沢口靖子、長澤まさみ、浜辺美波らを輩出してきた『東宝シンデレラオーディション』に12歳で応募。第8回(2016年)で審査員特別賞・集英社賞(りぼん賞)を受賞して以降、俳優として歩みを進めていた井上音生(いのうえ・ねお)が、10月9日、シングル「あなたに恋をしている」で歌手デビューを飾った。きっかけは、ラジオから流れる井上の語り声に魅せられたレコード会社のプロデューサーからのラブコールだった。「エバーグリーンボイス」と名付けられた井上に、歌手デビューの話を受けたときの心境や今作にかける思い、今後の抱負を聞いた。
■ラジオから流れる声にプロデューサーが惚れこみ 俳優から歌手デビューへ
2018年、中江和久監督映画『嘘を愛する女』で俳優デビューを果たし、21年にはミュージカル『魔女の宅急便』で初主演に抜擢されるなど、女優として着実に歩みを進めてきた。歌手デビューへの道を切り開いたのは、18年よりレギュラーとしてパーソナリティーを務めている故郷・愛媛の南海放送のラジオ番組『井上音生のNEOラジ』がきっかけだった。土曜日の夜9時50分から10時まで10分間、東京から電話出演し、メインパーソナリティーの杉作J太郎氏とトークをしたり、リスナーからの質問に答えたりする井上の声に、徳間ジャパンのプロデューサー・田中孝氏が、歌手としての可能性を見出した。当時を振り返り、田中氏は語る。
「2年半くらい前、コロナ禍のことでした。深夜放送で育ったラジオ好きの私はradikoで故郷の放送局である南海放送の番組を聞くようになりまして、その中で、毎週『井上音生のNEOラジ』を聞いているうちに、ものすごくかわいくて癒される声だなと惹きつけられたんです。さらに、杉作さんとのトークでの受け答えとか、リスナーに話しかけるときの誠実さなど、彼女の人となりや人間性に触れるにつれ、この人はたくさんの人に愛されるだろうなと思い、歌手としての可能性を感じました」(田中氏)
長く音楽制作に携わってきた経験の中でも、「ラジオの声に惹かれてスカウトするのは初めてでした」と笑う田中氏。一方、ラブコールを受けた井上はというと……。
「歌手デビューはまったく考えになかったことだったので、本当に驚きました。でも、両親に勧められて『東宝シンデレラ』オーディションを受けたときもそうだったのですが、なんでもやってみようという気持ちが強いので、ぜひ、挑戦したいと思いましたし、家族も喜んでくれるだろうなと思って、すごくうれしかったです」(井上)
歌手デビューに向けて、まずはボイストレーニングをスタートしたという井上。
「ボイスレッスンは小学生のときにコーラス部に入っていたり、芸能界に入ってからはミュージカルで歌ってもいたので、大丈夫だろうと思っていました。でも、先生の前に立ったとき、緊張して全然声が出なくて。これで歌手デビューの話がなくなったらどうしようって不安になったほどでした(苦笑)。その後、トレーニングを重ねていくにつれて、自分の声の土台となる部分がしっかりしてきたなと思うようになりました」(井上)
その様子を間近で見ていた田中氏も言う。
「一番の懸念はラジオで感じた彼女の語り口や声の質の魅力が、歌として音階に乗ったときにも同じように出るかどうかでした。ボイストレーニングを始めてすぐは、正直不安な面もありましたが、ピタッとハマったときに、行けるぞ! と確信しました」(田中氏)
こうして完成したのが、井上の声の魅力を存分に生かしたポップナンバー「あなたに恋をしている」だった。
■デビュー作は声の魅力が存分に味わえる80年代歌謡曲をオマージュ
井上のピュアで透明感のある歌声をよりクローズアップするべく、80年代歌謡曲の雰囲気をオマージュした今作は、恋の始まりのドキドキやワクワクを描いた詞と、波のきらめきを感じさせるアレンジに乗せて、19歳の井上の未来に向かうきらめきを感じさせるラブソング。
