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【インタビュー】家入レオ、通算13作目のドラマ主題歌「ワルツ」 芯の強さと光を感じさせる真っ直ぐな恋愛ソング

 家入レオ18枚目のシングル「ワルツ」が5月22日にリリースされた。ABCテレビ・テレビ朝日系連続ドラマ『ミス・ターゲット』の主題歌として書き下ろされた曲で、作詞・作曲を家入レオ自身が手がけた真っ直ぐな恋愛ソングだ。失恋の切なさを歌いながらも、どこか芯の強さと光を感じさせるミディアムバラードに仕上がっている。

ドラマ『ミス・ターゲット』の主題歌「ワルツ」をリリースした家入レオ

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■愛されるより、愛した時の方が 人間的に何倍も大きくなれる

――3年ぶりのドラマ主題歌は、どのようなイメージで作っていきましたか?

家入 ドラマ制作側からは、日曜日の夜10時放送ということで、「視聴者に、月曜日からまた頑張ろうと思っていただける曲を」という大きなメッセージをいただきました。そこで自分なら、どういう部分を観て「頑張ろう」と思えるか想像した時に、完璧な結婚詐欺師である主人公のすみれさんの本当は弱いところや人間らしい瞬間が見えた時にグッとくるんじゃないかな、と思ったんです。ラブコメディの要素もあると伺っていたので、「陽」の部分とは反対側の側面を音楽で担うことができたら、ドラマ全体の奥行きや立体感を生み出すお手伝いができるのではないかという想いからバラードにしました。

――具体的には、どのようなモチーフを広げていく作業だったのですか?

家入 すみれさんは結婚詐欺師で、愛のない相手にも思わせぶりな仕草をするけど、いざ本当に人を好きになった時に、自分で自分の気持ちがコントロール出来なくなるという描写をドラマのプロットで読んだんです。その時に、たとえ結婚詐欺師でも恋の前では、か弱く無防備なんだと、何か自分の人生とクロスするものを感じて。私が曲を作る時はいつも、自分の深層、心の階段を下っていくようにメロディを作っていくんです。形にならない心のモヤモヤ、霞がかった感情をメロディにして、それが出来上がったところで、気持ちの答えを言葉で探していくんです。その時、メロディと一緒に出てきた言葉はやはり一番強くて、今回、サビの冒頭部分はまさにそうでした。

――曲タイトルにもなっている「ワルツ」というキーワードはどのように生まれたのですか? 歌詞中には1度しか出てきませんが。

家入 誰かに恋をして、さよならした時、「出会わなければよかった」と苦しくなることが多かった中で、どうしてもそう思えない気持ちって、宝物のようにキラキラしていて。だから「恋は終わったけど、愛を続けてもいいよ」と自分自身に言えた時、自分のことを抱き締められるような感覚になったんです。でも、相手はもう次に向かって歩き出しているかもしれなくて、まるでずっと1人でダンスしているみたいだなと思ってタイトルを「ワルツ」にしました。でも実はメロディを作った段階でもう、仮タイトルを「ワルツ」にしていたんです。そこから逆に、どうして「ワルツ」という言葉が出てきたのかを考えて。答えは「ワルツ」なんだけど、どこにどんな言葉を埋めたらそうなるのか、穴埋め問題を解くような感覚で歌詞を書いていきました。その過程で、昔は一緒に踊っていたけど、今は1人で踊っているから「ワルツ」なのかなと思ったり。一種のセラピーのような作業でしたね(笑)。

