東宝演劇部に所属し、『ラ・マンチャの男』をはじめとした数々のミュージカル作品を手がけた演出家の中村哮夫さんが、5月28日に老衰のために東京都内にて亡くなった。6日、松竹が発表した。91歳だった。

　中村さんは、1951年に慶應義塾大学文学部を卒業、54年に、東宝撮影所助監督になり、黒澤明に師事した。62年に東宝演劇部に移籍し、劇作家であり東宝演劇担当役員の菊田一夫に師事し、菊田演出作品の多くで演出補を担当した。

　65年に演出家としてデビューすると、ミュージカル『心を繋ぐ6ペンス』（1966年芸術座、67年帝劇）、『ファンタスティックス』（67年芸術座他）、『王様と私』（1968年〜99年帝劇他）、『ラ・マンチャの男』（1969年〜2001年帝劇他）、ミュージカル『歌麿』（1972年）など、多くの東宝ミュージカル、帝劇歌舞伎などの演劇作品の演出を手がけてきた。

　1997年に、永年のミュージカルにおける演出の功績に対して、第二十二回（1996年度）菊田一夫演劇賞の特別賞を受賞。また、長年、青二塾にて講師を務める。「春灯」同人、俳号は中村嵐楓子（らんふうし）。