「ボイストレーニングをしてくださった向井浩二先生に私の声に合わせて作っていただいたメロディーは、どこか懐かしさを感じて素敵だなと思いました。作詞の渡辺なつみ先生も、主人公の設定をしっかり作ってお話してくださり、両先生とは恋バナで盛り上がったりしながら、だんだん曲のイメージをふくらませていきました。でも、表情や動きで表現できるお芝居と違って、恋する主人公のワクワクや不安を歌声だけで表現しなくてはならないので、そこはすごく難しかったです」(井上)
カップリングには、ラジオパーソナリティーを主人公にしたポップソング「ラジオパーソナリティー」を収録。さらに、作詞家の渡辺なつみ氏が、「あなたに恋をしている」をショートストーリー化したボーナストラック「あなたに恋をしている〜恋のはじまり〜」も収録され、全編にわたって井上の語りを味わえる趣向となっている。
「ボーナストラックはラジオドラマ風になっているのですが、初めての挑戦だったのでとても緊張しました。ボーナストラックだけでなく、表題曲とカップリング曲にも短いセリフが入っているのですが、語りでは、皆さんをドキッとさせられたらと思いながら、いろいろな工夫を込めました。聴いてくださった皆さんが、どんなところが一番気に入ったか、聞いてみたいです」(井上)
癒し効果満点の井上の声は“エバーグリーンボイス”と称され、先行配信以降、早くも注目を集めているが、本人にとって、このキャッチフレーズは、「座右の銘になっている」という。
「エバーグリーンは“常に変わらない新鮮な緑”という意味があると思うので、私自身、ずっと変わらずに、私の声を初めて聞く方々が覚えた新鮮さを保ち続けたいですし、そう言われる声を大事に守っていかなければと思っています」(井上)
■果てしなく広がる可能性 「作詞作曲にも携わっていけたら」
一方、俳優としては、東京国際フォーラムで昨年上演された生配信舞台演劇ドラマ『あの夜であえたら』でニッポン放送のラジオパーソナリティー役を熱演。今年はNHK夜ドラ『VRおじさんの初恋』や、日比谷シアタークリエで上演されたミュージカル『ナビレラ』に出演するなど、着実に歩みを進めている。
「これまでと同じく今後も俳優を軸に、並行して歌手としても活動できたらと思っています。いつか、自分が出たドラマの主題歌を歌えたら、そんな夢も抱いています」(井上)
もちろん、歌手デビューを果たした今は、ソロライブも目標になっているという。
「緊張するとは思いますけど、皆さんに生の歌を届けられたらいいなって。今は、その日のために、いろいろなライブに出かけて、皆さんのステージを見ながら、MCの勉強もしています」(井上)
観劇鑑賞と茶道が趣味で、バレエ、乗馬、空手が特技。アニメ『銀魂』が大好きで、カラオケではアニソンやアップテンポの曲を歌うという面も持つ。一歩を踏み出したこの先、歌手としてはどんな理想像を描いているのだろう。
「一番好きなアーティストは椎名林檎さんなのですが、歌手としての私は、誰かのようにではなく、自分に一番合うものを出していけたらと思っています。『あなたに恋をしている』との出合いがそうだったように、これからどんな曲が私を待っているんだろうと思うとすごくワクワクしていますし、今後は、作詞作曲にも携わっていけたらと考えています。歌は自分の経験からできあがるものだと思うので、とにかくこれからたくさんの経験をしたい。一方向にとどまりたくない性格なので、これからもいろいろなことに挑戦して、表現者としての自分に活かせるよう頑張っていきたいと思います」(井上)
12歳でシンデレラストーリーを歩み始めた井上が、歌手という新たなステージでどんな成長をみせてくれるのか。まずは、その第一歩となる「あなたに恋をしている」の20歳の井上の歌声に、“エバーグリーン”な可能性を感じてほしい。
文・河上いつ子
<リリース情報>
井上音生「あなたに恋をしている」
発売日:2024年10月9日
品番:TKCA-75220/定価1500円(税込)
■収録曲
1. あなたに恋をしている
作詞:渡辺なつみ 作曲:向井浩二 編曲:若草 恵
2. ラジオパーソナリティ
