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三石琴乃「美少女戦士セーラームーン」30年経て得た“強さ” 水樹奈々は初対談に感無量「リスペクトしかない」

 人気アニメ「美少女戦士セーラームーン」の物語の最終章を描く新作映画、劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」が、前後編(≪前編≫上映中、≪後編≫6月30日)で公開される。1992年スタートのテレビアニメシリーズから約30年にわたりエターナルセーラームーン/月野うさぎを演じてきた三石琴乃と、今作に登場する謎のプリンセス・セーラー火球/火球皇女(かきゅうこうじょ)役の水樹奈々に、最終章を演じての感想やアフレコでのエピソード、「美少女戦士セーラームーン」への想いを語ってもらった。

(左から)水樹奈々、三石琴乃=撮影:田中達晃(Pash) (C)ORICON NewS inc.

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■劇場版の月野うさぎは「“強く”なった」

 本作は2021年に公開された劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」の続編。「美少女戦士セーラームーン」シリーズの最終章となる<シャドウ・ギャラクティカ>編を描く。

 新たなる敵“シャドウ・ギャラクティカ”が出現し、次々と仲間が狙われていく中、セーラームーンたちが再び戦いに身を投じていくストーリーで、最強の敵を前に「なんのために戦うのか」、自らに課せられた使命と葛藤しながらも立ち向かっていく、セーラー戦士たちの最後の物語となる。

――1992年のテレビシリーズを皮切りに、三石さんはおよそ30年にわたり演じてきた「美少女戦士セーラームーン」シリーズで、今回、原作準拠の最終章を演じるにあたり、どのような思いがありますか。

三石琴乃=撮影:田中達晃(Pash) (C)ORICON NewS inc.

三石琴乃=撮影:田中達晃(Pash) (C)ORICON NewS inc.

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【三石】 原作準拠のお話として初めて体験する最終章なのですが、今までの「Crystal」シリーズよりも、歯を食いしばって涙を流しながらではありますが、うさぎちゃんが“強く”なった気がしますね。

――どのあたりに“強さ”を感じたのでしょうか。

【三石】 もちろんパワーが強いというわけではありません。彼女はおっちょこちょいでお勉強も苦手な女の子で、助けてくれる周りの人の愛を受け取ったりそれに応えたり、愛し愛されという人がたくさんいるんです。その大事な仲間たちを取り戻すために強くなれた。そんな自分を自分で信じられているところが、言葉で言うと強くなれたことかなと。勧善懲悪で、敵・味方、善・悪で戦う強さとは質が違う戦い方をしていると思います。

【水樹】 まさにそうだと思います。

――水樹さんは、ご自身が「子供の頃から大好きだった」という憧れの「美少女戦士セーラームーン」に“満を持して”の出演で、三石さんと共演されました。率直な感想を聞かせてください。

【水樹】 本当に光栄です。大好きで原作もアニメも拝見していて…、まさか自分がセーラー戦士になれる日が来るなんて! そして三石さんと掛け合いさせていただけるなんて! 本当にありがとうございます。

【三石】 各方面で活躍されて実績も作っている奈々ちゃんの存在はもちろん知っていますが、こうやってしっかりお話するのも、がっつり共演するのも初めて。ありがとう。

【水樹】 こうやってお話させていただき、しかも大好きで思い入れのある作品に関わらせていただけて、もう幸せしかありません。

――物語の最終章を描く作品で共演というのもグッとくるのでは?

【水樹】 きっとこの先もうさぎちゃんたちの物語は続いていくと思いますが、一旦ここで一区切りという大事な部分。しかもキーになるキンモク星チームのプリンセスを演じるのはプレッシャーがありました。好きで見ていた当時の空気をきっちり細胞にしみ込ませつつ、今回の新たな台本から受け取ったメッセージをしっかり届けられるよう、愛を込めて一言一言を大切に演じさせていただきました。

■三石、林原めぐみとのアフレコは「ガチンコ対決」 水樹、火球皇女は「気持ちをストレートに」

――水樹さんが演じられている火球皇女は、恋人を失ったつらい過去を持ちながらも気高さが際立つプリンセスだと思います。難しさなどはありましたか?

水樹奈々=撮影:田中達晃(Pash) (C)ORICON NewS inc.

水樹奈々=撮影:田中達晃(Pash) (C)ORICON NewS inc.

