4人組ロックバンド・クジラ夜の街が10日、メジャー1st EP『春めく私小説』をリリースした。バンドはメジャーデビュー作となる今作で、“ファンタジーを創るバンド”というコンセプトどおり、カラフルでかつ幻想的な音像を作り出している。ORICON NEWSはそんな注目作について話を聞くべく、宮崎一晴(Vo&Gt)、山本薫(Gt)、佐伯隼也(Ba)、秦愛翔(Dr)に本作に込めたこだわりを語ってもらった。
クジラ夜の街は、2017年6月に高校の軽音楽部の同期生4人で結成し、直後から都内のライブハウスで活動を開始。高校軽音楽部の全国大会などで優勝した後、大型ロックフェスのオーディションでもグランプリに輝き、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019』や『SUMMER SONIC 2019」にも出演。そして、2022年に開催した『夜景大捜査”夢を叶えるワンマンツアー”』のツアーファイナルでメジャーデビュー決定を報告した。
そうした歩みの中で独自の音楽性を磨き上げ続けてきた4人は、今作でどのような“色”を描き出そうとしていたのだろうか?
■結成当初から変わらない制作法 “バンドマジック”を起こす4人のポテンシャル
――高校の軽音楽部で結成されたそうですが、どういった経緯で始動したのでしょうか?
【宮崎】僕らの高校の軽音楽部では、顧問の先生たちがパートごとに優秀な生徒を選んで“レギュラー”みたいなバンドを作る制度があったんです。で、その年のレギュラーに選ばれたのが僕ら4人で、そこがスタートでした。
――作っていく音楽の方向性などについても結成後から話し合っていったのでしょうか?
【宮崎】最初は、僕が中学生時代に作っていた曲をみんなでアレンジしたり、僕が提示したアイデアをもとにセッションで形にしていくことが多かったです。
――現在の作曲スタイルは?
【宮崎】今でこそ“ファンタジーを創るバンド”というコンセプトがありますけど、セッションで作るというスタイル自体は大きく変わっていません。僕がやりたいものを弾き語りで持っていくんですが、各パートのフレーズはあえて考えないようにしています。僕の中にあるイメージと、メンバーのアイデアをぶつけ合うことに意味があると思っているんですよ。
――事前にデモを共有することもなく?
【宮崎】僕はセッション前にあまり曲を聴かせたくないタイプで(笑)。イメージが固まっているときにはデモを渡すこともあるけど、基本は1コーラス分くらいの弾き語りをもとに、その場で肉づけしていくというやり方です。
――今作はどのような作品像をイメージして制作されたのですか?
【宮崎】僕らは今まで「アルバムを作ろう」みたいな意識で取り組んだことがなくて、いい曲を単発で作っていき、星座みたいに“つなぎ方”を見出していくような感覚なんです。それは今回も同じだけど、この作品がメジャーデビュー作になることは決まっていたので、「魅力的な曲たちだけを集めたEPにしたい」という意識は持っていましたね。
■繰り返される“原点回帰”と“新境地への挑戦”
――今作収録曲の中で最初にできた曲は?
【宮崎】「BOOGIE MAN RADIO」でした。「ライブの中で一番刺激の強い曲を出したい」と思って作って、去年の夏頃に初披露したんです。簡単な“丸サ進行”(※コード進行の1つ。椎名林檎「丸の内サディスティック」でも用いられていることから名づけられた)なんですけど、その中でどうやって面白いことをしようかと考えた結果、歌詞の面で面白さを出していきました。曲の肉付けという点でも、ギターやベースのソロなど、歌のない場所がかなり多い曲になっていて、バンドとして挑戦的な曲になったなと思います。
――「BOOGIE MAN RADIO」は本作のリード曲にも位置づけられています。宮崎さんからこの楽曲を提示されたとき、どんな印象を持ちましたか?
