1987年から放送され人気を博した『仮面ライダーBLACK』が、白石和彌監督(47)のもと、主演に西島秀俊(51)、中村倫也(35)を迎えてリブートした『仮面ライダーBLACK SUN』がPrime Videoで配信されている。ORICON NEWSでは、白石監督と西島にインタビューを実施。中村や特撮監督の田口清隆氏、ビジュアルコンセプトの樋口真嗣氏との裏話、「変身」シーンの秘話まで『仮面ライダーBLACK SUN』の魅力をたっぷり語る。
■「変身」シーンはひそかに練習「プレッシャーが強かった」
――西島さんにオファーした経緯を教えてください
【白石監督】今回、50周年の企画ということで、50年をまたぐ物語にしています。ある仕掛けで年をとったり、とらなかったりがあるんですけど、時間の流れの重さ、扱っているテーマも含めて人生の深さを感じさせてくれる方にお願いしたいと思い、西島さんにお願いしました。
――『仮面ライダー』作品のオファーを受けていかがでしたか
【西島】仮面ライダーは僕が子どものころに見ていて夢でした。平成仮面ライダーからは、また全然、違う面白さで、今の世の中の空気みたいなものを描いている作品が続いている。見ていて面白くて自分も参加したいと思っていて。まさか仮面ライダーとして出していただけるのは想像もしていなかった。もう即決で受けました(笑)。
――「変身」というせりふを言ってみて
【西島】オリジナルの倉田てつをさんの変身が本当に素晴らしくて。それを踏襲した形で、それでいてリブートされた南光太郎の気持ちで変身する。この作品の中で1番、緊張したシーンの1つです。本当にプレッシャーが強かったのが正直なところです。
――かなり練習されたと伺いましたが
【西島】どこで聞いたんですか(笑)。かなり練習しました。僕のiPhoneにはものすごく練習した映像がまだ残っています(笑)。
――完成した映像をご覧になって
【西島】変身のシーンって、特殊効果のスタッフ、撮影部、照明部、ギミックを扱うチーム、CGチーム、アクションチームの全員が本当にうまくいった時に素晴らしいカットになる。それが本当に見事に行った。僕は個人的には大満足です。あんまり、参加した本人が言うのも、あれですが(笑)。ぜひ、楽しみにしていただければと思います。
【白石監督】最初の変身は、撮影が開始して1ヶ月半ぐらい経ってからでした。その間、「どういう変身になるんだろうね」って話をずっとしていたんです。最初に「1回、やってみてください」と軽い感じでお願いして、やってくれた変身が、あまりにも素晴らしくて…。僕も田口さんも泣き出しちゃって。これを、見てくださる皆さんにどう伝えられるのかが逆に緊張しました。変身シーンだけで半日ぐらい掛かりました。それぐらい集中する素晴らしい体験でした。
――特撮作品の変身シーンの撮影方法はいかがでしたか?
【白石監督】なじみのないことも多かったんですけど、理屈をひも解くと腑(ふ)に落ちるというか。今まで仮面ライダーでいうと50年の歴史があって、特撮チームのいろんな方が知恵を出し合って築き上げてきたもの。それを教えてもらった。叡智(えいち)の詰まった撮影の繰り返しでした。感動的でした。
【西島】例えばCGでも、どれぐらい厳密なのか、そのさじ加減はこれまでの特撮の経験値の積み重ねであるもの。芝居の気持ちでつなげるとか。怪人が出てきたり、変身シーンのたびに感じました。特撮の叡智が積み上がったものの先に、この『仮面ライダーBLACK SUN』があるんだなと。
――スーツアクターと2人で1つの役を作り上げる作業については
【西島】スゴく大事にしました。「この時の気持ちは、こうなので」みたいなことを伝えたり、スーツアクターの方からも「どうですか?」と聞かれたり。スーツアクターの方は体で感情を表現しないといけない。僕のイメージだとブラックサンも、いくつか段階がある。この段階の時は、こういうモードとかを説明したり、かなり綿密に打ち合わせをしました。
――中村倫也さんを秋月信彦役でオファーした経緯も教えてください
【白石監督】倫也くんは、何度かお仕事をさせていただいて、仕事も本人の生き方もシャープ。切れ味のあるお芝居をいつもしてくれて、まさに信彦も切れ味のあるカミソリのような生き方をしている。倫也くんに演じてもらいたいなって思っていた。オファーしたら倫也くんも即決で答えをいただいた。全然、知らなかったんですけど、小さいころはシャドームーンが自分のアイドルでおもちゃも買って遊んでいたそうです。衣装合わせの時に「秋月信彦/仮面ライダーSHADOWMOON役の中村倫也さんです!」って紹介した時に「俺、シャドームーンなんだ」って感動してました(笑)。普段、何気ないこともリアクションが違ったので面白かったですね。
――南光太郎と秋月信彦は兄弟同然に育つという設定です。役作りで何かしたことはありますか?