作詞:近藤ナツコ 作曲:たかはしごう 編曲:たかはしごう
3. あなたに恋をしている〜恋のはじまり〜
作:渡辺なつみ 作曲:向井浩二 編曲:向井浩二
語り:井上音生 ピアノ演奏:向井浩二
4. あなたに恋をしている (オリジナル・カラオケ)
5. ラジオパーソナリティ (オリジナル・カラオケ)
■井上音生 公式サイト:https://www.toho-ent.co.jp/actor/1105
■ラジオから流れる声にプロデューサーが惚れこみ 俳優から歌手デビューへ
2018年、中江和久監督映画『嘘を愛する女』で俳優デビューを果たし、21年にはミュージカル『魔女の宅急便』で初主演に抜擢されるなど、女優として着実に歩みを進めてきた。歌手デビューへの道を切り開いたのは、18年よりレギュラーとしてパーソナリティーを務めている故郷・愛媛の南海放送のラジオ番組『井上音生のNEOラジ』がきっかけだった。土曜日の夜9時50分から10時まで10分間、東京から電話出演し、メインパーソナリティーの杉作J太郎氏とトークをしたり、リスナーからの質問に答えたりする井上の声に、徳間ジャパンのプロデューサー・田中孝氏が、歌手としての可能性を見出した。当時を振り返り、田中氏は語る。
「2年半くらい前、コロナ禍のことでした。深夜放送で育ったラジオ好きの私はradikoで故郷の放送局である南海放送の番組を聞くようになりまして、その中で、毎週『井上音生のNEOラジ』を聞いているうちに、ものすごくかわいくて癒される声だなと惹きつけられたんです。さらに、杉作さんとのトークでの受け答えとか、リスナーに話しかけるときの誠実さなど、彼女の人となりや人間性に触れるにつれ、この人はたくさんの人に愛されるだろうなと思い、歌手としての可能性を感じました」(田中氏)
長く音楽制作に携わってきた経験の中でも、「ラジオの声に惹かれてスカウトするのは初めてでした」と笑う田中氏。一方、ラブコールを受けた井上はというと……。
「歌手デビューはまったく考えになかったことだったので、本当に驚きました。でも、両親に勧められて『東宝シンデレラ』オーディションを受けたときもそうだったのですが、なんでもやってみようという気持ちが強いので、ぜひ、挑戦したいと思いましたし、家族も喜んでくれるだろうなと思って、すごくうれしかったです」(井上)
歌手デビューに向けて、まずはボイストレーニングをスタートしたという井上。
「ボイスレッスンは小学生のときにコーラス部に入っていたり、芸能界に入ってからはミュージカルで歌ってもいたので、大丈夫だろうと思っていました。でも、先生の前に立ったとき、緊張して全然声が出なくて。これで歌手デビューの話がなくなったらどうしようって不安になったほどでした(苦笑)。その後、トレーニングを重ねていくにつれて、自分の声の土台となる部分がしっかりしてきたなと思うようになりました」(井上)
その様子を間近で見ていた田中氏も言う。
「一番の懸念はラジオで感じた彼女の語り口や声の質の魅力が、歌として音階に乗ったときにも同じように出るかどうかでした。ボイストレーニングを始めてすぐは、正直不安な面もありましたが、ピタッとハマったときに、行けるぞ! と確信しました」(田中氏)
こうして完成したのが、井上の声の魅力を存分に生かしたポップナンバー「あなたに恋をしている」だった。
■デビュー作は声の魅力が存分に味わえる80年代歌謡曲をオマージュ
「ボイストレーニングをしてくださった向井浩二先生に私の声に合わせて作っていただいたメロディーは、どこか懐かしさを感じて素敵だなと思いました。作詞の渡辺なつみ先生も、主人公の設定をしっかり作ってお話してくださり、両先生とは恋バナで盛り上がったりしながら、だんだん曲のイメージをふくらませていきました。でも、表情や動きで表現できるお芝居と違って、恋する主人公のワクワクや不安を歌声だけで表現しなくてはならないので、そこはすごく難しかったです」(井上)
