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野口五郎、フルオーケストラとともに「夢のその先」へ。音への探究と歌手としての覚悟【インタビュー】

 西城秀樹、郷ひろみとともに「新御三家」として昭和の歌謡界を一世風靡し、俳優、ギタリストとしても活躍の場を広げてきた野口五郎。デビュー56周年を迎えた今年も精力的に活動を続け、2027年1月からは第2弾となるフルオーケストラツアー『billboard classics 野口五郎 PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2027 Beyond the dream!!〜夢のその先へ〜』を全国4都市で開催する。近年は、人間の耳には聞こえない深層振動が身体に及ぼす影響についての研究にも取り組む野口に、ツアーへの思いや音楽の力、そして歌手として貫いてきたこだわりを聞いた。

音へのこだわりが導いた深層振動の研究 デビュー当時から貫く探究心

 近年、人間の耳には聞こえないが、自然界に確かに存在する微細な低周波の深層振動(DMV:Deep Micro Vibration)が身体に与える影響について、大学などとともに研究を重ねている野口五郎。英国の科学誌に認知症治療や高齢者医療への応用の可能性に関する論文を発表したほか、深層振動を音楽にミックスしたDMV音源を聴けるアプリの開発にも取り組んできた。こうした活動の原点にあるのは、歌手としての「音」へのこだわりだった。

野口五郎(以下、野口)アナログレコードからCDに変わったとき、ある懸念を感じました。皆さん、「音がクリアになった」と評価したけれど、それは原音をデジタル情報に変換する過程でアンビエンス(空気感、残響)や高周波の倍音が削除されたから。人類は20万年もの間、耳に聞こえる音だけでなく、風の音とか自然界に漂っている聞こえない音も身体に浴びながら暮らしてきました。それがなくなるということは、耳は喜んだかもしれないけれど、身体は喜んでいないということ。テクノロジーの進化による情報伝達の発達に音楽という芸術も取り込まれていいのか? 「音楽は情報じゃない」と危機感を持ったのが始まりでした。

 「アナログレコードだったときにはドラムを聞いただけで誰が叩いているか、どこのメーカーのドラムかわかったのに、デジタルになったらわからなくなっちゃって、それもたまらなく嫌だった」と振り返る野口。

 そもそも音へのこだわりは、昔から非常に強かった。

 幼稚園児のときにウクレレを手にし、小学生時代にはギターにのめり込むとともにポップスから演歌、洋楽と幅広い音楽に触れ、歌手を目指し、念願かなって15歳でデビュー。翌年には当時史上最年少の初出場歌手として『第23回NHK紅白歌合戦』に出場。西城秀樹、郷ひろみとともに新御三家と呼ばれ、トップアイドルの座に君臨するのだが、アイドルとして走り出した17歳のときに早くも「海外の進んだレコーディング技術に触れたい」という強い希望を通し、当時、日本のポップス界では極めて異例だった海外でのマルチレコーディングを実現。さらに、18歳のときには「既製品がない」という理由でミキサーを自分で設計・オーダーしたという筋金入りの経歴を持っているのだ。

 当時のことを「アイドルとしてひとくくりにされながら、それでもどうしてもこだわりが捨てられなくて、苦しみながらやってきた」と苦笑いしつつ振り返る野口だが、こうした野口の音へのこだわりを知れば、その探究がDMVの研究へと発展し、医療分野にまで広がっていることも、自然な歩みに思えてくる。

「豊かな音」を届けたい フルオーケストラとの共演で感じる喜び

 しかし、これら音へのこだわりの原動力となっているのは、単に音に対する執着や関心ではない。その根底にあるのは、歌手として「心地よい音を人に届けたい」という思いだと、野口はきっぱり語る。

野口近年は、テクノロジーの進化とともに、人間は人間が持っていた当たり前の大切なものをなくしていると感じています。それは何かというと「豊かさ」です。僕は人間が本能的に心地よいと感じる「豊かな音」を皆さんにお届けしたい。良い音の定義はないと考えていますが、「豊かな音」はあると信じていますので。

 その思いからコンサートでは、DMVによる振動を体感できる専用スピーカーを活用したり、アルバムや配信する楽曲にDMV音源を組み込んだりと、野口は挑戦を続けてきた。

 昨年、デビュー55周年を記念して開催した初の単独フルオーケストラツアー『billboard classics野口五郎 PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2025 KEEP ON DREAMING』も「デジタルでは感じることができない“生の音の豊かさ”を皆さんに聞いていただけたらと思った」ことが実現の大きな要因だった。

 オーケストラをバックに歌うことについて、野口は「楽しい」と目を輝かす。しかし、ここでも、音へのこだわりを持つ野口ならではの楽しみ方がある。

野口さまざまな楽器の一つひとつで鳴りが違うので、ステージに立っている僕の耳にはアンサンブルとしては絶対に入ってこないんです。今日はこの楽器の音がスゲーなって思う音があると、その楽器の音に声を乗せる瞬間があって、それがすごく楽しい。オケの皆さんとどうやってバトルするのか、パワーなのかロングトーンなのか、それを考えるのもすごく楽しい瞬間です。

 そして来年1月から、第2弾となるフルオーケストラツアー『billboard classics 野口五郎 PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2027 Beyond the dream!!〜夢のその先へ〜』が全国4都市で開催される。指揮・編曲を務めるのは、前回に続き、野口が全幅の信頼を置くマエストロ・渡辺俊幸氏だ。

