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マスとコアから支持される有田哲平、お笑い界の“最重要人物”になるまでの道のり

 バラエティに留まらず、トークや情報番組、さらにはドラマまで数多くのお笑い芸人がエンタメ界を盛り上げるなか、いま最もシーンをけん引する芸人として脂の乗った存在なのがくりぃむしちゅー有田哲平だ。NHK総合で冠バラエティ『有田Pおもてなす』を持つ一方で、Amazon Primeの『有田と週刊プロレスと』ではそのプロレス愛を存分に漲らせるなど、マスとコアの両方から高く支持されている。さらにその両面のバランスを取った番組とも言える『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)は、業界内外から高い評価を受ける。プレイヤーとしてはもちろん、番組の企画立案や演出、プロデュースといった裏方的な側面でも才覚を発揮する有田哲平の絶対的なポジションとは?

■多くの地上波冠番組のなかでもコンビの存在感と役割が際立っている『しゃべくり007』

 お笑いコンビとしてすでに盤石なポジションを確立しているくりぃむしちゅー。『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)や『くりぃむナンチャラ』(テレビ朝日系)、『くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館』(テレビ朝日系)、『くりぃむクイズ ミラクル9』(テレビ朝日系)、『今夜はナゾトレ』(フジテレビ系)など、地上波ゴールデンのレギュラー、冠番組は多数。その多くが長年続いており、近年のバラエティをけん引する存在となっている。

 なかでも、2人それぞれの持ち味がいかんなく発揮されているのが、今年で放送12年目に突入する人気バラエティ『しゃべくり007』(日本テレビ系)だ。ご存知の通り、2人のほかにもレギュラーメンバーはいずれ劣らぬ売れっ子芸人ぞろい。そんななか、上田の安定のMC力に対して、下手奥に鎮座し、どんなトークが飛んできても笑いで締める役割を担う有田の抜群の瞬発力は、より際立っている。くりぃむしちゅーのコンビ芸なくして『しゃべくり007』は成り立たないと言っても過言ではない。

 とくに番組名物である即興コントでは、有田が笑いの火付けから締めまでを務めることが多く、メインMCの上田とは異なる形で番組の“進行役”を担ってもいる。“ボケ番長”という異名からも、ほかのひな壇しゃべくりメンバーとは頭一つ抜けた有田の笑いに対する貪欲な姿勢は、多くのしゃべくりファンが認めるところだ。

■“プロデュース”を前面に出す『有田P おもてなす』で若手底上げに尽力

 このようにコンビとして盤石な基盤を築きつつ、ピンでの活躍も目覚しいくりぃむしちゅーだが、なかでも近年の有田は、NHK朝ドラ『半分、青い。』(18年)の出演をきっかけに年配層にまで認知を広げている。さらに、朝ドラと同タイミングでレギュラー放送が始まった『有田P おもてなす』(NHK総合)で、プレイヤーとは異なる才能が一気に知られるところとなった。

 有田がプロデューサーとして、ゲストを最上級のおもてなしで喜ばせることをコンセプトとする同番組。そのおもてなしの方法もまた、ゲストの趣味嗜好を膨大なアンケートでリサーチした上で、若手から中堅の芸人にこの番組でしか見られないオリジナルネタを披露させるという、笑いに貪欲な有田Pならではのものだ。

 ゲストを喜ばせるという名目のもと、有田が芸人たちに繰り出すムチャ振りも番組の見どころのひとつ。出演する芸人にとっては一瞬も気が抜けない緊張感があるものの、有田が一緒にネタを作ることを楽しんでいるだけに、妙なプレッシャーを感じさせないのも観ていて心地がいい。また、そうしたムチャ振りやネタのプロデュースを通して、有田が芸人たちの新たな一面や才覚を引き出していることも見逃せない。そこからは、有田が若手の底上げにも尽力していることがわかる。

■幅広い世代への認知を高めたNHKへの出演

 思い起こしてみれば、有田より上の世代の芸人は縦社会の色合いが濃く、バラエティ番組でも上から下への体育会系的なノリが笑いの構図となっていることが多かった。もちろんそうした先輩芸人の態度(=圧力)が、これから世に出たい若手芸人の絶好のフックアップになっていたことは否めない。しかし今の視聴者にとってはそれがパワハラにも映りかねず、ひいては「笑えない」という居心地の悪さを生み出しているのも事実だ。

 一方で同番組での有田の態度は持ち前のしつこい絡みと悪ノリを駆使しながらも、出演芸人たちの新たな笑いを生み出すことに注力している。それはプロデューサーという立ち位置もあるが、そもそも『〜おもてなす』以前から有田はMCを務める若手芸人オーディション番組『有田ジェネレーション』(TBS系)で若手芸人の持ち味と見せ場を引き出す手腕を発揮してきた。

 ちなみに『半分、青い。』で演じた津曲雅彦は、脚本家の北川悦吏子氏が有田を当て書きして生み出したキャラクターだったという。一見うさんくさく調子のいい態度でヒロインを翻弄しながらも、彼女の人生に大きな影響を与えるという役どころは、まさに『〜おもてなす』や『〜ジェネレーション』で見せる有田そのものではないだろうか。

