昨年夏、「ファンやフォロワーがいなくても、ライブやったことなくてもデモ音源に“ワンチャン”あるオーディション」をキャッチコピーに、ビクターエンタテインメント主催のオーディションで全国2200組の応募者の中からグランプリを獲得した望月ヒナタが7月23日、EP『365のハイライト』でメジャーデビューした。刹那的でノスタルジックな歌詞世界をジャンルレスな独特のサウンドで表現する望月の魅力を紹介する。
■自分の「らしさ」をテーマに、22歳の現在地を詰めた5曲
ハスキーでありながら透明感のあるシルキーな歌声とジャンルレスなサウンドアプローチで独自の世界観を築き上げているシンガー・ソングライターの望月ヒナタ。その音楽の原点は、母の影響でピアノに親しみ始めた幼少期に遡る。その後、小学5年の時、誕生日が同じという理由でTaylor Swiftを知ったことをきっかけに、洋邦楽問わず、さまざまな音楽に興味を持つようになったという。そして、高校1年でアコースティックギターと出会ってからはカバー曲を中心に弾き語りを、宅録用のマイクを購入した大学2年からは本格的にオリジナル楽曲の制作をスタート。大学3年時には複数の楽曲コンペティションで入賞し、翌2024年夏には先述のオーディンションでグランプリを受賞。24年10月に初のデジタルシングル「Sunshine」を、今年2月にセカンドデジタルシングル「Bloom」をリリースした。
そんな望月が7月23日にリリースしたEP『365のハイライト』は、大学を卒業した今春から約2ヶ月間で制作した自身の現在地を示す5曲を収録。自身の内面と対話しながら生み出した歌詞世界と、原点である弾き語りをベースにさまざまなサウンドアプローチで作り上げた「自分らしさ」あふれる1枚となっている。
まず、「昨年は学生最後の年だったこともり、過去と未来の自分について考えることが多かった。これまでいろいろなことがあったけど、結局、最後は良かったことだけがハイライトとして残るからきっとこれからも大丈夫」という気持ちから生まれたのが1曲目に収録されている「さんざん」。こう聞くとポジティブな歌詞世界をイメージするが、望月の「自分らしさ」はさにあらず。ポップなサウンドに乗せながらも、挑戦と失敗を恐れる自分や周りと比較する自分、そこから生まれる不安や無気力について振り返りつつ、「思い描いた通りにならなかった時にこそ、予期せぬ楽しさや出会いに遭遇できるかもしれないからちょっと頑張ってみても面白いかも」とさりげなくコンフォートゾーンへと誘ってみせる。サウンドプロデューサーにはTAARを招き、4つ打ちのダンスサウンドが望月の過去と現在地、そしてまだ見ぬ不確かな未来を軽快に彩っている。
続く「Hands up」は、「歌詞がとても長いけれど、どこも削りたくなく、少しラップっぽくなった」というこちらも自身の「らしさ」全開の1曲。「もう大人なんだからとよく人は言うけれど、素直さとか繊細さとか好奇心とか、子どもっぽいところは捨てるべきではないと思っている。公園でかくれんぼして、5時のチャイムで家に帰る生活はもう二度と送れないけれど、あの頃の自分が今の自分を見てがっかりしないような姿であれば」という思いを表現したという。ギターの弾き語りとして自身が作った楽曲を、サウンドプロデューサーのmabanuaがアップビートでスタイリッシュに仕上げている。
■アレンジにも初挑戦 今後はセルフプロデュースにさらに尽力
表題となった「365のハイライト」は、「時には良い思い出だと思っていたことが、その後の出来事によって見方が変わってしまうことがある」という思いを綴ったバラード。MELRAWのアレンジによるリリカルでジャジーなピアノに、望月の透明感のある歌声が美しく際立ち、情感ある1曲となっている。
続く「キーチェイン」は、ノスタルジックな雰囲気を帯びた疾走感のある失恋ソング。同EPには思い出や過去の記憶が多く歌われているが、同曲は「こうでありたい、こういうふうに見られたいといった理想に縛られながらロマンスをするとこうなるだろうなという想像」から生まれたという。淡々としたメロディに乗せて、望月の刹那的な歌詞世界が表現されている。
さらに5曲目の「Moonlight」は、アレンジも自身が手掛け、初めてトラックまでを担当したという意欲作。こだわりは自身の原点であるギターの弾き語りをベースに、「1人で考え事に夢中になっていると、他の音がまったく聞こえなくなる静けさをギターで表現した」ところ。詞の世界は、「もっとこの人のことを知りたい、魅力的だと思う気持ちとそれに対する不確かな気持ち」を表現した。大学4年時に米国・サンディエゴに留学して磨いた英語力を活かし、英詞でも自身の歌詞世界に彩りを添えている。
今後はアレンジも含め、「セルフプロデュースをより高めていく」と展望を語る望月。まずはその源となる「望月らしさ」あふれるこの1枚で、その可能性を確かめてほしい。
文・河上いつ子
<作品情報>
望月ヒナタ『365のハイライト』
2025年7月23日配信
