ユニークなコンサートグッズやファンクラブグッズは年々増えており、ライブに行くと必ずグッズを購入するという人は多い。しかし一方で、ただロゴを乗せただけで何のメッセージも伝わらないアイテムがあることも事実。もしかするとファンは、ある種の妥協を強いられつつ、売場で仕方なくグッズを選んでいるという傾向にあるのかもしれない。
年々、ファンが求めるグッズの性質やクオリティは高くなっており、その目は肥えてきている。そんな厳しい目を持つファンから大きな支持を集めているのが、「応援上映」が話題を集めた人気アニメ「KING OF PRISM」シリーズのグッズである。作品の世界観を投影したアイテムの数々はアイデア満載で、話題にしたくなるポイントが満載だ。自由度が高く、SNSでの自発的な盛り上がりも随時起きるユニークなグッズ群は、どのようにして作られているのか。本編制作およびCD/DVD/BDなど、パッケージもの以外のグッズ制作窓口を担うタツノコプロに聞いた。
■制作のポイントは「映える、世界観の反映、ネタにできる」こと
女児向けメディアミックス『プリティーリズム』シリーズのスピンオフとして誕生した『KING OF PRISM』(以下『キンプリ』と略)。現在まで3作が劇場公開(最新作はテレビシリーズ版も放映)される有料コンテンツであり、当初からコアなファン層をターゲットに製作されている。特徴のひとつは、グッズ展開を含む参加/体験型コンテンツとして構想されている点。「コスプレOK!声援OK!アフレコOK!」といった応援上映スタイルを確立した作品としても知られる。
「劇場1作目から、キャラクターのセリフ字幕に合わせてアフレコできるシーンや、お客様がレスポンスできる間を作るなど、意図的に設定した要素はもちろんありました。ですが、自然発生で楽しみ方を作っていくお客様の熱量が、こちらの想定を超えていた。2作目ではキャラクターが巨大なうちわで戦うシーンがあり、そこを予告に入れておくなど事前に仕込みつつ、うちわグッズを投入。結果、公開初日に売り切れました。対価を支払ってイベントに参加する感覚で、いわば遊び場であり交流の場でもあるようなコンテンツとして『キンプリ』が愛されている手応えは確実にあります」(タツノコプロPRS事業室室長・依田健氏)
現在、コアファンの属性/特徴はどのような状況なのだろうか。
「製作委員会としての共通認識では、およそ3〜5万人ほどのコアファンが存在すると考えています。指標は複数ありますが、BD出荷数や劇場動員数、アンケート調査などからの推計。シネコンなどが稼働する全国の都市部で強く、9割ほどは女性ファン。社会人の割合が高く、関連グッズなどに費やす客単価では、かなりの高水準をキープしていただいています」(タツノコプロコンテンツビジネス部・角田駿之介氏)
製作委員会メンバーとしてライセンシーからの要望を吟味する一方で、独自アイテムを開発・投入するなど販促イベントの取りまとめ役までもこなす。
「トライ&エラーを繰り返しながら得られたグッズ開発の知見としては、大きく3つ。まず、劇場での応援上映やSNSなどで映えるアイテムであること。ファンと同レベルで世界観をきちんと理解し反映していること。さらに、ファンが自由に拡散し、ネタとして遊べる余地があること。「無限ハグ☆再現チャーム☆」や「アレクサンダー・シリコンモールド」といった、コミック原作のアニメなどではなかなか実現が難しい独創的なアイテムなども好評です」(角田氏)
劇中に登場する学園や財閥などを、あたかも実在するものと想定し構築したライセンシー合同イベントや、登場キャラクターの自筆メモを活用したグッズなども人気を集めた。
「映像中のそれぞれのキャラクターの手書き文字と、グッズ展開での書き手は統一しています。アニメの映像制作とグッズ部隊がワンフロアで仕事をしている環境があって成立する特殊な例かもしれませんが、劇中素材と商品化素材の共有は意識してコントロールしている。そこまで徹底していないと反応してもらえないような、熱量と遊び心を持ったファンが多いということです」(依田氏)
グッズを通じて世界観を楽しむファンの期待に応えるべく、いかによりおもしろいネタを商品化できるか。「モノ」ありきの発想ではなく、より作品の世界観を増幅し、ファンの共感や行動をサポートするためには何が必要なのかを考えることがカギとなるのだ。
なお、10月12日(土)に舞台「KING OF PRISM」キャストによるライブイベント『KING OF PRISM-Rose Party on STAGE 2019-』がパシフィコ横浜・国立大ホールにて開催予定だったが、台風19号の影響により昼・夜の部ともに中止が発表。それにともない、二コニコ生放送にて同日18時30分より、夜の部本編の完全無料生中継が決定した。
