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Snow Man、東方神起らの振付でも話題、世界で活躍中s**t kingzの“見るダンス映像アルバム”って? ダンスシーンの変化も明かす

 アメリカ最大のダンスコンテスト『BODY ROCK』で2年連続優勝。Snow Man三浦大知BLACKPINK東方神起ら国内外の一流アーティストの振付を手掛けるなど、シーンをけん引し続けている4人組のダンスパフォーマンスグループs**t kingz(シットキングス)。彼らが9月8日、ダンサー発として異例の全曲オリジナル楽曲で作り上げた〈見るダンス映像アルバム(=見るバム)〉第2弾『踊救急箱(オドキュウキュウバコ)』をリリースする。“ダンスが主役”である本作の制作秘話から、10月に挑むダンサー史上初の日本武道館単独ライブのこと、さらにここ数年のダンサーを取り巻く環境の変化まで、結成15年を迎えた4人に聞いた。

s**t kingz(シットキングス) 写真/草刈雅之

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■“見るバム”制作のきっかけはコロナ禍「自分たちには何も出せるものがないことを痛感」

 ダンスというと、先に楽曲が存在し、その音楽や歌詞のイメージから振り付けを行っていくのが一般的。特に日本では、歌や曲ありきで、それを盛り上げるためのものというイメージが根強い。だが、s**t kingzが掲げたのは、既にある歌・曲にダンスを振り付けるのではなく、ダンスを見せることをコンセプトに楽曲をゼロから作り上げていこうというもの。2021年1月に発売したダンサー発の映像アルバム『FLYING FIRST PENGUIN』は、このユニークなアイデアを具現化。彼らをこの異例の試みへと踏み出させたのはコロナ禍がきっかけだった。

Oguri】それまで自分たちが行ってきたダンスは、すべて既存の他者の楽曲に対して振りをつけるものだったために、著作権問題などがあってSNS公開や映像販売が自由にできませんでした。コロナ禍、自粛期間中にライブ映像などを特別配信するアーティストたちが増えるなか、自分たちには何も出せるものがないということを痛感し、自分たちが魂を込めて作ったダンス表現を形に残し、たくさんの人に見てもらうためには、楽曲から作るべきだろうと考えました。

 この挑戦が業界内においてどれほど斬新で覚悟のいることだったかは、タイトルに表れている。“ファーストペンギン”とは、ペンギンの群れの中で天敵がいるかもしれない海へ魚を求めて最初に飛び込むペンギンのこと。そのことから、リスクを恐れず初めてのことに挑戦する人のことを指す言葉として知られている。さらに、そこに“フライング”を付けることで、本来、飛べない鳥であるペンギンが“飛ぶ”=不可能を可能にしていきたいという思いも込めたという。この異色作は、業界内外で好評を博し、ダンサーの可能性を大きく拡げた。

■三浦大知とのコラボ曲は『ドラゴンボール』の世界観「神と神がぶつかり合っている曲を作りたい」

取材風景(shojiとkazuki) 写真/草刈雅之

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しかし、ダンスを見せることをメインに、ゼロから楽曲を作り上げるとはどういうことなのか。9月8日発売の“見るバム”第2弾『踊救急箱』に収録されている三浦大知とのコラボレーション楽曲「No End feat.三浦大知」を例にその手法を聞いてみた。

shoji】まず、どういう曲を作りたいのか、表現したいコンセプトを大知くんに伝えました。その後、作曲家であり音楽プロデューサーのUTAさんのスタジオで、大知くんが「こういうメロディーがいいんじゃないか」と歌ったり、Oguriが「こういうギターのフレーズがいいんじゃないか」と口三味線で奏でたり、みんなでいろいろなアイデアを出し合って、トラックを作っていきました。

 主役となるダンスについては、まだその時点では具体的な振りまでは詰めていないそう。

kazuki】最初の音作りの段階では、この振りを踊りたいからこういうメロディーにということは考えていません。それよりも、たとえば『No End』は最初静かに始まって、急に一気に盛り上がる感じになっていますが、そんなふうに楽曲の大きな展開として、どうしたらダンス的にカッコイイかを考えながら、曲を作っていきました。

 その後、三浦が歌詞をつけ、そのイメージをメンバーと共有しながら振り付けも敢行。最終調整となるミックス作業では、さらにブラッシュアップを加えて、主役となるダンスを引き立てる楽曲へと仕上げたという。

【shoji】ダンスを見せるために「ここは大知くんの声はなくして楽器だけにしよう」とか、ダンスをより際立たせるために「この音をもっと効かせよう」など調整を加えました。

 三浦とひとつの楽曲を作り上げたこの時間は、さながら「『ドラゴンボール』の世界だった」と4人は笑う。

【kazuki】大知ってダンスボーカルのジャンルではすごい神だと思うし、自分たちでいうのも何ですが、s**t kingzもダンス界ではいろいろやってきている神的存在ということで(笑)、最初に大知との打ち合わせの時に、神と神が協力するんじゃなくて、ぶつかりあったような楽曲を作りたいねと話したんです。『ドラゴンボール』ってすごい強い人たち同士がぶつかったら、異次元になるじゃないですか。あの感じにしたいねって。