【秦】ノリやすいし、中毒性もあって…すごく売れそうな曲だなって思いました(笑)。なので、スネアは基本的にゴーストノートを入れずに裏拍で鳴らし続けたり、サビとかではバスドラムを四分音符で入れたり…と、打ち込みっぽい現代風のフレーズになっています。でも逆に、音作りでは生っぽさを意識して、僕ららしさを出すようにしました。
【山本】僕はいい意味で泥臭くて、重心の低い曲だなと感じたので、ギターでどうやってスタイリッシュにしていくか考えたんです。で、オートワウにピッチシフターをかけてシンセっぽい音にしたり、ハイフレットでカッティングをしたりと、かなり実験的なことをやってみました。
【佐伯】僕も今っぽくしすぎたくなかったので、突然不思議なフレーズを挟み込んだりして、このバンドらしいカラーが出るようにしていました。スラップ、ウォーキング、16分のサムズアップ…と、いろいろなストロークを入れていますね。この曲に限らずなんですが、「なんでこんなフレーズが作れたんだろう?」っていつも思っています(笑)。
■4人それぞれのこだわりが生み出す唯一無二の音世界
――演奏面で特に印象深い曲やフレーズを挙げるとしたら?
【宮崎】「踊ろう命ある限り」は録り方が面白かったです。この曲ではGretschのDuo Jetを使っているんですけど、マイクでピッキングの音を拾って、ギタートラックに重ねているんですよ。こうするとキラキラ具合がさらに増すし、別録りじゃないから完璧なダブルになる。結果、ノイズを全部カットできて、ギターの音が瑞々しさを持つようになるんです。あまりやられていない手法だと思うし、この曲のギターサウンドには自信がありますね。
――歌については?
【宮崎】歌に関しても、同じく「踊ろう命ある限り」ですね。僕はあからさまに韻を踏むのが好みではなくて、あくまでも文章として成立していながら、よく聴くと「あ、こんなところでも踏んでいたんだ」ってわかるくらいの…“ステルス韻”がちょうどいいと思っているんです。「踊ろう命ある限り」では、子音踏みや長尺の踏も使っていて、なかなか芸術点が高いんじゃないかと思っています(笑)。
――秦さんはいかがでしょう?
【秦】う〜ん…難しい(笑)。というのも、「BOOGIE MAN RADIO」では打ち込みっぽくオーソドックスなアプローチをしているんですが、逆にほかの曲では「歌モノのバンドでそんなことまでやっていいの!?」っていうアプローチを結構やっているんです(笑)。
――例えば?
【秦】「踊ろう命ある限り」のサビやギターソロの前などでゴスペル系の手足混合フレーズを入れていたり、大好きな6連符を「ハナガサクラゲ」で採り入れたり…。歌モノの曲で6連符ってあんまり聞かないじゃないですか。あと、「時間旅行少女」ではゴリゴリに音を歪ませたりもしています。全部歌モノではありえないアプローチばかり…(笑)。
――しかし、歌がしっかり聴こえるビートになっています。
【秦】最近の曲のドラムって、歌を引き立たせるためにどんどんシンプルになっていると思うんですけど、要は“シンプルさ=あくまでも歌を聴かせるための手段”ってことじゃないですか。だったら、歌を引き立たせられるなら何をしてもいいじゃないかと。なので、「BOOGIE MAN RADIO」以外の曲では、歌の邪魔をしないということを重視しながらやりたいことを全部やりました。ちょっと自画自賛になっちゃいますけど、ここまで歌に寄り添うドラムはなかなか叩けないと思います。そこには自信を持っていますし、ドラマーの人が聴いていて楽しめる作品にもなっていると思いますね。
――佐伯さんは?
【佐伯】僕は「浮遊」ですね。アプローチ自体はシンプルなんですけど、バスドラムとベースがカッチリ合っている。こういうベースラインがすごく好きなんですよね。「ハナガサクラゲ」の前奏曲なので、次の曲へしっかりとつなげる役割を果たせたかなと思います。
――1曲目「時間旅行」ではピック弾きと指弾きを併用していますか?
【佐伯】全部指弾きですが、ピックっぽい音ですよね。EPの始まりになる曲なので、印象に残るような音にしたくて、弾き方と音作りで工夫してみました。
――山本さんのギターに関してはいかがでしょうか?
【山本】僕は「ハナガサクラゲ」の2サビの直前で鳴っているメロディー。僕は歌がない場所に何を入れるか考えるのがすごく好きなんですけど、このフレーズはギタリストがあまり使わないリズムというか…ちょっとEDMっぽい感じになっていて、かなり気に入っています。
――リバースや付点など、ディレイの種類も多彩ですね。
【山本】ギターらしくないものにしようというのがテーマだったので、エフェクティブな音を多用していますし、王道的なギターサウンドでもフレーズは少し外したものにしています。ただ、「ハナガサクラゲ」では最後にギターらしいフレーズも持ってきていて、そういう“裏切り”を作るようにしていますね。
■ライブ機材も多用された楽曲制作 来たるツアーに向ける決意のまなざし
――レコーディングで使った機材についても教えていただけますか?
