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大黒摩季が悲しみを乗り越え全国ツアーを完走!「バラの花束のようにもう一度美しく咲きたい」【ライブレポート】

 大黒摩季の全国ツアー後半戦『MAKI OHGURO LIVE TOUR 2025 - 55 RED -』が11月16日、東京国際フォーラムでグランドフィナーレを迎えた。“大黒摩季流ROCK”を追求し、今年前半に開催された「-55 BLACK-」とはがらりと趣向を変えて行われた同ツアーは、フラメンコやチル・サウンド、ラテンミュージックも取り入れた“音楽の世界旅行”をテーマに構成。今年9月に愛する実弟が急死し、悲しみのどん底から“音楽の力”を信じて立ち上がった“摩季姐”が、魂の歌声を響かせた。

『MAKI OHGURO LIVE TOUR 2025 -TOUR FINAL-』(東京国際フォーラム ホールA)より

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■フラメンコにチル・サウンド、サルサ 大黒摩季の豊かな音楽性が爆発

 『MAKI OHGURO LIVE TOUR 2025 - 55 RED -』の最終公演となった11月16日の東京国際フォーラムには、コアファンを中心に初参戦組も来場。開演時刻を少し過ぎ、観客の期待が頂点に達したところで深紅の緞帳が上がると、まずスポットライトが当たったのは、木の板に足でリズムを刻みつけるフラメンコダンサーの鈴木時丹。フラメンコギターの音色に合わせて手拍子が鳴り、カンテ(唄・コーラス)の「オレ!」という威勢のいい掛け声が響きわたる情熱的なイントロは、まさに彼の独壇場。すべての観客の視線が彼の踊りに注がれた。

 全オーディエンスを魅了すると、いよいよ大黒摩季が魂を揺さぶるような歌声とともに登場した。1曲目は『55 REDツアー』のリード曲で、8月に先行配信された「Mira mira mira」。大黒が初めてスペインに旅行した際、すっかりとりこになったというフラメンコのサウンドを取り入れた、彼女の新境地を切り拓く1曲だ。

 のっけから最高のボルテージで観客を惹きつけた大黒は、続いて「砂の孤独」を披露すると、最初のMCでファンに感謝の言葉を伝えた。本ツアーがスタートした直後に愛弟が急死し、深い悲しみに包まれた彼女は、ステージに戻れないかもしれないと考えたことを激白。しかし、スタッフやバンドメンバー、何より楽しみにしてくれているファンに支えられてツアーに戻り、ファイナルを迎えることができたのだと、万感胸に迫る想いを吐露した。

『MAKI OHGURO LIVE TOUR 2025 -TOUR FINAL-』(東京国際フォーラム ホールA)より

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 『55 REDツアー』のテーマは“音楽の世界旅行”。彼女のコアなファン層は、子育ての終わりが見えてきたと思ったら親の介護問題に直面しているミドル世代が多い。そんなファンの時間や懐事情、さらには現在の物価高などを鑑みて、「世界の音楽と舞踊によるステージ演出」によって、観客を世界旅行へと誘おうというコンセプトで開催された。

 さらに本公演は、「生バンドだからこそ実現できるもの」と考えた大黒のもと、バンドマスター兼サウンドプロデューサーの柴田敏孝(Key)をはじめ、実力派のミュージシャンが集結。ゲスト奏者には、世界的サルサバンド「オルケスタ・デ・ラ・ルス」からボーカルのNORA、JIN、パーカッションの鈴木ヨシロー、伊波淑が参戦したほか、フラメンコギターの徳永健太郎・康次郎兄弟など、総勢17人の豪華なメンバーが顔をそろえた。

 加えてフラメンコ全般の監修は、日本人で初めてスペイン本国の大会で優勝した世界的フラメンコダンサーの SIROCOが務め、舞台上ではフラメンコダンサーのFarolitoと鈴木時丹が圧巻の表現力で観客を魅了。そしてポールダンサーのRYOTAも、妖精が舞い降りたかのような神秘的な演技で観客の心を奪った。

 フラメンコやボサノバ、サルサといった世界の音楽ジャンルにスポットを当てた“音楽旅行”を観客がしっかりと楽しめたのは、“お客様ファースト”の精神を貫いている大黒の事前リサーチのおかげだろう。本公演では、フラメンコパートにおいてバンマスの柴田敏孝がフラメンコチームとともに“フラメンコ講座”を実施。“パルマ”と呼ばれるフラメンコの基本リズムを刻むハンドクラップが観客に伝授されると、新曲の「水玉模様のAlegria」は会場全体に“パルマ”が響きわたり、タブラオ(スペインでフラメンコショーが行われる酒場)にいるかのような錯覚に陥った。