■個々プロデュース楽曲でもやりたいことに挑戦「このメンバーなら高いクオリティで自分の好きなことができる」

取材風景(OguriとNOPPO) 写真/草刈雅之

取材風景(OguriとNOPPO) 写真/草刈雅之

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ちなみに、「No End feat.三浦大知」も収録された『踊救急箱』のタイトルは、9月から開催している全国7都市を巡るライブツアー『踊ピポ』にちなんでつけられたもの。一家に1枚常備してほしいという気持ちが込められているという。

【shoji】『踊ピポ』は、宇宙光線〈オドレナクナール〉の影響で日本中のみんなが踊れなくなってしまったなか、僕らが〈日本中のみんなを踊らせに行く〉というイメージでつけたツアータイトルでした。そのツアーのために作ったアルバムだったので、踊れなくなった皆のための救急箱というタイトルをつけました。みんなが思わず踊りたくなるような内容になっていますし、その日の気分に合わせて選べるように、いろいろな種類の楽曲が入っています。

 本アルバムでは、三浦のほか在日ファンクなど数々のアーティストとコラボレーションして楽曲を制作。本作で初めてメンバー4人が各自、楽曲制作から映像制作までソロでプロデュースした作品も収録し、例えばkazukiは、多国籍音楽集団・ALIのボーカル・LEOとコラボして、“サビで踊らない”をテーマにタオルを回す振りに初挑戦した。

【kazuki】歌は照明が暗くても成り立ちますが、ダンスは視覚に訴えるものなので、ステージ上は常に照明を明るく入れることが必要。その代わり映えしない光景をどうにかできないかとずっと考えていました。暗がりの中で演奏しているバンドのライブとか、めちゃくちゃカッコイイじゃないですか。あんなふうな作品がダンスで作れたらと考え、今回、LEOくんと初コラボして挑戦してみました。

 その言葉どおり、個々が今、やりたいことに果敢に挑戦できるのが、s**t kingzらしさであり、s**t kingzならではのよう。

【shoji】他のアーティストの振付をするときは、グループ全体のレベルのバランスを取ったり、「歌っている子を目立つ位置にしなければいけない」とか、いろいろ制約がありますが、s**t kingzだったらアイデアが突っ走ってもなんでも対応できます。

NOPPO】s**t kingzの3人が踊ってくれるのだから、高いクオリティで自分の好きなことや、やりたいことを実験できます。

 2枚のアルバム(=見るバム)を通じて、オリジナル楽曲を手に入れたことで、そのパワーはますます炸裂。ライブそのものも大きく変わったと4人は語る。

【kazuki】数年前までは、いろいろなカバー曲でダンスをしないとライブの尺が余って仕方ありませんでした。そんなに喋るわけにもいかないし、つなぎの映像も予算の都合上たくさんは作れませんからね。それが自分たちのオリジナルだけでツアーができるようになって、さらに楽曲が増えたおかげで時間が足りないくらいやりたいことが溢れるようになって、ホント、贅沢だなって思います。

■実感するダンサーを取り巻く環境の変化「歌わずに踊るグループが単独でステージに立てることになった」

見るダンス映像アルバム 第2弾『踊救急箱』

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そんな自分たちの歩みと並行して、ダンサーを取り巻く環境もここ数年で大きく変わったと実感しているという。

【kazuki】僕たちが歌番組や音楽フェスに出演させていただいているように、歌わずに踊るグループが、単独でいろいろなステージに立てるようになったのはすごい変化だと思います。また、ダンサーというと、ショーに出演するとか、アーティストの後ろで踊るとか、レッスンスタジオで雇われて教えるなど、オファーを受けなければ仕事がありませんでしたが、今は、オンラインでレッスンをする人や自分でワークショップを開く人、単独公演をする人も増えるなど、ダンスが自分から発信できるものになったことも大きな変化だと思います。

 こうしたダンサーを取り巻く変化も、彼らがトップランカーとしてシーンをけん引してきたからこそ。約2カ月後の10月25日には、ダンサーとして初の武道館単独ライブを実現。ダンサーの可能性を拡げる新たな扉を、4人はまた開いていく。

【shoji】ちょうどYouTubeが流行し始めたころ、僕らはアメリカのダンスコンテストで優勝し、それをきっかけに世界中の人たちが僕らを知ってくれて、世界中を回らせてもらった。その後もちょうど時代の転換期にいた僕らは、ダンサー初のことをいっぱい体験させてもらえました。その幸せを実感しているので、僕らが開けた扉から、若いダンサーたちが今後、どんどん出ていけるようにしていきたいですね。
 あと今回、武道館という大きなステージに立たせていただけることになりましたし、s**t kingzがいるからこんなことができたということも目指していきたいので、将来的にはいろいろなダンサーたちを巻き込んだワクワクするような大きいイベントをやりたいねということもメンバー間では話しています。とにかく、その時代その時代に面白いと思うことを感覚にしたがってやっていきたいと思います。

 ちなみに武道館では、「これ生で見れるんだ!いう痺れるパフォーマンス」も用意しているそう。数々の不可能を可能にしていくs**t kingzの挑戦から今後も目が離せない。

取材・文/河上いつ子
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