりゃ!」と思ったんですよ。
――「なんじゃこりゃ!」というのは?
【人時】拙い演奏だったり、勢いだけで押し切っていたり、若さゆえのエネルギーが詰まっているという意味での「なんじゃこりゃ!」です。そこから30年近くが経ち、精神状態も当時とは全然違うので、今の感覚と当時の感覚のギャップをどう埋めていくかという部分は一番気にしました。
――過去と現在の狭間で葛藤しつつ、最終的にはどのようなマインドでレコーディングに臨まれたのでしょうか。
【人時】やっぱり「昔のままの演奏は今の僕にはできないし、やりたくない」と思いました。当時のトガった感覚を思い出して持ってきても意味がないな、って。幸い、昨年2月から黒夢のライブが始動して、今回リテイクした曲のほとんどはすでにライブでも演奏している曲でした。だから、ステージでのリアルな感覚のままレコーディングに入ることができたんです。今の自分の技術を踏まえた上で、30年前とは段違いに進化した最新のレコーディング機材や手法も用いて、黒夢のサウンドをハイブリッド化させていけばいいんじゃないかなという結論に至りました。
■音源は「日記」から「作品」へ 30年で変わった価値観
――レコーディングの進め方において、約30年前と今回で違いはありましたか。
【人時】昔と大きく変わった点が一つあります。ベースのフレーズに関して、一度OKを出したテイクであっても「やっぱりちょっと気に入らないな」と感じたら録り直しをしました。これまでの僕の価値観からすると、実はこれは明らかな変化なんです。僕は今まで、音源というのは「日記」だと思っていました。録音する日があらかじめ決まっていて、その日のベストもしくはベターな音を収める。「○年○月○日のOKテイク」として世に出るのが音源だと思っていたから、録り直すという発想そのものがなかったんですよ。レコーディングの取り組み方を変えたのは、自分にとって大きな経験でした。
――今回のリテイクアルバムは「アレンジは変えない」というコンセプトがあったそうですね。ただその中でもベースのフレーズは変化しており、人時さんがこれまでのキャリアで積み重ねてきたものが表現されていると感じました。
【人時】昔のフレーズを聴き直すと、「なんでこんなフレーズを弾いているんだろう?」と思う部分もあって。当時は僕も若さゆえの「こういうフレーズを弾きたい」という頑固なこだわりがありました。でも今の僕は、「曲全体の流れが良ければそれでいい」という感覚です。「このフレーズじゃなきゃダメ」と固執することもない。ギターやドラムのアグレッシブさを前面に出したいところでは、ベースの音を削ぎ落としたりもしています。
――昔と比べて俯瞰的なベースプレイができるようになったということでしょうか。
【人時】そうですね、昔は本当にベースを録ったら録りっぱなしでしたから。今回は、さっき言った「日記」ではなく、本当の意味での「作品」として昇華させたかったんです。そして、10年後20年後に聴き直したときに顔が赤くならないような作品にしたかった。何年先でも「古くないね」と思ってもらえるものにしたいという意識は常にありました。
■清春の歌声を聴いて「過去を超えた」と確信
――レコーディングが進み、バックトラックにボーカルが乗ってくるわけですが、清春さんの歌声を聴いて人時さんはどう感じましたか。
【人時】基本的には僕が中心となってバックトラックを作り、清春さんがそこに歌を乗せるという分業制のようなレコーディングでした。歌の録音時、僕はスタジオに一緒にいたわけではありません。でも、上がってきたものを聴いたときは、正直「うわっ!」と圧倒されました。昔の歌い方とは違う部分も当然ありますし、キャリアの中で培ってきたさまざまな歌唱法を使っていて。それでいて、『CORKSCREW』が持つ独特の尖った雰囲気や鋭さをしっかりと表現している。「ヤベェ。超えたな」と心から思いました。
――「超えたな」というのは、90年代のオリジナル音源を超えた、と?
