俳優の内博貴と松本幸大が11日、東京・有楽町のヒューリックホール東京で上演中の『日本昔ばなし 太宰治作品 お伽草紙より 舞台版「舌切雀」』に出演。この日はテーマ曲「LIFE」を歌う島津亜矢が出演する回となり、公演前に取材会が行われた。

【写真】その他の写真を見る

　本作は、文豪・太宰治が日本に伝わる昔話をもとに執筆した短編集『お伽草紙』に収録された「舌切雀」を原作とした舞台作品。18日まで同所で上演される。

　開幕から3日目を迎え、太宰治役の内は「僕自身、太宰治さんを演じるのは今回が3回目。またやらせていただけることへの喜びも感じつつ、とても伸び伸びとやらせていただいています」と充実した表情。役作りについても「お話が違うので当然ながら立ち位置などには変化がもちろんありますが」と前置きつつ、「自分の中の“太宰さん像”は変わらない」と自信をのぞかせた。

　松本は、太宰治が自分自身を投影したキャラクター・藤原一朗太役。太宰が書く物語の登場人物であるため、「お芝居で直接絡むことはないんですが、内くんが演じている太宰さんとリンクさせたいので、いろいろなことを吸収しながらやっています」と役作りのポイントを語る。

　具体的にどんなところを吸収しているのか問われると、「空気感、呼吸」と回答。「完全なマネになってしまうと面白みがなくなってしまうので、ある程度」としながら、「その日の内くんのセリフ回しを袖で聞きながら、そこに合わせていくようにしています」と伝えた。

　内も「一朗太と似たセリフを被せるシーンがあり、そこでは僕も幸大の息遣いを意識するようにしています。幸大も同じように僕の演技を見てくれていると知って、うれしくなりますね」と笑顔を見せた。

　また、内はテーマ曲「LIFE」について「レコーディングにも立ち会わせていただいて、すごく感動した」と明かし、「きょうまた生歌唱していただくのが楽しみ」と期待を口にした。

　同楽曲は後日期間限定のダウンロード配信が行われ、その収益の一部は能登半島地震に寄付される。松本は「本当に、言葉では表せないほどの大変さがあると思う。この作品とテーマ曲を通じて、少しでも元気やパワーを渡したい。しっかりと届けるためにも、僕は精いっぱい生きて、頑張っていくしかない」と思いを吐露。

　内は「僕自身、阪神淡路大震災で地震の怖さを感じている。身近な人が亡くなってしまう光景も見ているし、その怖さは今でも忘れない」と振り返り、「被災地のみなさんもきっと怖かったと思う」と寄り添いながら、「復興はまだまだこれから。ですから今は、作品を通じて、少しでもエールを贈れたらと思っています」と力を込めた。

　取材会にはこのほか、萬田久子、片岡鶴太郎が出席した。