――そうやって綴られた歌詞は、もちろん真っ直ぐな恋愛ソングですが、それと同時に男女間の恋愛に限らない、広い意味での愛にも通じる歌のようにも感じました。

家入 愛って突き詰めると、どんな人間関係にも生まれるもので、見返りを求めずに手放しで誰かを愛した時、それが受け入れられなければ傷つくけど、それでも自分をより深いものにしてくれるものだと思っていて。上手に言えませんが、愛されるより、愛した時の方が人間的に何倍も大きくなれる気がするんです。だから、自分にとって本当に大切な方を思い浮かべながら聴いてもらえたら嬉しいですね。そういう意味だと、実は今回、メロディを紡ぎながらデビュー当初にプロデュースしていただいた西尾(芳彦)先生を思い出したんです。もちろん足元にも及ばないですが、自分の中から出てきた言葉やメロディに、西尾先生味を感じる瞬間があって。あぁやっぱり私は音楽塾ヴォイスからはじまったよな、と。西尾先生だったらどうするかな、なんて言うかな。そうつい想像してしまう人がいるって本当に幸せなことで、恋愛でも、仕事でも、「この人がいたからこそ今の自分がある」と思える存在って、かけがえのない財産ですよね。

家入レオ「ワルツ」【通常盤】

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■聴く人の人生のサントラになりたい メインは人生を歩んでいく皆さんの物語

――昨年、苦しみながらもアルバム『Naked』を作り上げられたという経験が、そう思えるようになった1つの要因なのでしょうか

家入 もちろんです。音楽というか、人生に迷っていたんです。デビューしてからスペースシャトルに乗っているかのような目まぐるしい毎日で。高校を卒業して音楽一本になった時に、周りのみんなは学生生活で経験していることを私は経験できていなくて、そんな私が人の心に響く音楽を作れるのかなって、すごく迷ったんです。本も読んだし、映画も観たし、いろんな人に会ってみたけれど、全然不安や迷いが消えなくて、また深みにはまっていく。だけどようやく、そのすべてが自分の財産になった、と思える地点まで来れたので、結果良かったな、と。おこがましいですが魂の純度が上がったというか、「どういう人に自分の曲を届けたいのか?」という点が、より解像度が上がったような感覚です。

――苦悩すら自分の財産になったというお話は、まさに「ワルツ」の世界観に通じるものですね。

家入 上手く言えるかわからないのですが……、「かわいい人」という曲を一緒に作ってくださったシモリョーさん(the chef cooks me)と話していた時に、すごく心に響いたことがあって。牛丼のチェーン店に500円くらいの定食があるじゃないですか。栄養バランスも考えられていて、お手頃な価格で。でも海外で同じようなものを食べようとすると2000〜3000円もするんです。実際の物に見合う適正価格にするなら、日本でも値上げすればいいという話になりがちですが、シモリョーさんは「500〜600円の定食に救われている人たちのことを考えたら、自分は簡単に値上げすればいいとは言えない」と話していて。私、それを聞いて胸がいっぱいになって。いろんな視点で世界を見つめることの大切さについても考えたし、そういうものを歌にしたいと思ったんです。「ワルツ」は、もちろん自分の人生観や恋愛観を歌っていますが、夜が明けることはないんじゃないかって感じている人たちの毛布みたいな存在になりたいと思って歌いました。

――もう1つ、歌詞について伺います。要所で、「音」や「聞く」という言葉が印象的に使われていますが、それは何かをイメージしての表現なのでしょうか?

家入 そこはきっと、私の中に答えがあるのではなくて、聴いている方ご自身の中に、その言葉が心に残る何かがあったのだと思います。作り手の私がどうこうよりも、聴き手の皆さんの感性だったり、ご自身でも気が付いてないような気持ちだったり、感情に向かう何かがメロディや言葉に隠れているように感じていて。ですから、私の正解を聴いていただくというよりも、ご自身にとっての正解を探してほしいと思っています。私は常々、聴いてくださる方の人生のサントラになりたいと思っているんです。人生を歩んでいく皆さんの物語が主役で、そこに私の曲が流れていたら、それはとても幸せなことですし、聴いてくださる方の人生をドラマチックなものにしたり、寄り添ったりできるものが音楽だと思っています。

――実際に歌をレコーディングした際、印象に残った出来事はありましたか?