【人時】そう、「過去を超えたな」と。しかも、激しい曲になればなるほどそれが顕著だったんですよね。本当にすごいなと思いました。
――特に「ヤベェ。超えたな」と思った楽曲は何でしょうか。
【人時】激しい曲の中で最初に上がってきたのが『LAST PLEASURE』だったと思うんですけど、それを聴いた瞬間鳥肌が立ちました。とんでもないテイクだな、って。オリジナルを超えたと確信しました。オリジナルよりも熱量が高いと僕は感じましたね。
――そして、先日YouTubeで公開された『NEEDLESS 2026』や『少年 2026』のMVには、「かっこいい」「生きててよかった」「背中を押してくれてありがとう」といったコメントがあふれています。
【人時】喜んでもらえて、「作った甲斐があったな」と純粋にうれしいです。そして同時に僕としても、清春さんとの良い関係性の中で作品作りができるこの状況を、純粋に幸せだと感じています。「今の黒夢、すごくいい感じだな」と思いながら僕もYouTubeを見ました。今回の2作品は、信じられないくらい納期ギリギリまでミックスをしていて本当に大変だったんですよ。でも最後、作業を終えて清春さんと一緒に音を聴き、「地獄だったけどやっと終わったね〜!」と2人で握手を交わしました。こんなふうにお互いを労い合うなんて、30年前は絶対にありえなかった(笑)。
――人時さんとしても、2枚のリテイクアルバムを世に送り出した今、充実感はありますか。
【人時】充実感はあります。僕は今回、この2枚を録り終えたときに「もしかしたらこれが黒夢として最後のアルバムになるかもしれない」という思いが頭をよぎりました。2人ともずっと元気だったら今後も出るかもしれないけど、年齢的にもこの先何が起こるか分からないじゃないですか。でも、将来僕がこの世を去ってニュースになったとき、この2作を僕の代表作として報じてもらえるのであれば、十分に本望だな、って。「この2作が遺作になってもいい」と言えるくらいの感覚はあります。
■「平均点は狙わない」 黒夢は常に120点を目指す
――さて、黒夢はライブ「THE PERFECT DAYS TO DIE」(7月17・18・19日、9月6日)の開催が目前に迫っています。どのような内容の公演になりそうでしょうか。
【人時】ライブ開催前にリテイクアルバム2枚をリリースできたので、これを踏まえた選曲になる予定です。ただ、アリーナ3daysは黒夢史上最大級の挑戦になるので、蓋を開けてみないと分からないなというのも正直な気持ちです。まぁ、3日目(7月19日)が一番しんどいだろうな、と。
――「しんどい」というのは、体力的な話ですか?
【人時】そう、体力的に(笑)。でも「次があるから今日はセーブしよう」なんて考え方は黒夢には絶対にありません。昔からそうですが、黒夢は毎回120点を目指してステージに立っています。平均点を狙うようなライブはしない。その日その日を必死に、命懸けでやります。空回りして50点になってしまうリスクもあるけど、常にイチかバチかの白熱した生演奏を届けるのが黒夢のライブですから。作品は100点満点を目指して音を作り込んでいくのに対して、ライブにはトラブルやハプニングがつきものですし、何より清春さんのテンション次第でテンポも全然変わってきますからね。だからこそ、今回も120点を目指して挑みます。7月の3日間を終えたら、たぶん出涸らしのようにヘトヘトになって、しばらく放心状態になるんじゃないかな(笑)。
――「THE PERFECT DAYS TO DIE」を終えた後も、フェス出演のスケジュールが組まれています。黒夢がこのまま未来へ続いていくことを期待しているファンも多いと思います。
【人時】出演オファーをいただけるのはうれしいです。でも、先ほども言った通り、僕らがいつまで正常に音楽を続けられるかは誰にも分かりません。予定が決まっていても、それはあくまで「未定」なんです。身の回りで死を経験して、「明日生きている保証なんてどこにもない」とここ数年で強く感じるようになりました。そういう意味でも、毎回出し切るつもりでステージに立とうと思います。
取材・文:左藤 豊
<ライブ情報>
『黒夢THE PERFECT DAYS TO DIE』
7月17日(金)東京・TOYOTA ARENA TOKYO
7月18日(土)東京・TOYOTA ARENA TOKYO
7月19日(日)東京・TOYOTA ARENA TOKYO
9月6日(日)東京・東京ガーデンシアター
<作品情報>
■黒夢『CORKSCREW 2026』
発売日:2026年7月15日
【初回限定盤】CD+Blu-ray
品番:YCCW-10435/B/価格:7700円(税込)
【通常盤】CD
品番:YCCW-10436/価格:3850円(税込)
■黒夢『Drug TReatment 2026』
発売日:2026年7月15日
【初回限定盤】CD+Blu-ray
品番:YCCW-10433/B/定価:7700円(税込)
【通常盤】CD
品番:YCCW-10434/価格:3850円(税込)
【写真】2月に開催した『CORKSCREW 2025 追加公演』ライブフォト
■普通に聴けば「今回のほうがいい」と分かるはず
――2枚のリテイクアルバムの音源を聴かせていただきました。約30年前のオリジナル盤と比較して音の厚みやパワー、アグレッシブさが圧倒的に増したと感じたのですが、清春さんはどのような手応えを感じていますか?
