歌手の鳥羽一郎、静太郎、天草二郎、走裕介、村木弾が12日、栃木・日光市の日光街道ニコニコ本陣ニコニコホールで『演歌巡礼 in 日光Final〜船村徹を歌い継ぐ〜』を開催した。

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　同コンサートは、2017年2月に亡くなった作曲家・船村徹さんの内弟子だった5人が、船村さんのメロディーを継承していくために同年より開催してきたもの。すでに毎年恒例の催しになっていたが、船村さんの7回忌となる今年を1つの区切りとして“Final”と銘打たれ、船村門下の森若里子、高瀬典子もゲストとして駆けつけた。

　2回公演ともに満席となる中、1950年代の船村作品から村木が「男の友情」、走が「別れの一本杉」、天草が「ご機嫌さんよ達者かね」、高瀬が「夜がわらっている」、静が「あの娘が泣いてる酒場」、森若が「東京だョおっ母さん」、鳥羽が「柿の木坂の家」をそれぞれ歌唱。

　はじめに鳥羽は「たくさんのみなさんにお越しいただきまして、うれしゅうございます。みんなで頑張って歌わせてもらいます」と感謝し、走は「今日も、船村先生に『でれすけ』（栃木弁で『ばかたれ』という意味）と言われないように、一生懸命歌わせていただきます」と力を込めた。

　さらに、高瀬は「きょうは、この演歌巡礼のステージに立たせていただけますこと、大変幸せにありがたく思っております。精いっぱい歌います」と口にし、静は「今日も船村徹先生の名曲を、心を込めて歌わせていただきます」と力強く吐露。続けて、森若は「大好きな船村メロディー、今日も精いっぱい歌います」といい、天草も「がんばって歌います」と、口々に気合いのほどを伝えていった。

　そして、村木が「今日はうちの先生の91回目の誕生日です。兄貴と姉さま方と一生懸命歌います」と思いを語ると、鳥羽も「先生は元気だと、91歳になるんです…」としみじみ。続けて「今回は、年代年代に作った歌がたくさんありますので、その歌をみなさんにお届けしたいと思います」と言い、1960年代から80年代にかけてヒットした作品群から、静は「なみだ船」、走は「哀愁波止場」、村木は「夕笛」、高瀬は「おんなの出船」、天草は「王将」、森若は「宗谷岬」、鳥羽は「おんなの宿」を披露した。

　コンサートでは、“異色”の船村作品から「白馬のルンナ」「スナッキーで踊ろう」「ダイナマイトが百五十屯」の3曲を、鳥羽が当時のエピソードを交えながらオリジナル音源で紹介するシーンや、船村さんの妻・福田佳子氏がステージ上で「たくさんのみなさまにお越しいただいてありがとうございます。船村もきっと喜んでいると思います」と感謝する場面もあった。

　後半では「風雪ながれ旅」（静）、「海鳴りの詩」（村木）、「みだれ髪」（高瀬）、「矢切の渡し」（天草）、「傘ん中」（走）、「女の港」（森若）、「兄弟船」（鳥羽）といった、1980年代以降にヒットした作品群が選ばれた。そしてフィナーレでは、全員で鳥羽のオリジナル曲「師匠（おやじ）」を熱唱。全25曲のプログラムすべてが船村作品一色で構成され、最後まで客席を楽しませた。

　最後に、最年長の鳥羽は内弟子の後輩歌手たちを見わたしながら「みんな、修行したのよ。叱られながらやっていたのは、みんな、修行だと思うよ。いい勉強をさせていただいたよ。先生には大感謝しなければだめだね」と振り返りながら、「船村先生は、作曲家の先生方の中でもヒット曲が一番多いんじゃないか。天才だと思いますね」と、改めて師匠の偉大さをアピールした。