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「どこからでもスターが出てくる」SNSとネットニュースが起こしたグラビア大革命

◆“令和のグラビア”最前線レポート Vol.1 週刊プレイボーイ

 時代を象徴する美女が誌面を飾り、世間の注目を集める「グラビア」。元号が変わり2020年を迎えた今、そのリアルな現場に迫る連載企画「“令和のグラビア”最前線レポート」では、グラビア誌の編集部に取材を敢行し、生の声を伝えていく。第1回は、創刊53年を迎えるグラビア界の老舗にして本道を突き進む『週刊プレイボーイ』。時代を作ってきたグラビアのトップランナーの狙いとは。同誌副編集長の地代所哲也氏に聞いた。


グラビア界のトップランナー『週刊プレイボーイ』=2020年5号表紙

グラビア界のトップランナー『週刊プレイボーイ』=2020年5号表紙

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■コンセプトは“スクープ感” トップランナーとして「もう一歩踏み込んだものを読者へ」

 『週プレ』のグラビアコンセプトは「いつの時代も旬の女の子であることが大前提、そして“スクープ感”を追い求めています」と一貫している。『あの女優、モデルが脱いだ!』という独占ネタが一番わかりやすいが、「単純にヌードだけがスクープではない。普段は洋服を着てメディアに出ている方が水着になることや、水着の方がもう一枚脱ぐことなど、世間にインパクを与えることもスクープです。他の雑誌のグラビアに出ているタレントさんでも、週プレならもう一歩踏み込んだものを読者へ提供する。1年間に発売する50冊すべてにその考えを忘れるなと徹底しています」。トップランナーである『週プレ』にとって、スクープ感は譲れないプライドだ。

 グラビア班はデスクの地代所氏のほか、フリーのスタッフを含めて現在は8人体制。「昔に比べたら減ってきましたが、写真がほぼすべてデジタルに移行し、フィルムの頃に比べると圧倒的に作業が効率化されたので、なんとかこの人数でも対応できています。とはいえ、毎週7〜8本のグラビアが掲載されるため、全員が常にフル稼働ですね(笑)」。表紙と巻頭グラビアは、ほぼ全て撮り下ろし。それだけ経費はかかるが、自分たちの雑誌に合うテイストをこだわって追い求めるため、絶対に妥協はしない。

 タレントの情報収集の方法は「グラビア班は芸能プロダクションさんごとの担当制で、新人情報は事務所の方からヒアリングしておりますが、この情報は確度が高くて濃いので非常に重要です。そして、最近増えてきたのがSNS。話題になっても事務所に入っていない子がいるので、その時は編集部から直接連絡させていただくこともあります。最初はそういうやり方もどうかなと思ったのですが、時代に合わせていきました。ただ、今は写真加工も簡単なので、いきなり出演オファーではなく担当者が必ず会って自分の目で確かめています」。芸能人といえば、プロダクションに所属して、マネージャーとともにテレビ局や雑誌の編集部などに売り込みにいくのが一般的だった。しかし、現在は個人活動で情報発信し、大手メディアからオファーが飛び込んでくる時代になった。

 このSNS経由でのグラビア登場が、「ここ数年のグラビアの一番大きな流れの変化。5年前には考えられなかった」と地代所氏は語る。「かつてはグラドルというグラビアをメインに活動するタレントの全盛期があり、AKB48などのアイドルが席巻する時代、そしてモデルがグラビアをやる“モグラ”ブームがあった。いまはSNSスターの時代が完全に始まっており、事務所に所属している人でもSNSをうまく活用できる人が人気です。ネットとの親和性も高いので、グラビアを見た人がデジタルコンテンツに向かっていく流れもできてきました」と時代の流れを振り返った。

■SNS時代のグラビア デジタルコンテンツとの親和性で編集方針にも変革

 『週プレ』では常時7〜8本のグラビアが掲載され、毎号のアンケートも実施しているが、それだけではどの企画が支持されて売れているのか詳細がつかみにくかった。しかし、デジタルコンテンツは売れ行きの細かい数字も見られる。表紙モデルよりも後ろの数ページのグラビアのほうが圧倒的に売れることもあるため、「新たな基準でお客さんが求めているタレントさんをジャッジできるようになりました。もちろんこれがすべてではないですが、今後の編集方針の参考として大いに役立っています」。

 しかし、「これからのグラビアにはSNSでの発信力が必須なのかというと、必ずしもそうではなくて、あくまで指標の一つです。いろんな性格の女の子がいて、とてもかわいいけれど自己発信が苦手なタイプもいる。そういう子には僕たちができるだけ協力して、雑誌で魅力が伝わるように考えたり、ネットニュースになるような仕掛けを作っていきます」。SNSのフォロワーやYouTubeチャンネルの登録者など、最近は指標が多くなってきた。地代所氏は「フォロワー数や登録者数が多いというのは、たくさん見られているという指標ではありますが、グラビアに出たら絶対に売れるという単純なものではない。指標が増えると判断が難しくなりますが、逆に言うとどこからでもスターが出てくる面白い時代になってきました」とうれしそうに語った。