【清春】さすがに上手くなりましたよね、と(笑)。レコーディングはいろいろと紆余曲折がありました。最初は方向性がぼんやりしていたんですけど、録り進めていくうちに「もっとソリッドなほうがいいんじゃないか」と思って。過去の『Drug TReatment』(1997年リリース)や『CORKSCREW』(1998年リリース)の音像をどういう形でパワーアップさせるか、その方向性を探っていきました。あえて昔の音を聴き直してみたら、結構ひどい音作りをしている部分もあって、「よくこれで出したな」と思うところもありましたね。
――オリジナル盤を今聴き直すと、技術的な粗を感じてしまったと。
【清春】そう。でも、それをどう捉えるかが問題で。当時のままのニュアンスで行くのか、そうじゃないのか。実際、『CORKSCREW』は黒夢のオリジナルアルバムの中で一番セールスが良かった作品です。それでいて、内容は一番ハードでスピーディーでアグレッシブ。ほとんどのバンドがポップになっていく中、黒夢はまったく逆のアプローチでそれまでの記録を塗り替えました。音楽シーンでこんなことは珍しくて。改めて「黒夢ってすごかったんだな」と思いました(笑)。
――旧譜に敬意を払いつつ、今作はどのような音作りを意識されましたか。
【清春】「原曲を一切アレンジしない」というコンセプトを設けつつ、無理やり当時の音に寄せることはしませんでした。『Drug TReatment』と『CORKSCREW』は本来別のアルバムですけど、今回は(ボーナストラックを除く)22曲を区別なく録ったので、2枚を通しての統一感は意識しましたね。「今の黒夢がやったらこうなった」という感じかな。
――リテイクにあたって、「過去を超えてやる」といった野心はありましたか。
【清春】どうなんだろうね。何をやっても「前のほうが良かった」って言う人もいますから。好きなバンドが曲を録り直して出したら「前のほうが良かった」って言いたくなるじゃないですか、当たり前には。でも、普通に音楽聴く耳があれば「今回のほうがいい」というのは分かると思います。ディープなファンの人たちはそれこそ擦り切れるまで何十年もオリジナルを聴いてくれたわけだから、どうしても「違う」と感じる部分はあるかもしれないけど、そこはもう僕らの年齢なども加味してもらって「なかなかできることじゃないよね」というところで勘弁していただけたらと思います(笑)。
■半数以上の曲でキーを変更 「ギアが一段階上がった」
――話が前後しますが、リテイクアルバムの制作は清春さんからの提案だったと伺いました。オリジナルアルバムではなくリテイクを選択したことにはどのようなねらいがあったのでしょうか。
【清春】僕らは過去に、再結成の新録として『Headache and Dub Reel Inch』(2011年リリース)と『黒と影』(2014年リリース)という2枚のオリジナルアルバムを出しました。とはいえ、昔(90年代)のイメージの強い黒夢が新作を出してもすぐには受け入れられないだろう、というのも当時から分かっていました。そして今回は『CORKSCREW』リリース時のツアー(1998〜1999年「TOUR Many SEX Years vol.5 CORKSCREW A GO GO!」)のリバイバルをやる構想だったので、当時のアルバムも録り直そうと提案しました。あと、『Headache and Dub Reel Inch』と『黒と影』も10年以上が経ちましたけど、ゆっくり時間をかけて少しずつ馴染んでくれればいいなという思いもあります。
――では約30年前と今を比較して、ボーカリストとしてどのような変化や違いを感じていますか。