【西島】僕も何度か共演していて、プライベートでも食事に行ったりもしています。あまり、「兄弟のように」っていうつながりみたいなものを撮影前にあえて作る、ということはしなかったです。お互いに対する信頼、友情はあるという前提で入りました。光太郎と信彦は、お互いに間違っていないけど違う考えを持って、どんどん違う道を歩んでいく。お互いに演技しながら、こういう空気感でやるんだなと感じていました。
倫也くんは若者たちのリーダーっていう役。今回の現場でも若い俳優たちが「中村さんがカッコよくて!」と本当にカリスマになっていた。実際に、そうなっているし、何かそういう空気を持っている。今の若い俳優たちは中村倫也くんを尊敬して「こんなふうになりたい」と思っている俳優。僕は、もうちょっと年齢も上だし、若い俳優からすると全然、違う道を行っている、よくわからない人(笑)。そういう感じの役だし、立場でしたね。
■向き合ったビルゲニアとの先に 白石監督「いろいろ教えていただきました」
――仮面ライダーBLACK SUNのビジュアルを見た感想を
【西島】怪人よりも生き物っぽい造型。僕は造型から受けたインスピレーションは大きかった。後で声を入れるシーンでも、人間の意識をしっかり持っている、というよりは暴走して獣に寄ったような。そこから、もう1つ上の段階に行く。そこでは逆にすべてを澄んだ目で見通すような。造型から、いろいろな内面が想像できました
――白石監督には、以前のインタビューで樋口氏が「我々は向き合わなきゃいけない」と発言していたビルゲニア、監督のアイドルであるクジラ怪人についてお伺いできれば
【白石監督】『仮面ライダーBLACK』で、ビルゲニアは顔が出ている。それは大事にしたかった。それで、三浦貴大くんはアクションシーンも全部やる地獄のような状況になっちゃったんですが(笑)。でも、それも含めて本人も楽しんでくれた。あとは、古代甲冑魚怪人ということで、骨の部分だったりがデフォルメされている。あとは大事なサーベルを守る人でもある。その感じは意識して作りました。樋口さんはビルゲニアにこだわっていて、これでいいんじゃないかって時も、なかなかOKが出なかった。その代わり、いろいろ付きすぎて(笑)。ビルゲニアは大変なことになってます。こだわるとこだわるで現場は大変なんだな、と。ビルゲニアには、いろいろ教えていただきました。
クジラ怪人も素晴らしかったです。最初に樋口さんが「こんなクジラ怪人がいいんじゃない?」と言ってきたのがカッコよかったんです。顔が立っている状態で、地面に着きそうなぐらい長くて。よかったんですけど、造型部から「これ着たらアクションとか絶対に無理ですよ」って言われて(笑)。紆余曲折ありながら、1番カッコいいところに落ち着いたかな。ちゃんと泳いでいますし。
怪人がみんなキュートなんですよ。残酷なこともするし、されることもある。でも、目とか見てると物悲しくもあり…。どの怪人もかわいいです。
【西島】怪人のかわいさって日本にしかないですよね。海外のヒーローものの敵って本当に怖かったりするけど、日本の怪人はなんかかわいくて、フィギュアとかほしくなります。それだけ敵であっても、どこか愛着がって、人格があって、感情移入ができるキャラクターになっていると思います。
――ゴルゴムが政党になっていることに驚きました
【白石監督】怪人たちが今の世界に生きていた時に、どういうことが起きるのか、みんなで話をしていたんです。もしかしたら怪人の権利が、ある程度、認められているんだとしたら怪人たちで作った政党があるんじゃないか、という思いに至り。ゴルゴムのオモテの顔は政党、ウラでは…、みたいな形にした。それに付随して三神官の立ち位置も、ただのゴルゴム内で悪いことをするのではなく、複雑な感じにしている。それで物語にうねりが出たと思います。もう考えることが普通の作品の5倍ぐらいありました。普段の何倍も考えました。それでも思い至らなかったり…。でも、それがやってて楽しいところでした。
――『仮面ライダーBLACK』の魅力は、南光太郎の怒りに燃える力強いせりふだったと思います。『仮面ライダーBLACK SUN』で好きなせりふはありますか?
