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どうするインターネット時代のNHK、公共放送の「役割」「在り方」議論は続く

 昨年8月、総務省は「10〜60代が平日にインターネットを使う時間の平均値が、平日にテレビを見る時間の平均を超えた」という調査結果を発表。世代を問わず多くの人がスマートフォンやパソコンで情報を得るようになり、動画配信サービスの広がりやパーソナライズ化が進むなど、放送・通信を取り巻く環境が大きく変化している。

NHK(C)ORICON NewS inc.

NHK(C)ORICON NewS inc.

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 こうした中、総務省では、昨年11月より有識者による「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」を開催(今年11月11日時点で14回開催)。これと並んで、今年9月に「公共放送ワーキンググループ」が設けられ、「インターネット時代における公共放送の役割」「NHKのインターネット活用業務の在り方」についての議論も始まった。今月24日には、3回目が開催され、NHK、日本民間放送連盟、日本新聞協会メディア開発委員会が、それぞれプレゼンテーションを行った。

 NHKは、受信料収入を経営の基盤とする公共放送として、「“いつでも、どこでも、誰にでも、確かな情報や豊かな文化を分け隔てなく伝える”ことを役割として担って」いるとし、今後さらにテレビを保有・視聴しない人たちが増えても、「引き続き国民・視聴者に対して社会の基本的な情報を提供するという役割を果たしたい」と、インターネット事業に力を入れたい考え。

 独自の調査から、これまで「放送」で行ってきた災害時の取り組みや、取材や編集に裏打ちされた信頼性の高い情報発信、インターネット特有の課題(フェイクニュースやパーソナライズ機能により得られる情報に偏りが生じてしまうフィルターバブルなど)を是正する役割等において、インターネットユーザーからも「公共放送としての役割が期待されている」との認識だ。

 現在、NHKでは、地上テレビ(総合・Eテレ)の番組を放送と同時、および放送後原則として7日間配信する「NHKプラス(※受信契約に係る認証あり)」のほか、Eテレの学校放送番組を配信する「NHK for School」やラジオ第1・第2・FMの番組を配信する「らじる★らじる」、国際放送の番組を配信する「NHK WORLD -JAPAN」、「NHKオンデマンド(有料)」といった配信サービス、「NHKニュース防災アプリ」等のインターネット業務を行っている。

 これらはすべて放送法上、放送を“補完”するものとしての"任意業務"という位置づけになっている。「NHKプラス」を登録/利用したいが、テレビ(放送の受信設備)を持っていないために受信契約ができないのは、放送法の規制によるものだ。こうした視聴者ニーズに応えられない状況の改善を含め、時代の要請に沿ったインターネット活用業務ができるように、その範囲・規律・負担について放送法の見直しを求めている。

 一方、日本民間放送連盟、日本新聞協会メディア開発委員会からは、民業圧迫への懸念の声があがった。民放連は同ワーキンググループに対し、「情報空間におけるメディアの多元性確保のために、NHKと民間事業者との公正な競争環境が維持されるよう、議論を丁寧に進めていただきたい」などと訴えた。新聞協会も「巨額の受信料を財源にインターネット業務を際限なく拡大していけば、民間メディアとの公正競争が阻害され、言論の多様性やメディアの多元性が損なわれかねない」などと意見し、「(2022年度は)200億円というNHKのネット予算の上限は、すでに、新聞・通信社単独のデジタル事業の予算を大きく上回っている」と指摘した。

 NHKは「ひとりNHKの話ではなく、新聞・民放という伝統メディア、そしてデジタルプラットフォーム事業者も含め、情報空間全体での在り方を考えていくことが必要」との認識も示しつつ、「議論を深めていただき、その結果、NHKが視聴者・国民の期待に応えられるような状況になることを願いつつ、今後の推移を見守りたい」と話していた。

 国民・視聴者としては、インターネット時代にテレビ受像機に紐づいて契約義務を定めている現行の受信料制度はどうなるのか、公共メディアを支える受信料の負担の公平性も気になるところ。今後の議論に注目していきたい。

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  1. 1. どうするインターネット時代のNHK、公共放送の「役割」「在り方」議論は続く
  2. 2. NHK、会長人事を公表 三位一体の改革に取り組んだ前田晃伸会長は任期満了で退任へ
  3. 3. NHK次期会長・稲葉延雄氏、改革に「生き残りをかけた努力」 デジタル化への展望語る
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