【宮崎】さっき話したGretschのDuo JetとかFenderのTelecasterとかですね。あと、ライブでメインにしているFreedom Custom Guitar ResearchのGreen Pepperは「時間旅行少女」で使いました。アンプは今までMarshallやHughes & Kettnerも使い分けていたんですけど、今回はほとんどFenderで、あのキラキラした感じを活かすようにしていました。
【山本】レコーディングをしている頃、ちょうどIbanezのTalman(TM730)を買ったので、「ハナガサクラゲ」で使いました。水色のボディーがクラゲっぽいなという理由で(笑)。
「踊ろう命ある限り」ではジャケット写真に合わせてGrecoのLPスタイルを選んだんですけど、そんな風に僕はわりと視覚的なイメージでギターを選ぶことが多いんですよ。すごく感覚的なんですが、そういうイメージって音や演奏にも自然と出てくるので、曲とハマることが多いんです。
【佐伯】「浮遊」「ハナガサクラゲ」「踊ろう命ある限り」では、ライブでも使っているIbanezのSR1355Bを使って、それ以外の曲では1970年代のFender Jazz Bassを借りて弾きました。強く歪ませようとすると、Jazz Bassの方がマッチしたんですよね。歪みは(TECH 21製)Sansamp Bass Driver DIとかで作ることもありましたが、基本的には後がけにしています。
【秦】僕はZildjianのシンバルの中でもK Zildjianシリーズの音が好きで、今回のレコーディングでも使いました。中でも「ハナガサクラゲ」の音作りが一番上手くいったと思っています。それとこの曲のイントロでは、カップ打ちを20インチのライド(本人右手側)じゃなくて、18インチのスイートクラッシュ(本人左手側)にしていることもこだわりです。
――右手側のライドを右手で叩くのが一般的ですが、左手側のクラッシュを右手で…となると、演奏時にはかなりイレギュラーなフォームになりますね。
【秦】はい(笑)。ただ、聴き馴染みのある音ではなくて、曲が始まる瞬間のいいトリガーになってくれています。あと、スネアを1960〜70年代のファンクっぽい音にしているのに、シンバルはすごくゴージャスな音になっていてサステインも長い。そのコントラストも結構面白いと思います。
――最後に、6月からスタートする全国ツアー『クジラ夜の街ワンマンツアー“6歳”』への意気込みを聞かせてください。
【宮崎】結成から6年目になり、最近「いつまでも若いバンドはいられないな」と思うんです。もちろんメジャーデビュー1発目なので、若い気持ちみたいなものも忘れずにいたいんですけど、この作品とツアーで安心感も見せたいなと。なので、バンドをより大きく、強く見せられるように1本1本まわっていきたいと思います。
■クジラ夜の街メジャー1st EP『春めく私小説』収録内容
▼CD
01. 時間旅行(Prelude)
02. 時間旅行少女
03. BOOGIE MAN RADIO
04. 浮遊(Interlude)
05. ハナガサクラゲ
06. 踊ろう命ある限り
▼DVD(初回限定盤のみ)
01. ここにいるよ
02. 詠唱
03. ラフマジック
04. あばよ大泥棒
05. 分岐
06. EDEN
07. インカーネーション
08. BOOGIE MAN RADIO
09. Holmes
10. 欠落
11. 言葉より
12. 踊ろう命ある限り
13. 時間旅行
14. 時間旅行少女
15. 序曲
16. オロカモノ美学
17. 拝啓
18. 歌姫は海で
19. 無しの礫と走馬灯
20. 再会の街
21. ヨエツアルカイハ1番街の時計塔
22. 王女誘拐
23. 夜間飛行
24. 夜間飛行少年
25. 超新星
26. Golden Night
■全国ツアー『クジラ夜の街ワンマンツアー“6歳”』日程
6月3日(土) 広島・広島Live space Reed
6月8日(木) 愛知・名古屋CLUB UPSET
6月9日(金) 大阪・心斎橋Music Club JANUS
6月11日(日) 福岡・福岡LIVE HOUSE OP's
6月16日(金) 宮城・仙台MACANA
6月21日(水) 東京・恵比寿LIQUIDROOM
★YouTube公式チャンネル「ORICON NEWS」
クジラ夜の街は、2017年6月に高校の軽音楽部の同期生4人で結成し、直後から都内のライブハウスで活動を開始。高校軽音楽部の全国大会などで優勝した後、大型ロックフェスのオーディションでもグランプリに輝き、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019』や『SUMMER SONIC 2019」にも出演。そして、2022年に開催した『夜景大捜査”夢を叶えるワンマンツアー”』のツアーファイナルでメジャーデビュー決定を報告した。
そうした歩みの中で独自の音楽性を磨き上げ続けてきた4人は、今作でどのような“色”を描き出そうとしていたのだろうか?
