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成駒屋3兄弟・中村橋之助、福之助、歌之助、初の自主公演『第1回神谷町小歌舞伎』開催「歌舞伎への“敷居”を下げたい」

 成駒屋の中村橋之助(27)、福之助(25)、歌之助(21)3兄弟初の自主公演となる『神谷町小歌舞伎』が6月30日〜7月2日までの3日間、浅草公会堂にて開催される。この度、3兄弟が揃い、自主公演に臨む意気込みや、演目である『弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)』、『高坏(たかつき)』に込めた思いを語った。

初の自主公演を行う成駒屋3兄弟(左から)中村福之助、中村歌之助、中村橋之助 (C)ORICON NewS inc.

初の自主公演を行う成駒屋3兄弟(左から)中村福之助、中村歌之助、中村橋之助 (C)ORICON NewS inc.

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■準備に2〜3年かけた初の自主公演 

――3兄弟初となる自主公演が近づいてきました。どんな思いで、この公演を立ち上げようと思ったのでしょうか?

歌之助:小さいころから父(中村芝翫)と母(三田寛子)を含め、「いつか3人で公演ができればいいね」と話していました。2〜3年ほど前にコロナ禍で歌舞伎の公演が思うようにできなかったとき、「この状況が落ち着いたときに3人でできればいいな」と準備をしてきました。

福之助:僕は(坂東)玉三郎のおじさま、(市川)猿之助のお兄さんなどの座組に出させていただく機会が多かったのですが、玉三郎のおじさまの『坂東玉三郎特別舞踏公演』という自分の名前が入っている公演や、猿之助のお兄さんの責任公演や『猿之助と愉快な仲間たち』などを見て、「自分たちで責任を持って動き出さなければ」という気持ちが芽生えてきたんです。今回『神谷町小歌舞伎』というタイトルをつけさせてもらったこともあり、興行として成立させるために、しっかり準備しました。

橋之助:僕は“想い”という言葉が好きなのですが、想いは形にしなければ意味がないということに気づいて。その形というのが今回の自主公演だと思っています。しっかりと僕のなかにある想いを、お客さまに届けたいという気持ちです。

――企画してから2〜3年近くかかるものなんですね。

福之助:「やらないか?」という話は橋之助から2年以上前にされていたのですが、当時はまだ本興行でまともな役もできていなかったですし、そもそも歌舞伎の戦力として見られていなかったので、3人で自主公演というのが現実的ではなかったんです。でも徐々に3人ともいろいろな役をやらせていただくようになって、現実味を帯びてきたという感じです。

橋之助:我々が力を注ぐのは、舞台の上での芸がすべてなんです。でもその分、自分たちが挑戦したいことが100パーセント叶うわけではありません。もちろんそれを叶えるための自主公演なのですが、今回の自主公演は、劇場を押さえるところから始まり、出演者スタッフさんのスケジュール、さらにはそろばん勘定、広告まで、すべて自分たちがやることになるんですよね。なれない作業や物理的に必要な時間もあり、2〜3年かかってしまいました。

■「お客さまが見やすいものを」という思いで選んだ『弁天娘女男白浪』、『高坏』という2演目

中村橋之助 (C)ORICON NewS inc.

中村橋之助 (C)ORICON NewS inc.

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――そんな自主公演に、『弁天娘女男白浪』、『高坏』という演目を選んだ理由は?

歌之助:自主公演の話が具体的になってきたとき、兄2人はすでに若手公演や勉強会で、大役をやっていたのですが、僕はまだ大学生で、これから本格的に歌舞伎の指導をしていくという時期だったんです。だからこそ、僕が一番やりたい演目をやるのがいいのでは……と提案をしてもらったんです。『弁天娘女男白浪』は、僕が物心ついて歌舞伎が好きになったときから何度も見て、一番好きな演目だったので選ばせていただきました。憧れていた尾上菊五郎のおじさまにご指導を仰ぎ務めさせていただくのですが、うれしさの一方で、大役に挑むことのプレッシャーも感じています。菊五郎のおじさまも一生をかけて挑んでこられたお役なので、僕にとっても人生をかけて挑むお役のスタートになればいいなという気持ちです。

――『弁天娘女男白浪』の名ゼリフも見どころですね。

歌之助:そうですね。「知らざあ言って聞かせやしょう」という弁天小僧の名ゼリフ。菊五郎のおじさまにも「自分は気持ち良い言い方も、お客さまにとってはそうでないかもしれないので、第一にお客さまが聞いて気持ちいいと思うところを探っていくといいよ」とアドバイスいただきました。

――『高坏』については?

橋之助:僕の大好きな(中村)勘九郎のお兄さん、中村屋のお家が代々務められていたお役。僕自身も幼いころから勘九郎のお兄さんの次郎冠者に憧れていたので『高坏』を選ばせていただきました。勘九郎のお兄さんから「あまり神経質になってしまうと、このお役の大らかさが出ない」とアドバイスいただいたので、共演者を包み込む大らかさで演じることが何よりも大切だなと思ってお稽古しています。

中村福之助(C)ORICON NewS inc.

中村福之助(C)ORICON NewS inc.

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福之助:『神谷町小歌舞伎』は、お客さまが見やすいものを選ぼうという思いがありました。この2演目は、僕たちにとって非常になじみがあり、歌舞伎ファンの方にも有名な作品なのですが、歌舞伎を見たことがない人にとっても、比較的わかりやすい作品なんです。憧れの先輩でもある(尾上)松緑のお兄さんが以前より「なにか大きなお役があるときは教えてあげるよ」と仰ってくださっていたので、この機会に教えていただこうと思ってお願いしました。

■中村芝翫からは「怒られることがあれば、お父さんがやっていいって言ったと話せばいい」とのエールも

――ご両親からはどんな言葉がありましたか?

