モデルであり写真家でもあるパティ・ボイドの写真展が6月1日から渋谷タワーレコードで開催。それに合わせて本人も来日した。ジョージ・ハリスン、エリック・クラプトンの妻として、また彼らを始めとするイギリスのロックスター達のプライベート写真を多数撮影した写真家として世界に名をはせたパティ・ボイド。彼女の写真への想いや当時のロックスター達との写真にまつわる話を聞いた。
■暗室の中で予想もしなかった作品が生まれ、写真家としての自分を意識
――写真展での来日ですね。
【パティ・ボイド】日本に到着して、渋谷の会場に行ってみました。主催者側が写真の並べ方にストーリー性を持たせてくれていたのに感激しました。今回が日本では2回目の写真展です。前回は白黒写真だけだったんですが、今回はカラー写真もあるしポラロイド写真もある。すごく楽しんでもらえると思います。
――これまでどんな国で写真展を開催していますか?
【パティ・ボイド】 オーストラリア、ニュージーランド、モスクワ、スウェーデン、カナダ、アメリカ、韓国、カザフスタン、アルメニアなどです。私のウエブサイトに並んでいる様々な写真に興味を持ってくれている方からの依頼があって写真展が実現しています。現地の主催者がセレクトした写真のプリントを送って額装してもらい、展示用に並べてもらい、私は展示会の初日に、その国に伺うという形をとっています。ですから各国によって展示される写真の内容は異なっているんです。
――今回は展示されていませんが、ロックスター以外にも風景や普通の人物写真も撮られていますよね。ブータンの若者の写真をウエブサイトで拝見しましたが、すごく印象的でした。
【パティ・ボイド】 あのブータンの写真は私もすごく気に入っています。ブータンの若いお坊さんの写真なんですが、まさに撮影しようとした瞬間に彼らが身に着けているゴウという衣装が風にあおられて舞い上がったんです。それですごく良い写真が撮れました。
――モデルからスタートして写真家にもなった訳ですが、写真に興味を持ったのはいつ頃のことですか?
【パティ・ボイド】 モデルを始めた頃にお金をためてカメラを買ったんです。最初に買ったカメラはペンタックスでした。そして、自分を撮影してくれるカメラマンに写真の撮り方を教えてもらい、現像やプリント技術も学んでいきました。モデルの友人の写真を撮ってあげたらみんな喜んでくれましたね。当時は白黒写真でしたので、自宅に暗室を作ってプリントを焼いたりしていました。今はデジタル時代ですので、暗室は取り壊してしまいましたが(笑)。
――自分のことを最初に写真家という意識をもった写真のことを覚えていますか?
【パティ・ボイド】 覚えています。写真集にも入っている写真です。ビーチで小さい女の子が岩の上に座っていて、それで写真を撮って欲しいと言われたんです。フィルムをカメラに装填するのに少し時間がかかっている間に、その女の子が洋服を脱いでしまって。それならそれに合うようにと髪の毛を手で上にはねあげてもらったんです。その写真を家で現像したら、撮影した時には気がつかなかったんですが、岩の後ろで波が砕け散って彼女の髪や体と相まって、すごく幻想的な写真が撮れたんです。暗室の中で自分も予想しなかった作品が生まれた感動がありました。
――偶然の感動を映すという点では、今回展示されているロックスター達の写真にもそれを感じます。
【パティ・ボイド】 そうですね。何かを感じた時にシャッターを押していました。表情がいいなとか、光の当たり方が素敵だとか、色彩が素晴らしい状況になっているとか、そういう場面を切り取りたかったんですね。
――どんな人と会う時も常にカメラは持っていたんですか。
【パティ・ボイド】 それが、残念ながら、このシーンは残したいと思う場面でカメラを持っていないことも多かったんです。そういう場面は自分の心の中にしまったままですね(笑)。
――どの写真を見ても、被写体となっている人が素の自分を出しているように感じます。パティさんの何が相手の心を許させるのでしょうね。
【パティ・ボイド】 私自身の何かというよりも、みんな友達だということ、正式なフォトセッションではなく自宅でくつろいでいるところの写真だということなど、リラックスする条件が揃った写真が多いということなんだと思います。
――今日は撮らないでくれよ、と言われることもあるんですか?