カップリングには、ラジオパーソナリティーを主人公にしたポップソング「ラジオパーソナリティー」を収録。さらに、作詞家の渡辺なつみ氏が、「あなたに恋をしている」をショートストーリー化したボーナストラック「あなたに恋をしている〜恋のはじまり〜」も収録され、全編にわたって井上の語りを味わえる趣向となっている。
「ボーナストラックはラジオドラマ風になっているのですが、初めての挑戦だったのでとても緊張しました。ボーナストラックだけでなく、表題曲とカップリング曲にも短いセリフが入っているのですが、語りでは、皆さんをドキッとさせられたらと思いながら、いろいろな工夫を込めました。聴いてくださった皆さんが、どんなところが一番気に入ったか、聞いてみたいです」(井上)
癒し効果満点の井上の声は“エバーグリーンボイス”と称され、先行配信以降、早くも注目を集めているが、本人にとって、このキャッチフレーズは、「座右の銘になっている」という。
「エバーグリーンは“常に変わらない新鮮な緑”という意味があると思うので、私自身、ずっと変わらずに、私の声を初めて聞く方々が覚えた新鮮さを保ち続けたいですし、そう言われる声を大事に守っていかなければと思っています」(井上)
■果てしなく広がる可能性 「作詞作曲にも携わっていけたら」
一方、俳優としては、東京国際フォーラムで昨年上演された生配信舞台演劇ドラマ『あの夜であえたら』でニッポン放送のラジオパーソナリティー役を熱演。今年はNHK夜ドラ『VRおじさんの初恋』や、日比谷シアタークリエで上演されたミュージカル『ナビレラ』に出演するなど、着実に歩みを進めている。
「これまでと同じく今後も俳優を軸に、並行して歌手としても活動できたらと思っています。いつか、自分が出たドラマの主題歌を歌えたら、そんな夢も抱いています」(井上)
もちろん、歌手デビューを果たした今は、ソロライブも目標になっているという。
「緊張するとは思いますけど、皆さんに生の歌を届けられたらいいなって。今は、その日のために、いろいろなライブに出かけて、皆さんのステージを見ながら、MCの勉強もしています」(井上)
観劇鑑賞と茶道が趣味で、バレエ、乗馬、空手が特技。アニメ『銀魂』が大好きで、カラオケではアニソンやアップテンポの曲を歌うという面も持つ。一歩を踏み出したこの先、歌手としてはどんな理想像を描いているのだろう。
「一番好きなアーティストは椎名林檎さんなのですが、歌手としての私は、誰かのようにではなく、自分に一番合うものを出していけたらと思っています。『あなたに恋をしている』との出合いがそうだったように、これからどんな曲が私を待っているんだろうと思うとすごくワクワクしていますし、今後は、作詞作曲にも携わっていけたらと考えています。歌は自分の経験からできあがるものだと思うので、とにかくこれからたくさんの経験をしたい。一方向にとどまりたくない性格なので、これからもいろいろなことに挑戦して、表現者としての自分に活かせるよう頑張っていきたいと思います」(井上)
12歳でシンデレラストーリーを歩み始めた井上が、歌手という新たなステージでどんな成長をみせてくれるのか。まずは、その第一歩となる「あなたに恋をしている」の20歳の井上の歌声に、“エバーグリーン”な可能性を感じてほしい。
文・河上いつ子
<リリース情報>
井上音生「あなたに恋をしている」
発売日:2024年10月9日
品番:TKCA-75220/定価1500円(税込)
■収録曲
1. あなたに恋をしている
作詞:渡辺なつみ 作曲:向井浩二 編曲:若草 恵
2. ラジオパーソナリティ
作詞:近藤ナツコ 作曲:たかはしごう 編曲:たかはしごう
3. あなたに恋をしている〜恋のはじまり〜
作:渡辺なつみ 作曲:向井浩二 編曲:向井浩二
語り:井上音生 ピアノ演奏:向井浩二
4. あなたに恋をしている (オリジナル・カラオケ)
5. ラジオパーソナリティ (オリジナル・カラオケ)
■井上音生 公式サイト:https://www.toho-ent.co.jp/actor/1105
2024/10/09





