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人気講談師・神田伯山にも影響 伝説的ラジオパーソナリティ・宮川賢が語るAMラジオの未来

『サタデー大人天国!宮川賢のパカパカ行進曲!!』をはじめ、約30年わたりTBSラジオで数々の人気番組を担当したラジオパーソナリティ・宮川賢。そんな宮川の番組『簡易恋愛プログラム 宮川賢のデートの時間でそ?!』が昨年末に突如、終了。悲しみに暮れるラジオリスナーの声がTwitterなどに溢れた。TBSラジオでは『荒川強啓 デイ・キャッチ!』も昨年3月に終了。ラジオ新時代へ向けた改革が進む。現在、真打披露&大名跡襲名興行の真っただ中にある“時の人”、人気講談師・神田伯山も「尊敬している」と公言している名物ラジオパーソナリティは今、「ラジオ」を、そして「AMラジオ」をどう見ているのか。本音を語ってもらった。

AMラジオの未来について語った宮川賢 (C)oricon ME inc.

AMラジオの未来について語った宮川賢 (C)oricon ME inc.

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■ラジオは本来、パーソナリティが一人で喋るべき

 1990年前半からラジオパーソナリティとして活躍。『サタデー大人天国!宮川賢のパカパカ行進曲!!』(TBSラジオ/2003年〜2016年)をはじめとする人気番組を送り出してきた宮川賢。中学生の頃にタモリ所ジョージなどの深夜放送でラジオに惹かれ、大学卒業後、劇団ビタミン大使「ABC」の立ち上げを経て、パーソナリティ・放送作家としてラジオの世界に飛び込んだ彼は、リスナーからの失敗談、おもしろ話を募集するスタイルで人気を得た。

「ラジオは本来、パーソナリティが一人で喋るべきだし、リスナーと目線を合わせて話しているような感覚が最大の魅力だと思うんです。リスナーからエピソードを募って、それをもとに番組を作るやり方は、僕が雛型を作ったわけではなく、オーセンティックなスタイルなんですよね」

 00年代前半、「予算をかけないでおもしろい番組を作るお手本だと思われていた」という『パカパカ行進曲!!』。しかし、インターネット・コンテンツの充実、ストリーミング・サービスの浸透などによりラジオ業界の営業利益が低下したことで、思うような番組作りができなくなったという。

「ラジオの媒体価値が下がり、制作の予算も縮小して。『パカパカ行進曲!!』は“金をかけないでも面白い番組は作れる成功例”として認識されていたのに、景気が悪くなるといつの間にか“テレフォンアポインターが必要な予算がかかる番組”になってしまった(笑)。お弁当が出なくなったり、ミキサーが付かなくなったり、長くやってると、そういう変化が顕著にわかるんですよ」

■AMラジオの制作スタッフも、FMラジオの番組作りを学ぶ必要がある

 利益が下がれば、制作サイドに“スポンサーが付きそうな番組を作れ”というプレッシャーがかかるのも当然の流れ。90年代までのラジオ黄金時代を体験している宮川氏もその変化を敏感に感じ取っていた。

「90年代から00年代の初めまでは、“おもしろければ数字が取れるし、スポンサーも付く”、つまり“おもしろいやつが勝ち”という状況だった。それはラジオ局が儲かっていたからなんです。いまはそうではないし、とにかくスポンサーに売りやすい番組が求められています。編成、営業はワイド番組(90分以上の長時間番組)をやめさせて、1時間ずつに区切って、スポンサー色の強い番組にさせてほしいと言いますから。ただ、TBSの営業はとてもがんばっていると思います。他社が広告費を下げるなか、“これ以上は下げない”というラインで踏ん張っていますから。一社で体を張り、ラジオの広告費の価格崩壊を防いでいると言ってもいいでしょうね」

「リストラが終わり、身の丈に合った経営になれば、“おもしろい番組を作ろう”ということになるのでは」と期待を寄せる宮川氏。ラジオ復権のポイントの一つとして、“AM局のFM化”を挙げる。

「TBSラジオ、ニッポン放送、文化放送はFM化しないと厳しくなると思いますね。ただ、本当にFM化する場合は、音楽を上手く使えなくちゃいけない。これまでAMラジオがおしゃべり中心だったのは、音が良くなくて、あまり音楽をかけられなかったから。おしゃれ路線を確立したJ-WAVE、音楽とおもしろいトークを上手く融合しているNACK5、Fm yokohamaには一日の長がありますが、AMラジオの制作スタッフも、FMラジオの番組作りを学ぶ必要があるでしょうね。ワイドFM(AMラジオの番組がFM放送でも聴ける“FM補完放送”)も始まっていますが、片手間ではなく、FM局に出向するくらいの気持ちで臨まないとダメだと思います」

■いま気になってるパーソナリティは谷口キヨコ

 さらに宮川氏は、今後のラジオパーソナリティに求められる資質について、こう提言する。

「テレビのバラエティ番組に出ているお笑いタレントは端から端までおもしろいですが、そういう人たちがラジオをやると、肩慣らしでやっているように聴こえるんです。かつての『ビートたけしのオールナイトニッポン』のように才能も人気もあるタレントが本気でやっている番組はないし、今のままではYouTuberに敵わないと思いますね。人気のあるYouTuberの熱意はすごいし、編集も上手いので。理想は“人気ラジオタレント”が生まれることでしょうが、それも難しいような…。もしかしたら、ラジオも動画の世界と同様に、高いモチベーションで熱量の高いしゃべりをしている素人のほうが、可能性があるかもしれませんね。いま気になってるパーソナリティですか? 大阪の谷口キヨコかな。ずっとリスペクトしているのは、つボイノリオですね。スタッフを含めて、バカなことをやって笑わせたいという姿勢はすごいと思います」

 先述したように大注目の講談師・神田伯山をはじめ、下の世代のラジオパーソナリティに対する影響も大きい宮川賢。最後に、宮川自身の今後のビジョンについて聞いた。

「リスナーから講談師の方が僕の話をしているとは聞いていますが、フリートークで他のパーソナリティや番組の話をする場合は単純に話すことがないんですよ。僕に言わせたら『もう話すことがなくなったのかよ』とも思いますね(笑)。下の世代の方に言いたいことなんてありませんが、30年近く“俺がおもしろいと思うことしかやらない”という姿勢でやってきましたが、その一方で、ラジオ局の内情も理解しているし、じつは営業の飲み会で“売りづらい番組ですいません”と挨拶したこともあって(笑)。いまは放送局のことを考えるより、自分自身がラジオを楽しむことを考えてもいいフェーズに来たのかなと。ゲストが来る番組、音楽番組、ラジオドラマなど、やってなかったことをやりたいですね」

文/森朋之

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提供元:CONFIDENCE

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