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アンガールズ田中卓志“真面目に”笑いと向き合う日々 今なお“たぎる思い”

 アンガールズ田中卓志、47歳。広島で建築士を目指していたところから、ひょんなことがきっかけで芸人の道に歩み始めて23年。相方・山根良顕(47)とのショートネタ「ジャンガジャンガ」で“キモカワ芸人”として一世を風靡(ふうび)したが、昨年からはゴールデンで“先生”としてMCを務め、今年1月には結婚を発表するなど、うれしい話題が続いている。だが、田中は滾(たぎ)っている。「オードリーの若林も『大人になってから、そこまで怒れるって才能だよ』って言ってたなぁー(笑)」。

田中卓志 (C)ORICON NewS inc.

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■エッセイはネタ作りにリンク? “真面目さ”貫き今の立場へ

 自身初となるエッセイ集『ちょっと不運なほうが生活は楽しい』(新潮社)が、このほど刊行された。幼少期のエピソードから結婚の話まで、田中の足跡を秘話とともにたどれる1冊に仕上がった。「難しいことは書いていません。読んでいくと、どっかの話、どっかの感情では、皆さんと交わる瞬間があるのでは…と感じています。あとは、田中という人間が生きていく上で感じたものを、けっこうこと細かく書いています。ブサイク芸人というものの疑似体験ではないのですが、そういう人生をちょっと体感してもらって『まじかよ!』と思いながら、怖い物見たさで読んでいただけたらうれしいです」。

 「まえがき」では「この本に書いたことは紛れもない事実で、1ミリも脚色していないと冒頭に断言しておきます」とつづられているが、その言葉通り、いわゆる“港区女子”から受けた仕打ち、大学時代に“ヤンキー”にからまれた時のことなど「ウソのようなホントの話」がこれでもかと続く。最初のエッセイ「停電したなか卯で通じ合った」では、50代後半くらいのアルバイトのおじさんと、客が自分ひとりだけしかいない真夜中のなか卯で起こった出来事を、情景が浮かぶような筆致で見事に表現した。話の運び方は、ネタ作りの経験が生きているのだろうか。

 「それは絶対あります。話の構成とか、こうしていけばいくっていう部分は、組み立てみたいな部分は、ネタ作りに近いところもあるなと感じました。セットがない舞台でやる場合『ここはマイムで、こういう風にしといた方が伝わるか』とか、そういうことを常に考えて、ネタを書いていきますが、エッセイは文字で全部やんなきゃいけないなっていう風に途中で感じて。こういう感じを書いとかないと伝わんないかなとか、もう単純に、なか卯の中の構造もちゃんと伝わるように書かなきゃなとか考えました(笑)」

 “書く”という行為によって、自分の頭の中もクリアになってきた。「最終的には、自分がどういう感情で、このお笑いの世界にいるのかとかは、書いてみてわかりました。他の芸人さんと違う部分も明確になって、真面目に取り組みすぎているという部分は書いていくうちに感じました。そういうアプローチの仕方する人って、今でこそ、けっこういると思うんですけど、僕の時代ではかなり少ない方だったと思っていて…。違和感を覚えながら、ずっとお笑いの世界でやってきたなって、自分でも思います。ふざけなきゃいけないみたいなベースがあって、『真面目やなー』って言われたら終わり…みたいな世界でもあったりするじゃないですか。でも、なんか真面目なりに、お笑いというものにアプローチして、どういう結果になるかっていうのは、自分でも今まだやっている途中だし、その結果どういう風になるんだろうとか、そういう部分は面白いです」。

田中卓志 (C)ORICON NewS inc.

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■ジャンガジャンガ後に抱えていた苦悩 相方、妻との関係も告白

 こうした真面目な性格ゆえ、ジャンガジャンガでブレイクした後には苦悩も抱えていた。そうした思いもすべて書籍でさらけ出している。「どうやって芸人になるかもわかんないような時代だったんで。そういう意味では、お笑いを始めてみたいって思う人とか、芸人ってどういう職業のやり方をしてんだろうと思っている人にとっては疑似体験とか、そういう意味でも読んでいただけると、ちょっと空気感伝わるかなと思います」。

 もがきながら進んでいた当時、相方の山根はどのような反応だったのだろうかと向けてみると、体を前にせり出した。「ほけーっとしてましたね(笑)。どうなるわけでもないし…みたいな。どっか達観しているところがあって。オレと違うっていうか、真面目にやろうとしてないっていうか…。でも、それがいいっていうか、そういう感じなんです」。自身との温度差がきっかけでケンカになることもあったというが、ある境地に達した。

 「友だちなんだけど、やっぱり、もう仕事、一緒に仕事をやるようになってから、ビジネスパートナーっていう感じの方がかなり強かったですよ。だけど、山根から『アメトーーク!』で『友だちに戻りたい』みたいなことを言われて、言われたのはあの場だったのですが、感情の変化は、どっちかって言うと、年重ねて、ラジオをやって…みたいなところですかね。ポッドキャストをやらせてもらっているんですけど、そこで喋るようになっていくうちに…。完全2人でしゃべる場所があることで、ちょっと昔の友達の雰囲気に戻っていったなと感じます」

 友だちの感覚は、コンビとしてもプラスに働いている。「山根がどういうこと考えているかは、克明にわかるようになってきました。今までは、何考えてんのかなと、どうしたいのかなとかいう部分があったんですけど、山根のこういうとこが面白いっていう部分、輪郭・縁取りができてきて。そういう意味では、山根の面白さを再確認してるっていう、そういう感じはしています」。

 もうひとつ私生活で大きな変化があった。今年1月末の結婚だ。「家帰って、こういうことがあったよみたいなことをしゃべるじゃないですか。奥さんに。そういう時間がけっこう楽しいというか、すぐ反応が見られるっていうか…」と照れ笑いを浮かべる。「その日にあったこと、エピソードとかを奥さんにしゃべって、奥さんが笑ったら、けっこう面白かったんだと感じます。奥さん、面白くないこと笑わない人なんですよ。演劇とか一緒に見に行ったりもするんですけど、あそこは面白かったっていうところが近かったり、あそこはつまんなかったっていうところも近いです」。

 これまでのキャラクターが変わってしまうことも前向きに捉えている。「『やれモテない』とか、そういう仕事はなくなっていくかなという感じはあります。でも、不細工とかキモいとかは今でも言われていますし、いわゆる“モテない”ことを押し出した仕事はなくなったんですけど、それ以外のものが入ってきている感じはします。それじゃない部分のプラスがやっぱある。何かがなくなった時に、逆に入ってくるものもあるなという気持ちです」。

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  • 田中卓志 (C)ORICON NewS inc.
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