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渡辺徹さん、大病乗り越え語った家族への感謝 親子初共演の朗読劇に“秘めた思い”【再掲】

 俳優・歌手の渡辺徹さんが11月28日午後9時1分、敗血症のため死去した。61歳。所属する文学座が2日に発表した。ORICON NEWSは昨年7月、大動脈弁狭窄症から仕事復帰したばかりの渡辺さんと、妻・榊原郁恵(63)、長男・渡辺裕太(33)を交えた3ショットインタビューを実施。今回、あらためてその記事を再掲載し、渡辺さんが明かした仕事への意識や家族への思いを振り返る。

(左から)榊原郁恵、渡辺徹、渡辺裕太 (C)ORICON NewS inc.

(左から)榊原郁恵、渡辺徹、渡辺裕太 (C)ORICON NewS inc.

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 本インタビューは、“俳優・渡辺徹”の還暦とデビュー40周年を記念し、榊原との公演『いまさらふたりでpart2 朗読劇「家庭内文通」〜きっかけは いつも夫婦喧嘩!家族の愛情物語〜』(21年9月25日、東京・草月ホール)の開催発表に伴い実施された。同公演のゲストに裕太が出演し、1日限りで初の“親子共演”が実現した。

 以下、インタビューを再掲する。

■現在は順調に回復、治療の時間得られ家族も安堵

 渡辺さんは、2021年4月16日に急性気管支炎のため、愛知県芸術劇場でのミュージカル『アリージャンス〜忠誠〜』の休演を発表。検査の結果、大動脈弁狭窄症が判明し手術を行った。同年5月に無事退院するも、翌6月上演の舞台『ハリネズミ』は全公演中止となっていた。

 インタビューで元気そうな姿を見せた渡辺さんは「予定通り、順調に(治療が)進んでいますね」とにっこり。現在は心臓のリハビリを行っているそうで、「増強のためにやっている。攻めのリハビリ。『より強くしておくと良いですよ』というので、『じゃあやります』と。エアロバイクを30分こいだり。トータル1時間半のトレーニングを週2回。2ヶ月くらい入院しましたけど、あっという間に筋力が衰えた。リハビリをやって助かってます」と順調な回復ぶりを語った。

 榊原は「いずれは治療を施さなければいけないという話はあったので、その時が来たという感じだった」と回顧。「『ハリネズミ』には復帰できるかしら?って思っていた。復帰してもらいたいという気持ちでいたが、本人が珍しく『ちょっと無理かもしれないな…』って漏らしていた」と渡辺さんとのやり取りを明かした。

 しかし、「信頼できる先生に出会えて治療を受けていたので、私は周りの意に反して安心していた」そうで、長男の裕太も「家族としては休むと聞いてホッとした」と本音を吐露。「次の仕事をより丁寧にやらせてもらえるような体に治してほしいなと。ちゃんと治せる時間をここで作ってもらってよかった」と父を思う安堵の表情を浮かべた。

 長い間、第一線で活躍してきた渡辺さんにとって、3ヶ月の療養は想像以上のブランクとなっていた。「こんなに休んだことはなかった。打ち合わせも、出だしで緊張した。あまりにもしゃべらないでいたら、滑舌も悪くなってしまった。10〜15分くらい話すと元に戻る。日数では3ヶ月だけど、自分ではもっと大きなブランクを感じましたね」という戸惑いもあった。

 療養を通じて、当たり前だった家族の存在にあらためて感謝している。「何かあったときに一番頼りになる。結婚して35年になると、(一緒に)いて当たり前だったり、ややもすると『うるせえなぁ』と思ってばっかりだった。しかし、コロナ禍で入院して、なかなか会うこともままならないと、たまに用があって電話して声を聞いて『日常っていいな』とありがたさを感じますね」。家族の絆がより深まったとしみじみ感じた。

■出演者めぐり予想外の“オファー”

 渡辺さんの復帰作は、2017年の前作から4年ぶりとなった妻・榊原との朗読劇。還暦という節目を迎えて「せりふ劇をやりたい」と“原点回帰”の意味も込めている。脚本は、NHK連続テレビ小説『ちゅらさん』など数々の作品を手掛けた岡田惠和氏。ツテがない状態から何とかコンタクトを取り、こんこんと熱意を伝えたことで快諾してもらえたという。

