オリコンニュース

2000年代生まれのクリエイター4人が挑む、平成をテーマにしたプロジェクト【from00】始動

 2000年代生まれのクリエイターがA&Rとして、同じく2000年代生まれのアーティストとコラボし、その世代を体現する楽曲をゼロから生み出すプロジェクト【from00】。小学館の10代・Z世代向けコミュニティ&メディア『Steenz』とビクターエンタテインメントの新人開発部門のバックアップのもと、「あたらしい平成」をテーマに8曲を作りあげ、9月から順次配信リリースしていく。【from00】のA&Rを担った4人の素顔に迫り、楽曲制作について聞いた。

「新しい平成」をテーマに始動した音楽プロジェクト【from00】の4人のクリエイター

「新しい平成」をテーマに始動した音楽プロジェクト【from00】の4人のクリエイター

写真ページを見る

この記事の写真はこちら(全7枚)


■小学館の10代向けコミュニティ&メディア『Steenz』“気になる10代名鑑”に取りあげられた4人のクリエイター

Hata 僕はこれまで、基本的に1人で、自分の世界だけで完結するような音楽を作ってきました。でも活動を続けるうちに、「音楽って1人でできるものではないな」という実感がわいてきて、音楽活動をやめようかなと思っていたんです。ちょうどそのころ、『Steenz』のオフ会に行ってみたら、濃いキャラクターの人たちが集まっていて、かなり刺激を受けました。その場で、【from00】のプロジェクトがスタートすることを聞いたんです。プロジェクトに参加したら、自分と価値観が異なる面白い人たちと出会えそうだし、独りよがりにならず他者と共作でゼロから作りあげるという経験をしてみたいという思いが湧き上がって、「やります!」と手を挙げたんです。

ジャンルレス・ミュージックを追求するHata

ジャンルレス・ミュージックを追求するHata

写真ページを見る

 そう語るのは、中央大学で国際政策を学びながら、音楽活動を行っているHata。平成14年(2002年)生まれの21歳で、【from00】のリーダーだ。

渡辺青(以下、青) 【from00】という企画があると知って、即座に「やります!」と申し出ました。ただ、音楽を聴くのはとても好きなのですが、クリエイターとしては素人同然。こんな私がA&Rとして音楽を作るのは大変だろうなとは思ったものの、何かをクリエイトするという作業が好きなんですよね。これまで私が経験してきたジャンルとは違う世界だから、新しい思考の方法があるはずという期待もあって、立候補しました。

 ファッションの専門学校を卒業してから、WEBマガジンを立ち上げたり、友人とポッドキャストを始めたりと、さまざまな活動をしてきたという青は、平成15年(2003年)生まれの20歳。出版社やファッション関連会社への就職も視野に入れつつ、現在はフリーターとして活動している。

天方向日葵(以下、向日葵) 私も音楽はほぼ素人。そもそもA&Rという仕事内容も知らなくて…。でも、新しいことが好きなので、【from00】という企画を知った時に、面白そうだと直感したんです。クリエイターとして、制作の裏側を見ることで個人の活動にも活かせそうだなとも思いました。

60年代から70年代のUKロックを好んで聴く天方向日葵

60年代から70年代のUKロックを好んで聴く天方向日葵

写真ページを見る

 上智大学に通いながら、絵や立体、映像、パフォーマンスなど、マルチな創作活動や、「You(th)Rock!!」という団体に所属して環境問題や社会問題に関する執筆活動やイベント開催など、多方面で活躍する向日葵は、平成14年(2002年)生まれの21歳だ。

ぴぴみゅーじっく(以下、ぴぴ) インスタグラムやTikTokで、いま流行りのバンドなどを紹介するキュレーター活動をしていて、将来は音楽のプロモーションに関わる仕事に携わりたいと考えています。この企画を知った時は、学生のうちにA&Rを経験できるチャンスはそうそうないだろうと感じて、やってみたいと思いました。一方で、僕はいまの音楽に通じている自信はあるものの、平成の音楽シーンには疎いんですよね。そこが心配ではありましたが、A&Rに大きな魅力を感じて立候補しました。