『MAKI OHGURO LIVE TOUR 2025 -TOUR FINAL-』(東京国際フォーラム ホールA)より

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 そしてキューバの陽気な音楽・サルサのセクションでは、「オルケスタ・デ・ラ・ルス」のボーカルNORAとJIN、パーカッショニストの鈴木ヨシローと伊波淑による、サルサのリズムパターン講習会も実施。「太陽のサルサ 〜 !Salsa del sol! 〜」や「iBaila! iBaila! iBaila!」は、観客の見事な手拍子によって大黒の歌とバンドの演奏がさらに熱を帯びていくように感じられた。

 以前大黒にインタビューした際、「ファンを含む自分の周りの人たちがどんな状況に置かれていて、どんなものを求めているのか」をしっかりと分析し、常に自分以外の人たちに心を寄せているスタンスが印象に残った。おそらく本ツアーの開催にあたっても、彼女は独自のネットワークを通じて、一般的に世界の音楽ジャンルがどのくらい浸透しているかをリサーチしたはずだ。そして「どの音楽ジャンルも聴いたことはあるけれど詳しくは知らない」と感じる観客が少なくないかもしれないと懸念したのではないだろうか。それを補うべく「楽しく音楽をお勉強できたらみんなハッピーじゃん!」という発想から、ステージ上での“ミニ音楽講座”開催に至ったような気がしてならない。

 “ミニ音楽講座”は大成功を収めた。観客は音楽が流れると、リズムに合わせて手拍子を送ったり体を揺らしたり、しっかり音楽の旅を満喫していたのだ。音楽は聴く楽しみもあるが、手拍子でも声援でも合唱でも奏者の輪に加わることができたならその楽しみは倍増する。それを証明したひと時となった。

 また、ライブ中盤で展開されたチル・サウンドのセクションも印象深い。しっとりと「Tender Rain」を歌い上げた大黒が、続けて披露した曲は「LOVIN’ YOU」。愛する弟を亡くし、傷ついた彼女の心境を歌ったかのようなこの曲では、リフレインパートを観客に歌ってほしいとせがんだ彼女の姿が心に残っている。「今は暗闇だったとしても、君のために未来に向かって生きる。私たちは夢をつかむよ」。会場が一体となって歌ったこの言葉に、「勇気をもらったよ、ありがとう」と伝え、感極まった表情を見せていた摩季姐。心の傷を癒してくれるのは音楽であり、音楽を愛する仲間なのだと改めて実感したワンシーンだ。

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 そして、「ブラジルに連れて行ってほしい!」という摩季姐の願いに応えたバンマスの柴田が曲を紡ぎ、「大黒の日常を詞にしたためた」というボサノバの新曲「穏やかな日曜日」も、彼女の新たな魅力が開花。ピアノ伴奏をバックに歌いあげたバラードの新曲「Crystal Angel」も、大黒の歌に合わせてオーロラのような幕の奥でポールダンスを繰り広げるRYOTAの幻想的な演技に惹きつけられた。

 落ちついた曲で観客をうっとりさせた一方、明るく元気なステージを展開し、観客の優しい笑顔を引きだしたのは「カカオ de サルサ 〜 episode I☆カカオの起源 〜」だ。株式会社明治とのコラボレーションにより誕生した同曲は、カカオの啓蒙のために作られた楽曲で、サルサの軽快なリズムに乗って“カカオ誕生”のストーリーを歌っている。大黒によると続編も用意されているとのことで、この日は明治の人気キャラクター・カールおじさんとカカオキッズもステージに駆けつけた。この曲ばかりは摩季姐改め“まきおねえさん”の歌に合わせてかわいいお遊戯ダンスが披露され、会場が和やかな雰囲気に包まれた。

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 さらに、実に8回におよぶ衣装チェンジが会場を沸かせたことも忘れてはいけない。真っ赤なフラメンコのロングドレスに、白地に赤い水玉模様の少女のようなワンピース、そしてカラフルなリゾートドレスにシックな黒いワンピース、さらに本人曰く「正気では着られない衣装」と自虐的にコメントした真っ白なウェディングドレスなど、曲の構成が変わるたびに衣装を替え、ファッションショーのように楽しませてくれた。

