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緊急事態宣言から1週間、福岡の放送界は今(前編) KBC“朝の顔”宮本啓丞アナの覚悟「不安を解きほぐす光と風を…」

 新型コロナウイルス感染拡大により、7日夜に緊急事態宣言地域に指定された福岡県の放送界が揺れている。九州を活動拠点としているお笑い芸人のゴリけんが、今月6日に新型コロナに感染していることがわかり、水曜レギュラーを務めるRKB毎日放送『今日感テレビ』(月〜金 後1:55)では、同日より2週間にわたって放送を休止すると発表。視聴者の動揺も広がる中、ライバル局であるKBC(九州朝日放送)の『アサデス。』(月〜金 前6:00)では、“朝の顔”である宮本啓丞アナ(48)から異例のエールが送られた。

宮本啓丞アナ(C)KBC

宮本啓丞アナ(C)KBC

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■局の垣根を越えた異例のエール 番組進行のモットーは「まず冷静」

 番組終盤、宮本アナは「ゴリけんさんの感染がわかって、出演されていた番組も2週間お休みになりました。まずはゴリけんさんの一日も早い回復をお祈りするとともに、RKB『今日感テレビ』のスタッフに心からエールを送りたいと思います。想像もしなかったことが福岡で起きているということですね」とコメント。この言葉に、『今日感テレビ』の田畑竜介アナは自身のツイッターで「KBC宮本アナウンサーからのエール、今日感テレビ出演者&スタッフ一同、しかと受け取りました!! 『アサデスKBC』の皆様、生放送の貴重な時間を我々へのエールに割いていただき、ありがとうございます」と感謝を伝えた。

 緊急事態宣言が出されてから1週間が経過した今、福岡の放送界は何をどう伝えているのか。ORICON NEWSでは、それぞれの立場から情報を発信しているKBCのアナウンサー3人にメールでのインタビューを敢行。前編では、宮本アナの話を紹介していく。

 緊急事態宣言が出る前後の県内の雰囲気について、厳しい視線を注ぐ。「福岡市の中心部は百貨店や商店が休業している影響で人出が少なくなりましたが、それは人が街に出る目的がなくなったのが大きな理由で、人との接触を厳に避ける意識はまだ浸透していないのではないかと感じます。近所のスーパーや郊外のホームセンターでは、一時的な密集・密接が見受けられます。その背景には、宣言を出す出さないの経緯の中で『緊急』という言葉の差し迫ったニュアンスがぼやけて伝わっていることがあるのではないかと考えています。ミサイルや災害など前触れのない緊急事態と比べると、明らかに切迫感がありません」。

 こうした状況を受けて『アサデス。』では、どのように緊急事態宣言を伝えたのか。「宣言が出される当日の朝は、宣言前後で私たちの生活がどう変わるのか、どう変えるべきなのかを中心にお伝えしました。また、翌日の放送では宣言が出された後の福岡の街の反応を伝えるとともに、感染症専門医をお招きして福岡の現状と、県民一人ひとりが気を付けるべきことを解説していただきました」。番組を進行する上で、気をつけていることは「まず冷静」というポイントだ。

 「これまでに自然災害や事件事故を数々伝えてきましたが、これほど大規模な感染症は伝える側も初めての経験なので、実のところ何が正解なのかわかりません。ただ、最新のデータはできるだけ視覚的にわかりやすくお伝えすることが大切だと考えています。特に『アサデス。KBC』は、朝の忙しい時間の番組です。じっくり腰を据えて観てくださる方ばかりではありませんから、グラフや図表を用いてコンパクトかつ丁寧な説明を加えるようにしています。しかし視覚の使い方を誤ると、別のメッセージを送ってしまう怖さも改めて感じました」。

■福岡の放送局にあるカラー「同じ商店街の店同士のよう…」 緊急時に求められるアナウンサーとしての使命とは?

 具体的な例とともに、報道する側としてのあるべき姿勢を明かす。「これはテレビの悪いクセなのですが、テレビの作り手は習性としてインパクトのある映像を『よし』としがちです。『買い占めなくてもトイレットペーパーは充分ありますよ』と伝えたいのに、ガラガラの棚の映像だけを流せば『ウチも早く買わないと』という逆の行動を誘ってしまう。不安なことが起きていれば、できるだけ安心できる材料を探して映像でしっかり伝えることが、非常時の市民生活の冷静に貢献するのだろうと思います」。『今日感テレビ』への異例のエールについても「特別なことではありません」とし、その真意を次のように語った。

 「テレビの人気番組が2週間も休みになってしまうような、いつもと違うことが現実に福岡で起こっていることの重みをお伝えしたつもりです。同業の者として、帯番組を2週間休むという判断が局にとってどれくらい大きな決断であったかよくわかりますし、番組に携わっている人たちのさまざまな思いも想像するに余りあります。よく『ライバルなのに』と言われますが、ライバルだからこそなのではないでしょうか。同じ商店街の店同士のような。福岡の放送局にはそんな空気があるように思います」。

 今回の事態を受けて、民放全5局がタッグを結成。各局からアナウンサーが1人ずつ出演し、それぞれのスタジオでコメントを収録したことも話題になった。「普段からよく情報交換している仲間の発案ですから、あっという間にまとまりました。各局のアナウンサー同士で今回の共同CMとは別の取り組みも模索中なのですが、これも阿吽(あうん)の呼吸で話を進めています。私たちは放送業ですので共同CMという皆さんの目に見える形のものを作りましたが、おそらくいろんな業種で手を取り合い、様々な活動が行われているのだと思います。その空気の一端をCMから感じていただき、行動に反映させていただければと考えています」。

 福岡県外から、福岡の状況を心配する声も上がっているが、宮本アナは言葉を選びながら呼びかけた。「日々伝えられる感染確認数の大小で地域を品定めするような空気があることを心配しています。状況はどこも同じです。まずはご自分の住む場所で基本的な感染対策を徹底していただき、同じ思いを全国どこに住んでいる人も抱えていることを感じていただければと思います。その上で、終息したらぜひ福岡へ足を運んでいただき、福岡を元気づけていただきたいと思います。私たちも全国を元気にできるように頑張ります」。

 誰もが出口を模索する状況だが、伝え手としての使命はしっかり見えている。「家にいる時間が増え、他人とのコミュニケーションがままならない状況の中で、テレビは家庭の中に開かれた窓でなければならないと思っています。よく磨かれたガラスのように世の中のことをつぶさに映し出すのが私たちの使命ですが、窓は明るくなければいけません。いい風を家の中に運ばなければなりません。逃れられない現実ばかりを伝えるのではなく、不安を解きほぐす光と風をお届けできたらと考えています。希望があればこそ、困難を乗り越える力が生まれるのですから」。視聴者の気持ちに寄り添いながら、宮本アナは、きょうも“朝の顔”として福岡の今を伝える。

 中編では、40年の放送キャリアを誇り、KBCラジオ『PAO〜N』(月〜金 後1:00)のパーソナリティーを務める沢田幸二エグゼクティブアナウンサー(62)の声を届ける。

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