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【水樹】 あれこれ考えるのではなく、台本を読んで受け取った気持ちをストレートに表現しようと意識しました。「プリンセスとは」「火球とは」と考えすぎると、“狙ったお芝居”になってしまう気がして。奥ゆかしさや気高さはもちろんありますが、星を追われ大切な人を失いながらも、世界のために今自分ができることをと、覚悟を決め立ち向かう姿をしっかり演じたいと思いました。そして、とてつもないパワーを持つ相手に体当たりでぶつかっていく姿勢は、実際に自分が大好きなこの作品に全力で臨む気持ちとリンクするところもあって。とにかく全力で演じさせていただきました。

――「憧れの変身シーンは、気合満点です!」と印象的なコメントもされていましたが、思いの詰まった変身シーンはどんな点に注目してほしいでしょうか。

【水樹】 いつもは守られているプリンセスが、仲間のピンチに、命懸けで切り込んでいく覚悟を決めた変身。大好きな人達と世界を守りたいという愛を放出して演じさせていただきました! ただ力が入りすぎると、今初めて変身しますという空気が出て、火球皇女というキャラクターを逸脱してしまうと感じて。私にとっては初めての変身ですけど(笑)。火球はこれまでも変身して戦士として戦ってきたはずなので、屈することのない芯の強さとしなやかさを意識しました。

――今作では林原めぐみさんも、銀河征服を目論むシャドウ・ギャラクティカの頂点に君臨するセーラー戦士にして最強の敵、セーラーギャラクシアという重要な役どころを担います。三石さんは林原さんとアフレコをされてみていかがでしたか。

【三石】 コロナ禍での収録でしたが、幸いなことに林原さん、タキシード仮面役の野島(健児)君、ちびうさ役の福圓(美里)ちゃんとは、それぞれのシーンで一緒に録ることができました。最後のシーンは2人の想いがぶつかるガチンコ対決。「星が生まれて育つ」という表現が作中に何回も出てきますが、ギャラクシアは生まれたところや境遇が悪かったなと思うと、下手したらセーラームーンだって破壊の戦士になったかもしれない。それぞれ背負ってきたもののぶつかりあいだったので過去や想いをまといながら、スタジオの中では静粛な感じで収録していました

――皆さんの演技やキャラクターとしての感情は高まりつつも静かな雰囲気というのは印象的ですね。

【三石】 仲良くおしゃべりしてしまうと役が抜けてしまうような気もちょっとしたので。自分の役にそれぞれ集中したのかなという気がしています。

■同じ役を演じ続ける自分への厳しさ「慢心したらアウト」

――今作は90年代のTVアニメシリーズへのオマージュやリスペクトも多くつめこまれています。新旧の融合で特に胸アツだったポイントを教えてください。

【三石】 完成した映像を見て、「このシーンは見たことある!」とか「もしかして」と驚きました。原作にはないシーンも監督が付け加えていて、そこがまた涙を誘う。オマージュに関してはもう、映画を観た方はオープニングからグッとくると思います。知っている人は“胸アツ”ですし、初めて「美少女戦士セーラームーン」に接する人もかわいい戦士たちが目白押しで、みんなポリシーを携えてキラキラしているのでお気に入りが見つかりますよ。

【水樹】 私も「あれっ。これって…」と思いました。いろいろな記憶の回路がパパパッとつながるシーンがあって胸アツでした。

――三石さんは長い時間、同じ役を務められていますが、改めてエターナルセーラームーン/月野うさぎ役を演じ続ける上で努力されたこと、苦心されたことがあれば教えてください。

【三石】 声優という仕事を今もしていられるのは、この作品のおかげであり、月野うさぎちゃんという役のおかげと言っても過言ではないぐらい、大きくて大切な役です。役に触れる時は喜びとか感謝がいっぱい。ただ、月日が経って、「気持ちはあっても」「役は歳をとらなくても」……と声優としてぶち当たるところもあります。

【水樹】 まったく変わっていないですし、進化されていて感動しかありません! (三石さんが)アニメの最初のシリーズを演じられていた時、「20代であのお芝居はすごすぎる」と思いました。自分が20代の時はへなちょこで、あんなに可愛くてカッコよくてみんなの共感を得られるうさぎちゃんは作れない。本当にリスペクトしかありません。時間の経過と共に、そこに経験が加わって、さらに(役や表現が)ふくよかになっていて。うさぎちゃん、カッコかっこよすぎます。もう無敵ですね!

【三石】 進化。良いこと言うね。ありがとう。そう言ってもらって、とても救われます。ただ経験が“足かせ”になる場合も役によってはある。そこは客観的に演出家に聞いてもらい、OK が出るかどうかは慎重に取り組んできました。慢心したらアウトだと思っていたので。

――そのあたりのバランスは難しそうですね。

【三石】 テレビシリーズで毎週やっていればわからないのですが、何年か空いた上で「Crystal」シリーズが始まり、8年目。自分で自分のことはわかりますから(笑)。今回も体調を整えて、うさぎちゃんというエナジーの塊を心に(収録に)臨みました。

撮影/田中達晃(Pash)
取材・文:遠藤政樹

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