【清春】昔よりも歌えるようになっているので、「どう歌い回すか」という選択肢が増えました。いろんな歌い方の中からベストなものを選んでいく、というイメージです。すでに気付いている人もいるんですけど、今回、半分以上の曲でキーを変えていて。活動を経て「ベストな音域はそこじゃなかった」と気付いたんです。キーを上げることでテンションが張って聴こえるし、声の抜けも良くて。切迫感が出て一段階ギアが上がるので、キーを上げました。例えば『ROCK'N'ROLL』を原曲キーで歌ったら「こんなに低かったっけ?」と違和感すらあったんです。今のベストな表現方法でパッケージし直せたのは良かったなと思っています。
■30年近い時を経て、黒夢史上初めて2人で作り上げた『CORKSCREW』
【清春】人時さんは昔から優れたベースプレイヤーですけど、彼ももう54歳。「よく弾けるなぁ」と感心しますよね。あの速いスピードで弾ききれているし、グルーヴしてる。指ではなくピックで弾いているというところも含めて、本当にすごいなと。そして同時に、ただ動きまくるだけのベースではなく、ボイシングもしっかりと考えられてる。(90年代に黒夢のプロデュースを担当した)佐久間(正英)さんに教わった音楽の概念というものが、彼の中でずっと生き続けているんじゃないかなと感じました。
――制作においては、2人で一緒に作業される場面もあったと伺っています。
【清春】そうですね。2人で全体の音のバランスを考えながら、「ギターをちょっと上げよう」とか「スネア(ドラム)はもうちょっとタイトな音がいい」といったことを話し合ったり。別々にレコーディングをした期間のほうが長いですけど、最後の3日間くらいは一緒にスタジオに入って作り上げました。僕はそのとき「人時さんと一緒にアルバムを作るのもこれが最後かもしれないな」なんて思いを噛み締めていましたね。最後というか、昔は仲が悪くて全然一緒に作業していなかったんだけど(笑)。当時『Drug TReatment』はちゃんと2人で作り上げたんですよ。でもそこから1年ですごく不仲になり、『CORKSCREW』では顔も合わさなかった。今回のは初めて2人で作り上げた『CORKSCREW』なんです(笑)。
――清春さんのYouTube「おきるねるきよはる」では、2人でスタジオに入りサウンドチェックを行い、2人でカレーを食べる映像もありました。昔だったらありえなかった光景だと思います。
【清春】僕らももう大人なので(笑)。僕のほうが4歳年上ということもあり、人時さんは僕のことをすごく気遣ってくれます。ライブ中も、僕のモニターの状態が悪いと、人時さんが気付いてスタッフに指示を出しに行ってくれたりするんです。そういうところも含めて昔とは関係が全然違うなと感じますね。
■「前を向いて走るトゲトゲしく走る黒夢」は7月と9月のライブが最後
――6月に『NEEDLESS 2026』と『少年 2026』のMVが公開されました。コメント欄はファンからの歓喜の言葉で埋め尽くされています。
【清春】今までずっと、SNSなどで昔の黒夢の音源やMVのリンクが貼られることに恥ずかしさがありました。だから、これからは堂々と「このMVのリンクを貼ってくれ」と言いたい(笑)。もちろん、ファンのコメントもうれしく受け止めています。『NEEDLESS』や『少年』の歌詞に対して「つらいとき、この曲があったから耐えられた」という声が昔からあることは僕らも知っていますし、当時からずっと聴いてくれている皆さんに向けて「これからも人生を頑張ってほしい」という思いもあります。黒夢として皆さんの心のナイーブな部分を応援したいという気持ちは、昔も今も変わっていません。
――そして、7月17・18・19日と9月6日の計4日間、ライブ「THE PERFECT DAYS TO DIE」が開催されます。