【西島】南光太郎のせりふとしては、戦いのきっかけを作る葵という少女に言う言葉は好きです。あと、信彦のラストは倫也くんの演技が素晴らしかった。そこは本当に見応えがある。全編を見終わった後に心に残るシーンですね。
【白石監督】そこかしこに印象的になれ、というせりふを埋め込んでいます。今、西島さんがおっしゃった葵という少女が物語の中心にいる。彼女が怪人に言う言葉、人間に言う言葉、親友である同級生の男の子に言う言葉が、どう突き刺さるかっていうのは考えました。印象的なせりふがどれか、っていうことよりは彼女の生き方を見ていけば、いろんなことが見えてくるのかな。
――『仮面ライダーBLACK』を見たことがある人に向けて
【白石監督】オリジナルとは出口が違います。最後まで楽しんでいただけると思います。
【西島】オリジナルも好きな方は「あぁ、なるほど」となる。この言葉が、こうなっているのか、このシーンが、こういうふうになっているのか、と納得していただけると思います。
――最後に見どころをお願いします
【白石監督】オリジナルの『仮面ライダーBLACK』に作りながら惚れました。先人たちの偉大さを感じながら作った作品です。特撮が好きな人と一緒にエンターテイメントを目指して作りました。ぜひ、楽しんでいただけたら。
【西島】カッコいいエンターテイメントとして楽しめます。でも、見終わった後に、人間とは何か、正義とは何か、悪とは何か、と深く考えさせられるチャンスをくれる作品だと思います。オリジナルの『仮面ライダーBLACK』が好きな方は喜んでいただける作品だと思いますので、ぜひ楽しみにしてください。これまで、あまり仮面ライダーに触れていない方も、ぜひ見ていただけると。カッコいいものに仕上がっています。
■『仮面ライダーBLACK SUN』ストーリー
時は2022年。国が人間と怪人の共存を掲げてから半世紀を経た、混沌の時代。差別の撤廃を訴える若き人権活動家・和泉葵は一人の男と出会う。南光太郎。彼こそは次期創世王の候補、「ブラックサン」と呼ばれる存在であった。
50年の歴史に隠された創世王と怪人の真実。そして、幽閉されしもう一人の創世王候補シャドームーン=秋月信彦。彼らの出会いと再会は、やがて大きなうねりとなって人々を飲み込んでいく。
■「変身」シーンはひそかに練習「プレッシャーが強かった」
――西島さんにオファーした経緯を教えてください
【白石監督】今回、50周年の企画ということで、50年をまたぐ物語にしています。ある仕掛けで年をとったり、とらなかったりがあるんですけど、時間の流れの重さ、扱っているテーマも含めて人生の深さを感じさせてくれる方にお願いしたいと思い、西島さんにお願いしました。
――『仮面ライダー』作品のオファーを受けていかがでしたか
【西島】仮面ライダーは僕が子どものころに見ていて夢でした。平成仮面ライダーからは、また全然、違う面白さで、今の世の中の空気みたいなものを描いている作品が続いている。見ていて面白くて自分も参加したいと思っていて。まさか仮面ライダーとして出していただけるのは想像もしていなかった。もう即決で受けました(笑)。
――「変身」というせりふを言ってみて
【西島】オリジナルの倉田てつをさんの変身が本当に素晴らしくて。それを踏襲した形で、それでいてリブートされた南光太郎の気持ちで変身する。この作品の中で1番、緊張したシーンの1つです。本当にプレッシャーが強かったのが正直なところです。
――かなり練習されたと伺いましたが
【西島】どこで聞いたんですか(笑)。かなり練習しました。僕のiPhoneにはものすごく練習した映像がまだ残っています(笑)。
――完成した映像をご覧になって
【西島】変身のシーンって、特殊効果のスタッフ、撮影部、照明部、ギミックを扱うチーム、CGチーム、アクションチームの全員が本当にうまくいった時に素晴らしいカットになる。それが本当に見事に行った。僕は個人的には大満足です。あんまり、参加した本人が言うのも、あれですが(笑)。ぜひ、楽しみにしていただければと思います。
【白石監督】最初の変身は、撮影が開始して1ヶ月半ぐらい経ってからでした。その間、「どういう変身になるんだろうね」って話をずっとしていたんです。最初に「1回、やってみてください」と軽い感じでお願いして、やってくれた変身が、あまりにも素晴らしくて…。僕も田口さんも泣き出しちゃって。これを、見てくださる皆さんにどう伝えられるのかが逆に緊張しました。変身シーンだけで半日ぐらい掛かりました。それぐらい集中する素晴らしい体験でした。
――特撮作品の変身シーンの撮影方法はいかがでしたか?