 専門学校で音楽のマネージメントを学ぶ、ぴぴみゅーじっくは、平成15年(2003年)生まれの20歳。インスタグラムとTikTokでそれぞれ3.5万人ものフォロワーを持つインフルエンサーとしての一面を持つ。

 これまでの活動内容やバックグラウンドも異なる4人のA&Rは、音楽の好みもそれぞれだ。

ぴぴ 好きな音楽は令和のJポップやJロック。特に新人アーティストのライブに行くのが好きで、下北沢のライブハウスなどによく通っています。いま注目しているのは、chef's(シェフズ)という4人組バンド。メンバーが全員調理師のような衣装を着てライブを開催している、女性ボーカルのバンドです。

将来は音楽のプロモーションに係る仕事がしたいというぴぴみゅーじっく

将来は音楽のプロモーションに係る仕事がしたいというぴぴみゅーじっく

写真ページを見る

向日葵 私は高校生のときに、ビートルズの音楽に出合って以来、彼らのファンで、60年代から70年代のUKロックを好んで聴いています。ほかにも、ヒップホップやオルタナティブロック、レゲエから発展したダブのような民族的な音楽や邦楽など、ジャンルにこだわらずに聴いていますが、やっぱり60年代から70年代の音楽がいちばんしびれますね。

Hata もともとクラシックピアノを習っていたこともあって、ピアニストが作る音楽が好きですね。日本の音楽であれば久石譲さんや坂本龍一さんの音楽が好きです。ジャズだったらビル・エバンスばかり聴いています。

青 サブスク世代ということもあるからか、その時々で好きな音楽が変わるんですよね(笑)。いまだったらニューヨーク発の若手コレクティブバンドのMICHELLEや、今年のフジロックで聴いたカラコロムの山々、イギリスで活動しているHighSchoolというバンドがお気に入りです。フジロックでは、ルイス・コールも印象に残っています。アイドルの音楽も好きですし、クラシックも、ジャズも、前衛音楽も聴きます。まさにジャンルレスです。

 そんな個性的な4人が集まり、提示されたのは「あたらしい平成」というテーマ。

向日葵 まず思ったのは難しそうだなということ。私たちは、平成を語るには知らなすぎるし、懐かしいと思うには近すぎる…。私は古い曲を好んで聴くのですが、それは当時その曲を作った人がどう考えていたのか、世界をどう見ていたかがわかるから。いまを生きる私たちが、少し昔をテーマにして良い作品ができるのかなと、最初は少し不安に思いました。

ぴぴ 僕も、平成の時代に流れていた曲を知らなくて、どんな音楽を作ったらいいのか、想像もつきませんでした。だから平成の画像とかCMとか、雰囲気がわかるものをいろいろ調べたりしました。

青 Y2K(Year2000)が流行しているので、そこからインスピレーションを受けてのテーマかなと思いました。同時に、私自身平成生まれですし、そんなに古い時代ではなく、「この前じゃん」という感覚です。だから平成を時代として捉えるというのが、ちょっと新しいと思いました。

WEBマガジンやポッドキャストなど常に新しいものにチャレンジする渡辺青

WEBマガジンやポッドキャストなど常に新しいものにチャレンジする渡辺青

写真ページを見る

Hata 最近、昭和のシティポップ・リバイバルという言葉をよく聞きますが、「そろそろやりつくされた感がある」と感じていて、次にリバイバルでブームになるのは何だろうと考えていた矢先に、このテーマを聞ききました。「次のムーブメントを曲に取り入れたい」と考えながら、音楽をやめようという思いもあり、個人的にはこのテーマはドンピシャでした。

■キーワードは「アナログな青春」 アーティストと連携して作りあげたスペシャルエディション

 テーマが提示されてから、4人の話し合いで8つの楽曲制作が進められた。まず4人が取りかかったのは楽曲のコンセプト作成だ。「あたらしい平成」というテーマから「アナログな青春」というキーワードを導き出し、寝る間を惜しんで連日のようにオンライン会議で話し合い、アーティストにイメージを伝えるためのプレゼンテーション資料を作成した。