――高校の軽音楽部で結成されたそうですが、どういった経緯で始動したのでしょうか?
【宮崎】僕らの高校の軽音楽部では、顧問の先生たちがパートごとに優秀な生徒を選んで“レギュラー”みたいなバンドを作る制度があったんです。で、その年のレギュラーに選ばれたのが僕ら4人で、そこがスタートでした。
――作っていく音楽の方向性などについても結成後から話し合っていったのでしょうか?
【宮崎】最初は、僕が中学生時代に作っていた曲をみんなでアレンジしたり、僕が提示したアイデアをもとにセッションで形にしていくことが多かったです。
――現在の作曲スタイルは?
【宮崎】今でこそ“ファンタジーを創るバンド”というコンセプトがありますけど、セッションで作るというスタイル自体は大きく変わっていません。僕がやりたいものを弾き語りで持っていくんですが、各パートのフレーズはあえて考えないようにしています。僕の中にあるイメージと、メンバーのアイデアをぶつけ合うことに意味があると思っているんですよ。
――事前にデモを共有することもなく?
【宮崎】僕はセッション前にあまり曲を聴かせたくないタイプで(笑)。イメージが固まっているときにはデモを渡すこともあるけど、基本は1コーラス分くらいの弾き語りをもとに、その場で肉づけしていくというやり方です。
――今作はどのような作品像をイメージして制作されたのですか?
【宮崎】僕らは今まで「アルバムを作ろう」みたいな意識で取り組んだことがなくて、いい曲を単発で作っていき、星座みたいに“つなぎ方”を見出していくような感覚なんです。それは今回も同じだけど、この作品がメジャーデビュー作になることは決まっていたので、「魅力的な曲たちだけを集めたEPにしたい」という意識は持っていましたね。
■繰り返される“原点回帰”と“新境地への挑戦”
――今作収録曲の中で最初にできた曲は?
【宮崎】「BOOGIE MAN RADIO」でした。「ライブの中で一番刺激の強い曲を出したい」と思って作って、去年の夏頃に初披露したんです。簡単な“丸サ進行”(※コード進行の1つ。椎名林檎「丸の内サディスティック」でも用いられていることから名づけられた)なんですけど、その中でどうやって面白いことをしようかと考えた結果、歌詞の面で面白さを出していきました。曲の肉付けという点でも、ギターやベースのソロなど、歌のない場所がかなり多い曲になっていて、バンドとして挑戦的な曲になったなと思います。
――「BOOGIE MAN RADIO」は本作のリード曲にも位置づけられています。宮崎さんからこの楽曲を提示されたとき、どんな印象を持ちましたか?
【秦】ノリやすいし、中毒性もあって…すごく売れそうな曲だなって思いました(笑)。なので、スネアは基本的にゴーストノートを入れずに裏拍で鳴らし続けたり、サビとかではバスドラムを四分音符で入れたり…と、打ち込みっぽい現代風のフレーズになっています。でも逆に、音作りでは生っぽさを意識して、僕ららしさを出すようにしました。
【山本】僕はいい意味で泥臭くて、重心の低い曲だなと感じたので、ギターでどうやってスタイリッシュにしていくか考えたんです。で、オートワウにピッチシフターをかけてシンセっぽい音にしたり、ハイフレットでカッティングをしたりと、かなり実験的なことをやってみました。
【佐伯】僕も今っぽくしすぎたくなかったので、突然不思議なフレーズを挟み込んだりして、このバンドらしいカラーが出るようにしていました。スラップ、ウォーキング、16分のサムズアップ…と、いろいろなストロークを入れていますね。この曲に限らずなんですが、「なんでこんなフレーズが作れたんだろう?」っていつも思っています(笑)。
■4人それぞれのこだわりが生み出す唯一無二の音世界
――演奏面で特に印象深い曲やフレーズを挙げるとしたら?
