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『このミス』大賞に『ナイナイANN』構成作家の小西マサテル氏 執筆きっかけは「認知症の父の存在」

 出版社の宝島社が主催する第21回『このミステリーがすごい!』大賞の受賞作が発表され、『ナインティナインのオールナイトニッポン』で構成作家を務める小西マサテル氏の『物語は紫煙(しえん)の彼方に(仮)』が受賞した。大賞賞金は1200万円で、来年1月から書籍化される。

第21回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した小西マサテル氏

第21回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した小西マサテル氏

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 同賞はミステリー&エンターテインメント作家・作品の発掘・育成を目的に、2002年に創設した新人賞。これまで「チーム・バチスタの栄光」シリーズの海堂尊氏、『さよならドビュッシー』や『護られなかった者たちへ』の中山七里氏、月9ドラマにもなった『元彼の遺言状』の新川帆立氏などを輩出してきた。

 大賞を受賞した小西氏は、明治大学在学中より放送作家として活躍中。現在は『ナイナイANN』のほか』『徳光和夫とくモリ!歌謡サタデー』『笑福亭鶴光のオールナイトニッポン.TV@J:COM』『明石家さんまオールナイトニッポンお願い!リクエスト』や単独ライブ『南原清隆のつれづれ発表会』などのメイン構成を担当している。

 受賞作のあらすじは、小学校教師の27歳の女性・楓と、71歳で認知症を患い介護を受けている祖父との物語。祖父は「レビー小体型認知症」だったため、幼児退行するようなことはなかったものの、幻視や記憶障害などの症状が現れていた。しかし、楓がある時ちょっとした謎を持ち込むと、祖父はそれに対する鮮やかな解答を語ってくれた。それ以降、楓は身辺で何か事件が起こると、祖父のところへ相談に行くのだが、やがて彼女の人生に関わる重大な事件が起こる……。

 小西氏は「ミステリを書くというのは少年期からの夢だったのですが、本作を執筆する直接的なきっかけは、長らくレビー小体型認知症を患っていた父の存在でした」と振り返る。5年以上にわたり妻と介護を続けるうちに「世間にこの認知症への誤解があまねく広がっていることに気がつきました。この病気への理解を深めたい、せめて興味を持ってもらいたい──そう強く思ったうえでのアプローチのかたちが、私にとってはミステリでした。自分の場合は亡父への想いをこの作品に仮託していて、どうしてもこの作品でデビューしたいという強いこだわりがありました」と明かした。

 今回の大賞受賞は「望外の喜びではありますが、本懐を遂げたという気持ちもあります」と心境を打ち明け、「本作の主人公、楓と同じく、自分も一人っ子です。でも幼い頃から、そばには常にミステリという“兄弟”がいました。今後もさまざまな兄弟たちを自分の手で生み出すことができれば、などと思っています」とこれからの展望も語った。

 選評では、「レビー小体型認知症を患う老人が安楽椅子探偵をつとめる“日常の謎”系の本格ミステリー連作で、ラストがきれいに決まっている」(大森望/翻訳家・書評家)、「マニア心をそそられる趣向が凝らされており、古典作品へのオマージュも好印象。ディーヴァーのリンカーン・ライムのヴァリエーションのようだ」(香山二三郎/コラムニスト)、「キャラクターが非常に魅力的。彼らの会話がとっても楽しい! 全体を通しての空気感、安定感が秀逸でした。魅力的な物語を書き続けていける方だと確信しました」(瀧井朝世/ライター)といった声が寄せられた。

 また、同時に発表された文庫グランプリには美原さつき氏『イックンジュッキの森(仮)』と、くわがきあゆ氏『レモンと手(仮)』が選出された。

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  1. 1. 『このミス』大賞に『ナイナイANN』構成作家の小西マサテル氏 執筆きっかけは「認知症の父の存在」
  2. 2. ナイナイ、ANN作家・小西マサテル氏の『このミス』大賞を祝福 岡村隆史は“最初の編集者”だった

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