【清春】僕のビジョンの中には、「これが最後だ」というイメージがはっきりとあります。前を向いてトゲトゲしく走る黒夢の姿は、リテイクアルバムとこの4日間のステージで終わりだと思っています。もしこの先黒夢をやることがあっても、今回とは違ったものになるでしょう。たぶんやるとしてももうちょっと熟成した、今の僕らの年齢に合った活動になるんじゃないかな。死にそうになるくらい速い曲を連続でプレイするようなのはもうこれが最後だと思うので、来られる人はぜひ観に来ていただきたいです。
――ということは、今回のライブは「黒夢の集大成」という位置付けになるのでしょうか。
【清春】そうですね。まぁ、僕らはいつ終わってもいいと思ってお互いやっているので。今回のライブタイトルも「THE PERFECT DAYS TO DIE」、直訳すれば「死ぬのに完璧な日々」。2人とも未来のことは考えていません。どうあれ、黒夢という概念はずっと残り続けるはずなので。
――なるほど。一方、「THE PERFECT DAYS TO DIE」以降もフェス出演などのスケジュールが組まれています。昨年から黒夢は多くのフェスにも参加されていますが、こちらはどのような感触がありますか。
【清春】ジェネレーションギャップはすごく感じますよね。知らないから「激しい曲のほうがウケるんだな」と思って『後遺症 -aftereffect-』や『BAD SPEED PLAY』をやると、ウケないんですよね(笑)。単純に『少年』や『Like @ Angel』のほうが盛り上がる。なんだか不思議な世界だなとは感じているけど、ただ去年ほどのアウェイ感はなくなってほしい(笑)。
――清春さんも「フェスでウケるか」を気にされるんですね。少し意外です。
【清春】多少は気にしますよ。年寄が必死でやっているのに、あまりにもウケなかったらアホらしくてすぐ帰りたくなるんで(笑)。まぁでも、僕らのようなおじさんにしか見せられないロックがありますからね。今の若い人たちにロックの歴史というか、「こういうロックもあるんだよ」というのを見せたいと思っています。
■黒夢の雰囲気が良いからこそ葛藤があった
――『Drug TReatment 2026』『CORKSCREW 2026』という2枚のリテイクアルバムが完成しました。まずは制作の経緯やレコーディングの感想などを聞かせてください。
【人時】清春さんから最初に「(リテイクを)録りたいんだよね」と提案を受けたのが2024年末頃。そして昨年の秋頃から実際に録り始めました。昔のようにスタジオに入る日数を決めて一気に録るのではなく、スケジュールに合わせ、「今日は何曲、次は何曲」という形式で進めていきました。なので、ライフワークに近い感覚でしたね。もともとは90年代後半にリリースした2枚ですけど、特に『CORKSCREW』(1998年リリース)に関して、僕はレコーディングにこそ参加したけれどミックスなどにはほとんど携わっていなくて。でも今回は演奏だけでなくミックスやマスタリングなど、納品までの作業にガッツリ携わったので、その意味では昔よりも苦労しました。
――関わる範囲や作業量が、昔より大幅に増えたんですね。
【人時】はい。それに昔は仲も悪く、「同じ空間にいたくない」みたいな気持ちがあったので(笑)。でも今は、険悪な雰囲気はまったくありません。2人の関係がすごく良好なんです。だからこそ、「こんなに穏やかな状態でトガったアルバムを作っていいのだろうか」という葛藤はありました。約30年前に作ったアルバムには、若さゆえにできたことや、張り詰めた関係性だからこそ出た音が絶対に存在していたと思うんです。実際に過去の作品を改めて聴き直してみて、良くも悪くも「なんじゃこりゃ!」と思ったんですよ。
――「なんじゃこりゃ!」というのは?