【宮崎】「踊ろう命ある限り」は録り方が面白かったです。この曲ではGretschのDuo Jetを使っているんですけど、マイクでピッキングの音を拾って、ギタートラックに重ねているんですよ。こうするとキラキラ具合がさらに増すし、別録りじゃないから完璧なダブルになる。結果、ノイズを全部カットできて、ギターの音が瑞々しさを持つようになるんです。あまりやられていない手法だと思うし、この曲のギターサウンドには自信がありますね。
――歌については?
【宮崎】歌に関しても、同じく「踊ろう命ある限り」ですね。僕はあからさまに韻を踏むのが好みではなくて、あくまでも文章として成立していながら、よく聴くと「あ、こんなところでも踏んでいたんだ」ってわかるくらいの…“ステルス韻”がちょうどいいと思っているんです。「踊ろう命ある限り」では、子音踏みや長尺の踏も使っていて、なかなか芸術点が高いんじゃないかと思っています(笑)。
――秦さんはいかがでしょう?
【秦】う〜ん…難しい(笑)。というのも、「BOOGIE MAN RADIO」では打ち込みっぽくオーソドックスなアプローチをしているんですが、逆にほかの曲では「歌モノのバンドでそんなことまでやっていいの!?」っていうアプローチを結構やっているんです(笑)。
――例えば?
【秦】「踊ろう命ある限り」のサビやギターソロの前などでゴスペル系の手足混合フレーズを入れていたり、大好きな6連符を「ハナガサクラゲ」で採り入れたり…。歌モノの曲で6連符ってあんまり聞かないじゃないですか。あと、「時間旅行少女」ではゴリゴリに音を歪ませたりもしています。全部歌モノではありえないアプローチばかり…(笑)。
――しかし、歌がしっかり聴こえるビートになっています。
【秦】最近の曲のドラムって、歌を引き立たせるためにどんどんシンプルになっていると思うんですけど、要は“シンプルさ=あくまでも歌を聴かせるための手段”ってことじゃないですか。だったら、歌を引き立たせられるなら何をしてもいいじゃないかと。なので、「BOOGIE MAN RADIO」以外の曲では、歌の邪魔をしないということを重視しながらやりたいことを全部やりました。ちょっと自画自賛になっちゃいますけど、ここまで歌に寄り添うドラムはなかなか叩けないと思います。そこには自信を持っていますし、ドラマーの人が聴いていて楽しめる作品にもなっていると思いますね。
――佐伯さんは?
【佐伯】僕は「浮遊」ですね。アプローチ自体はシンプルなんですけど、バスドラムとベースがカッチリ合っている。こういうベースラインがすごく好きなんですよね。「ハナガサクラゲ」の前奏曲なので、次の曲へしっかりとつなげる役割を果たせたかなと思います。
――1曲目「時間旅行」ではピック弾きと指弾きを併用していますか?
【佐伯】全部指弾きですが、ピックっぽい音ですよね。EPの始まりになる曲なので、印象に残るような音にしたくて、弾き方と音作りで工夫してみました。
――山本さんのギターに関してはいかがでしょうか?
【山本】僕は「ハナガサクラゲ」の2サビの直前で鳴っているメロディー。僕は歌がない場所に何を入れるか考えるのがすごく好きなんですけど、このフレーズはギタリストがあまり使わないリズムというか…ちょっとEDMっぽい感じになっていて、かなり気に入っています。
――リバースや付点など、ディレイの種類も多彩ですね。
【山本】ギターらしくないものにしようというのがテーマだったので、エフェクティブな音を多用していますし、王道的なギターサウンドでもフレーズは少し外したものにしています。ただ、「ハナガサクラゲ」では最後にギターらしいフレーズも持ってきていて、そういう“裏切り”を作るようにしていますね。
■ライブ機材も多用された楽曲制作 来たるツアーに向ける決意のまなざし
――レコーディングで使った機材についても教えていただけますか?
