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宮本亜門氏、コロナ禍で感じた“演劇の進化”「感動がひとしおなんだと思います」

 宮本亜門氏が演出、升毅黒谷友香らが出演する『「画狂人 北斎」令和三年版』が3月4日に東京・新国立劇場 小劇場で開幕する。コロナ禍のなか、感染予防対策やけいこ現場で工夫を強いられることとなったが、インタビューに応じた宮本氏は「いいタイミングで上演させてもらった」と、あえて前向きな言葉を選んだ。

『「画狂人 北斎」令和三年版』の取材会に出席した(左から)黒谷友香、宮本亜門氏 (C)ORICON NewS inc.

『「画狂人 北斎」令和三年版』の取材会に出席した(左から)黒谷友香、宮本亜門氏 (C)ORICON NewS inc.

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 コロナ禍に見舞われた2020年は、劇場が「3密」の対象とされ、表現者は一時活動の場を失った。その中で宮本氏は、自らの創作について考え直し、その歩みを止めることはなく奮闘を続けるなかで、ある変化に気づいたという。

 「お客さんの食いつきが尋常じゃないんですよ。皆さん、リスク管理に気を配って、ある種、緊張をしながら来場される。劇場で声を上げることができなくても、拍手や思いが出演者に通じて、より感動を呼ぶんです。いい意味で“人の生の声を聞きたい”、“生の感覚を味わいたい”と欲して来場されるので、感動がひとしおなんだと思います。役者もちょっとコロナを経験して、言葉のリアルさが増したと思います。生や死について考えるようになったからかな?」。

 一連の変化を“進化”と捉える宮本氏は「演劇の危機」に直面した一年も充実感を持って振り返る。「この時期、いい作品がたくさん生まれてるんです。それくらい舞台が面白くなっていますよ」と、ほほ笑みながら語ってくれた。

 そんな本作は、宮本氏が2017年に発表した朗読劇『画狂人 北斎』を、ストレートプレイとして立ち上げたもの。しかし宮本氏は「むしろ新作と言ってもいいくらい」と断言する。

 江戸と現代往き来する展開の中で、人生とは何なのか、人間とは何なのか。「画狂人」と呼ばれた北斎の生きざまを通じて、現代人に問うストーリーを描くなかで「今回、現代パートの台本を全部を変えました。コロナ禍の今という設定に書き換えて、インターネットやSNSの情報が溢れているなかで、どう生きていくかということも入れ込んだ」と明かした。

 北斎の娘・お栄を演じる黒谷も「コロナ禍ではないときに演じていたら、また違うものになっていたと思います。この時期の巡り合わせみたいなものも感じます」と、今作に確かな手応えをにじませる。けいこ中は、マスクやフェイスシールドの着用はもちろん、定期的な換気、ケータリングの配布方法に注意するなど、感染予防対策を徹底していたが「マスクやフェイスシールドにも慣れましたね。もう当たり前のように徹底しています」と、苦労を感じさせなかった。

 北斎は、30回の改名、93回の引っ越しなど、常にリセットを繰り返し、自分を再生して、画風も視点も次々と変え、3万点もの作品を残した。しかし、そのすごみは70歳以降一段と高まる。

 2019年、ステージ2の前立腺がんと診断され、前立腺の手術を行った宮本氏も「もう全然、元気です!」と完全復活をアピールし「かえってよくなっちゃって。ちょっとこれからの人生、今まで以上に面白くするぞ! ってテンション上がっちゃって、周りは迷惑しちゃってるかも(笑)」と、北斎に負けず劣らずのバイタリティは健在。本作の成功を誓うとともに、海外公演の野望などを語り「日本人キャストで回って、日本語のセリフに字幕を付けて上演してみたいですね」と創作意欲をあふれさせていた。

 舞台は、3月4日〜14日まで東京・新国立劇場 小劇場、20日〜21日まで長野・小布施町北斎ホール、24日〜25日まで大阪・サンケイホールブリーゼ、31日に香川・レクザムホール(香川県県民ホール) 小ホール、4月3日〜4日まで石川・北國新聞赤羽ホールで上演される。

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  • 『「画狂人 北斎」令和三年版』の取材会に出席した(左から)黒谷友香、宮本亜門氏 (C)ORICON NewS inc.
  • 『「画狂人 北斎」令和三年版』で北斎の娘・お栄を演じる黒谷友香(左) (C)ORICON NewS inc.
  • 『「画狂人 北斎」令和三年版』に出演する黒谷友香(左)と、演出の宮本亜門氏 (C)ORICON NewS inc.

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