【パティ・ボイド】 エリック(・クラプトン)はそうでしたね。まあ、たくさん撮ったからかもしれませんが(笑)。
■エリック・クラプトンと愛車の写真、実は当時の自宅が映り込んでいる
――展示会には印象深い写真がたくさんあります。数枚こちらで選びましたので、解説をしてもらえますか? まずは「ジョージ・ハリスンと虹」の写真ですが。
【パティ・ボイド】 あの写真はジョージと別れて数年経った頃の写真です。たまたま彼に会いに行ったんです。天気が悪くなりかけてたんですが、屋上に上がって花壇を眺めたりしていたら、ちょうど虹がかかって。カメラを持っていてラッキーだったひとコマですね。庭木のところに太陽の光がさしているのも含めラッキーが重なっている写真です。
――エリック・クラプトンと愛車のランチアの写真も素敵です。
【パティ・ボイド】 実はあの写真は車のトランク部分に当時の自宅が映り込んでいるんです。これは知っている人じゃないと気がつかないですよね(笑)。後部のふくらみがキュートでエリックのお気に入りの車でした。
――ジェフ・ベックとホットロッドの写真も、ジェフ・ベックの自慢げな表情が楽しい1枚です。
【パティ・ボイド】 彼は自分でホットロッドを組み立ててしまうくらいホットロッドが大好きなんです。腕が見えるタンクトップを着て本当に自慢げですよね。
――今回ライブ写真は少ないですが、エリック・クラプトンがまさに演奏しようとしているところをとらえた写真があります。
【パティ・ボイド】 ライブの写真も結構撮ってるんですよ。この写真はエリックの横顔の向こうに大勢の観客が見えるのがいいアングルだと思っています。彼の横顔が素敵ですね。
――椅子に座っているポール、リンゴ、ジョンの写真もあります。
【パティ・ボイド】 飾らない姿でも、存在感だけで勝負できる人たちですね。
――鏡に映った自分自身を撮影した写真も印象的です。
【パティ・ボイド】 あの写真を何で撮ったのか、自分自身でもその理由を覚えていないんですが、エリック(・クラプトン)と別れて荷物をまとめて出ていくところだったんですよね。よく見ると私のスカートは横にあるし、ヘアブラシは床に落ちているし、何か心の内を出したかったのかもしれません。あの時も偶然カメラを持っていたんですね。あの写真を撮った時はまさか日本でこの写真が展示されるなんて夢にも思いませんでした(笑)。
――今回展示されている写真で、この他にご自分でぜひ見てもらいたいという写真がありましたら紹介をお願いします。
【パティ・ボイド】 皆さんが選んでくれるのは良いのですが、私の方から自分の写真に優劣はつけられないですね。皆さんそれぞれがご覧になった上で、お気に入りの写真を見つけてもらえればと思います。
――今回はあなたの言葉が聞けるトークショーの人気も高く、急きょ追加された回も完売状態と聞いています。日本で注目されていることをどう思いますか?
【パティ・ボイド】 嬉しいことですが、なぜたくさんの皆さんが来てくれるのか私にはわかりません。ただ、日本語ができない私の話を理解してもらえるのかが心配なだけです。
――あなたの人生はたくさんのロックスターとの出会いで彩られていますが、今振り返って感じることは。
【パティ・ボイド】 いろいろな偶然が重なって彼らと知り合うことになったんですね。私の人生はサプライズの連続でした。彼らのことを撮影した写真の存在は、実はしばらく忘れていたんです。ある時、奥にしまってあった箱の中を、何が入っているのかと調べてみたら、様々な写真があって、これもサプライズでした(笑)。それを見ながらああこんなこともあったんだって思い出したりしています。
――ということは、未だにご自宅のどこかに埋もれている秘蔵写真があるかもしれないですね。
【パティ・ボイド】 そうですね。いきなり凄いネガが出てくるかもしれませんね(笑)。
――「サムシング」「いとしのレイラ」「ワンダフル・トゥナイト」などの歴史に残る名曲誕生にかかわったことからロックの女神と呼ばれています。
【パティ・ボイド】 何てラッキーなことなのかしらと思いますね。とても名誉なことだと思っています。
――これからも写真展は世界各国で続けていきますか?