野口僭越ですけど、元ドラマーという経歴も僕と似ているところがあって、どういう風にアレンジするかなど、先生と話しながら音楽を作っていくプロセスはすごく興奮します。僕のアイデアを聞いて、「それ面白いかもしれないからちょっとやってみようか」と先生が言って、管弦楽団の人に伝える様子や、それによって音が変わっていくのを聴いているのも楽しくて、またその経験ができると思うと、本当にうれしいです。

 今回も、ヒット曲やミュージカル曲など、野口の音楽人生を彩ってきたレパートリーが披露される予定だ。もちろん前回、フルオーケストラとの熱いセッションが豊潤なハーモニーを生んだと話題となった野口のギターパフォーマンスも披露される。

「ちゃんと歌う」を超えた先へ デビュー56周年に込める歌手としての覚悟

 このステージにおいてもこだわっているのは、「思いを伝える」ことだ。

野口昔はちゃんと歌いたいという雑念が多かったんです。申し訳ないけど、いまだにテレビにたまに出るとそういうことがあるので、情けないなって思います。「ちゃんと歌う」なんてあまりにも覚悟のレベルが手前過ぎて。自分がステージに立って思いを届けるという覚悟をすれば、うまく歌うというレベルを超越しているんです。僕はコンサートが終わった後に必ずインスタで「今日のコンサートは悔いがありません」って書くのですが、今は毎回これが最後でもいいというくらいの覚悟で臨んでいます。

 こうした境地に至った背景には、25歳から60歳まで、声が出にくい状態などに苦しんだ経験もあるという。

野口ちゃんと歌おうとかしっかり歌おうとか、それが自分をとんでもない世界へと長い間貶めていたと思います。還暦を過ぎてもう1回歌うチャンスをもらい、一歩先へと進みたい。とくに生成AIの時代になって、量子力学、分子力学を組み合わせたら無限の連鎖が生まれて、これまで解明されていなかったいろいろなことが見えてくるようになった今、どの次元においても正しいことってなんだろうって考えたとき、たぶん美しいものはどこにいっても正しいものではないかと、ずいぶん遠回りしてすごく単純なことにも行き着きました。音楽を通して皆様にそれを伝えたいと思っているんです。

 次のコンサートタイトルの「Beyond the dream!!〜夢のその先へ〜」は、そんな思いを込めて自身が付けたもの。「一生懸命走ってきた音楽の世界だからこそ、僕は夢の先には美しいものがあるんだろうって信じたいし、そこをお客さんと、僕と、渡辺先生と管弦楽団の皆さんと、そして照明や音響や、当日バイトで来てくれた人たちを含めたスタッフ全員と見てみたい。絶対美しいものがあるはずだから」と意欲を語る。

 今年は、名前の「五郎」にちなむデビュー56周年の特別な年。「あまりこれまで記念年っていうのは作りたくないなって思っていたんですけど、野口五郎という名前をいただいて、56年だけは特別だろうなと思って」と、静かな微笑みを浮かべながらも瞳の奥に熱い光を宿して語る。研究者として音の可能性を追い求め、表現者としてその豊かさを届け続ける野口。デビュー56周年という特別な年を経て、次のステージでどのような音楽を聴かせてくれるのか、期待が高まる。

取材・文:河上いつ子
撮影:石阪大輔

<公演情報>
■『billboard classics 野口五郎 PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2027 Beyond the dream!!〜夢のその先へ〜』

2027年1月16日(土)開場15:00/開演16:00 山形・やまぎん県民ホール(山形県総合文化芸術館)
2027年2月10日(水)開場17:00/開演18:00 東京・NHKホール
2027年2月23日(火)開場16:30/開演17:30 大阪・オリックス劇場
2027年2月25日(木)開場17:00/開演18:00 福岡・アクロス福岡 シンフォニーホール

出演:野口五郎
指揮・編曲:渡辺俊幸
ピアノ:文音
管弦楽:【山形】山形交響楽団
【東京】東京フィルハーモニー交響楽団
【大阪】日本センチュリー交響楽団
【福岡】九州交響楽団

■チケット情報
13,000円(税込・全席指定)

各プレイガイドにて発売中
ローソンチケット(外部サイト)
チケットぴあ(外部サイト)
イープラス(外部サイト)

<チケット購入に際しての注意事項>
※未就学児入場不可
※枚数制限:おひとり様最大4枚まで
※ご購入後の返金、座席の振替はできません。あらかじめご了承ください
※車椅子をご利用のお客様は、下記お問合せ先までご連絡ください
※チケットはおひとり様1枚必要となります。チケットを紛失された方、または当日お忘れになった方はご入場できません
※客席を含む会場内の映像・写真が公開される場合がございます
※チケット購入の際は、必ず公式サイトに掲載している注意事項をご確認の上、チケットをお求めください
(ご来場のお客様へのお願い(外部サイト))

主催:ビルボードジャパン(阪神コンテンツリンク)
【山形】山形放送、エフエム山形
【東京】BS朝日
【福岡】RKB毎日放送
共催:【山形】山形県総合文化芸術館 指定管理者 みんぐるやまがた
企画制作:ビルボードジャパン
後援:米国ビルボード

■公演公式サイト:https://billboard-cc.com/goro2027(外部サイト)

■公演に関するお問い合わせ
【山形】エドワードライヴ 022-266-7555(平日11:00〜15:00/土日祝休)
【東京】キョードープロデューサーズ 0570-200-551(月・水・金・土 10:00〜18:00)
【大阪】キョードーインフォメーション 0570-200-888(平日12:00〜17:00/土日祝休)
【福岡】キョードー西日本 0570-09-2424(11:00〜15:00/日祝休)

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