社会現象を巻き起こしたアニメーション映画『君の名は。』から3年ぶりとなる、新海誠監督の新作『天気の子』が19日、全国の劇場で上映が始まった。公開を目前に行ったインタビューで「今の自分の気分を、今の時代の気分を、今、世の中に出したい思った」と語ってくれた新海監督。さっそく劇場で鑑賞して、“今の時代の気分”を感じてきた。
『天気の子』は、離島から家出し、東京にやってきた高校生の帆高(CV:醍醐虎汰朗)が、不思議な力を持った少女・陽菜(CV:森七菜)と出会うラブストーリー。東京は連日、雨が降り続けていて、その少女は祈るだけで、空を晴れにすることができた――。
はからずも、東京都心では6月末から曇りや雨の日が続いていて、「青空が恋しいな」という最近の気分にぴったりだと思った。公開初日の19日、日中、久しぶりに晴れたことも、「持ってる」と思ってしまったくらいに。
今年の『環境白書』でも、気温の上昇や大雨の頻度の増加など、気候変動やその影響が全国各地であらわれていて、今後、長期にわたって拡大するおそれがあると指摘しているとおり、最近、異常気象が“日常”を侵食してきているな、と感じていた“気分”にもフィットした。
映画では雨の描写に、リアルな表現とキャラクター的な表現があって、前者では質感、臨場感、立体感すべてにおいて圧倒するものがあり、はじめて4K・8Kの映像を見たときの驚きに近いとも思った。後者では、物語の中でちょっとあり得ない感じの水のかたまりが落ちてくるシーンがあって、それがむしろ「バケツをひっくり返したような雨」というのは、こんな感じなのかな、と納得できた。そして、少しずつ雨が止み、東京の街並みが美しく光り出す描写は、新海監督作品の真骨頂といえるものだろう。
「ねぇ、今から晴れるよ」と、陽菜が祈って雲の切れ間から光りがさして広がっていくシーンは実にエモーショナル。そこには必ずRADWIMPSによる音楽がある(主題歌5曲のうち2曲は女優の三浦透子がボーカルとして参加)。帆高のモノローグ「天気って、不思議 ただの空模様に、こんなにも気持ちを動かされてしまう」をそっくり借りたくなるほど、音楽にも気持ちを動かされてしまう。
もう一つ、ヒロインの陽菜が弟の凪(なぎ)とふたりで暮らしているというところにも、“今の時代の気分”を感じた。貧困家庭や孤食の子どもに食事を提供する「子ども食堂」が全国的に広がっていることが日頃から気になっていたこともあって、たとえば近所に、陽菜と凪のような姉弟がいたら、どうしたらいいんだろうと考えてしまった。新海監督が「帆高や陽菜と同じ若い人たちにも、そうじゃない大人の方たちにも響くものをたくさん入れたい」と話していたとおり、この映画には、見る人が普段、どんなことを感じているか、関心を寄せているかによって、響くポイントが違ったり、気づかされたりすることがあるに違いない。
そして、10代の若者が突っ走る、ただただストレートなラブストーリーを久々に見た気がした。こういうのが見たかった、そういう気分だったのか、と。上映後、普段、滅多に買わないグッズを購入し、5000円ちかくも使ってしまって、我ながらびっくりだった。
『天気の子』は、離島から家出し、東京にやってきた高校生の帆高(CV:醍醐虎汰朗)が、不思議な力を持った少女・陽菜(CV:森七菜)と出会うラブストーリー。東京は連日、雨が降り続けていて、その少女は祈るだけで、空を晴れにすることができた――。
はからずも、東京都心では6月末から曇りや雨の日が続いていて、「青空が恋しいな」という最近の気分にぴったりだと思った。公開初日の19日、日中、久しぶりに晴れたことも、「持ってる」と思ってしまったくらいに。
今年の『環境白書』でも、気温の上昇や大雨の頻度の増加など、気候変動やその影響が全国各地であらわれていて、今後、長期にわたって拡大するおそれがあると指摘しているとおり、最近、異常気象が“日常”を侵食してきているな、と感じていた“気分”にもフィットした。
映画では雨の描写に、リアルな表現とキャラクター的な表現があって、前者では質感、臨場感、立体感すべてにおいて圧倒するものがあり、はじめて4K・8Kの映像を見たときの驚きに近いとも思った。後者では、物語の中でちょっとあり得ない感じの水のかたまりが落ちてくるシーンがあって、それがむしろ「バケツをひっくり返したような雨」というのは、こんな感じなのかな、と納得できた。そして、少しずつ雨が止み、東京の街並みが美しく光り出す描写は、新海監督作品の真骨頂といえるものだろう。
「ねぇ、今から晴れるよ」と、陽菜が祈って雲の切れ間から光りがさして広がっていくシーンは実にエモーショナル。そこには必ずRADWIMPSによる音楽がある(主題歌5曲のうち2曲は女優の三浦透子がボーカルとして参加)。帆高のモノローグ「天気って、不思議 ただの空模様に、こんなにも気持ちを動かされてしまう」をそっくり借りたくなるほど、音楽にも気持ちを動かされてしまう。
もう一つ、ヒロインの陽菜が弟の凪(なぎ)とふたりで暮らしているというところにも、“今の時代の気分”を感じた。貧困家庭や孤食の子どもに食事を提供する「子ども食堂」が全国的に広がっていることが日頃から気になっていたこともあって、たとえば近所に、陽菜と凪のような姉弟がいたら、どうしたらいいんだろうと考えてしまった。新海監督が「帆高や陽菜と同じ若い人たちにも、そうじゃない大人の方たちにも響くものをたくさん入れたい」と話していたとおり、この映画には、見る人が普段、どんなことを感じているか、関心を寄せているかによって、響くポイントが違ったり、気づかされたりすることがあるに違いない。
そして、10代の若者が突っ走る、ただただストレートなラブストーリーを久々に見た気がした。こういうのが見たかった、そういう気分だったのか、と。上映後、普段、滅多に買わないグッズを購入し、5000円ちかくも使ってしまって、我ながらびっくりだった。
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2019/07/20