 また出演者をめぐり、予想外の“オファー”もあった。渡辺さんは「案を練っていたら、ある俳優から『出させていただきたい』とオファーが来た。渡辺裕太っていうんですけど(笑)。びっくりしたのが、裕太のマネージャーから『出させていただくことは可能でしょうか』って打診が来たんです」と親子共演となった内幕を説明した。

 これまで、テレビ番組から親子共演のオファーがあっても、裕太は「親と一緒は嫌だ」と断っていた。「今まで仕事をしたことはなかったが、数年前から何かのきっかけで一緒になる機会はないか模索していた」と秘めた思いを吐露した上で「自分も20代から仕事をやってきて、30歳を越えたこのタイミングで一緒にやらせてもらいたいと思った」と照れくさそうな表情を浮かべた。それを聞いた渡辺は「急に“オファー”があったのでびっくりした」としつつも、どこかうれしそうな顔を見せる。

 一方で渡辺さん自身も、家族と共演するのは照れくささもあるという。「我々家族は『表現者』として仕事としている。共演することで“アンサンブル”になる。『アンサンブルが良くないね』と言われたら、致命傷になりかねない。言い訳がきかないものを見せるってとても大変だし、恥ずかしいこと。見てる人は『家でああやってやってるんだ』と思って見る」と気を引き締める。

 家族で出演することについて、渡辺さんは「良い部分にも悪い部分にもなりえる」と指摘。「遠慮がないですよね。親子、夫婦でいろんな気遣いはあるけど、表現者としてはほかの人とやるよりは遠慮なくズバズバ言える仲になる。けいこの正しいやり方だけど、家族でやると感情的にもなると思う。そのさじ加減だが、それはある意味“深いけいこ”なので、良いものができると思っている」と自信をのぞかせた。

■親子一丸で臨む復帰作、父・徹さんの“愛のムチ”も?

 台本はまだできあがっていないが、岡田氏から原案が届いている。渡辺さんはその内容について「けんかしている夫婦が家庭内別居をしている。やり取りも書き置きの手紙。そこに外で暮らしている息子が戻ってきて、それを読んでしまう。息子も手紙を書いて置いておく…というのをベースに展開していく。だから『家庭内文通』」と解説する。

 親子初共演となる朗読劇の意気込みを問うと、裕太は「作品自体がどうなるかまだわからないですが、漠然と楽しみという気持ち。けいことかこれからどうなるんだろうというドキドキです」と素直な思いを告白。「僕はいろんな現場に行かせてもらった時に『お父さんとお母さんとどういう感じでしゃべるの? どんな感じで接してるの?』と聞かれることもある。『そのままですよ』と言うのですが、基本的に(親子で)話す姿を人前で見せることもなかった。作品として、役としてやる部分もありますが、初めて渡辺家として3人で舞台に立つ時間なので、その要素も入ると思う。舞台上で自分がどういう変化になるかわからないが、舞台で一緒に過ごす時間を見ていただきたい」と呼びかけた。

 一方、榊原は「役者・渡辺徹になると大変厳しい人になるんです。家ではわがままな人間だけれども、仕事の顔になると厳しい。自分の思いが違うと思ったらはっきりと言う。“愛のムチ”を受けながら、作り上げることになると思う。役者である渡辺徹、俳優としての渡辺裕太。その3人のバトルがどうなるのか、第三者的な意見になるがとても楽しみ」と声を弾ませた。そして「プロデューサーである渡辺徹さんが面白く仕上げてくれるので、やりたいことを全てそこにぶつけようと思ってます」と力強く語った。

 最後に渡辺さんは「役者はいろんな役をやるが、最終的にはその人物がにじみ出る。やはりそこに帰結する。家族とはいえ、それぞれ自分のやってきたこと、歴史がある。裕太は劇団を作って悩んだり、榊原“先輩”は若い頃からずっと一線でやってきたりとか。俺はずっと2枚目俳優で(笑)」と軽快にトーク。「違った経験をしている人たちが集まったアンサンブルが芝居の妙。裕太が今32歳。言ってみればこの芝居をやるにあたって32年間(家族で)稽古してきたようなもの。それを信じて面白いものを作りたい」と、親子一丸となって復帰作に臨む。

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  • (左から)榊原郁恵、渡辺徹、渡辺裕太 (C)ORICON NewS inc.
  • (左から)榊原郁恵、渡辺徹、渡辺裕太 (C)ORICON NewS inc.
  • 渡辺徹 (C)ORICON NewS inc.
  • 榊原郁恵 (C)ORICON NewS inc.
  • 渡辺裕太 (C)ORICON NewS inc.

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