【宮崎】さっき話したGretschのDuo JetとかFenderのTelecasterとかですね。あと、ライブでメインにしているFreedom Custom Guitar ResearchのGreen Pepperは「時間旅行少女」で使いました。アンプは今までMarshallやHughes & Kettnerも使い分けていたんですけど、今回はほとんどFenderで、あのキラキラした感じを活かすようにしていました。
ピックアップにはF-90とPepper SPTEの2基を搭載=Freedom Custom Guitar Research製Green Pepper (C)ORICON NewS inc.
「踊ろう命ある限り」ではジャケット写真に合わせてGrecoのLPスタイルを選んだんですけど、そんな風に僕はわりと視覚的なイメージでギターを選ぶことが多いんですよ。すごく感覚的なんですが、そういうイメージって音や演奏にも自然と出てくるので、曲とハマることが多いんです。
【佐伯】「浮遊」「ハナガサクラゲ」「踊ろう命ある限り」では、ライブでも使っているIbanezのSR1355Bを使って、それ以外の曲では1970年代のFender Jazz Bassを借りて弾きました。強く歪ませようとすると、Jazz Bassの方がマッチしたんですよね。歪みは(TECH 21製)Sansamp Bass Driver DIとかで作ることもありましたが、基本的には後がけにしています。
【秦】僕はZildjianのシンバルの中でもK Zildjianシリーズの音が好きで、今回のレコーディングでも使いました。中でも「ハナガサクラゲ」の音作りが一番上手くいったと思っています。それとこの曲のイントロでは、カップ打ちを20インチのライド(本人右手側)じゃなくて、18インチのスイートクラッシュ(本人左手側)にしていることもこだわりです。
――右手側のライドを右手で叩くのが一般的ですが、左手側のクラッシュを右手で…となると、演奏時にはかなりイレギュラーなフォームになりますね。
【秦】はい(笑)。ただ、聴き馴染みのある音ではなくて、曲が始まる瞬間のいいトリガーになってくれています。あと、スネアを1960〜70年代のファンクっぽい音にしているのに、シンバルはすごくゴージャスな音になっていてサステインも長い。そのコントラストも結構面白いと思います。
――最後に、6月からスタートする全国ツアー『クジラ夜の街ワンマンツアー“6歳”』への意気込みを聞かせてください。
【宮崎】結成から6年目になり、最近「いつまでも若いバンドはいられないな」と思うんです。もちろんメジャーデビュー1発目なので、若い気持ちみたいなものも忘れずにいたいんですけど、この作品とツアーで安心感も見せたいなと。なので、バンドをより大きく、強く見せられるように1本1本まわっていきたいと思います。
■クジラ夜の街メジャー1st EP『春めく私小説』収録内容
▼CD
01. 時間旅行(Prelude)
02. 時間旅行少女
03. BOOGIE MAN RADIO
04. 浮遊(Interlude)
05. ハナガサクラゲ
06. 踊ろう命ある限り
▼DVD(初回限定盤のみ)
01. ここにいるよ
02. 詠唱
03. ラフマジック
04. あばよ大泥棒
05. 分岐
06. EDEN
07. インカーネーション
08. BOOGIE MAN RADIO
09. Holmes
10. 欠落
11. 言葉より
12. 踊ろう命ある限り
13. 時間旅行
14. 時間旅行少女
15. 序曲
16. オロカモノ美学
17. 拝啓
18. 歌姫は海で
19. 無しの礫と走馬灯
20. 再会の街
21. ヨエツアルカイハ1番街の時計塔
22. 王女誘拐
23. 夜間飛行
24. 夜間飛行少年
25. 超新星
26. Golden Night
■全国ツアー『クジラ夜の街ワンマンツアー“6歳”』日程
6月3日(土) 広島・広島Live space Reed
6月8日(木) 愛知・名古屋CLUB UPSET
6月9日(金) 大阪・心斎橋Music Club JANUS
6月11日(日) 福岡・福岡LIVE HOUSE OP's
6月16日(金) 宮城・仙台MACANA
6月21日(水) 東京・恵比寿LIQUIDROOM
★YouTube公式チャンネル「ORICON NEWS」
Major d?but 1st EP
— クジラ夜の街 (@Qujila_band) May 9, 2023
春めく私小説 (Little Spring Shower)
配信開始
一聴目はどうか、あなただけの空間で。https://t.co/zvVh63vcGX pic.twitter.com/Zh3EWZUJoC
2023/05/10