【白石監督】なじみのないことも多かったんですけど、理屈をひも解くと腑(ふ)に落ちるというか。今まで仮面ライダーでいうと50年の歴史があって、特撮チームのいろんな方が知恵を出し合って築き上げてきたもの。それを教えてもらった。叡智(えいち)の詰まった撮影の繰り返しでした。感動的でした。
【西島】例えばCGでも、どれぐらい厳密なのか、そのさじ加減はこれまでの特撮の経験値の積み重ねであるもの。芝居の気持ちでつなげるとか。怪人が出てきたり、変身シーンのたびに感じました。特撮の叡智が積み上がったものの先に、この『仮面ライダーBLACK SUN』があるんだなと。
――スーツアクターと2人で1つの役を作り上げる作業については
【西島】スゴく大事にしました。「この時の気持ちは、こうなので」みたいなことを伝えたり、スーツアクターの方からも「どうですか?」と聞かれたり。スーツアクターの方は体で感情を表現しないといけない。僕のイメージだとブラックサンも、いくつか段階がある。この段階の時は、こういうモードとかを説明したり、かなり綿密に打ち合わせをしました。
――中村倫也さんを秋月信彦役でオファーした経緯も教えてください
【白石監督】倫也くんは、何度かお仕事をさせていただいて、仕事も本人の生き方もシャープ。切れ味のあるお芝居をいつもしてくれて、まさに信彦も切れ味のあるカミソリのような生き方をしている。倫也くんに演じてもらいたいなって思っていた。オファーしたら倫也くんも即決で答えをいただいた。全然、知らなかったんですけど、小さいころはシャドームーンが自分のアイドルでおもちゃも買って遊んでいたそうです。衣装合わせの時に「秋月信彦/仮面ライダーSHADOWMOON役の中村倫也さんです!」って紹介した時に「俺、シャドームーンなんだ」って感動してました(笑)。普段、何気ないこともリアクションが違ったので面白かったですね。
――南光太郎と秋月信彦は兄弟同然に育つという設定です。役作りで何かしたことはありますか?
【西島】僕も何度か共演していて、プライベートでも食事に行ったりもしています。あまり、「兄弟のように」っていうつながりみたいなものを撮影前にあえて作る、ということはしなかったです。お互いに対する信頼、友情はあるという前提で入りました。光太郎と信彦は、お互いに間違っていないけど違う考えを持って、どんどん違う道を歩んでいく。お互いに演技しながら、こういう空気感でやるんだなと感じていました。
倫也くんは若者たちのリーダーっていう役。今回の現場でも若い俳優たちが「中村さんがカッコよくて!」と本当にカリスマになっていた。実際に、そうなっているし、何かそういう空気を持っている。今の若い俳優たちは中村倫也くんを尊敬して「こんなふうになりたい」と思っている俳優。僕は、もうちょっと年齢も上だし、若い俳優からすると全然、違う道を行っている、よくわからない人(笑)。そういう感じの役だし、立場でしたね。
■向き合ったビルゲニアとの先に 白石監督「いろいろ教えていただきました」
【西島】怪人よりも生き物っぽい造型。僕は造型から受けたインスピレーションは大きかった。後で声を入れるシーンでも、人間の意識をしっかり持っている、というよりは暴走して獣に寄ったような。そこから、もう1つ上の段階に行く。そこでは逆にすべてを澄んだ目で見通すような。造型から、いろいろな内面が想像できました
――白石監督には、以前のインタビューで樋口氏が「我々は向き合わなきゃいけない」と発言していたビルゲニア、監督のアイドルであるクジラ怪人についてお伺いできれば
【白石監督】『仮面ライダーBLACK』で、ビルゲニアは顔が出ている。それは大事にしたかった。それで、三浦貴大くんはアクションシーンも全部やる地獄のような状況になっちゃったんですが(笑)。でも、それも含めて本人も楽しんでくれた。あとは、古代甲冑魚怪人ということで、骨の部分だったりがデフォルメされている。あとは大事なサーベルを守る人でもある。その感じは意識して作りました。樋口さんはビルゲニアにこだわっていて、これでいいんじゃないかって時も、なかなかOKが出なかった。その代わり、いろいろ付きすぎて(笑)。ビルゲニアは大変なことになってます。こだわるとこだわるで現場は大変なんだな、と。ビルゲニアには、いろいろ教えていただきました。