【人時】拙い演奏だったり、勢いだけで押し切っていたり、若さゆえのエネルギーが詰まっているという意味での「なんじゃこりゃ!」です。そこから30年近くが経ち、精神状態も当時とは全然違うので、今の感覚と当時の感覚のギャップをどう埋めていくかという部分は一番気にしました。
――過去と現在の狭間で葛藤しつつ、最終的にはどのようなマインドでレコーディングに臨まれたのでしょうか。
【人時】やっぱり「昔のままの演奏は今の僕にはできないし、やりたくない」と思いました。当時のトガった感覚を思い出して持ってきても意味がないな、って。幸い、昨年2月から黒夢のライブが始動して、今回リテイクした曲のほとんどはすでにライブでも演奏している曲でした。だから、ステージでのリアルな感覚のままレコーディングに入ることができたんです。今の自分の技術を踏まえた上で、30年前とは段違いに進化した最新のレコーディング機材や手法も用いて、黒夢のサウンドをハイブリッド化させていけばいいんじゃないかなという結論に至りました。
■音源は「日記」から「作品」へ 30年で変わった価値観
――レコーディングの進め方において、約30年前と今回で違いはありましたか。
【人時】昔と大きく変わった点が一つあります。ベースのフレーズに関して、一度OKを出したテイクであっても「やっぱりちょっと気に入らないな」と感じたら録り直しをしました。これまでの僕の価値観からすると、実はこれは明らかな変化なんです。僕は今まで、音源というのは「日記」だと思っていました。録音する日があらかじめ決まっていて、その日のベストもしくはベターな音を収める。「○年○月○日のOKテイク」として世に出るのが音源だと思っていたから、録り直すという発想そのものがなかったんですよ。レコーディングの取り組み方を変えたのは、自分にとって大きな経験でした。
――今回のリテイクアルバムは「アレンジは変えない」というコンセプトがあったそうですね。ただその中でもベースのフレーズは変化しており、人時さんがこれまでのキャリアで積み重ねてきたものが表現されていると感じました。
【人時】昔のフレーズを聴き直すと、「なんでこんなフレーズを弾いているんだろう?」と思う部分もあって。当時は僕も若さゆえの「こういうフレーズを弾きたい」という頑固なこだわりがありました。でも今の僕は、「曲全体の流れが良ければそれでいい」という感覚です。「このフレーズじゃなきゃダメ」と固執することもない。ギターやドラムのアグレッシブさを前面に出したいところでは、ベースの音を削ぎ落としたりもしています。
――昔と比べて俯瞰的なベースプレイができるようになったということでしょうか。
【人時】そうですね、昔は本当にベースを録ったら録りっぱなしでしたから。今回は、さっき言った「日記」ではなく、本当の意味での「作品」として昇華させたかったんです。そして、10年後20年後に聴き直したときに顔が赤くならないような作品にしたかった。何年先でも「古くないね」と思ってもらえるものにしたいという意識は常にありました。
■清春の歌声を聴いて「過去を超えた」と確信
――レコーディングが進み、バックトラックにボーカルが乗ってくるわけですが、清春さんの歌声を聴いて人時さんはどう感じましたか。
【人時】基本的には僕が中心となってバックトラックを作り、清春さんがそこに歌を乗せるという分業制のようなレコーディングでした。歌の録音時、僕はスタジオに一緒にいたわけではありません。でも、上がってきたものを聴いたときは、正直「うわっ!」と圧倒されました。昔の歌い方とは違う部分も当然ありますし、キャリアの中で培ってきたさまざまな歌唱法を使っていて。それでいて、『CORKSCREW』が持つ独特の尖った雰囲気や鋭さをしっかりと表現している。「ヤベェ。超えたな」と心から思いました。
――「超えたな」というのは、90年代のオリジナル音源を超えた、と?