Hata 僕が担当したアーティストは3組。それぞれに資料を提示しつつ、プレゼンしました。柴田悠来さんをフィーチャーした「晩夏のはなし」は、柴田さんのピアノの音色が際立ちながらも、平成の夏休みや花火、部活動の声が聴こえてくるようなインストゥルメンタルナンバー。The Bee’s Kneesをフィーチャーした「ダーウィンに告ぐ」は、60年代から70年代のUKロックの香りが漂いつつ、どこか「平成ってこんな曲あったよな!」と思わせるサウンドに仕上がっています。そして、ボカロPとして活躍するikarunさんをフィーチャーした「ANOTOPIA」は、平成のボカロ曲を彷彿させる音と展開で魅せる楽曲。ボカロに対する知見が広いikarunさんは、EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)を得意としていて、平成っぽさとEDMの混ぜ具合が実に見事な1曲となりました!

向日葵 私は、深夜枠という兄妹ユニットをフィーチャーした「君の口ずさむ詩」を担当しました。2人にプレゼンしたら、コンポーザーを務める兄のAyatoさんから「僕にとっての“アナログな青春”は、コロナ以前の、オンライン授業がない学校生活だ」という話がありました。そのころの日常を切り取りながらも、深夜枠が持つ純粋さとエネルギーがギュッと詰まった曲になっています。

青 私が担当したアーティストは3組。「1杯の酔える音楽を」というコンセプトで活動するギターレスの3ピースバンド・ココラシカをフィーチャーした「恋よ、踊り出せ」は、「平成がいまよりもっと人々が純粋だったんじゃないか」という視点から作った曲。普遍的なラブについて歌う、ノリのいい曲になっています。現代のポップスシーンのど真ん中にいるような楽曲を発表している、かしむさんをフィーチャーした「半心浴days」のコンセプトは、“対話”。グルーヴィーなバイブスを持った彼女のボーカルが心地いい曲に仕上がりました。そして、ボカロPの大本悦司さんをフィーチャーした「変わる」は、美しい日本語で繊細な心情が描かれながらも、ところどころにエッジが効いたオシャレな曲。「変わるものと変わらないものがあって、その両方を大事にしたい」という思いが込められています。

4人がそれぞれの得意分野を活かし、互いに意見を出し合った

4人がそれぞれの得意分野を活かし、互いに意見を出し合った

写真ページを見る

ぴぴ 僕が担当したのは、涼井夕映さんをフィーチャーした「煙る、倒影の」。資料を見せつつ涼井さんにプレゼンしたら、「平成やアナログな世界を考えると、別れの距離が遠く感じたり、別れたときのダメージがいまより大きかったりするイメージ」というリアクションがありました。メロディに関しては、前衛音楽のようなジャンルレスなものでありながら、彼女の曲のファン以外の人にも届けたいと思ったので、少しずつこちらから注文を入れて、ブラッシュアップしていきました。

 制作途中の段階で、互いに担当する曲を共有して話し合っていた4人。ミーティングで出し合った意見を、担当アーティストに伝え、曲を仕上げていったという。

向日葵 私や青ちゃんは音楽制作の経験がないので、Hataやぴぴにアドバイスを仰ぎました。特にHataはリーダーとして全アーティストの曲を聴いて、フォローするという役目を自ら負ってくれて、とても助かりましたね。

青 音楽制作のノウハウを知らないので、どうしても抽象的な言葉でアーティストとコミュニケーションをとってしまいがちだったのですが、そんなときにHataとぴぴが具体的な提案をしてくれました。担当アーティストの方々も、私のつたない話をくみ取って、素敵な曲に仕上げてくださいました。

