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『鬼滅の刃』、ジャンプへの多大な貢献 “子ども読者”獲得の課題に光明

 人気漫画『鬼滅の刃』(作者:吾峠呼世晴)が、18日発売の『週刊少年ジャンプ』(集英社)24号で最終回を迎え、人気絶頂で約4年3ヶ月の歴史に幕を下ろした。13日に発売されたコミックス第20巻で累計発行部数6000万部を突破するなど、出版不況と言われるなか残した功績は大きいが、中でも貢献したのは同誌にとって課題であった“子ども読者”の獲得だった。

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 まず数字から『鬼滅の刃』のヒットを振り返る。昨年、アニメ放送(4月から9月)の影響で大きく人気に火が付き、コミックスのシリーズ累計発行部数は、アニメが放送された昨年4月6日時点で350万部(※3日後に発売された15巻で500万部)、終了した9月末時点で1200万部と公表されており、12月4日に発売された18巻は、ヒットの指標と言える初版発行部数がシリーズ初の100万部となって、累計2500万部を突破した。

 約2ヶ月(9月末から12月上旬)で2倍以上の発行部数を記録したが、その2ヶ月後に発売された19巻では4000万部を突破。そして、13日に発売された第20巻は、初版280万部とシリーズ初となる初版200万部を突破し、累計が6000万部と2000万部増加。この3ヶ月で1.5倍、1年で12倍と勢いは天井知らずだった。

 ブームは音楽シーンにも及び、テレビアニメ主題歌「紅蓮華」を歌ったLiSAは、同曲のヒットが評価され昨年の『第70回NHK紅白歌合戦』に初出場し、多くの人が作品を知ることになった。この1年間ですっかり社会現象化し、『ジャンプ』の屋台骨となったことは間違いない。

 売上に十分貢献したと言える『鬼滅の刃』。中でも注目してほしいのは、『週刊少年ジャンプ』が課題としていた“子ども読者”の獲得だ。そして、その起爆剤となったのがテレビアニメの放送である。

 18年5月に行われたトークイベント『ジャンプのミライ2018』で同誌の中野博之編集長は、「読者の年齢層が上がっているので、子ども層をどう獲得するかというのに苦戦している。漫画を本で読まない、アニメをテレビの前で見ない世代になっている。子どもたちはYouTubeをやっているので、そこが一番のライバル」と、雑誌名に『少年』が付いている以上、子ども読者を増やすことを課題に挙げていた。そして、翌月に『鬼滅の刃』のテレビアニメ化が発表されている。

 もちろん、テレビアニメ化の発表ですぐに読者が増えたわけではない。18年6月のアニメ化発表時点の累計発行部数は250万部、アニメ放送開始の直後、昨年4月6日時点で350万と、大きな変化はなかった。しかし、放送が終了した昨年9月末時点で一気に1200万部を突破しており、アニメが放送された半年足らずで状況が一変したことがわかる。

■子ども人気も高い『鬼滅の刃』 親も熱中し再び『ジャンプ』読者に

 この中で『ジャンプ』が課題として挙げていた「子ども読者の獲得」はどうだったのか。放送が終わった3ヶ月後に行われた昨年末の『ジャンプフェスタ2020』では、アニメで炭治郎役を担当した花江夏樹らメインキャストが出演する『鬼滅の刃』ステージイベントが開催。小学生以下の来場者が優先的に入れる『キッズエリア』が満席、家族連れが目立ち、一般席もほぼ満席状態で、運営側は急きょ通路に席を設けるほどだった。 また、今月5日に発表された、小学生に「今まで読んだ中で1番好きな本」への投票を呼びかけた第2回『小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙』では、『ざんねんないきもの事典』シリーズが上位を占める中、『鬼滅の刃』のノベライズである『鬼滅の刃 しあわせの花』が10位にランクイン。漫画原作で唯一のランクインとなり、本が苦手な子どもたちも図書館などで読むことが多かったという。

 子ども人気の獲得が急務だった『ジャンプ』において、『鬼滅の刃』はコミックスの売上を含めて、若年層、もっと言えば児童層の読者獲得に大きく貢献したと言えるだろう。今月2日発売の少女漫画誌『りぼん』は、『鬼滅の刃』とコラボレーションし、カラー8ページに及ぶ大ボリュームで特集された。この規模の特集は集英社によると「前代未聞」だと言うのだから、少女読者からの支持もあることがわかる。

 テレビアニメを見てファンになったという、都内在住のある一家に取材すると、小学6年生の長女は「好きなキャラクターは累と猗窩座。学校では鬼派と鬼殺隊派になって言い合いになる」とクラス内で盛り上がっている様子。また、小学3年生の長男は「好きなキャラクターは、煉獄杏寿郎と富岡義勇。学校では、それぞれの好きなキャラクターになりきって戦います」とチャンバラごっこをして楽しんでいると話してくれた。

 父はというと、「子どもたちにお願いされてコミックスを買いそろえて、アニメも一緒に視聴したら、私も大ファンになってしまい…。私の友人も『鬼滅の刃』にハマっている方が多く、ジャンプを久しぶりに購入したそうです」と“子ども”と“大人”2世代で読者を獲得している。以前の『ジャンプ』読者が再び同誌を手にする事例もあるようだ。

 この1年、ブームを巻き起こした『鬼滅の刃』。子ども読者獲得が課題だった『ジャンプ』を救ったわけだが、劇場版の公開も控えるなど、しばらくブームは続き、さらに同誌に貢献し続けていくのは間違いない。

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関連写真

  • 漫画『鬼滅の刃』コミックス第1巻の書影
  • 『鬼滅の刃』の最終話が掲載された『週刊少年ジャンプ』24号
  • 『鬼滅の刃』コミックス第20巻が売り切れ状態の売り場 (C)ORICON NewS inc.

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