【人時】そう、「過去を超えたな」と。しかも、激しい曲になればなるほどそれが顕著だったんですよね。本当にすごいなと思いました。
――特に「ヤベェ。超えたな」と思った楽曲は何でしょうか。
【人時】激しい曲の中で最初に上がってきたのが『LAST PLEASURE』だったと思うんですけど、それを聴いた瞬間鳥肌が立ちました。とんでもないテイクだな、って。オリジナルを超えたと確信しました。オリジナルよりも熱量が高いと僕は感じましたね。
――そして、先日YouTubeで公開された『NEEDLESS 2026』や『少年 2026』のMVには、「かっこいい」「生きててよかった」「背中を押してくれてありがとう」といったコメントがあふれています。
【人時】喜んでもらえて、「作った甲斐があったな」と純粋にうれしいです。そして同時に僕としても、清春さんとの良い関係性の中で作品作りができるこの状況を、純粋に幸せだと感じています。「今の黒夢、すごくいい感じだな」と思いながら僕もYouTubeを見ました。今回の2作品は、信じられないくらい納期ギリギリまでミックスをしていて本当に大変だったんですよ。でも最後、作業を終えて清春さんと一緒に音を聴き、「地獄だったけどやっと終わったね〜!」と2人で握手を交わしました。こんなふうにお互いを労い合うなんて、30年前は絶対にありえなかった(笑)。
――人時さんとしても、2枚のリテイクアルバムを世に送り出した今、充実感はありますか。
【人時】充実感はあります。僕は今回、この2枚を録り終えたときに「もしかしたらこれが黒夢として最後のアルバムになるかもしれない」という思いが頭をよぎりました。2人ともずっと元気だったら今後も出るかもしれないけど、年齢的にもこの先何が起こるか分からないじゃないですか。でも、将来僕がこの世を去ってニュースになったとき、この2作を僕の代表作として報じてもらえるのであれば、十分に本望だな、って。「この2作が遺作になってもいい」と言えるくらいの感覚はあります。
■「平均点は狙わない」 黒夢は常に120点を目指す
――さて、黒夢はライブ「THE PERFECT DAYS TO DIE」(7月17・18・19日、9月6日)の開催が目前に迫っています。どのような内容の公演になりそうでしょうか。
【人時】ライブ開催前にリテイクアルバム2枚をリリースできたので、これを踏まえた選曲になる予定です。ただ、アリーナ3daysは黒夢史上最大級の挑戦になるので、蓋を開けてみないと分からないなというのも正直な気持ちです。まぁ、3日目(7月19日)が一番しんどいだろうな、と。
――「しんどい」というのは、体力的な話ですか?
【人時】そう、体力的に(笑)。でも「次があるから今日はセーブしよう」なんて考え方は黒夢には絶対にありません。昔からそうですが、黒夢は毎回120点を目指してステージに立っています。平均点を狙うようなライブはしない。その日その日を必死に、命懸けでやります。空回りして50点になってしまうリスクもあるけど、常にイチかバチかの白熱した生演奏を届けるのが黒夢のライブですから。作品は100点満点を目指して音を作り込んでいくのに対して、ライブにはトラブルやハプニングがつきものですし、何より清春さんのテンション次第でテンポも全然変わってきますからね。だからこそ、今回も120点を目指して挑みます。7月の3日間を終えたら、たぶん出涸らしのようにヘトヘトになって、しばらく放心状態になるんじゃないかな(笑)。
――「THE PERFECT DAYS TO DIE」を終えた後も、フェス出演のスケジュールが組まれています。黒夢がこのまま未来へ続いていくことを期待しているファンも多いと思います。
【人時】出演オファーをいただけるのはうれしいです。でも、先ほども言った通り、僕らがいつまで正常に音楽を続けられるかは誰にも分かりません。予定が決まっていても、それはあくまで「未定」なんです。身の回りで死を経験して、「明日生きている保証なんてどこにもない」とここ数年で強く感じるようになりました。そういう意味でも、毎回出し切るつもりでステージに立とうと思います。
取材・文:左藤 豊
<ライブ情報>
『黒夢THE PERFECT DAYS TO DIE』
7月17日(金)東京・TOYOTA ARENA TOKYO
7月18日(土)東京・TOYOTA ARENA TOKYO
7月19日(日)東京・TOYOTA ARENA TOKYO
9月6日(日)東京・東京ガーデンシアター
<作品情報>
■黒夢『CORKSCREW 2026』
発売日:2026年7月15日
【初回限定盤】CD+Blu-ray
品番:YCCW-10435/B/価格:7700円(税込)
【通常盤】CD
品番:YCCW-10436/価格:3850円(税込)
■黒夢『Drug TReatment 2026』
発売日:2026年7月15日
【初回限定盤】CD+Blu-ray
品番:YCCW-10433/B/定価:7700円(税込)
【通常盤】CD
品番:YCCW-10434/価格:3850円(税込)
2026/07/15