 ライブ後半は、ニューヨークのディスコをイメージしたステージ上で、10月1日に配信リリースされた新曲の「SHINE ON ME☆」を歌うと、クライマックスに向かって「いちばん近くにいてね」などのヒット曲も熱唱。そして、ラストナンバーは代表曲の一つ「あなただけ見つめてる」。彼女に促されサビを一緒に歌った観客たちの表情は、みな青春時代に戻ったように感じられた。

■「私は大黒摩季であるべきなんだ」こらえきれずに涙

『MAKI OHGURO LIVE TOUR 2025 -TOUR FINAL-』(東京国際フォーラム ホールA)より

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 「55(go go)摩季姐!」というファンの熱いアンコールに応えてステージに戻ってきた大黒は、サプライズゲストのカリスマボイストレーナー秋山先生(ロバート秋山竜二)と「ペニゲリオン〜熱くなれver.」(10月26日デジタルリリース)をコラボ。秋山先生に心酔する大黒と対照的に、「『熱くなれ』は名曲なのだから、ファンの方もこんな替え歌に喜んでいる場合じゃないよ!」と本音をこぼす秋山先生とのやりとりに、場内は再び大きな盛り上がりを見せた。

 会場の興奮が最高潮に達したまま、この日の奏者全員で届けたのは、ライブのラストで必ず歌っている「ら・ら・ら」。サビでは大黒をはじめ、秋山先生やオルケスタ・デ・ラ・ルスのメンバーたちが客席に降り立ち、観客たちにマイクを向けたり、ハイタッチをしたりと、ファンサービスも展開。感動的なツアーファイナルが締めくくられた。

 悲しみを乗り越え『55 REDツアー』を完走した大黒に、チーム大黒を代表してバンマスの柴田からは真っ赤なバラの花束が贈られた。こらえきれずに涙を流した大黒は、「本気出すってサイコーです! 私は大黒摩季であるべきなんだ。やっぱり音楽は楽しい。冷たく閉ざされていた心が動きまくった」と語り、「腐っている場合じゃない。いただいたバラのようにもう一回咲きたいと思います。皆さんのためにも、大黒歌い続けます!」と宣言した。

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 そして、この日の1曲目に届けた「Mira mira mira」を観客に覚えて帰ってもらいたいと考えた大黒は、同曲のショートバージョンを全キャストと一緒に再度届け有終の美を飾った。予定していたセットリストを全うし、サポートメンバーを送り出した彼女は、ステージに一人残り、天を仰いで涙を流したあとに客席に深く一礼をした。すると大黒は、「お願いしたいことがある」と観客に向かって切り出した。令和6年に発生した能登半島地震により能登の和倉温泉が復興できずに困っているという現状を訴え、「MAKI’s AID」を立ちあげたのでぜひ支援に協力してほしいと呼びかけたのだ。大黒摩季は自らが傷だらけになってもなお、人々の胸の痛みに寄り添うアーティストなのだ。だからこそ、彼女の魂の歌声は私たちの心にストレートに届くのだと確信した。

 大切な人を失った悲しみの中から、音楽の力と待っている人たちに支えられ、ステージにカムバックした大黒摩季。愛する人たちのために未来に向かって生きることを誓った彼女のニューアルバム『55 RED』がまさに制作中だ。来年デビュー35周年を迎える大黒は、メモリアルイヤーを祝してヒット曲のオンパレードのライブを決行することを予告している。きっとそこで見事なバラの花を咲かせるはず。愛するファンが彼女を支えているのだから。

取材・文:森中要子

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■MAKI OHGURO LIVE TOUR 2025 -TOUR FINAL-
2025年11月16日 東京国際フォーラム ホールA

【セットリスト】
01 Mira mira mira *
02 砂の孤独
03 水玉模様のAlegria ※
04 夏が来る
05 夏が来る、そして…
06 Tender Rain
07 LOVIN’ YOU
08 穏やかな日曜日 ※
09 GYPSY
10 Crystal Angel ※
11 太陽のサルサ 〜 !Salsa del sol! 〜
12 iBaila! iBaila! iBaila!
13 カカオ de サルサ 〜 episode I☆カカオの起源 〜 *
14 Lie,Lie,Lie,
15 SHINE ON ME☆ *
16 恋はメリーゴーランド
17 Harlem Night
18 いちばん近くにいてね
19 あなただけ見つめてる
E1 ペニゲリオン 〜熱くなれ ver.〜 with カリスマボイストレーナー秋山先生 *
E2 ら・ら・ら
E3 Mira mira mira(Short) *
※未発表曲 *配信新曲

“大黒摩季流ROCK= 大黒ック [オオグロック]”満載の最新アルバム
Album『55 BLACK』特設ページ:https://maki-ohguro.com/sp/al55black/

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