ガンダムシリーズにおいて、とりわけファーストガンダムに関連する量産型MSの人気は絶大だ。多くのモデラーたちは“ヤラレ役”である量産型にどんな魅力を感じているのか?海を進撃するハイゴッグを制作した仁誠さんと、ジャブローに降り立ったザクとグフを制作した量産ズキさんに量産型に魅せられた理由を聞いた。
■長い腕を持て余すハイゴッグのポージングは『ポケ戦』オマージュ(仁誠)
今回紹介しているジオラマ作品「camouflage(カモフラージュ)」は、ハイゴッグが波に溶け込む迷彩をイメージした作品となっている。「正面からはハイゴッグのアングルを、上部からはカモフラージュを意識して2つのアングルが主役になれるように意識しました」と、制作者の仁誠さんは語った。
本作を制作するにあたって参考にしたのは、ハイゴッグ初登場となったOVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』だという。特に好きなシーンを聞くと「伝説のアニメーター・磯光雄さんが担当されていたシーンです」と即答。「何度も見返してしまう神作画です。本作も劇中のハイゴッグの動きにインスパイアされて制作しました」と笑顔で話してくれた。
では、具体的にはどのような場面を設定したのだろうか。
「ハイゴッグが連邦軍の目標を見定め、海上に浮上してきたイメージです。前進するハイゴッグを表現するため、突き出した右腕と、ダラリと下げた左腕が特長です」
確かに、長い腕を持て余しぎみにし、左腕を引きずるようなポージングは『ポケ戦』でも見受けられるシーン。また、ボディに施された波模様の迷彩も印象的だ。迷彩模様は、作品名に「カモフラージュ」とつけるほど強いこだわりがあるのだそう。「これは海の模様を迷彩の様にカラーリングすることで、ジオラマを真上から見た際のポイントとなるよう考えました」
プラモデルの造形において難しいとされる波の表現。見事なうねりを表現しているが、実は初めて作ったものだという。「現実には、この様な大型ロボットが海上で動く事を目にする事は出来ません。ロボットの動きで立つ波、本来海にある波、双方を織り交ぜて表現するのは大変でした」と苦労を語った。
このように、プラモデル制作で「壁」にぶつかった時、仁誠さんは「あえて時間をかける」のだそう。
「焦らず、ゆっくり知識を蓄え勉強する事で当時としては満足出来る物が出来ました。ハイゴッグを制作中、出来ない工作があった場合は作業を中断し、その技術を身につける為に他の模型を制作しました。波模様のカモフラージュ塗装も他のエヴァンゲリオンの模型で練習し、その後ハイゴッグに使用しています」
今後作ってみたい作品については、「現状、ハイゴッグが最初で最後の波表現になっているので、水を絡めた作品をまた作ってみたいです」と、改めて“水の表現”に挑戦したいと意気込みを語ってくれた。
■ランバ・ラルが垣間見せた“日常の幸せ”が物語の厚みとなった(量産ズキ)
ザクとグフのジオラマを制作した量産ズキさん。ガンダムシリーズの原体験を聞くと、1979年に放送されたファーストガンダムの本放送だったと教えてくれた。では、当時中学生だった量産ズキさんは一体どんな部分に衝撃を受けたのか。
「それはストーリーと設定です。富野由悠季(当時のペンネームは富野喜幸)監督は、子ども向けのアニメという体裁を取りながら、“大人も見られる子どもアニメ”、“子どもでも楽しめる大人のアニメ”を制作しました。それまでは勧善懲悪のスーパーロボットものが主流でしたから、国家が互いの正義を振りかざして戦争をする様に、『よくわからん!』と正直面食らいました(笑)」
当時のアニメファンは、最初は何の話だか全く理解できないものの、何か心に引っかかるものを感じていたという。「ジオン軍はなぜ命がけで独立戦争を仕掛けたのか?」「量産型の兵器ってカッコイイ」「ズングリムックリの中年兵士ランバ・ラルの死に様に痺れる」など、人によって刺さる部分は全然違ったが、ただのロボットアニメじゃないことはすぐに分かったのだという。
中でも、量産ズキさんの心に残ったのは“兵士の生き様と死に様”だった。
「当時、ストーリーに関しては専門用語も多く分からない部分だらけでした。でも、子ども向けのロボットアニメに“戦争のリアリティ”を感じたのは、敵兵であるジオン兵それぞれにバックボーンを感じられたからです。それは、『部下の生活のために戦果をあげようとするランバ・ラル』や、『姉であるキシリアへの対面を気にして自ら最前線に出るガルマ』、そして『恋人の名前を叫びながら死んでいく名も無き兵士』といった風に、敵役である彼らの背後に、自分と同じ“日々の生活や幸せ”を見てとることが出来たためです」
そんな“生き様”や“死に様”を輝かせる舞台装置になっているのが量産型MSだと、量産ズキさんは力説する。
