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緊急事態宣言から1週間、福岡の放送界は今(中編) KBCラジオ『PAO〜N』沢田幸二アナのブレない思い「今こそリスナーに寄り添う」

 番組冒頭の51秒間に“前ピン”で、コーナー紹介も兼ねながら自身がピックアップした芸能ニュースを超早口で一気に読みあげる。忖度一切なしの強烈な“猛毒”に、地方の魅力的なラジオ番組を発掘している爆笑問題太田光も衝撃を受けたのが、沢田幸二エグゼクティブアナウンサー(62)がパーソナリティーを務めるKBC(九州朝日放送)ラジオ『PAO〜N』(月〜金 後1:00)だ。

沢田幸二アナ(C)KBC

沢田幸二アナ(C)KBC

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 新型コロナウイルス感染拡大により、福岡県が7日夜に緊急事態宣言地域に指定された。それから1週間が経過した今、福岡の放送界は何をどう伝えているのか。ORICON NEWSでは、それぞれの立場から情報を発信しているKBCのアナウンサー3人にメールでのインタビューを敢行。中編では、放送キャリア40年を誇る沢田アナが、宣言が出てから1週間が経過した今の事態をどう発信しているのかに迫る。

■宣言前後の放送は「努めて明るいトーンで」 志村けんさんの訃報に「心の非常事態スイッチが入った」

 1983年に深夜番組『PAO〜N ぼくらラジオ異星人』としてスタートし、深夜ラジオ全盛期の中高校生を中心に絶大な支持を得ながら7年間放送。90年に一旦番組は終了したものの、その後13年の空白期間を経て2003年に現在の昼ワイド版としてスタートしたという歴史がある同番組。ラジオとともにキャリアを積み上げてきた沢田アナだが、緊急事態宣言が出る前後の『PAO〜N』で、どういった放送を心がけていたのだろうか。

 「宣言が出る日も翌日も努めて明るいトーンで展開するようには意識しました。ただ、取り上げるニュースはどうしてもコロナの最新情報に偏ってしまった感はあります(リスナーもやはり福岡のコロナの今の状況は知りたいだろうとも思ったので)。前ピンについては3.11の時は『こんなことやってる場合じゃないな』とすぐに休止しましたが、今回は逆にこういう状況なので、リスナーが笑いを求めているのじゃないかと思い続けています。『パオーンが始まったらコロナのことをしばし忘れられる』と思ってもらえるように、とすごく意識していますね。自営業の方も多く聴いてくださっているので、スタッフとは『そういう方にも寄り添った内容でやれるといいね』と話し合っています」

 福岡県内の雰囲気についても「宣言以降は周りも一気に危機感が高まりました」と指摘した上で、自身の心境を打ち明ける。「スタジオにアクリル板が設置された日は『なるべく飛沫の飛ばないしゃべりができないものか』を本気で考えました。でもやっぱり無理ですね。リスナーに関しては、出先でなく自宅聴取の人の数が明らかに増えていると感じます。個人的には当初は比較的冷静にコロナを捉えていましたが、福岡での感染拡大と志村けんさんの件で心の非常事態スイッチが入った気がします」。

■名物“前ピン”に危機「やめるのも時間の問題」 今こそいつも通りの放送を「バカバカしくしゃべり続ける」

 『PAO〜N』らしさを意識しているものの、連日伝えられるニュースとのギャップに悩みながら、番組作りに励んでいる。「芸能ニュースを集めようにもほとんどがコロナにからんだ芸能情報のため、かなり作りにくくなっていてピンチです。前ピンをやめるのも時間の問題かも…。トークもやはりコロナにからめた話題が8割でしょうか。メールもコロナ関連がほとんどなのでなるべくそれ以外の日常生活にからんだ明るめのメールも意識的に挟むように心掛けています。元気が出る曲のリクエストを募ったりテイクアウトを始めたお店の情報を積極的に扱ったりとか。今週からは『イイタカ』というコーナーを設けて『ストレスのはけ口』として今言いたいこと、訴えたいことを番組でぶつけてもらうという企画も立ち上げています」。

 先週木曜日には、レギュラーの松村邦洋がリモート出演を行ったが「以前にも何度かリモート出演してもらっているので、戸惑いや違和感はありませんでした(音質の問題はおくとして)。むしろ東京の空気感を東京在住でギャグを交えてリアルに伝えてもらえる人物として最適なキャラだと思っています。そのあたりの距離感に関しては、松村さんはさすがだと感心します」と称賛する。この1週間の番組リスナーからの声については「言葉の端々になにがしかのウンザリ感を多少含んでいるものの、メールの内容を見ると皆さん前向きな内容が多いですね。最近は家での退屈しない過ごし方の工夫みたいな内容が急増している印象です」と分析した。

 今までにない状況に、ラジオ業界も対応に追われる中、ブレない思いがある。「皆さんやはり『誰かと繋がっていたい』という気持ちが強くなっているように感じます。私としては、ラジオが身近なメディアとして、再び復活する良い機会だと前向きに捉えています。5年後、10年後にラジオが生き残っていく上で『パオーン』がささやかなヒントになればいいという思いもあります」。福岡県外から福岡を心配するリスナーへのメッセージを求めると「『パオーン』は相変らず、何ら制約もなく屈託なく暗くもならず、リスナー側も相変らず、くだらない前向きなメールを出し続けているから安心してください!」と心強い言葉が届いた。

 こんな時だからこそ、沢田アナは番組内で“いつも通り”を貫く。「『屋台でお酒を友人と飲みながら交わすグダグダ話』を白昼からしらふでしゃべっているような番組スタンスを崩さず、粛々とバカバカしくしゃべり続ける覚悟です。よろしくお願いいたします」。リスナーの心の清涼剤となるため、沢田アナの『PAO〜N』はこれからも続いていく。

 後編では、夕方のニュース帯番組『シリタカ!』(月〜金 後6:15)のメインMCで、自身のツイッターでも情報発信に務める長岡大雅アナ(31)の取り組みを紹介する。

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