ぴぴ 涼井夕映さんは少し難解な曲を作る方。こちらの注文をどのように伝えたらいいだろうかと、4人が持っている知識を総動員しながらコミュニケーションを図りました。

Hata 音楽の趣向が異なる4人のA&Rが担当アーティストとマンツーマンで楽曲を作っていくと、どうしても凝り固まってしまうと思ったんです。僕とぴぴはもともと楽器の経験があるので、僕たちができるアドバイスはしつつ、ミーティングでは4人均等に意見を出すように進めていきました。アーティストは自分の内面をさらけ出して曲や詞を紡いでいます。A&Rはその楽曲を取り扱うわけで、アーティストに対して誠意をもって信頼関係を築きながら、大切な楽曲を練り上げていかなければならないと、今回のプロジェクトを通して実感しました。この先も、さまざまな人たちと素晴らしい関係性を作りあげることができるなら、チャレンジしていきたいと思います。

「でき上がった8曲は、各アーティストの特長が詰まった自信作」「それぞれのアーティストのこれまでの曲とは違う、スペシャルエディションになった」と語る4人の満足そうな表情が印象的だ。だが、A&Rの仕事は道半ば。良い曲ができたからこそ、これらの曲を多くの人たちに届けるにはどうすればよいかという試行錯誤は続く。4人のチャレンジに期待しよう。

文・森中要子

2000年代生まれのクリエイターがA&Rとして楽曲制作に挑むプロジェクト【from00】

2000年代生まれのクリエイターがA&Rとして楽曲制作に挑むプロジェクト【from00】

写真ページを見る

■配信リリース情報
「晩夏のはなし」from00 feat.柴田 悠来(9月27日リリース)
「君の口ずさむ詩」from00 feat.深夜枠(9月27日リリース)
「恋よ、踊り出せ」from00 feat.ココラシカ(10月4日リリース)
「半心浴days」from00 feat.かしむ(10月4日リリース)
「ダーウィンに告ぐ」from00 feat.The Bee’s Knees(10月11日リリース)
「ANOTOPIA」from00 feat.Ikarun(10月11日リリース)
「変わる」from00 feat.大本悦司(10月18日リリース)
「煙る、倒影の」from00 feat.涼井夕映(10月18日リリース)

from00 AL『スクランブル』(10月25日リリース)
M1 「晩夏のはなし」from00 feat.柴田 悠来
M2 「君の口ずさむ詩」from00 feat.深夜枠
M3 「恋よ、踊りだせ」from00 feat.ココラシカ
M4 「ダーウィンに告ぐ」from00 feat.The Bee’s Knees
M5 「半心浴days」from00 feat.かしむ
M6 「変わる」from00 feat.大本悦司
M7 「ANOTOPIA」from00 feat.ikarun
M8 「煙る、倒影の」from00 feat.涼井夕映

【from00】Instagram:https://instagram.com/_from00
【from00】TikTok :https://www.tiktok.com/@from00_
オリコンニュースを優先ソースに追加してGoogle検索に頻繁に表示させよう

関連写真

  • 「新しい平成」をテーマに始動した音楽プロジェクト【from00】の4人のクリエイター
  • ジャンルレス・ミュージックを追求するHata
  • WEBマガジンやポッドキャストなど常に新しいものにチャレンジする渡辺青
  • 60年代から70年代のUKロックを好んで聴く天方向日葵
  • 将来は音楽のプロモーションに係る仕事がしたいというぴぴみゅーじっく
  • 2000年代生まれのクリエイターがA&Rとして楽曲制作に挑むプロジェクト【from00】
  • 4人がそれぞれの得意分野を活かし、互いに意見を出し合った

オリコントピックス

求人特集

求人検索

デイリーCDアルバムランキング2026年07月01日付

  1. 7TH YEAR:A Moment of Stillness in the Thorns

    1位7TH YEAR:A Moment of Stillness in the Thorns

    TOMORROW X TOGETHER

    発売日:2026.04.14

  2. TA13OO

    2位TA13OO

    浦島坂田船

    発売日:2026.07.01

  3. Portfolio

    3位Portfolio

    NiziU

    発売日:2026.07.01

    1. 4位以下を見る

  • オリコンニュースを優先ソースに追加してGoogle検索に頻繁に表示させよう

メニューを閉じる

 を検索