【パティ・ボイド】 そうですね。私自身が企画してさまざまな国を回るという形ではなく、呼ばれたら行くというやり方で、これからも続けていこうと思います。若かった時、彼らは様々な創造性をもって生きていました。その姿をリアルにとらえることができたことは私にとっても幸せなことでした。今の若い人たちもちゃんと目を開いていれば何かが見つけられると思います。そんなことを私の写真から感じ取ってもらえればと思っています
(写真:田中達晃 撮影協力:ホテルメトロポリタン)
【パティ・ボイド】『Pattie Boyd: My Life in Pictures』〜パティ・ボイド写真展〜開催決定!詳しくはこちら https://towershibuya.jp/news/2023/05/15/181392
■暗室の中で予想もしなかった作品が生まれ、写真家としての自分を意識
――写真展での来日ですね。
【パティ・ボイド】日本に到着して、渋谷の会場に行ってみました。主催者側が写真の並べ方にストーリー性を持たせてくれていたのに感激しました。今回が日本では2回目の写真展です。前回は白黒写真だけだったんですが、今回はカラー写真もあるしポラロイド写真もある。すごく楽しんでもらえると思います。
――これまでどんな国で写真展を開催していますか?
【パティ・ボイド】 オーストラリア、ニュージーランド、モスクワ、スウェーデン、カナダ、アメリカ、韓国、カザフスタン、アルメニアなどです。私のウエブサイトに並んでいる様々な写真に興味を持ってくれている方からの依頼があって写真展が実現しています。現地の主催者がセレクトした写真のプリントを送って額装してもらい、展示用に並べてもらい、私は展示会の初日に、その国に伺うという形をとっています。ですから各国によって展示される写真の内容は異なっているんです。
――今回は展示されていませんが、ロックスター以外にも風景や普通の人物写真も撮られていますよね。ブータンの若者の写真をウエブサイトで拝見しましたが、すごく印象的でした。
【パティ・ボイド】 あのブータンの写真は私もすごく気に入っています。ブータンの若いお坊さんの写真なんですが、まさに撮影しようとした瞬間に彼らが身に着けているゴウという衣装が風にあおられて舞い上がったんです。それですごく良い写真が撮れました。
――モデルからスタートして写真家にもなった訳ですが、写真に興味を持ったのはいつ頃のことですか?
【パティ・ボイド】 モデルを始めた頃にお金をためてカメラを買ったんです。最初に買ったカメラはペンタックスでした。そして、自分を撮影してくれるカメラマンに写真の撮り方を教えてもらい、現像やプリント技術も学んでいきました。モデルの友人の写真を撮ってあげたらみんな喜んでくれましたね。当時は白黒写真でしたので、自宅に暗室を作ってプリントを焼いたりしていました。今はデジタル時代ですので、暗室は取り壊してしまいましたが(笑)。
――自分のことを最初に写真家という意識をもった写真のことを覚えていますか?
【パティ・ボイド】 覚えています。写真集にも入っている写真です。ビーチで小さい女の子が岩の上に座っていて、それで写真を撮って欲しいと言われたんです。フィルムをカメラに装填するのに少し時間がかかっている間に、その女の子が洋服を脱いでしまって。それならそれに合うようにと髪の毛を手で上にはねあげてもらったんです。その写真を家で現像したら、撮影した時には気がつかなかったんですが、岩の後ろで波が砕け散って彼女の髪や体と相まって、すごく幻想的な写真が撮れたんです。暗室の中で自分も予想しなかった作品が生まれた感動がありました。
【パティ・ボイド】 そうですね。何かを感じた時にシャッターを押していました。表情がいいなとか、光の当たり方が素敵だとか、色彩が素晴らしい状況になっているとか、そういう場面を切り取りたかったんですね。
――どんな人と会う時も常にカメラは持っていたんですか。
【パティ・ボイド】 それが、残念ながら、このシーンは残したいと思う場面でカメラを持っていないことも多かったんです。そういう場面は自分の心の中にしまったままですね(笑)。
――どの写真を見ても、被写体となっている人が素の自分を出しているように感じます。パティさんの何が相手の心を許させるのでしょうね。
【パティ・ボイド】 私自身の何かというよりも、みんな友達だということ、正式なフォトセッションではなく自宅でくつろいでいるところの写真だということなど、リラックスする条件が揃った写真が多いということなんだと思います。
――今日は撮らないでくれよ、と言われることもあるんですか?