年々、ファンが求めるグッズの性質やクオリティは高くなっており、その目は肥えてきている。そんな厳しい目を持つファンから大きな支持を集めているのが、「応援上映」が話題を集めた人気アニメ「KING OF PRISM」シリーズのグッズである。作品の世界観を投影したアイテムの数々はアイデア満載で、話題にしたくなるポイントが満載だ。自由度が高く、SNSでの自発的な盛り上がりも随時起きるユニークなグッズ群は、どのようにして作られているのか。本編制作およびCD/DVD/BDなど、パッケージもの以外のグッズ制作窓口を担うタツノコプロに聞いた。
■制作のポイントは「映える、世界観の反映、ネタにできる」こと
女児向けメディアミックス『プリティーリズム』シリーズのスピンオフとして誕生した『KING OF PRISM』(以下『キンプリ』と略)。現在まで3作が劇場公開(最新作はテレビシリーズ版も放映)される有料コンテンツであり、当初からコアなファン層をターゲットに製作されている。特徴のひとつは、グッズ展開を含む参加/体験型コンテンツとして構想されている点。「コスプレOK!声援OK!アフレコOK!」といった応援上映スタイルを確立した作品としても知られる。
「劇場1作目から、キャラクターのセリフ字幕に合わせてアフレコできるシーンや、お客様がレスポンスできる間を作るなど、意図的に設定した要素はもちろんありました。ですが、自然発生で楽しみ方を作っていくお客様の熱量が、こちらの想定を超えていた。2作目ではキャラクターが巨大なうちわで戦うシーンがあり、そこを予告に入れておくなど事前に仕込みつつ、うちわグッズを投入。結果、公開初日に売り切れました。対価を支払ってイベントに参加する感覚で、いわば遊び場であり交流の場でもあるようなコンテンツとして『キンプリ』が愛されている手応えは確実にあります」(タツノコプロPRS事業室室長・依田健氏)
現在、コアファンの属性/特徴はどのような状況なのだろうか。
「製作委員会としての共通認識では、およそ3〜5万人ほどのコアファンが存在すると考えています。指標は複数ありますが、BD出荷数や劇場動員数、アンケート調査などからの推計。シネコンなどが稼働する全国の都市部で強く、9割ほどは女性ファン。社会人の割合が高く、関連グッズなどに費やす客単価では、かなりの高水準をキープしていただいています」(タツノコプロコンテンツビジネス部・角田駿之介氏)
製作委員会メンバーとしてライセンシーからの要望を吟味する一方で、独自アイテムを開発・投入するなど販促イベントの取りまとめ役までもこなす。
「トライ&エラーを繰り返しながら得られたグッズ開発の知見としては、大きく3つ。まず、劇場での応援上映やSNSなどで映えるアイテムであること。ファンと同レベルで世界観をきちんと理解し反映していること。さらに、ファンが自由に拡散し、ネタとして遊べる余地があること。「無限ハグ☆再現チャーム☆」や「アレクサンダー・シリコンモールド」といった、コミック原作のアニメなどではなかなか実現が難しい独創的なアイテムなども好評です」(角田氏)
劇中に登場する学園や財閥などを、あたかも実在するものと想定し構築したライセンシー合同イベントや、登場キャラクターの自筆メモを活用したグッズなども人気を集めた。
「映像中のそれぞれのキャラクターの手書き文字と、グッズ展開での書き手は統一しています。アニメの映像制作とグッズ部隊がワンフロアで仕事をしている環境があって成立する特殊な例かもしれませんが、劇中素材と商品化素材の共有は意識してコントロールしている。そこまで徹底していないと反応してもらえないような、熱量と遊び心を持ったファンが多いということです」(依田氏)
グッズを通じて世界観を楽しむファンの期待に応えるべく、いかによりおもしろいネタを商品化できるか。「モノ」ありきの発想ではなく、より作品の世界観を増幅し、ファンの共感や行動をサポートするためには何が必要なのかを考えることがカギとなるのだ。
なお、10月12日(土)に舞台「KING OF PRISM」キャストによるライブイベント『KING OF PRISM-Rose Party on STAGE 2019-』がパシフィコ横浜・国立大ホールにて開催予定だったが、台風19号の影響により昼・夜の部ともに中止が発表。それにともない、二コニコ生放送にて同日18時30分より、夜の部本編の完全無料生中継が決定した。
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2019/10/11