 すでに民放を制覇したとも言えるくりぃむしちゅーだが、NHKで冠番組を持つのは『〜おもてなす』が初のこと。有田自身、「とうとう国民的お笑い芸人になった」と冗談めかしたが、これによってマスへのアプローチを確実なものとしたことは事実だ。

■コアファンから熱狂的な支持を受ける『有田と週刊プロレスと』

 一方、コアなファン層からも高い支持を受けていることは、『有田と週刊プロレスと』(Amazon Prime※12/25に最終回)での評価が象徴的だ。自身の芸風にも取り入れるほど大のプロレスファンとして知られる有田がMCを務める同番組は、雑誌『週刊プロレス』を教科書代わりにプロレスを語りまくり、そこから学ぶべき人生の教訓を伝授する。プロレス史に残る衝撃事件や語り継がれる伝説の試合をドラマチックに語り切る有田の卓越した話術によって、最終的にはある種の感動を覚えさせられるほどの構成力が光る内容となっている。毎回迎えるプロレス愛好家のゲストとのトークも好評で、なかでも最多参戦しているチュートリアル福田充徳の出演回は神回と名高い。

 有田の約40年間のプロレスファン歴に裏打ちされた豊富な知識量とほとばしるプロレス愛を支持する声は多く、カスタマーレビューは5段階中の星4.7を獲得(2020年1月6日現在)。熱狂的なユーザーはもちろん、安田顕ファーストサマーウイカといった芸能人のファンも多い。特筆すべきはこれまでプロレスにまったく興味がなかった人からの「プロレスは知らないけどおもしろい!」「この話術はすごすぎる」といった絶賛のコメントが相次いでいること。ここでも有田のマスとコアの両方を巻き込む絶妙なバランス感覚が発揮されている。

松本人志も絶賛!アンタ復活を仕掛けた有田の豪腕

 アンタッチャブルの電撃復活劇も記憶に新しい『全力!脱力タイムズ』は、コアとマスからの支持をバランスよく両立させている有田のまさに集大成的な番組と言っていいだろう。“報道番組”という体裁で、ゲストタレントを巻き込みながら、番組の台本や構成を一切知らされないゲスト芸人を追い込んでいくのが同番組の持ち味。有田の仕掛けのうまさから、サプライズ的な笑いとゲストの素顔が引き出されるそのアングルは、他のバラエティとは一線を画する番組として業界内外から高い評価と人気を得ている。

 有田は同番組のMCとともに総合演出も務めており、アンタッチャブルの約10年ぶりのコンビ復活の演出も自身が担った。2019年11月29日放送回のこの日は、柴田英嗣がゲストとして出演しており、山崎弘也の登場は一切告知されていなかった。これまでにも柴田はたびたびゲスト出演していただけに、番組はいつも通り進行。ところが中盤以降、次回予告のタイミングが通常より早かったことや、滝沢カレンの独特のワードセンスが光るVTR企画「THE美食遺産」がなかったことなどの違和感の空気が流れ始める。

 何かが起こりそうな予感をはらみつつ、エンディングパートへ突入。俳優の小手伸也が山崎に扮して登場すると、驚きつつも一緒に漫才を始めた柴田だったが、途中で有田が小手を強制退場。小手と入れ替わるように、有田に手を引かれながら戻ってきたのはなんと本物の山崎。これまでの番組セオリーを覆す、まさかの“本物”が登場する展開に、その場に倒れ込み「この番組でやるの?」と戸惑う柴田だったが、「おっしゃー!」とジャケットを脱ぎ捨てて気合いを入れ、2人でセンターマイクの前に立った……というのが衝撃の復活劇のあらましだ。

 12月8日放送の『THE MANZAI 2019 マスターズ』(フジテレビ系)で本格復活したアンタッチャブルだったが、SNSではコンビ復帰の舞台が『全力!脱力タイムズ』でよかったという好意的な声が溢れた。ダウンタウン・松本人志もまた、この復活劇を観たことを12月8日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)でコメント。「もちろんアンタッチャブルはすばらしいんですけど、それを見つめる有田がすごく良かった」と復帰の舞台を用意した有田を高く評価している。

 20年以上にわたるアンタッチャブルとの交流、そして“一寸先はハプニング”という猪木イズムからくるプロレス愛に満ちた有田でなければこのサプライズ演出は生み出せなかったわけで、改めて番組の存在感と有田のプロデュース力を知らしめることとなった。

 プレイヤーとして第一線で活躍しつつ、プロデュースや企画、演出の側面でもその才能を存分に発揮している有田が、いまのエンタテインメントシーンをけん引する重要な立ち位置にいるひとりであることは間違いない。そんな有田が総合演出を手がける『全力!脱力タイムズ』は、実験的なバラエティとして異彩を放っている。この先、有田が生み出してくれるであろうバラエティの新たなアングルに期待したいところだ。
(文/児玉澄子)

提供元:CONFIDENCE

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