元お笑いコンビ・グレートチキンパワーズの俳優・北原雅樹（45）が、3月12日・13日に岡山市天神山プラザで行われる舞台『こどもの一生』に出演し、2018年11月の酒気帯び運転事件以来、本格的に芸能活動を再開することがわかった。このほど大阪市内でORICON NEWSの独占インタビューに応じ、心境を語った。

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　北原は1994年、現在は脚本家などで活躍する渡辺慶氏とグレートチキンパワーズを結成して大人気になり、俳優としてもドラマ『未成年』（95年）や『星の金貨』（同年）、『竜馬におまかせ！』（96年）などに出演。2005年にコンビ解散後は一時芸能界を離れたが、地元の兵庫県加古川市に拠点を移して再スタートを切り、劇団主宰やラジオ出演、イベント司会、加古川観光大使など、地域貢献に尽力してきた。

　2015年と翌年には、NHK連続テレビ小説『マッサン』『あさが来た』に出演し、ふたたび全国ネットでその姿が見られたが、18年11月12日に酒気帯び運転事件を起こし、無期限の活動休止。あれから約3年を経て、北原は「本当に多くの方にご迷惑をおかけしました。この場をお借りして、あらためて謝罪させていただきたい」と、二度と過ちを犯さないと誓う。

■活動再開を発表もコロナ禍で白紙　浜松での再起にも失敗

　グレートチキンパワーズ時代の知名度から事件は大きく報道され、「すべてを失いました。自業自得です」と振り返る。活動を自粛していた間、自分の罪の重さを認識し、飲酒運転の危険性を啓蒙（けいもう）しようと、「飲酒運転防止インストラクター」の資格を取得した。 「アルコール量の計算や車を運転できるようになるまでの時間などを学びました。今は勉強したことを生かし、計算しながらたしなむことを少しずつ始めました」と意識を大きく変えた。

　懇意（こんい）にしてくれた地元ラーメンチェーンでアルバイト生活を送り、事件から1年が経った19年11月14日に同チェーンの出版記念パーティーの司会を務め、芸能活動再開を発表。これは反響があったものの、その後の新型コロナ拡大で事実上の白紙となった。

　その後について、北原は「希望の光を頼って、静岡県浜松市に拠点を移したんです。今考えると、逃げたいという気持ちもあったのかもしれませんが、当時は、何もできなければ離婚も考えると言ったくらい浜松で一旗揚げる気持ちでした」と明かす。加古川に家族を残し、20年6月に単身浜松へ。しかし、コロナ禍もあってほとんど成果が出せないまま、翌年7月に1年足らずで加古川へ戻った。

　妻のフリーアナウンサー・北原真紀（49）は「最後のチャンス。やりたければやったらいい、でも家族が暮らせるようにしてね」と送り出した。家族を残しての浜松挑戦だったが、自宅に帰ると妻は「このままだとお互い甘えてしまう。お互いのために本当に離婚しましょう」と切り出した。北原は「唯一支えてくれていた家族まで失い、もう死んでもいいんじゃないかと本気で考えました。うつ病のようになってしまい、どこにいるかも言いたくなく、（加古川の）実家に引きこもりました。細々と続けていたSNSやYouTubeで加古川に戻ったことを知らせたのも、その年の12月になってからで、離婚したことも公にはしてきませんでした」と語る。

■離婚を経て家族へ感謝の涙　決意の再出発

　妻や2人の子どもへの思いを聞くと、「離婚した時は、冷たく突き放されたように感じたんですが、今となってはエールのように思えるんです。事件を起こしても、まだ芝居がしたいの？　これからも芝居がしたいのなら、このままならお互い甘えてしまう。離婚して、あなたは好きなことをやったら？　と背中を押してくれたんじゃないかなと。もちろん本音はわかりませんが」と涙があふれた。

　だからこそ、北原は「僕には芝居しかないんです。芸能界が甘いから復帰できるんでしょうとも言われるんですけど、逆なんです。他のことができないから、ちゃんとできる自信があるのが芝居だけだから、お世話になった方、育ててくれた地域に恩返しができるとしたら、やっぱりこれしかないんです」と決心を語る。

　舞台『こどもの一生』にはノーギャラで出演。それでも、事件後初めて第三者から舞台出演のオファーを受け、「こんなにうれしいことはないんです」と一直線に稽古に励む。「芝居で食える、食えないは二の次。コロナもまた僕に何かを教えてくれたんだと思うんです。まずは地道に活動し、そしてお声がけいただけるならば、どこへでも行かせていただきます」と張り切る。

■『未成年』共演者への思い　いしだ壱成とはコラボも

　最後に『未成年』の共演者との現在のかかわりについて聞くと、北原は「いしだ壱成くん（47）とは、お互いのYouTubeチャンネルで1年前にコラボしたんですよ。壱成くんも大変ですよね（笑）。河相我聞さん（46）とは2年前にご飯を食べに行かせていただきました。遠野なぎこさん（42）には、僕が一度活動再開をアナウンスした際にテレビで対談して、しかられました（笑）。香取慎吾くん（45）や反町隆史さん（48）は常に第一線でやられていて、すごいですよね。桜井幸子さん（48、2009年に芸能界引退）や浜崎あゆみさん（43）も、一度全員で再会できたらとも思います」と懐かしそうに語ってくれた。

　さらに「当時の経験を後世に伝えていくことが一つの使命。ここまで育てていただいたすべての方に感謝の気持ちを忘れず、前に進ませてください」と、グレチキ時代と変わらない柔和な笑みを浮かべた。

■中島らも初演版『こどもの一生』
場所：岡山県　天神山文化プラザホール
日時：3月12日（午後3時、午後7時）、3月13日（午後1時、午後5時）
※ライブ・アーカイブ配信予定あり