家入 曲を作り終えて、悲しく切ない想いでレコーディングブースに入ったら、自分でも不思議なんですが、自然と微笑をたたえながら歌っていたんです。それを聴いたスタッフの皆さんに「今のテイクが一番悲しく聴こえた」と言われて。大切な人とさよならするって、絶対に悲しいことじゃないですか。でも、それを微笑んで歌うことで、さらに深みを出せたのかなと思っています。もう1つ、部屋の隅で自分に歌っているような気持ちでレコーディングしました。言語化できない自分の気持ちを独り言のようにささやく感じ。ですから今回は、「歌う」というよりも、「心の声」に近い感覚だったように思います。

――カップリング曲「愛をあげる」についても、ぜひ話を聞かせてください。

家入 実はこの曲、去年のツアー中にXIIXの須藤(優)さんから「レオちゃんをイメージして作った」とLINEを受け取って。聴いてみたらすごく素敵な曲で、家入レオというものを、いろんな角度から理解してくださっているなと感じました。ちょっと小悪魔的というか、ハチャメチャなことを言うけど、その言動に引き付けられてしまうものがある主人公で。感情が変わりやすい女の子を楽しんで歌うことが出来ました。「ワルツ」は自分で書いたメロディと歌詞を自分で歌うという作り手の楽しさがあって、一方で「愛をあげる」は、歌い手として、すごく歌い甲斐を感じました。いただいた曲の主人公を肉付けして、キャラクターを立体化していくという創作もとても面白かったです。

――少し先ですが、秋から始まる全国ツアーでこの2曲が聴けることを楽しみにしています。

家入 ありがとうございます。去年はライブハウスツアーで、自由に音楽を楽しんでいただくスタンディング形式でしたが、今回はホールツアーなので、座って聴いても、立って聴いていただいてもいいですし、音の響きもライブハウスとは違ってきますので、より幅広い世代の方に来ていただけたら嬉しいなと、私も楽しみにしています。

文・布施雄一郎

<リリース情報>
家入レオ「ワルツ」
2024年5月22日リリース

【完全生産限定盤】CD+DVD
品番:VIZL-2321/価格:4,400円(税込)

<DVD収録内容>
『家入レオ 1stワンマンTOUR 〜LEO〜』のセットリストを完全再現・再構築した2023年2月恵比寿・LIQUID ROOMで開催した『家入レオ FanClub Live 2023〜Rebuild〜』の模様、全17曲・約120分を収録

家入レオ「ワルツ」【完全生産限定盤】

家入レオ「ワルツ」【完全生産限定盤】

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【初回限定盤】CD+DVD
品番:VIZL-2322/価格:2,200(税込)
<DVD収録内容>
「ワルツ」Music Video & Making Movie

家入レオ「ワルツ」【初回限定盤】

家入レオ「ワルツ」【初回限定盤】

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【通常盤】CD
品番:VICL-37738/価格:1,400(税込)

<CD収録内容>全盤共通
1. ワルツ
2. 愛をあげる
3. ワルツ(Instrumental)
4. 愛をあげる(Instrumental)

<ライブ情報>
■『家入レオ TOUR 2024』
10/12(土) 埼玉 三郷市文化会館
10/17(木) 大阪 オリックス劇場
10/19(土) 香川 サンポートホール高松 大ホール
10/26(土) 静岡 静岡市民文化会館 中ホール
11/4(月/振)愛知 愛知県芸術劇場 大ホール
11/7(木)  北海道 札幌市教育文化会館
11/15(金) 岡山 倉敷市芸文館
11/16(土) 山口 シンフォニア岩国 コンサートホール(山口県民文化ホールいわくに)
11/24(日) 宮城 トックネットホール仙台(仙台市民会館)
12/1(日)  福岡 福岡サンパレス ホテル&ホール
12/12(木) 東京 LINE CUBE SHIBUYA
12/13(金) 東京 LINE CUBE SHIBUYA

■家入レオ 公式サイト:https://www.leo-ieirimobile.com/

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