「ファーストの再放送を見る中で、量産機のヤラレっぷりに惹かれていきました。ザクIIもよいのですが、一番好きなMSは断然グフ!しかも、ランバ・ラルが搭乗した先行試作型ではなく、その後にドダイに乗ってよく現れた量産型のグフです。ランバ・ラルの『ザクとは違うのだよ、ザクとは!』の名言と共に圧倒的存在感を見せたグフですが、その後はアッサリとヤラレ役に降格します。そうした“悲哀”を表現するうえでも、量産型MSは最高の舞台装置だと思います」
(C)創通・サンライズ
■長い腕を持て余すハイゴッグのポージングは『ポケ戦』オマージュ(仁誠)
今回紹介しているジオラマ作品「camouflage(カモフラージュ)」は、ハイゴッグが波に溶け込む迷彩をイメージした作品となっている。「正面からはハイゴッグのアングルを、上部からはカモフラージュを意識して2つのアングルが主役になれるように意識しました」と、制作者の仁誠さんは語った。
では、具体的にはどのような場面を設定したのだろうか。
「ハイゴッグが連邦軍の目標を見定め、海上に浮上してきたイメージです。前進するハイゴッグを表現するため、突き出した右腕と、ダラリと下げた左腕が特長です」
確かに、長い腕を持て余しぎみにし、左腕を引きずるようなポージングは『ポケ戦』でも見受けられるシーン。また、ボディに施された波模様の迷彩も印象的だ。迷彩模様は、作品名に「カモフラージュ」とつけるほど強いこだわりがあるのだそう。「これは海の模様を迷彩の様にカラーリングすることで、ジオラマを真上から見た際のポイントとなるよう考えました」
プラモデルの造形において難しいとされる波の表現。見事なうねりを表現しているが、実は初めて作ったものだという。「現実には、この様な大型ロボットが海上で動く事を目にする事は出来ません。ロボットの動きで立つ波、本来海にある波、双方を織り交ぜて表現するのは大変でした」と苦労を語った。
このように、プラモデル制作で「壁」にぶつかった時、仁誠さんは「あえて時間をかける」のだそう。
「焦らず、ゆっくり知識を蓄え勉強する事で当時としては満足出来る物が出来ました。ハイゴッグを制作中、出来ない工作があった場合は作業を中断し、その技術を身につける為に他の模型を制作しました。波模様のカモフラージュ塗装も他のエヴァンゲリオンの模型で練習し、その後ハイゴッグに使用しています」
今後作ってみたい作品については、「現状、ハイゴッグが最初で最後の波表現になっているので、水を絡めた作品をまた作ってみたいです」と、改めて“水の表現”に挑戦したいと意気込みを語ってくれた。
■ランバ・ラルが垣間見せた“日常の幸せ”が物語の厚みとなった(量産ズキ)
ザクとグフのジオラマを制作した量産ズキさん。ガンダムシリーズの原体験を聞くと、1979年に放送されたファーストガンダムの本放送だったと教えてくれた。では、当時中学生だった量産ズキさんは一体どんな部分に衝撃を受けたのか。
「それはストーリーと設定です。富野由悠季(当時のペンネームは富野喜幸)監督は、子ども向けのアニメという体裁を取りながら、“大人も見られる子どもアニメ”、“子どもでも楽しめる大人のアニメ”を制作しました。それまでは勧善懲悪のスーパーロボットものが主流でしたから、国家が互いの正義を振りかざして戦争をする様に、『よくわからん!』と正直面食らいました(笑)」
当時のアニメファンは、最初は何の話だか全く理解できないものの、何か心に引っかかるものを感じていたという。「ジオン軍はなぜ命がけで独立戦争を仕掛けたのか?」「量産型の兵器ってカッコイイ」「ズングリムックリの中年兵士ランバ・ラルの死に様に痺れる」など、人によって刺さる部分は全然違ったが、ただのロボットアニメじゃないことはすぐに分かったのだという。
中でも、量産ズキさんの心に残ったのは“兵士の生き様と死に様”だった。
「当時、ストーリーに関しては専門用語も多く分からない部分だらけでした。でも、子ども向けのロボットアニメに“戦争のリアリティ”を感じたのは、敵兵であるジオン兵それぞれにバックボーンを感じられたからです。それは、『部下の生活のために戦果をあげようとするランバ・ラル』や、『姉であるキシリアへの対面を気にして自ら最前線に出るガルマ』、そして『恋人の名前を叫びながら死んでいく名も無き兵士』といった風に、敵役である彼らの背後に、自分と同じ“日々の生活や幸せ”を見てとることが出来たためです」
そんな“生き様”や“死に様”を輝かせる舞台装置になっているのが量産型MSだと、量産ズキさんは力説する。
「ファーストの再放送を見る中で、量産機のヤラレっぷりに惹かれていきました。ザクIIもよいのですが、一番好きなMSは断然グフ!しかも、ランバ・ラルが搭乗した先行試作型ではなく、その後にドダイに乗ってよく現れた量産型のグフです。ランバ・ラルの『ザクとは違うのだよ、ザクとは!』の名言と共に圧倒的存在感を見せたグフですが、その後はアッサリとヤラレ役に降格します。そうした“悲哀”を表現するうえでも、量産型MSは最高の舞台装置だと思います」
(C)創通・サンライズ
2020/04/10