クジラ怪人も素晴らしかったです。最初に樋口さんが「こんなクジラ怪人がいいんじゃない?」と言ってきたのがカッコよかったんです。顔が立っている状態で、地面に着きそうなぐらい長くて。よかったんですけど、造型部から「これ着たらアクションとか絶対に無理ですよ」って言われて(笑)。紆余曲折ありながら、1番カッコいいところに落ち着いたかな。ちゃんと泳いでいますし。
怪人がみんなキュートなんですよ。残酷なこともするし、されることもある。でも、目とか見てると物悲しくもあり…。どの怪人もかわいいです。
【西島】怪人のかわいさって日本にしかないですよね。海外のヒーローものの敵って本当に怖かったりするけど、日本の怪人はなんかかわいくて、フィギュアとかほしくなります。それだけ敵であっても、どこか愛着がって、人格があって、感情移入ができるキャラクターになっていると思います。
――ゴルゴムが政党になっていることに驚きました
【白石監督】怪人たちが今の世界に生きていた時に、どういうことが起きるのか、みんなで話をしていたんです。もしかしたら怪人の権利が、ある程度、認められているんだとしたら怪人たちで作った政党があるんじゃないか、という思いに至り。ゴルゴムのオモテの顔は政党、ウラでは…、みたいな形にした。それに付随して三神官の立ち位置も、ただのゴルゴム内で悪いことをするのではなく、複雑な感じにしている。それで物語にうねりが出たと思います。もう考えることが普通の作品の5倍ぐらいありました。普段の何倍も考えました。それでも思い至らなかったり…。でも、それがやってて楽しいところでした。
――『仮面ライダーBLACK』の魅力は、南光太郎の怒りに燃える力強いせりふだったと思います。『仮面ライダーBLACK SUN』で好きなせりふはありますか?
【西島】南光太郎のせりふとしては、戦いのきっかけを作る葵という少女に言う言葉は好きです。あと、信彦のラストは倫也くんの演技が素晴らしかった。そこは本当に見応えがある。全編を見終わった後に心に残るシーンですね。
【白石監督】そこかしこに印象的になれ、というせりふを埋め込んでいます。今、西島さんがおっしゃった葵という少女が物語の中心にいる。彼女が怪人に言う言葉、人間に言う言葉、親友である同級生の男の子に言う言葉が、どう突き刺さるかっていうのは考えました。印象的なせりふがどれか、っていうことよりは彼女の生き方を見ていけば、いろんなことが見えてくるのかな。
――『仮面ライダーBLACK』を見たことがある人に向けて
【白石監督】オリジナルとは出口が違います。最後まで楽しんでいただけると思います。
【西島】オリジナルも好きな方は「あぁ、なるほど」となる。この言葉が、こうなっているのか、このシーンが、こういうふうになっているのか、と納得していただけると思います。
――最後に見どころをお願いします
【白石監督】オリジナルの『仮面ライダーBLACK』に作りながら惚れました。先人たちの偉大さを感じながら作った作品です。特撮が好きな人と一緒にエンターテイメントを目指して作りました。ぜひ、楽しんでいただけたら。
【西島】カッコいいエンターテイメントとして楽しめます。でも、見終わった後に、人間とは何か、正義とは何か、悪とは何か、と深く考えさせられるチャンスをくれる作品だと思います。オリジナルの『仮面ライダーBLACK』が好きな方は喜んでいただける作品だと思いますので、ぜひ楽しみにしてください。これまで、あまり仮面ライダーに触れていない方も、ぜひ見ていただけると。カッコいいものに仕上がっています。
■『仮面ライダーBLACK SUN』ストーリー
時は2022年。国が人間と怪人の共存を掲げてから半世紀を経た、混沌の時代。差別の撤廃を訴える若き人権活動家・和泉葵は一人の男と出会う。南光太郎。彼こそは次期創世王の候補、「ブラックサン」と呼ばれる存在であった。
50年の歴史に隠された創世王と怪人の真実。そして、幽閉されしもう一人の創世王候補シャドームーン=秋月信彦。彼らの出会いと再会は、やがて大きなうねりとなって人々を飲み込んでいく。
2022/11/05