橋之助:最初に話をしたとき、父は「やりたいならやったらいい」と言ってくれましたが、母は「やって大丈夫なの?」という反応でしたね。真逆でした(笑)。父は稽古を見てくれていますし、母は「できることはなんでもやるから」って、言えそうで言えない言葉をかけてくれています。

――温かく見守ってくださっているんですね。

橋之助:今回、とんがった配役ですし、ポスターも金髪でいったりと、ちょっと攻めたことをやったので、父にチクリと言われる覚悟をしていたのですが、「お父さんはそういう一歩をなかなか踏み出せなかったけれど、3人が仲良く覚悟を決めて同じ方向を向いているのはうれしい。新しいことをやって突破口を見つけたいという3人の気持ちがわかるからこそ、何をやってもいい。怒られることがあったら、お父さんがやっていいって言ったと話せばいいから」って言ってくれたんです。すごく格好いいなと思いました。

歌之助:弁天小僧菊之助は、父親もやっている役なのですが、自分が菊五郎のおじさまに憧れて、お願いに上がったと話したら、「できる、できないではなく、菊五郎のおじさまに教えていただいたことを、ひとつずつ丁寧にやりなさい」と言ってくれました。菊五郎のおじさまにも「最初はできなかった。人生かけてやって、やっと手に入ってきたことも多いから、これからやっていけばいいんだよ」と温かい言葉をいただきました。

――自主公演をやったことで、今後どんな風になっていきたいですか?

橋之助:歌舞伎のため、成駒屋のためにという思いが強いです。僕自身、歌舞伎俳優の家に生まれたことによって助けてもらっている部分がたくさんあると痛感しています。それは僕自身の運、そして運命でもあると思うのですが、それを最大限に活かしてきたからこそ、30歳に向けて歌舞伎界や成駒屋に恩返ししたい、育ててきてよかったと思われるようになっていきたいです。そして将来的には、線が太い、真ん中にドンといられるそんな俳優を目指して勉強していきたいです。

福之助:僕は高校卒業した次の年に襲名し、最初は右も左もわからずいっぱいいっぱいで、正直楽しいと思える感じではなかったんです。でも猿之助のお兄さんの『スーパー歌舞伎』に出させていただいて、「役をやるのがこんなに楽しいんだ」と気づかされたんです。自主公演はもちろんですが、これから少しでも自分を見に来てくださるお客さんが多くなる役者になりたいですし、「福之助にこの役をやってほしい」と思われるような役者になりたいです。

歌之助:この『弁天』を1回で終わらせるのではなく、積み上げていきたいです。「弁天と言えば、尾上菊五郎」と言われるように、僕もいつか「中村歌之助と言えば弁天だよね」って言われるようになれればいいなと思っています。僕にとって自主公演は本当の始まりです。

中村歌之助 (C)ORICON NewS inc.

中村歌之助 (C)ORICON NewS inc.

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――歌之助さんはテープが擦り切れるぐらい『弁天娘女男白浪』を見ていたそうですね。

歌之助:嘘ではなくDVDにしようとしたら『弁天』だけ擦り切れてしまいました。

橋之助:小さいころ、歌之助は自分のことを弁天小僧菊之助だと思っていたんですよ。弁天のポスターを家に貼って「俺は弁天小僧だ」って言っていたぐらいなんで(笑)。

――自主公演をやると発表になって反響はありましたか?

橋之助:おかげさまで、たくさん声を掛けていただいています。みなさんから『成駒屋三兄弟の自主公演』ではなく『神谷町小歌舞伎』と呼んでいただいて、身が引き締まる思いです。。あとは「あのふざけたポスターはなんだ」というのもたくさん言っていただいて(笑)。手応えがありました。

歌之助:3人とも金髪に染めたので、先輩方からたくさんお言葉をいただきましたね(笑)。

橋之助:なんでもいいから引っかかってほしかったんですよね。もちろん厳しい意見もありましたが、それを含めて、なにかをやるうえで批判はついて回るので。“三本の矢”そして“出る杭は打たれ強く”がんばりたいです。

――とても革新的な自主公演になりそうですね。

橋之助:歌舞伎には敷居が高いイメージがあり、ひとつの武器であるとも思っていたのですが、今回の公演では“敷居を下げること”に集中したんです。ですから、歌舞伎に親しみがない方でも、意味がわからないということは絶対ないと思います。

福之助:僕も友だちから「今度歌舞伎を観に行きたいんだけれど」と言われたとき、はじめての方にはおすすめできないなと思うことがあるんです、いきなり敷居の高いものを見て、歌舞伎自体に苦手意識が出てほしくないなと。その意味で、歌舞伎の入り口としては『神谷町小歌舞伎』はすごく良いと思います。本当に楽しく、おもしろくつくっているので、ぜひ見に来てほしいですね。

歌之助:パワーをもらいたいと思っている人に、とても得られるものがある舞台だと思うので、ぜひそんな思いで見てくださるといいなと思っています。

初の自主公演を行う成駒屋3兄弟(左から)中村福之助、中村歌之助、中村橋之助 (C)ORICON NewS inc.

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取材・文/磯部正和
写真/TsubasaTsutsui

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