https://jvcmusic.lnk.to/hinata_365
■「さんざん」MV:https://www.youtube.com/watch?v=GNSoJgqcnOI
■自分の「らしさ」をテーマに、22歳の現在地を詰めた5曲
ハスキーでありながら透明感のあるシルキーな歌声とジャンルレスなサウンドアプローチで独自の世界観を築き上げているシンガー・ソングライターの望月ヒナタ。その音楽の原点は、母の影響でピアノに親しみ始めた幼少期に遡る。その後、小学5年の時、誕生日が同じという理由でTaylor Swiftを知ったことをきっかけに、洋邦楽問わず、さまざまな音楽に興味を持つようになったという。そして、高校1年でアコースティックギターと出会ってからはカバー曲を中心に弾き語りを、宅録用のマイクを購入した大学2年からは本格的にオリジナル楽曲の制作をスタート。大学3年時には複数の楽曲コンペティションで入賞し、翌2024年夏には先述のオーディンションでグランプリを受賞。24年10月に初のデジタルシングル「Sunshine」を、今年2月にセカンドデジタルシングル「Bloom」をリリースした。
そんな望月が7月23日にリリースしたEP『365のハイライト』は、大学を卒業した今春から約2ヶ月間で制作した自身の現在地を示す5曲を収録。自身の内面と対話しながら生み出した歌詞世界と、原点である弾き語りをベースにさまざまなサウンドアプローチで作り上げた「自分らしさ」あふれる1枚となっている。
まず、「昨年は学生最後の年だったこともり、過去と未来の自分について考えることが多かった。これまでいろいろなことがあったけど、結局、最後は良かったことだけがハイライトとして残るからきっとこれからも大丈夫」という気持ちから生まれたのが1曲目に収録されている「さんざん」。こう聞くとポジティブな歌詞世界をイメージするが、望月の「自分らしさ」はさにあらず。ポップなサウンドに乗せながらも、挑戦と失敗を恐れる自分や周りと比較する自分、そこから生まれる不安や無気力について振り返りつつ、「思い描いた通りにならなかった時にこそ、予期せぬ楽しさや出会いに遭遇できるかもしれないからちょっと頑張ってみても面白いかも」とさりげなくコンフォートゾーンへと誘ってみせる。サウンドプロデューサーにはTAARを招き、4つ打ちのダンスサウンドが望月の過去と現在地、そしてまだ見ぬ不確かな未来を軽快に彩っている。
続く「Hands up」は、「歌詞がとても長いけれど、どこも削りたくなく、少しラップっぽくなった」というこちらも自身の「らしさ」全開の1曲。「もう大人なんだからとよく人は言うけれど、素直さとか繊細さとか好奇心とか、子どもっぽいところは捨てるべきではないと思っている。公園でかくれんぼして、5時のチャイムで家に帰る生活はもう二度と送れないけれど、あの頃の自分が今の自分を見てがっかりしないような姿であれば」という思いを表現したという。ギターの弾き語りとして自身が作った楽曲を、サウンドプロデューサーのmabanuaがアップビートでスタイリッシュに仕上げている。
■アレンジにも初挑戦 今後はセルフプロデュースにさらに尽力
表題となった「365のハイライト」は、「時には良い思い出だと思っていたことが、その後の出来事によって見方が変わってしまうことがある」という思いを綴ったバラード。MELRAWのアレンジによるリリカルでジャジーなピアノに、望月の透明感のある歌声が美しく際立ち、情感ある1曲となっている。
続く「キーチェイン」は、ノスタルジックな雰囲気を帯びた疾走感のある失恋ソング。同EPには思い出や過去の記憶が多く歌われているが、同曲は「こうでありたい、こういうふうに見られたいといった理想に縛られながらロマンスをするとこうなるだろうなという想像」から生まれたという。淡々としたメロディに乗せて、望月の刹那的な歌詞世界が表現されている。
さらに5曲目の「Moonlight」は、アレンジも自身が手掛け、初めてトラックまでを担当したという意欲作。こだわりは自身の原点であるギターの弾き語りをベースに、「1人で考え事に夢中になっていると、他の音がまったく聞こえなくなる静けさをギターで表現した」ところ。詞の世界は、「もっとこの人のことを知りたい、魅力的だと思う気持ちとそれに対する不確かな気持ち」を表現した。大学4年時に米国・サンディエゴに留学して磨いた英語力を活かし、英詞でも自身の歌詞世界に彩りを添えている。
今後はアレンジも含め、「セルフプロデュースをより高めていく」と展望を語る望月。まずはその源となる「望月らしさ」あふれるこの1枚で、その可能性を確かめてほしい。
文・河上いつ子
<作品情報>
望月ヒナタ『365のハイライト』
2025年7月23日配信
https://jvcmusic.lnk.to/hinata_365
■「さんざん」MV:https://www.youtube.com/watch?v=GNSoJgqcnOI
2025/07/23