 2019年に発売した号の中で反響の大きかったグラビアについても聞いた。「ゴールデンウィークの時期に発売した池田エライザさんが表紙の号は反響が大きかったです。久しぶりに“グラビアと接点のなかった女優さん”が我々のフィールドに来てくれて、全力でグラビアをやってくれました。昨年でもっとも売れましたし、同時に発売した写真集は紙の本もデジタル版も非常に好調でした」。ヒットの要因は、やはりスクープ感。テレビや映画で活躍する女優が、出し惜しみなくグラビアで洗練されたボディを披露すれば、話題となりヒットする。「エライザさんがグラビアに真摯に向き合ってくださったから、これだけ素晴らしいものが出来ました。スタッフさんはもちろん、現場の担当編集の頑張りも大きかったです。年間の50冊毎号でこれができたらいいのですが(笑)」。

 デジタルコンテンツについては、昨年末に「グラジャパ!アワード2019」という企画を実施し、売上データやクオリティー、ユーザーへのインパクトなどを総合的に審査して、部門賞を発表した。「グランプリは井口綾子さんです。3月の1st写真集発売と同タイミングでアザーカット写真集を発売し、どちらも大ヒットでした。彼女の魅力は、身近にいる雰囲気で芸能人っぽさを感じさせないけど、脱いだらカラダはスゴい。それに、水着グラビアを週プレだけでやってくれたのも大きかったです」。

 週プレ独占という“囲い込み”が奏功した例だが、「どの編集部も『写真集を出したい』という思いがあり、そこから逆算して雑誌グラビアに展開していくことが多いので、できるだけ独占したいと考えているはず。しかし、世間の注目度を高めるには広くグラビアで活躍する必要もあるので、誰でも囲い込めばOKということではないんです。事務所の方針や本人のキャラクターを考えながら、担当者は長期的なプランや各方面との交渉力も求められます」と分析する。

■時代と戦いながら未来を見据える 新スター発掘に「体がいくつあっても足りません(笑)」

 SNSでの拡散同様、ネットニュースでグラビアが記事になることも増えてきた。「これもとても重要と考えています。どんなにいいグラビアを作っても、認識していただけないことには土俵にも上がれない。コンビニや書店に並んでいるのを見つけてもらうの待っているだけではなく、こちらからも積極的に発信しています」。その一方、水着や肌の露出の多い画像に対して、世間から厳しい目が向けられる風潮も感じている。「その流れも気にしていて、表紙が基本的に水着であることは変えませんが、表紙カットを選ぶ基準が少しマイルドになってきたかもしれません。『週プレ』は成人雑誌ではありませんが、表紙にも中面にも肌を露出した写真が掲載されているので、世間の人たちがどのように受け止めているのか、そこは敏感になっています。以前は高校生以上であれば水着OKと業界内ルールのようなものがありましたが、最近は『水着は18歳以上から』という流れができつつあり、そのうち『水着は20歳以上から』と明確なルールになる可能性もゼロではない。そうなると、グラビアのあり方も大きく変わらざるを得なくなるでしょう」と危機感をあらわにする。

 こういった基準が厳しくなることはあっても、緩和されることはないため、グラビアにとって決してポジティブな流れではない。「若い女性タレントさんの大切な表現の場でもあるので、グラビアという文化を廃れさせてはいけない。ビジネスではライバルの競合雑誌も、グラビアを守る“仲間”という意識があるので、グラビアの火を消さないように頑張ろうぜと声をかけたいです」と意欲を高く持っているが、「基準をあまり厳しくしすぎないでほしいというのが、正直なところですね」と本音も漏らした。

 雑誌不況が叫ばれて久しいが、けっして未来を悲観していない。「ビジネスとしての伸びしろはデジタルです。雑誌用のコンテンツをデジタル化していくことにさらに注力していきますが、決して紙の雑誌も妥協せず、手間も経費もかけて取り組み続けます。さらに、雑誌に載せたものをデジタル化するだけではなく、デジタルコンテンツを先に出して、そこから逆に雑誌という流れもでき始めたので、今後もいろんなコンテンツを用意していきます」と先を見据えている。

 グラビアを盛り上げる主役は、いつの時代も誌面を飾る美女たちだ。昨年末の『週プレ』は沢口愛華や石田桃香など新顔が表紙を飾り、2020年に向けてフレッシュな風を吹き込んだ。「グラビアを自己表現の場と考え、『グラビアをやりたい』と言ってくれる新しい子が増えてきました。SNS発の美女はもちろん、ゆきぽよさんのように恋愛リアリティー番組出身者も注目です。発掘する楽しさはありますが、あらゆるメディアをチェックしているので体がいくつあっても足りません(笑)」。グラビアのトップランナーとして、今年もあっと驚くようなスクープに期待したい。

関連写真

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