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宮部みゆき氏、単行本未収録の小説を0円配信 期間限定で異例の試み

 KADOKAWAは1日、宮部みゆき氏の短編小説『ぼんぼん彩句』6編を期間限定で特別配信することを発表。これまで宮部氏の作品は電子書籍でほとんど配信していないが「雑誌掲載とは違う形で」(宮部氏) 読者にお届けする。

宮部みゆき氏(撮影:ホンゴユウジ)

宮部みゆき氏(撮影:ホンゴユウジ)

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 本作は月刊誌『俳句』で不定期連載されたシリーズで、単行本としての発売はまだ。先に電子書籍として配信する。『ぼんぼん彩句』6篇は第1〜3篇を5月1日に、 第4〜6篇を同8日に電子書籍ストア「BOOK☆WALER」にて配信。また、「KADOKAWAアプリ」でも同日より読むことができる。また、KADOKAWA運営の文芸WEBマガジン「カドブン」では、きょう1日から30日連続で全6編を分割掲載する。

■宮部みゆき氏コメント
 初めまして、宮部みゆきと申します。時代小説やミステリーを書いている作家です。電子書籍の世界ではほとんど作品を配信しておりませんので、このたび初めてお目もじする皆様も大勢いらっしゃると思います。 どうぞよろしくお見知りおきのほどをお願いいたします。

 いつも紙の本の拙著をご愛読いただいている読者の皆様、こんにちは! 今日はウェブ上でお会いすることになりました。紙の本の新刊も準備中なのですが、この配信では、そちらとは別のシリーズ『ぼんぼん彩句』の短編6作をお目にかけたいと思います。

『ぼんぼん彩句』ができるまで

 エンタテイメント小説以外の文芸作品にはほとんど目を向けることのなかった私が、思いがけず俳句に興味を抱くようになったのは、倉阪鬼一郎さんが編まれた俳句アンソロジー『怖い俳句』(幻冬舎新書)がきっかけです。「俳句という形式で語られる怪異」が目を瞠(みは)るほど新鮮で、強く心を揺さぶられました。

 自分も俳句を作ってみたい。そう思って、仕事で長いこと親しくしている方たちに相談してみますと、それは楽しそうだ、句会をやってみましょうと、たちまち話がまとまりました。私がいちばんの素人で、実は編集者さんたちには経験者が多く、最初からいろいろ教えてもらうことができたのは、とても恵まれていたと思います。

 こうして、3ヶ月に1度ぐらいのペースで句会(と打ち上げの楽しい宴会)を開いていたのですが、一生懸命(ヘボな)怖い俳句や怖くない俳句をひねり続けているうちに、私はもう一つ欲が出てきました。

 俳句を素材に短編小説を書きたい。

 俳句は、言葉で一瞬の情景を切り取ります。言葉による写真と言ってもいいでしょう。1枚の写真を題材に短編小説を書くように、一つの俳句を素材に短編小説を書けないか。というわけで、句会のメンバーの皆さんの作品を頂戴し、書き始めたのがこの『ぼんぼん彩句』という短編シリーズなのです。ちなみに、タイトル『ぼんぼん』は、俳句作りには素人、凡手の私たちのこと。『彩句』には、それでも彩り豊かな句をひねりたいと努力しています、という意味を込めました。

 今回ご披露する6つの短編は、初出としては、角川文化振興財団発行の月刊誌『俳句』に掲載されました。この歴史と伝統ある雑誌の購読者の皆様に歓迎していただいたことで、私はいっそう欲が出てしまい、春夏秋冬の季語が入った句をタイトルにして12本の短編小説を集め、単行本化を目指しています。

 とはいえ、そこまではまだまだ時間がかかる。ならば、雑誌とは違う形で今一度、多くの読者の皆様に、『ぼんぼん彩句』をご披露してみたい。私のわがままな思いつきを、KADOKAWAの担当部署の皆さんがかなえてくださいました。今年は、いつもとはまったく違うゴールデンウィークになりました。俳句と短編小説のコラボが作り出す小さな世界が、皆様にちょっとした気分転換をお届けできるとしたら、作者としてこれ以上の喜びはありません。

 どうぞ、 ゆっくりとお楽しみくださいませ。

 STAY HOME SAVE LIFE

 2020年5月1日 宮部みゆき

関連写真

  • 宮部みゆき氏(撮影:ホンゴユウジ)
  • 小説『ぼんぼん彩句』

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