【パティ・ボイド】 エリック(・クラプトン)はそうでしたね。まあ、たくさん撮ったからかもしれませんが(笑)。
■エリック・クラプトンと愛車の写真、実は当時の自宅が映り込んでいる
――展示会には印象深い写真がたくさんあります。数枚こちらで選びましたので、解説をしてもらえますか? まずは「ジョージ・ハリスンと虹」の写真ですが。
【パティ・ボイド】 あの写真はジョージと別れて数年経った頃の写真です。たまたま彼に会いに行ったんです。天気が悪くなりかけてたんですが、屋上に上がって花壇を眺めたりしていたら、ちょうど虹がかかって。カメラを持っていてラッキーだったひとコマですね。庭木のところに太陽の光がさしているのも含めラッキーが重なっている写真です。
――エリック・クラプトンと愛車のランチアの写真も素敵です。
【パティ・ボイド】 実はあの写真は車のトランク部分に当時の自宅が映り込んでいるんです。これは知っている人じゃないと気がつかないですよね(笑)。後部のふくらみがキュートでエリックのお気に入りの車でした。
――ジェフ・ベックとホットロッドの写真も、ジェフ・ベックの自慢げな表情が楽しい1枚です。
【パティ・ボイド】 彼は自分でホットロッドを組み立ててしまうくらいホットロッドが大好きなんです。腕が見えるタンクトップを着て本当に自慢げですよね。
――今回ライブ写真は少ないですが、エリック・クラプトンがまさに演奏しようとしているところをとらえた写真があります。
【パティ・ボイド】 ライブの写真も結構撮ってるんですよ。この写真はエリックの横顔の向こうに大勢の観客が見えるのがいいアングルだと思っています。彼の横顔が素敵ですね。
――椅子に座っているポール、リンゴ、ジョンの写真もあります。
【パティ・ボイド】 飾らない姿でも、存在感だけで勝負できる人たちですね。
――鏡に映った自分自身を撮影した写真も印象的です。
【パティ・ボイド】 あの写真を何で撮ったのか、自分自身でもその理由を覚えていないんですが、エリック(・クラプトン)と別れて荷物をまとめて出ていくところだったんですよね。よく見ると私のスカートは横にあるし、ヘアブラシは床に落ちているし、何か心の内を出したかったのかもしれません。あの時も偶然カメラを持っていたんですね。あの写真を撮った時はまさか日本でこの写真が展示されるなんて夢にも思いませんでした(笑)。
――今回展示されている写真で、この他にご自分でぜひ見てもらいたいという写真がありましたら紹介をお願いします。
【パティ・ボイド】 皆さんが選んでくれるのは良いのですが、私の方から自分の写真に優劣はつけられないですね。皆さんそれぞれがご覧になった上で、お気に入りの写真を見つけてもらえればと思います。
――今回はあなたの言葉が聞けるトークショーの人気も高く、急きょ追加された回も完売状態と聞いています。日本で注目されていることをどう思いますか?
【パティ・ボイド】 嬉しいことですが、なぜたくさんの皆さんが来てくれるのか私にはわかりません。ただ、日本語ができない私の話を理解してもらえるのかが心配なだけです。
――あなたの人生はたくさんのロックスターとの出会いで彩られていますが、今振り返って感じることは。
【パティ・ボイド】 いろいろな偶然が重なって彼らと知り合うことになったんですね。私の人生はサプライズの連続でした。彼らのことを撮影した写真の存在は、実はしばらく忘れていたんです。ある時、奥にしまってあった箱の中を、何が入っているのかと調べてみたら、様々な写真があって、これもサプライズでした(笑)。それを見ながらああこんなこともあったんだって思い出したりしています。
――ということは、未だにご自宅のどこかに埋もれている秘蔵写真があるかもしれないですね。
【パティ・ボイド】 そうですね。いきなり凄いネガが出てくるかもしれませんね(笑)。
――「サムシング」「いとしのレイラ」「ワンダフル・トゥナイト」などの歴史に残る名曲誕生にかかわったことからロックの女神と呼ばれています。
【パティ・ボイド】 何てラッキーなことなのかしらと思いますね。とても名誉なことだと思っています。
――これからも写真展は世界各国で続けていきますか?
【パティ・ボイド】 そうですね。私自身が企画してさまざまな国を回るという形ではなく、呼ばれたら行くというやり方で、これからも続けていこうと思います。若かった時、彼らは様々な創造性をもって生きていました。その姿をリアルにとらえることができたことは私にとっても幸せなことでした。今の若い人たちもちゃんと目を開いていれば何かが見つけられると思います。そんなことを私の写真から感じ取ってもらえればと思っています
(写真:田中達晃 撮影協力:ホテルメトロポリタン)
【パティ・ボイド】『Pattie Boyd: My Life in Pictures』〜パティ・ボイド写真展〜開催決定!詳しくはこちら https://towershibuya.jp/news/2023/05/15/181392
2023/06/05